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[GDC07#38]Agile型開発でのゲームデザイン
「Agile」(アジャイル)というのは,Agilityなどと同じで「敏捷な」という意味の言葉である。4Gamerでは出てきたことのない単語かもしれないので,基本的なところから説明しておこう。
その言葉どおり「俊敏な開発を」というのが主旨ではあるが,しばらく前からソフトウェア開発ではかなり注目を浴びているアプローチである。ソフト開発とはいっても,ゲーム開発ではあまり馴染みのない概念なので,ゲーム開発でもこういった話題が出てくるようになったことに,まず注目しておきたい。
長いスパンで,設計図どおりの完成品を一気に作っていこうというWaterfall型開発に対し,短いスパンで未完成品をその都度繰り返し作り出していくというのが,Agile型開発の特徴である。
Scrumの特徴は,
・小チーム構成
・短期間での反復開発
・製品指向
・チーム指向
なお,Agile型開発はいくつか種類はあっても,どれも基本的に似た要素を備えていることが多い。Scrumの特性や考え方は,ほかのAgile手法とだいたい似通っている。
フォーカスするのは「ストーリー」「テスト」そして「アクション/リアクション」である。ストーリーはドキュメントの代わりになるもの,アクションはプレイヤーの行動,リアクションはAIやワールドの反応を意味している。テストについては話すと長くなるので割愛するが,テスト主導のアプローチはまた,重要な開発手法の話となってくる(今回のGDCでもテストにフォーカスしたセッションが見受けられた)。
StreetFighter Studioの新作ゲームの要素は,以下のとおりである。
・ジャンプしたり格闘したりできる
・ハリネズミを登場させる
・敵が必要
こういった要件から,「ジャンプ」だけを取り出し,それをタスクに分解する。これを2〜4週間のスパンで開発していく。また,Scrumでは毎日チーム内でミーティングを行い,作業の確認を行う。
一定期間で動作するものを制作し,それをもとに改善点や仕様変更を加え,次の開発を行っていく。ジャンプが終わったら,次はハリネズミに取りかかる。それが終わったら敵のAIを作っていくといった感じで,これの繰り返しで最終的な製品を作り上げていくわけだ。
しかし,GDCの参加者はプログラマに比べてゲームデザイナーは人数が少ないであろうに,朝一番の講演には,立ち見が出るほどに人が集まっており,これはかなり意外であった。UMLで話ができて,Agile開発に関心がある……海外のゲームデザイナーは進んでいるなあという印象であった。(aueki)
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