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2014年のガマニアデジタルエンターテインメントは，スマートフォンアプリを続々とリリース。同社の今後の事業展開について，浅井 清社長と中島秀樹氏に聞いた

2014/02/07 00:00 　ガマニアデジタルエンターテインメントといえば，「ルーセントハート」に代表される，“可愛い/萌え系”のPC向けオンラインRPGが得意なパブリッシャというイメージが浸透している。
　しかし，ここ数年は新規タイトルが振るわず，短期間でサービスを終了してしまう事例が目立っており，元気のない印象があったことは否めない。

　そうした状況の中，2014年の同社は，スマートフォンのネイティブアプリを続々とリリースしていくという。その意図するところや事業の方向性，そして直近にリリースする予定のタイトルについて，ガマニアデジタルエンターテインメント 代表取締役社長 兼 COO 浅井 清氏と，オンライン事業本部 本部長 中島秀樹氏に聞いてみた。

ガマニアデジタルエンターテインメント 代表取締役社長 兼 COO 浅井 清氏（右）と，オンライン事業本部 本部長 中島秀樹氏（左）

次のステージを見据え，2013年初頭から進められていたスマホアプリへのシフト

　ガマニアは，2001年の日本での設立以来，長らくPCオンラインゲーム事業を主軸に据えてきたわけだが，浅井氏は2012年頃から，“次のステージ”を意識するようになったという。これは，日本市場だけでなく，台湾を本拠地としアジアで事業を展開しているガマニアグループ全体の流れでもあった。

　「2012年当時は，ソーシャルゲームもまだ勢いがあり，またPCオンラインゲームもしっかり運営開発をすれば十分行けるという時期でした。一方，スマホアプリは伸びてきてはいるものの，まだガンホーさんの『パズル＆ドラゴンズ』がヒットする前でした。したがって，グループ内でもどの方向に舵を取るか，決めかねている段階だったと言えます。ただ，このままPCオンラインゲーム事業を中心に展開していても，ゆくゆくは頭打ちになってしまうだろうという予想はありました」（浅井氏）

　そこでガマニアは，当面，PCオンラインゲーム/ブラウザゲーム事業を続けつつ，次のステージに向けて新規事業の展開を進めていったわけだが，それと前後してアジア市場は，それまで主流だったPCオンラインゲームからスマホアプリへと大きくシフトしていく。そして，Gamaniaグループもその流れに乗ることとなった。

　「スマホアプリ市場は，PCオンラインゲームと違い，パブリッシャよりもメーカーが大きな力を持っています。極端な話，個人が開発したゲームでもグローバルに配信できますから。そのため競争も激しいのですが，PCオンラインゲームもMMORPGを中心にカジュアルなジャンルなど横方向に広がりを見せましたから，スマホアプリも同様だろうと捉え，社内開発に乗り出しました」（浅井氏）

　ガマニアが本格的にスマホアプリの開発を始めたのは，2013年の初頭。当初は2013年後半から，完成したタイトルを順次リリースしていく予定だったが，スマホアプリ開発のノウハウがなかったために難航した部分もあったそうだ。そうこうするうち，台湾や中国からも良質なタイトルが出てくるようになってきた。ブラウザゲームなどでも当初は日本国内開発にこだわっていたガマニアだが，2014年からの展開では社内開発タイトルと海外タイトルの双方をパブリッシングしていくことになったという。

　「PCオンラインゲームもそうでしたが，スマホアプリは一つヒット作が生まれると，その類似タイトルが続々と出てきますよね。しかしガマニアは，そうした流れを追いかけるより，日本の市場にはあまり出回っていないけれども，面白いと思えるタイトルをどんどん取り上げていきたいと考えています。運営面においてはPCオンラインゲームのノウハウを生かせる部分がありますし，また日本にはガンホーさんやLINEさんといった身近な成功例があって励みになっています。後発にはなってしまいましたが，きちんと長く遊んでいただけるコンテンツを提供していきます」（浅井氏）

　「海外からのライセンスタイトルにしても，ヒット作の後追いではなく，本気で開発して差別化がなされているものをチョイスしていこうと考えています。
　また，今回の話は，ガマニアで扱うタイトルをすべてスマホアプリにシフトしてしまうという意味ではありません。PCオンラインゲームやブラウザゲームであっても，日本市場にマッチする内容であれば，これまでどおりパブリッシングしていきます。例えば，今回紹介するブラウザRPG『末日少女（仮）』も，その一つです」（中島氏）

ガマニアが2014年上半期に展開するスマホアプリ4タイトルとブラウザRPG1タイトル

　それでは，2014年春までにガマニアからリリースされる予定のスマホアプリ4タイトルと，ブラウザゲーム1タイトルを浅井氏と中島氏のコメントを添えて紹介していこう。

　まず「復讐のブラッドクロニクル」（iOS / Android）は，中国のデベロッパが開発した，西洋ファンタジーモチーフのカードバトルRPGだ。セールスポイントは，いわゆる“美麗”なカードイラストと，3Dグラフィックスを使ったバトル時のエフェクトとなっている。リリースはiOS版が2014年2月を予定している。

　「合成，強化，PvP，GvGといった日本で主流のカードバトルRPGの要素は一とおり揃っています。またカードイラストは，日本，台湾，中国のイラストレーターを起用し，非常にクオリティが高いです。一方，ゲームとしては，プレイヤーがデッキを構築する要素があり，さらにこれだけ3Dのエフェクトを使用したゲームも多くありませんから，日本市場でも十分ヒットを狙えるのではないかと」（中島氏）


　「ガマニアといえば“萌え系”というイメージが強いかもしれませんが，昨今，その系統は世間全般に氾濫しており，差別化がなかなか難しくなっています。そこで，より多くの方にアピールすべく，スマホアプリはさまざまな展開をしていく予定です。このタイトルに関しては，ちょっとダークなイメージの絵も多く，かつて弊社がMMORPG『エターナルカオス』を手がけたときを思い起こしてもらえるといいんじゃないでしょうか」（浅井氏）


　「てのひらワンコ」（iOS / Android）は，子犬とコミュニケーションしながら育成していくというタイトルで，こちらも中国のデベロッパが開発を手がけている。ゲーム内では，犬の給餌やブラッシング，散歩などをはじめ，公園で遊ばせだり，あるいはほかのプレイヤーの犬と交配して子どもを作ったりすることも可能だ。また提示されるミッションをクリアするなどして経験値を溜めれば，新しい芸を覚えさせることもできる。

　育成可能な犬種は50種類以上で，「スマホで犬を飼う」というコンセプトのとおり，犬のモデリングやモーションに，かなりこだわって作り込まれている。さらにプレイヤー同士がお互いの家に遊びにいったり，あるいはコンテストで子犬の評価を競ったりするコミュニティ要素もあり，犬好きにアピールする内容となっている。iOS版，Android版とも2014年3月リリース予定。


　「犬種はメジャーどころはもちろん，かなりマイナーなものまで揃えています。ここまで取りそろえたタイトルはそうそうないと思いますので，犬好きな方にはたまらないんじゃないでしょうか。ガマニアには私を含め犬好きが多いので，社内での評価はダントツにいいですね」（中島氏）

　「なにより，ゲームに登場する犬の出来がいいですよね。犬にアバターアイテムを着せたり，部屋を飾ったりといったプラスアルファの部分も充実していますので，若い女性にもアピールできるのではないかと期待しています。短期間で終わってしまうコンテンツではないと思いますので，プロモーションもペット専門誌とコラボするなど，今までのタイトルとは異なる施策を検討しています」（浅井氏）


　Android向けの「おしおき姫っ！」は，ガマニアのブラウザゲーム「Web ナイトカーニバル！」をベースにしたタイトルだ。開発は，日本のガマニアが手がけており，2014年1月29日にリリースしている。
　ゲームでは，「Webナイトカーニバル！」に登場する姫騎士達に教育的指導（オシオキ）をしていくこととなる。姫騎士には，「オシオキ」と「カイカン」の二つのゲージがあり，彼女達の身体を指で叩いたり撫でたりするとそれぞれが伸びていく。ゲージの大きく伸びる部分や使用アイテムが姫騎士ごとに異なるので，その組み合わせを見つけ出すことも遊びの一つだ。無論，オシオキ中は姫騎士の胸やお尻が揺れまくる。

　そして見事，二つのゲージを同時に満タンにすると，「フィーバー」となって，姫騎士の身体に触り放題になると同時に通貨ポイントが溜まっていく。このポイントを消費するとガチャが回せて，オシオキに使う「羽根ボウキ」や「鞭」などのアイテムを入手できる。
　姫騎士一人のオシオキが終わると，セクシーなご褒美画像が表示され，オシオキ可能な姫騎士が増えるという流れになっている。

　「実はこのタイトル，ガマニアにいらしたお客様に見せると，一番反応がよかったりします（笑）。ある意味，これまでのガマニアっぽいですが，社内のプログラマが遊びで作っていたものをベースにしており，彼の趣味が大きく反映された内容です。ガチャもありますが，基本的にはゲーム内ポイントだけでも十分遊べる内容となっています。ただ，エクストラステージを開放するのにもポイントが必要なので，場合によってはそこでお金を支払っていただくことになるかもしれません」（浅井氏）


　「スプラッシュガールズ！」（iOS / Android）は，水着を着用した女の子を操作してウォータースライダーを滑り降りるゲームだ。スライダーに配置されたコインを集めたり，障害物を避けたりしながら，ゴールを目指す……というだけなら，わりと普通だが，このゲームでは，なぜかゴールイン後に女の子の写真撮影タイムがあり，ポーズを取った女の子のベストショットを撮ることができれば，さらに高い評価が得られるというシステムとなっている。また，これらの評価はランキング集計され，ほかのプレイヤーと競うことができる。

　なお，ゲーム内で取得したコインの消費，もしくは有料で女の子のアバターアイテムや浮き輪などを購入できる。開発は台湾のデベロッパで，日本では2014年2月リリース予定。

　「日本における展開にあたり，よりスライダー部分のゲーム性を強化しようと考えています。たとえば，わざとコースアウトして，隣のコースにジャンプインし，そのままゲームを継続するようなギミックなどの導入とかですね。また，このタイトルは，広告的な使い方も考慮しており，たとえば遊園地などとタイアップできないかと考えています」（中島氏）


　「末日少女（仮）」は，住人がゾンビ化した街を舞台とした，PCブラウザタイプのソーシャルRPGだ。キャラクターは，ポップな雰囲気のものからおぞましい雰囲気のゾンビもいてネタとシリアスをうまく織り交ぜている。中島氏によればストーリーもかなりしっかり作られているとのことだ。
　ゲームは，クエストをクリアしていく形で進行していく。途中で仲間キャラクターを加え，複数のキャラクターで陣形を組むことが可能で，バトルを勝ち進むにはキャラクターの配置などを考慮する必要がある。
　このタイトルはもともと台湾ガマニアで開発（現在は開発チームを分社化）していたものだが，日本版は日本のガマニアにて独自に開発を進めているとのことだ。

敵となるゾンビのイメージイラスト

　「オンラインRPGでは，ゾンビをモチーフにした世界観はあまりありませんから，なかなか新鮮なんじゃないでしょうか。またゲームの舞台は日本となっており，台湾版でもキャラクターは日本語でしゃべっているのですが，日本版ではあらためてボイスを収録する予定です」（中島氏）

　「プレイヤー側の女の子キャラは，ダメージを受けると服が破れます……と説明すると，大ヒットしているあのタイトルのパクリみたいですが，台湾では2013年6月にはβテストを行っていますので，あの人気タイトルに感化された仕様というわけではないんですよ」（浅井氏）

プレイヤーキャラのイメージイラスト

パートナーキャラのイメージイラスト

　ほかにも，現在，ガマニアでは，アイスクリームショップ経営ゲームやRPGなど，いくつかのタイトルを開発中で，ライセンスタイトルと合わせて2014年内に8〜10タイトル前後をリリースしていく予定だ。ちなみに「てのひらワンコ」のデベロッパには，「猫好きのために猫版を作れないか」という打診もしているという。
　最後に，2014年のガマニアの展開について浅井氏が語った言葉を掲載し，本稿の締めとしよう。

　「ここ数年は，ガマニアも含めて業界全体が『ガチャでカードを集めさせて合成して……』というような遊びに偏りすぎていた感があります。そこで2014年のガマニアでは，たとえば『おしおき姫』に代表されるように，フラッシュアイデアであっても『これ面白そう』と手に取っていただけるようなゲームを世に出したいんですよ。もちろん，それを長く遊んでいただけるかどうかはタイトル次第ですが，個人的には開発者自身が楽しんで作っているようなゲームを提供していきたいと考えています。
　正直なところPCオンラインゲーム市場は元気がなくなっていますが，まだまだ多くのユーザーさんに遊んで頂いていると感じています。
　ガマニアとしては，現在運営している『ルーセントハート』『Web 恋姫†夢想』をはじめ，今回紹介させて頂いた『末日少女（仮）』など，可能性があると思うPCオンラインゲームに関しては既存・新規タイトルを問わず，今後も積極的にチャレンジしていくつもりです」（浅井氏）

　かつてのブラウザゲームブームのときを思い起こしても，海外制作のゲームを安く仕入れてくるよりも，自社主導の開発にこだわっていたガマニアだ。オンラインゲームプラットフォームがスマートフォンに広がってきて，新たな分野に挑戦するときでも基本姿勢は変わっていないように思われる。当たれば見返りも大きいものの，過当競争気味で厳しいアプリ市場で，2014年のガマニアがどれだけ存在感を出せるかに注目したい。

「ガマニアデジタルエンターテインメント」公式サイト

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