インタビュー
「モンスターハンター フロンティアG」がいよいよ4月17日に到来――G級にかける意気込みを3人のキーパーソンに聞いてきた
今回のアップデートの目玉となるのは,“G級”と呼ばれる最上位コンテンツ群が実装されることだ。10体の新しいG級モンスターをはじめ,3つの新フィールド,G級実装に伴う新規システムの導入など,その内容は多岐にわたり,2007年7月に正式サービスを開始して以来,最大規模の内容といって差し支えないだろう。
4Gamerでは,実装間近となった「MHF-G」について,プロデューサーの杉浦一徳氏,アシスタントプロデューサーの宮下輝樹氏,そしてディレクターの木本龍己氏の3人に,「MHF-G」について詳細な話を聞いてきた。
「モンスタハンター フロンティア G」公式プロモーションサイト
「モンスターハンター フロンティア オンライン」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
今回は,ディレクターの木本さんにもお話をうかがえるとのことなので,本題に入る前に,木本さんと「MHF」の関わりから教えてもらえますか?
私はカプコンに入社して20年になるのですが,これまでアーケードゲーム,コンシューマゲーム,オンライン事業などの開発に携わってきました。
「MHF」には,最初のプロジェクト企画段階からプランナーとして関わっていて,現在はディレクターを担当しています。
4Gamer:
「MHF」を最初期から支えてきたんですね。
さっそくですが,「MHF-G」の質問に入りたいと思います。4月17日に導入されるG級コンテンツについて,まずは,G級クエストを受けられるようになるための条件をあらためて教えてもらえますか。
木本氏:
HR(ハンターランク)999と1武器種以上のSR(スキルランク)999という2つの条件を満たしたうえで,「昇級試練」をクリアするとG級クエストを受けられるようになります。
4Gamer:
昇級試練は1人でしか受けられないとか,受注したプレイヤーしかG級に昇級できないといった制限はありますか?
木本氏:
条件を満たしたハンターであれば,最大4人まで参加できます。また,自分で受注しなくても,ほかのハンターのクエストを手伝えばG級へ昇級できます。
それから,今までHR解放のための試練では,HR999だけは特定のモンスターを1人で討伐しないとクリアできませんでしたが,G級実装以降は,別の手段でも達成できるように変更します。
4Gamer:
HR900までの試練と同じ形式になるわけですね。
インタビューではよくお話しさせていただくことですが,オンラインゲームの場合,何かで足止めされるような制約があると,お客様がゲームから離脱してしまうケースが多いんです。
今までは,一人で討伐した名誉的な称号の意味合いが強く,クリアしてもしなくても良いものだったので,討伐以外の達成手段を用意していませんでした。
ただ今後は,さらなる上位コンテンツとしてG級が実装され,HR999は通過点になりますから,その制約を外しましょう,ということですね。
4Gamer:
G級に上がったあとは,どのような形でクエストを受けることになるのでしょうか。
木本氏:
G級クエストは,GR(Gランク)で区分けされていて,最初に受注できるのはGR1のクエストだけになります。各ランクで「ギルド要請依頼」のクエストをクリアすることで,GR2のクエストに挑戦できるようになります。
4Gamer:
つまり,「モンスターハンターポータブル」シリーズに近い仕組みになっているんですね。ということは,ギルド要請依頼の発生条件は,キークエストのクリアだったりするんですか?
木本氏:
ちょっと違いますね。「MHF-G」のGRは,GR1-1,GR1-2というように,同じGRでもいくつかのクラスに分かれています。また,G級クエストでは自分のGRを超えるクエストには参加できません。
GR1を例にすると,最初に受けられるのはGR1-1のクエストだけです。G級クエストをクリアしてGRP(ジーランクポイント)を溜め,それが一定以上になるとGR1-2のクエストを受注できるようになります。ギルド要請依頼は,各GRの最終段階に到達した状態で,一定以上のGRPが溜まると出現するという形です。
4Gamer:
GRはどのくらいのクラスに分かれているんですか?
木本氏:
G級の序盤で言うと,GR1はGR1-3まで,GR2ではGR2-2までと,GRによって異なります。G級クエストでは,ランクとクラスを上げることで狩猟可能なモンスターが解禁されていく,というスタイルを採っている関係で,GRごとのクラス数も変わってきます。
4Gamer:
G級では,10体の新モンスターが登場するという話ですが,発表済みの「シャンティエン」「ポカラドン」「ヒュジキキ」「アノルパティス」以外には,どのようなモンスターが用意されるのでしょうか。
木本氏:
お話できる範囲でいうと,ファルノック,ミドガロン,ギアオルグ,レビディオラの4体でしょうか。
ファルノックは鳥竜種のモンスターで,見た目はヒプノックに近いですが,アフロっぽい頭と,かなりトリッキーな動きが特徴です。ミドガロンは,単体で出現するオルガロンといった感じの牙獣種ですね。
ギアオルグは,新フィールドである「極海」に登場する獣竜種で,尻尾に氷をまとってリーチを伸ばすといった特殊な攻撃をしてきます。レビディオラは古龍種で,磁力を操るルコディオラよりもさらに強力なモンスターとなっています。
4Gamer:
既存モンスターをG級向けにアレンジしたようなモンスター達も登場するんですね。
もちろん,見た目に近い部分があるというだけで,モンスターとしては別物になっていますので,安心してください。
公開済みのG級モンスターでは,シャンティエンはG級の昇級試練で登場するので,ハンターが最初に遭遇するG級モンスターとなります。
ノコギリ状の鼻が特徴のアノルパティスは,極海のボス的な存在ですね。地上と空,そして氷の中を大暴れするといった攻撃をしかけてきます。
針纏竜と呼ばれるヒュジキキは,背中の棘を飛ばす攻撃をしてきます。飛ばした棘は地面に刺さり触れたハンターにダメージを与えるという,マキビシのような効果を持っています。
それからポカラドンは,巨大なアザラシのような姿をしていて,極海に出現するモンスターなのですが,極海には,メスのポカラという小型モンスターや,ポカラドンの幼体も出現します。ちなみに,ポカラドンの幼体は,モンスターではなく山菜爺のように,フィールドに登場するNPC扱いとなるので,攻撃などはできません。
ポカラ(メス) |
ポカラ(幼体) |
G級クエストには,10体の新モンスター,21体の既存モンスターが登場します。GR1では,既存モンスターが2体登場して,ギルド要請依頼がポカラドンの狩猟なので,3体のG級モンスターに挑戦できるという計算ですね。
杉浦氏:
もちろん,今後もタイミングを見計らってモンスターを追加していきます。
お客様の中には,我々の予想を上回る速度でコンテンツを遊ばれる方もいらっしゃいますから楽観視はできませんが,常に動向は見守りたいと思っています。
4Gamer:
G級クエストに登場する既存モンスターには,G級独特のモーションなどはありますか?
木本氏:
見た目はそれほど変わっていないのですが,それぞれに特徴的な攻撃などを追加しています。特異個体ほど劇的な違いではありませんが,G級にふさわしい仕上がりにはなっていると思います。
杉浦氏:
ちなみに,基本的に肉質は変えていません。一部変更している部分もありますが,変種を最初に実装したときのようなことにはなりませんので,ご安心ください。
4Gamer:
分かりました。では,G級クエストの難度は目安としてどのくらいになっているのでしょう。やはり覇種の上をいく高難度なのでしょうか。
杉浦氏:
最初の難度は,覇種よりも低いですね。GRが上がっていくごとに段階的に難度が上がって,最終的には覇種を超えるというイメージです。私はGR1から覇種を超える難度でもいいと思っていたんですが,木本に反対されたんですよ(笑)。
木本氏:
やはり,入口はソフトにしておかないと(笑)。
いくらG級とはいえ,苦労して昇級試練をクリアしたあと,さらに高難度のクエストばかりが並んでいたら,心が折れてしまう方も少なからずいると思うんですよ。ですから,いったん落ち着かせることでG級に慣れてもらって,GRが上がるごとに徐々に難度が上がっていくという形にしました。
4Gamer:
なるほど。クエストをクリアしてランクを上げないと,新しいG級モンスターに挑戦できませんし,低難度のG級クエストも欲しくなりますよね。
木本氏:
確定していない部分もあるので,詳細まではまだお話しできないのですが,ランクに関係なく挑戦できるG級クエストや,そのクエストに登場する新モンスターも予定していますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
次に,G級専用となる3つの新フィールドについて,エリア数の構成などを教えてください。
大型探査船 |
まず「大型探査船」は,G級実装の段階では,今回のメインモンスターとなる“天翔龍”シャンティエン専用で,基本的には闘技場に近い形のフィールドといえます。さまざまなギミックが用意されていますし,狩猟が進むにつれ,フィールドに変化も生じます。
宮下氏:
大型探査船は空を飛んでいるんですが,シャンティエンとの激戦をより盛り上げるための演出も用意しているので,ぜひ楽しんでいただければと思います。
4Gamer:
大型探査船には,どのようなギミックが採用されているんですか?
木本氏:
最初は,シャンティエンと大型探査船の甲板上で対峙するのですが,シャンティエンにある程度のダメージを与えると,甲板から飛び上がって,大型探査船の周りを飛び回るようになります。そのとき,バリスタで攻撃を当てると攻撃チャンスが生まれます。
また,大型探査船には大銅鑼もあって,タイミングよく鳴らすとシャンティエンをダウンさせられます。シリーズではお馴染みのギミックですね。
杉浦氏:
もちろん,ギミックを使わなくてもシャンティエンを狩ることはできます。
こういったギミックを導入するのは,遊びの幅を広げたいという意味合いが強いんです。ギミックなどが一切ないフィールドだと,遊びの幅が狭くなり,どうしても効率重視の流れに向かいがちになってしまいますから,ゲームである以上,こういう“遊び”の部分があったほうがいいでしょう。
今まで,ギミックを実装しても,うまく利用してもらえなかったこともありますが,挑戦し続けないといけないと考えています。お友達とプレイするときなどに使ってほしいですね。
4Gamer:
残りの2つはどのようなフィールド構成になっているのでしょう。
木本氏:
実装されてからのお楽しみということで,詳細は伏せさせていただきますが,「極海」は,複数のエリアで構成される従来同様のフィールドになります。「最果ての地」は,1エリア構成のフィールドになっています。
杉浦氏:
「最果ての地」には,登場モンスターと合わせて凝った演出を入れているので,クエストが受注できるようになった暁には,ぜひ見ていただきたいですね。
G級武器は「シジル」を焼き付けて強化。G級防具は「精錬」で装飾品にすることも可能
4Gamer:
それでは,G級の武器や防具について教えてください。当然,既存の武器防具よりも性能が高くなると思いますが,G級の武器や防具はG級クエストでしか使えない,といった制限はありますか?
木本氏:
基本的に制限はありません。やはり,強い武具を作ったら使いたくなるものですから,既存のクエストでも使えるようにしています。
4Gamer:
武器では,4種類以上の新属性が追加されることが「MHF-G」の発表時に明らかにされていますよね。新属性は,既存属性2つを組み合わせたものになるとのことですが,既存の双属性とはどこが違うのでしょうか。
木本氏:
「MHF」の属性は,火/水/氷/雷/龍の属性攻撃,毒/麻痺/睡眠の状態異常属性の2種類に大別されますが,双属性武器は,属性攻撃から1つ,状態異常属性から1つを組み合わせたものです。
今回の新属性は,属性攻撃の複数属性という考え方になります。火/水/氷/雷/龍の5つのうち,複数の効果を合わせ持ったものという扱いです。たとえば「雷極」は,雷属性と龍属性の両方の効果を持つ属性です。
4Gamer:
複数ということは,新属性は,必ずしも2つの属性の組み合わせではないんですか?
はい。最大5つまで,つまり全属性攻撃の効果を持つ新属性も,実装される可能性はあります。
「MHF-G」アップデートのタイミングで導入する新属性は5種類ほどですが,最終的には,数十種類まで増やすことを考えています。
4Gamer:
ただそうなると,使い勝手のいい複合属性の武器ばかり使われるようになって,今までの武器がお蔵入りになってしまいそうな気もします。そのあたりはどう考えているのでしょうか。
宮下氏:
弱点属性とうまくかみ合っている場合は,新属性武器のほうが属性攻撃効果は高いです。ですが,狩猟するモンスターの弱点によっては,単体の属性のほうが有効な場合も当然ありますので,戦況に応じて使い分けていただければと思います。
4Gamer:
G級で武器を強化するときの「シジル」について教えてください。これは,装飾品に代わるG級武器専用の要素なんですよね。
木本氏:
はい。G級武器には装飾品を装着できない代わりに,シジルを焼き付けることで特殊効果が付けられます。G級武器には最大で2つのシジルを焼き付けることができて,シジル1個につき最大で3つの特殊効果が発動します。
また,既存のスキルとは異なり,シジルの特殊効果は表示されているパラメータの数値がそのまま反映されます。たとえば,「会心率+9」という特殊効果がシジルに付与されれば,会心率にそのまま+9されることになります。
4Gamer:
シジルを「焼き付ける」ということは,一度付けたらもう外せないということですか?
宮下氏:
そうですね。その代わり,焼き付けを再度行えば,シジルを上書きすることは可能です。
4Gamer:
具体的にはどのような手順で生産することになるのでしょう。
木本氏:
G級クエストをクリアすると,シジルの「レシピ」が解禁されることがあります。そのレシピからシジルを作るという流れですね。今お話できる範囲で言うと,レシピは50種類以上あります。
シジルの生産には,Gz(ジーゼニー)とG級素材が1つ以上,それと追加素材が必要になります。追加素材は,ほとんどの素材が対応しているのですが,生産に必要なゲージがいっぱいになるまで投入しないといけません。HC素材など,希少なものほどゲージが溜まりやすいです。
また,一度生産したシジルで不要なものがあれば,それを売却したときに「シジル補助券」を入手できます。この「シジル補助券」も,追加素材として使用可能です。
レシピはモンスターごとに複数種類あって,キー素材を持っているとレシピが表示され,キー素材がなくなれば非表示になります。
4Gamer:
シジルに付与される特殊効果はランダムなんですよね。となると,レシピは何のためにあるものなのでしょうか。
木本氏:
レシピごとに,シジルに付与されやすい特殊効果の傾向が異なります。付与される特殊効果は最大3種類で,最低でも一つは付与されます。それから,特殊効果は防具のスキルとは別物なので,スキルの最大発動数の制約は受けないようになっています。
4Gamer:
スキルで言うと,G級防具を装備すると,これまでの上限だった10を超えるスキルを発動できるようになりますね。
木本氏:
そうですね。3部位以上装備すると1枠増えて最大11のスキル,5部位すべて装備すると2枠増えて最大12のスキルを発動できるようになるというのが,G級防具の特徴です。また,G級クエストのみの発動となりますが,3部位以上装備した場合は攻撃力も上昇します。
4Gamer:
G級防具で装飾品を作り出せる「精錬」は,具体的にはどのような仕組みになっているんですか?
木本氏:
「精錬」は,最大まで強化したG級防具を素材にして,装飾品を作るというものです。この装飾品をG級以外の武器/防具のスロットにはめれば,G級スキルを発動できるようになります。
G級スキルは,既存スキルを複合した効果を持つものが多いので,既存防具のスキル構成を見直して,より良いものにできるようになるわけです。
ちなみに,G級防具は生産/強化に必要な素材を従来の防具よりも少なめにしていますから,精錬をためらうほどではないと思いますよ。
4Gamer:
精錬で入手できる装飾品は,素材にしたG級防具のスキルポイントをそのまま引き継ぐ形になるんですか?
木本氏:
ポイントをすべて引き継げるわけではないのですが,同じような傾向になります。
たとえば,素材になる防具に4つのスキルのポイントが割り振られていたとすると,精錬した装飾品では,その防具のG級スキルを1つと,残りのスキルから2つ,計3つを引き継ぐというイメージです。どのスキルポイントが引き継がれるかは,精錬前に確認できます。
11の武器種すべてに追加される新アクションはHR1から使用可能。リファイン項目がもっとも多いのはガンランス
4Gamer:
今回,各武器種に新アクションが追加されますよね。これまでも,秘伝書装備時の「天ノ型」や「嵐ノ型」という形で新アクションが追加されてきましたが,今回はどのような形での実装となるのでしょうか。
木本氏:
今回は,ベースとなる「地ノ型」に手を入れていますから,すべてのハンターが新アクションを使えます。ただ,「天ノ型」や「嵐ノ型」では,地ノ型の一部アクションを差し替えるという部分は変えていませんから,地ノ型以外にすると,使えなくなる新アクションもあります。
4Gamer:
では,武器種ごとの新アクションを,具体的に教えてください。
今回,アクションで一番大きく変化するのは双剣で,「真鬼人解放」というものを追加しました。鬼人化した状態で真鬼人解放を行うと,もう一段階強くなるんです。
完全に攻撃特化型のアクションで,発動中は時間の経過とともに体力が減る代わりに,動きが素早くなったり,回避にも攻撃判定が加わったりします。乱舞のあとさらにフィニッシュ攻撃が入ったり,回避時にバク転したりと,見た目もかなり派手になりますよ。手数の多さから言っても,非常に大きなダメージが入るものになりましたので,ぜひ試してみてください。
4Gamer:
それはまた,双剣最強の時代が来そうな匂いもするのですが……。
木本氏:
回復するには一度納刀する必要がありますし,おそらく皆さんが考えている以上に体力の減りは早いです。
双剣に関連したところでいうと,強走薬などのスタミナ減少無効時間の仕様を一部変更しています。これまでは,鬼人化した瞬間に強走薬などの効果が切れる仕様でしたが,これを廃止して,鬼人化中は,常に強走効果の残り時間が消費されていくように変更します。
双剣以外の武器についても,ガードやランスの突進など,スタミナを消費する行動を取ると,その分強走薬の効果時間が短くなるようにしました。
4Gamer:
強走薬を飲んだら一定時間スタミナ無限で攻撃し放題,という状況に歯止めがかかることになるんですね。
木本氏:
そうですね。それから,アイテムつながりでもう一つお話ししておくと,音爆弾に新しい効果を追加します。これまでは,モンスターの行動を制限したり,水中/地中にいるモンスターを地上に引きずり出すといった用途がメインでしたが,今後は,気絶状態や雪だるま状態になっているハンターの周囲に投げると,状態異常が解除されるようになります。
4Gamer:
武器で攻撃を当てたり,キックしなくても済むようになるのは便利ですね。クエストに音爆弾を持っていく頻度が上がりそうです(笑)。
新アクションの話に戻りますが,そのほかの武器種では,どのようなアクションが入りますか?
木本氏:
大剣とガンランスには,既存のものより一段階上の「強ガード」が入ります。たとえば大剣なら,ガード後に追加入力をすることで,剣を地面に突き刺す動作を行います。動作は長くなるのですが,うまく活用すれば狩猟の幅が広がります。
ランスでは「範囲ガード」というアクションを加えました。発動すると円形のオーラが現れて,その範囲内にいるハンターにもガード効果が適用されるというものです。
杉浦氏:
実は,PC版のベンチマークソフトで,ガンランスを持ったハンターが皆を守るというシーンがあったんです。当時,お客様から,そんなことはできないだろうという指摘を受けたのですが,私はその頃から,範囲ガードのようなアクションを入れたいと考えていたんです。ガンランスではなくランスですが,それをようやく実現できました。
4Gamer:
そのガンランスは,強ガード以外に新アクションはありますか?
実は今回,新アクションを含め,リファイン項目が群を抜いて多かったのがガンランスなんです。
ガンランスには,砲撃タイプが通常/放射/拡散の3種類ありますが,タイプによる違いがそれほどありませんでした。そこで,通常砲撃が強い,竜撃砲が強いというように,砲撃タイプによって差別化を図っています。
また,連撃砲のアクションも既存の「横薙ぎ」のほかに,「斬り下ろし」「正面」など,砲撃タイプごとに違いを出して,使い分けができるようにしています。また,ヒートブレードの使用時間も延ばしています。
4Gamer:
そのほかの近接武器についてはどうでしょうか。
片手剣では,その場で連続攻撃を続けられる「無限連斬」が加わります。それから,コンボに変更を加えて,ジャンプ斬りからしか出せなかったスライディング斬りを,あらゆるアクションからつなげられるようにしました。出だしの無敵時間と合わせて,かなり使い勝手が上がっていると思います。
太刀の新アクションは,「気刃放出斬り」です。射程は短いですが,攻撃に伴うオーラにも攻撃判定があるんですよ。
ハンマーは,技の連携部分に手を入れていますので,使い込んでいる方なら,使い勝手が向上したと感じてもらえるはずです。
狩猟笛については,1回だけですが,一操作でできる「重ねがけ」という,前回演奏した旋律を繰り返し演奏する行動を追加しています。また,これまでは回避行動などを挟むと演奏が中断されてしまいましたが,直前に演奏した音符が残って,続けて演奏できるようになります。
4Gamer:
弓やボウガンなど,遠距離武器の新アクションはどのようなものなのでしょうか。
弓は,すでにシリーズではお馴染みとなった「曲射」が追加されます。集中/拡散/爆撃に加え,「MHF-G」では切断属性を持つ曲射も用意しています。
ライトボウガンの「ジャストショット」は,弾を発射したときに表示されるゲージのタイミングに合わせてボタンを押すと,発射間隔を短くできるようになります。どんなボウガンでもできるというのが,従来の速射/超速射と違うところですね。
ヘビィボウガンの新アクションは,「圧縮リロード」です。これは,リロード中に表示されるゲージのタイミングに合わせてもう一度リロードボタンを押すことで,威力が大きく増した弾を発射できるようになります。ただ,反動はその分大きくなります。
それからボウガンには,一人称視点の操作タイプを新たに実装します。
4Gamer:
今までも,スコープを覗いたときは一人称視点になりましたよね。それとは何が違うんですか?
木本氏:
スコープでの照準時は移動ができませんが,オプションで「TYPE2」の操作タイプを選択して,スコープを展開しているときは一人称視点のまま立ち回れる,というのが違いですね。プレイ感覚はかなり変わると思いますが,FPSゲームを遊び慣れている方には,よりプレイしやすく感じてもらえるのではないでしょうか。
G級コンテンツだけではなく,システム面もより遊びやすくするリファインを実施
4Gamer:
G級の実装に伴って,武器や防具,入手できる素材の数も増えますが,アイテムボックスの容量は増えるのでしょうか。
杉浦氏:
もちろんです。アイテムボックスは,G級で追加される素材を,すべて1枠くらい収納できるくらい拡張します。
4Gamer:
システム関連での変更点はありますか?
宮下氏:
4月からは,G級が増えるということで,ワールドごとに「どこまでのクエストが受けられるか」という分け方にしています。「ここでは下位のクエストしか受けられません」とか,「ここではハードコアクエストまで受けられます」といった感じですね。
目的のクエストをより探しやすくするために,各ワールドで受注できるクエストを制限したんです。
たとえばフォワード.5であれば,募集が多く行われるのは覇種クエストというように,どうしても上のほうのクエストが中心になってしまいます。そのため「剛種クエストに行きたいけど募集しにくい」といったことが起きてしまっていました。G級が増えたら,今よりもさらにクエストの募集の幅が広がります。
そこで,G級に上がったハンターでも,剛種クエストまでしか受けられないワールドへ行けば剛種クエストの募集がしやすくなるだろう,といった感じですね。
もちろん,すべてのクエストを受けられるワールドも用意してあります。
4Gamer:
新規プレイヤー向けの,入門区に相当するものはどうなるんですか?
宮下氏:
入門区はそのまま残りますが,HR99までの入室制限はなくなります。そのうえで,HR30までのクエストが受注可能なワールドや,HR99までのクエストが受注可能なワールドを用意します。
杉浦氏:
フォワード.5から,入門区についてはHR99までにしていたのですが,お客様から「新しく始めた人のヘルプができない」といった声も多くいただいたこともあって,制限を外しました。
宮下氏:
入門区では,剛種や覇種などのクエストは受けられませんので,より目的に近いクエストの募集をしやすくなるかと考えています。
4Gamer:
求人区や交流区はどうなるのでしょう?
宮下氏:
求人区と交流区に関しては,基本的にすべてのクエストを受けられるワールドを設定する予定です。連戦したいクエストがあるときなどは,求人区を活用していただければと。
今回の試みの狙いは,杉浦も先ほど言いましたが,目的に応じたクエストを見つけやすくすることです。利用状況を見ながら最適化していきたいので,今後また変更することもあると思います。
4Gamer:
ただ,食事/狩人弁当でのステータスアップのことを考えると,入場したいランドと希望の季節がマッチしていないと困りますよね。
現在のワールド数から考えると,すべての目的別ランドを3つずつ用意するのは難しいと思うのですが,そこはどのように対処する予定なのでしょうか。
宮下氏:
おっしゃるとおり,現在はワールドの季節によって入場者数にかなり差があって,寒冷期に人が集中しがちでした。そこで,食事に新しいレシピを9つ用意して,温暖期や繁殖期でも,寒冷期で人気の食事と同等の効果が得られるものを取れるようにします。
4Gamer:
そのほか,メゼポルタ広場でリファインされる要素はありますか?
広場が石畳になるなど,文明が進化した感じを出して全般的に見た目の質感を上げています。そのほか,新しくG級クエストの受付嬢などが配置されますが,施設やNPCなどの配置が変わると皆さん混乱するでしょうから,それ以外の部分は,できる限り現状の配置を踏襲するようにしています。ですので,狩人祭で入魂するときに迷うようなこともないと思います。
杉浦氏:
入魂で思い出しましたが,「狩人祭」施設関連で言うと,「G-2」アップデートの前には,狩人祭の開催に応じて適切な報酬を提供できる仕組みを導入するつもりです。
4Gamer:
G級の導入に伴って,有料の各種オプションコースにも影響が出ると思います。それぞれ,どのような形でG級に対応するのでしょうか。
大きなところでは,アシストコースのレジェンドラスタが,G級対応になります。防具に変更はありませんが,G級解放以降は,レジェンドラスタにG級に対応した武器を持たせられるよう,選択肢が増えます。
4Gamer:
武器選択は,G級クエスト限定ですか?
宮下氏:
いえ,武器の選択肢が増えるだけなので,G級開放以降であれば,通常のクエストでもレジェンドラスタはG級武器を持っていくことになります。
木本氏:
通常のラスタも,仕様が大きく変わります。これまでは,武器や防具に使用制限がありましたが,これらの制限を緩和し,秘伝防具や覇種防具まで装備させることが可能になります。フォスタの変更点はとくにありませんが,今までと同様,条件を満たしていればG級クエストにも参加してくれます。
4Gamer:
アシストコース以外のG級対応はどのような感じになるのでしょうか。
宮下氏:
基本的には,G級への対応は慎重に検討しています。GRPとGzについては,プレミアムコースを適用しても,入手倍率は上がりません。これは,G級実装のタイミングでは倍率を決めかねる部分もあったので,少し様子を見てからの検討とさせていただきたいという理由からです。
それと,G級の話からは少し逸れますが,有料オプションサービスの全体的な最適化を図って,パローネ=キャラバン関連の一部特典を,プレミアムコースからエクストラコースに移しています。たとえば,「お手入れ」に必要なCPがゼロになる特典などは,3日間限定よりも30日間継続したほうがいいだろう,という判断からですね。ただ,秘撃玉2倍を30日間継続にすると,とんでもないことになってしまうので,これはプレミアムコースの特典のままです。
また,現在提供させていただいている「フォワード応援コース」は,G級対応要素を一部調整したうえで,「狩人応援コース」と名称を変更して,継続して提供します。
4Gamer:
秘伝書コースに変更はありますか?
基本的には変わらないのですが,G級実装のタイミングで「難しい書物」の仕組みを廃止するので,それに伴うリファインがあります。
これまで,HCクエストでの武器のレア度制限緩和という特典がありましたが,今回,レア度制限を廃止し,代わりに「HC補正武器レア度」を新設しました。適正なレア度の武器でHCクエストを受けると,取得できるHRPが1.5倍,SRPが4倍になる仕様に変更されます。
4Gamer:
なるほど。それにしても,なぜ「難しい書物」の仕組みをこのタイミングで撤廃したんですか?
木本氏:
今回,上位コンテンツとしてG級が追加されますから,秘伝書関係に今までほど厳しい制限はいらないだろう,という考えなんです。この仕様なら,強力な武具でクエストに出かけられます。あまりアクションゲームが得意でない人でも,クリアしやすくなるはずですし,ひいてはG級に上がりやすくなるでしょう。
その代わり,自分で縛りをつけて狩る場合にはボーナスが付与される,という仕様にしました。
4Gamer:
アップデートのスパンは,前回のフォワード.5から今回の「MHF-G」まで,正式サービスを開始してからもっとも期間が空くことになりました。この期間の同時接続者数は,どう推移していたのでしょうか。
杉浦氏:
フォワード.5最後となる覇種のテオ・テスカトルが実装され,HR999/SR999を達成したお客様が増えたことなどから,3月に入ってからは,若干ログイン数は減りましたが,数字的には,事前の想定とは比較にならないほどいい結果になっています。
我々がもっとも危惧していたのは,今プレイしてくれているお客様が,「MHF-G」が始まるまで休もうと思ってしまうことでした。そこで,継続してプレイしていただくにはどうすればいいのかをテーマに掲げ,この半年の間,いろいろ模索してきたわけですが,スタッフの尽力もあって,お客様のモチベーションを保つことができたと思います。
チーム内では叱咤激励をし続けてきましたが,本音を言えば,皆よく頑張ってくれたと思います。
4Gamer:
フォワード.4の反省を踏まえたというフォワード.5の評判はどうでしたか。
宮下氏:
オディバトラスに加え,覇種モンスターの配信で,杉浦の言った「お客様が熱くなるシチュエーション」を,何とか作り出せたんじゃないかと考えています。
当初の予定では,オディバトラスと特異個体を数体という予定だったんですが,それでは半年ももたないという話になって,急遽,覇種を実装することになったんです。金銀ヴォルガノスなんて,当時は影も形もなかったくらいですから(笑)。
木本氏:
杉浦が,フォワード.5で覇種を出すと言い出したときは,何を考えているのか,全然理解できませんでした(笑)。
宮下氏:
天嵐防具も,「秘伝防具しか作られていない現状を何とかしろ」という杉浦の一声から,1か月ぐらいで仕上げたものだったんです。
さらに並行して「MHF-G」の開発もありましたから,2012年夏頃は,相当過酷な状況になっていました。でもおかげさまで,毎月覇種を配信し,それに紐付く武具を提供することができました。
4Gamer:
それでは最後に,「MHF-G」に向けてのメッセージをお願いします。
木本氏:
今回は,タイトルも変え,新たなローンチとして「MHF-G」の開発を進めてきました。とくにG級のコンテンツは,かなり分厚く用意したつもりです。
まだG級に達していないという方であっても,新アクションなどゲームの根底の部分から手を入れていますので,存分に楽しめると思います。
通常のアップデートですと,ここまで手を加えることはなかなかできないことなので,ぜひプレイしてみて感想をお寄せください。
宮下氏:
「MHF-G」のローンチに合わせて,「24大イベント・キャンペーン」を実施します。通常,大掛かりなキャンペーンはアニバーサリーのタイミングで行うのですが,今回は特別にいろいろ仕込んでいて,G級解禁の4月17日に合わせて,ゲームの周囲からも盛り上げていきます。とくに休止している方にはまたログインしていただいて,変わった部分を確認してほしいですね。ぜひ期待してください。
杉浦氏:
今回は,大型アップデートというよりは,全般にまったく新しいゲームをリリースするつもりで,第2のローンチとして,チーム一丸となってこの1年近く取り組んできました。
ゲームのボリュームも,コンテンツの内容も,第2のローンチにふさわしい仕上がりになっています。今,遊んでくださっている方は安心してプレイしていただける内容であることはお約束できますし,休止している方も,この機会にまた復帰していただきたいです。
G級解禁前の1週間は,お客様にこれまでの感謝を込めて,全コースを無料で提供させていただきますので,ぜひご利用いただければと。
ほかにもいろいろ話題を仕掛けて,全体を盛り上げていきますので,ご期待ください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「MHF」ではHRの開放やSRの追加などで上位コンテンツを拡充してきたが,今回の「MHF-G」で,HRの上を行く最上位となるG級コンテンツがいよいよ登場する。
G級で実装される新モンスターだけでも,これまでのアップデートでは新モンスターが1〜2体だったのが,期間が空いたとはいえ今回は10体も実装されることを考えれば,そのボリュームが相当なものになるというのは,想像にかたくない。
このインタビューからも,MHFチームが“第2のローンチ”にすべく,この半年間,開発に真摯に取り組んできた様子がうかがえるのではないだろうか。
なお,「MHF-G」へのアップデートでダウンロードするデータ容量も大きくなるそうなので,実装当日に予定されている先行アップデートを適用したり,最新クライアントをダウンロードしてインストールし直したりして,G級に備えておいたほうがいいだろう。
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