インタビュー
「ルーセントハート」が目指すモノとは? 開発元PlayCooインタビュー
クローズドβテスト最終日に合わせて,開発元であるPlayCooの代表が来日しているとのことで,4Gamerでは急遽インタビューを行った。ルーセントハートの開発の経緯と日本での今後の予定などについて,開発元であるPlayCooのPresidentであるJoyce Chang(張鳳珠)氏とガマニアデジタルエンターテインメントオンライン事業本部第1事業部第3運営チームディレクター茂木敬吾氏に話を聞いてみた。
まず,PlayCoo自体についてお伺いします。「ルーセントハート」は,Gamaniaの自社開発だというふうに聞いていたのですが,PlayCooというのは,Gamania内のスタジオなんでしょうか? それとも別会社なのでしょうか?
Joyce Chang氏(以下Chang氏):
台湾Gamaniaの子会社になります。PlayCoo自体は,7年前に会社ができて,2005年末にGamaniaの子会社となりました。
4Gamer:
では,ルーセントハートはどれくらいの期間開発しているのでしょうか。
Chang氏:
だいたい3年になりますね。
4Gamer:
すると,開発中に子会社になったという理解でよろしいのでしょうか。
Chang氏:
そうですね。
分かりました。では,このような星占いなどの要素を取り入れたゲームを作ろうとしたきっかけについて教えてください。
Chang氏:
それまで作っていたような中国圏だけで受けるゲームではなく,たくさんの国で受け入れられるようなゲームを作りたくて,世界的によく知られた星座にまつわる話をモチーフにしたMMORPGを企画しました。星座の物語にはクエストの素材がたくさんあるほか,恋愛と絡めやすいということで,新しく考えていたゲームにぴったりだったのです。
4Gamer:
なるほど。キャラクター作成時に設定した星座によって,占星術による占いなどがゲーム内に取り入れられていますね。ちょっと疑問に思ったのですが,同様に設定する「血液型」というのは,台湾では流行っているのでしょうか? 日本ではそれなりにメジャーなのですが。
Chang氏:
台湾ではあまり知られていませんね。ルーセントハートでは,血液型は占いの部分には関わっていません。キューピッドシステムで相性を見るときに使われています。
日本でも血液型は占いというよりは,性格判断や相性判断で使われることが多いものである。用途としては妥当であろう。
ちなみに「それまで作っていたゲーム」というのがどういうものかと調べると,「少林傳奇」や「真・少林傳奇」といったオンラインゲームだった。3D MMORPGのようだが,タイトルからしてカンフーテイストである。
4Gamer:
このゲームを作る際に,ほかのゲームと差別化するために心がけていたことなどはありますか?
Chang氏:
まず,星座に関するストーリーと占いなどの部分です。そしてキューピッドシステムなど,ゲーム内でできるだけ友達を作りやすいシステムを用意しました。キューピッドシステムに登録しておけば,最も相性のよいプレイヤーを探し出してくれます。ハッピーパイロットシステムでは,プレイヤーが本当にやりたいことをゲーム内に反映する仕組みを作りました。これを使ってプレイヤーが自分でクエストを作っていくことで,プレイヤーと開発者の関係をより密接なものにしたいと考えています。最後にコミュニティの部分ですね。全体的には,ユーザーが主導的に遊べるようなものを心がけました。
新しい層を取り込んだ台湾でのサービス状況
台湾ではすでに正式サービスが開始されているようですが,反響はいかがですか。
Chang氏:
台湾では主に若いプレイヤー層を中心に人気が出ています。アイドルを使ってPRしたりと話題になっていますので。あとは女性層にもアピールしていますね。
4Gamer:
台湾でのプレイヤーの男女比というのはどれくらいなんでしょうか。
Chang氏:
だいたい男女で7:3くらいです。
4Gamer:
一応確認しますけど登録者の性別ですよね?
Chang氏:
はい。そうです。
日本だと,ゲーム内のキャラは女の子ばかりなのに,プレイしているのは男ばかりということがよくあるのですけど,台湾ではどうなんでしょうか。
Chang氏:
MMORPGが流行り出した頃には,自分と違う性別でプレイできるというのが面白くてそういうのが流行ったこともありましたけど,最近では自分と同じ性別のキャラクターを使うほうが普通ですね。
4Gamer:
なるほど。日本とはかなり状況が違うみたいですね。では,台湾では,このゲームのどういう部分が人気になっているのでしょうか。
Chang氏:
最初の3か月間くらいはキューピッドシステムが非常に好評でした。4か月めくらいからはキャラクターも成長してきた関係か,星盤システムが好評ですね。
ハッピーパイロットシステムというのは,ほかのMMORPGではあまり見られない新しい試みですが,台湾ではどういった反響ですか?
Chang氏:
ハッピーパイロットシステムは,プレイヤーによって好き嫌いが分かれるようです。別に激しく嫌う人がいるわけではありませんが,ハッピーパイロットをまったく使わなくても,ほかの部分で十分にゲームを楽しめるので必要としていない人も多いようです。
また,好きな人だとこればっかりやっている人もいます。ハッピーパイロットシステムを使うと,プレイヤーが自分達でゲームの一部を作っていけますので,遊ばされているのではなくて,自分達でゲームを遊んでいるといった実感がわくようです。
ハッピーパイロットを使っている人は,どれくらいいるのでしょうか。
Chang氏:
だいたい全体の3割くらいになります。
4Gamer:
キューピッドシステムだとどれくらいでしょう?
Chang氏:
9割以上の人が使っています。このゲームでは,MMORPGは初めてといった女の子も多いので,キューピッドでパートナーになった慣れたプレイヤーがサポートしながら,オンラインゲームの楽しい部分を教えてくれるというのが好評になっています。
4Gamer:
なるほど。かなりうまく回っているようですね。日本では少し環境は違うと思うのですが,台湾市場と日本市場の違いはどんなところにあると思われますか。
Chang氏:
台湾では,プレイヤーの活動は,レベル上げ,ギルドといったものが中心で,全体にコミュニティ重視になっています。日本ではソロプレイをする人が多いようで,一人でも楽しめるものにすることが重要なようですね。あと,日本ではおしゃれ系のアイテムが重要だと聞いています。
4Gamer:
台湾で売れている課金アイテムではどんなものがありますか。
Chang氏:
経験値アップアイテムとか,マップ間の移動補助アイテムが人気ですね。
4Gamer:
マップ移動は課金アイテムであるんですね。それは便利そうです。プレイヤーの傾向は多少違っているわけですが,日本版は台湾版とは別のものになるのでしょうか?
Chang氏:
主にビジュアル部分では日本向けの仕様に変更しますが,ゲームシステムなどは共通にしていきます。
4Gamer:
なるほど。では,日本以外でルーセントハートを展開する予定はありますか?
Chang氏:
しばらくは日本版に集中していきますので,少なくとも今年いっぱいは他国展開の余裕はないですね。
今後は各種ペットに結婚システム,対人戦も追加
台湾を含めた今後の展開について聞かせてほしいのですが。
Chang氏:
今後は,ペット系とキューピッドシステムを進めた結婚システム,マップの充実と戦争システムにフォーカスして開発していきます。
4Gamer:
いろいろありますね。まずペットですが,どのような種類がありますか?
Chang氏:
可愛い系のものと戦闘用のもの,そして騎乗用の3種類があります。ルーセントハートではペットは非常に重要なものと考えています。
4Gamer:
一通り揃っていますね。台湾ではすでに実装されているのでしょうか。
Chang氏:
台湾で最近実装されたばかりですね。日本に持ってくるのは少し先になります。
次に結婚システムですが,これはキューピッドシステム以上のメリットがあるものと考えてよいですか。
Chang氏:
そうですね。普通に考えてキューピッドでの関係よりも強化されるのは当然でしょう。エンゲージリングなどのアイテムもあって,これまで以上にメリットはあります。個人的な構想では,ペアで育てていくようなペットも導入できればと思っています。
4Gamer:
えーと,結婚というのは,ゲーム内での相性がよくないとできないものでしょうか?
Chang氏:
はい。キューピッドシステムと同様です。
4Gamer:
例えばリアルで恋人同士とかの男女プレイヤーでも,ゲーム内で相性がよくならないといけないことになりますよね。
どうしてもという場合は,キューピッドシステムで登録する好みのタイプと自分のタイプを示し合わせておけば,相性をある程度上げることはできます。また,星友にするためのアイテムというのもありますので,そういったものを利用することもできます。
4Gamer:
なるほど。対応策はあるわけですね。では,キューピッドシステムで相性度をどんどん上げていき,その最終形が結婚ということでいいのでしょうか。
Chang氏:
そうですね。
4Gamer:
台湾では現状で,かなり相性度を上げているプレイヤーというのはどれくらいいるのでしょうか?
具体数は分かりませんが,ちらほらいますね。キューピッドシステムの段階が進むと,名前が青い色で表示されるようになるので見れば分かります。また,あちこちで恋人専用のモーションを使っている人も見かけますので。
4Gamer:
もう一つ変なことをお聞きしますが,キューピッドだと複数の相手と付き合うことができたわけですけど,結婚をするとほかの相手とキューピッドシステムを使えなくなるなどということはありますか。
Chang氏:
結婚していてもキューピッドシステムはそれまで通り使用できます。ペナルティはありません。ただし,結婚できるのは一人だけです。
4Gamer:
分かりました。次に戦争システムについて教えてください。これまでルーセントハートでは,ハッピーパイロットシステムでのイベント的なものくらいしかPvP要素がなかったわけですが,今後はPvPのシステムが入ってくるんですね。
Chang氏:
台湾での要望は多いですね。キューピッドシステムにしてもギルドにしても,プレイヤーに長く楽しんでもらえるためのものですので,そういったものの一環としてPvPシステムも導入していく予定です。
日本でのクローズドβテストの状況
では,今度は日本側の話をお聞きします。クローズドβテストはいかがでしたか。
茂木氏:
そうですね。テスト自体は非常に順調でした。トラブルらしいトラブルもなく終了しました。
4Gamer:
ときどきやっていた負荷テストはどうでした?
茂木氏:
軽すぎて負荷テストになりませんでした。なんとか落とそうと,かなり頑張ったんですが。
最終イベントでは,周り中が火の海になるとクライアントはかなり重くなったんですが。私がやっているときも,一度回線が切れました。
茂木氏:
クライアント側は落ちることもありましたね。GMでも落ちてましたし。ただ,サーバー側はなかなかしぶとくて。
4Gamer:
とりあえず,サーバーが軽いのはいいことですね。テスト自体は順調だったようですが,テスター募集のスロットの件について聞かせてください。
茂木氏:
テスター募集に応募してすぐに結果が分かったほうがよいだろうということで始めたのですが,結果的には失敗でした。
4Gamer:
ええ,かなりよさそうに思えたのですが,あれほど多重で取ろうとする人が多いとはこっちもちょっと予想外でした。
茂木氏:
今回は失敗しましたが,これまでの方式が最良とは限りませんので,これからもいろいろと新しいアイデアがあったら積極的に試していきたいですね。
4Gamer:
クローズドβテスト自体の反響はどうでしたか。
茂木氏:
今回はテスターさんの声が非常に多かったのが特徴ですね。これはしっかり開発側に伝えたいと思います。オープンβテストなど当面は不具合部分を集中的に対応していきますが,要望は多いものから順次取り入れたいと思っています。
4Gamer:
要望にはどんなものがありましたか?
茂木氏:
いろいろありましたけど,例えば,キューピッドシステムは同性でも使えるようにしてほしいとか……。
4Gamer:
いきなりですね。それはどうするんですか?
茂木氏:
検討中です。飛天オンラインでは同性同士でも結婚できるようにしましたし,ありえないわけではありません。
4Gamer:
今後どういった要望を反映していく予定ですか。
クリック以外での移動とか,フェイスパターンの拡充ですね。あとキャラクターの脚を少し速くできないかと開発側に打診中です。
4Gamer:
顔パターンとかは,オープンβテストまでに拡充されるのでしょうか。
茂木氏:
ちょっとそれには間に合いません。
4Gamer:
それでは,オープンβテストですでにキャラを作ってしまった人にもパターンの追加とかは対応できるんでしょうか?
茂木氏:
アイテムで顔を変更できるようになっていますので大丈夫ですね。
4Gamer:
なるほど。では,運営側から見たルーセントハートの魅力というのは,どんな部分でしょうか?
茂木氏:
一つには,コミュニティを作りやすいゲームだということですね。ソロでも遊べるバランスですが,SNSのようにも使えるゲームです。
4Gamer:
チャットの星座チャンネルというのは,デフォルトでギルドに入っているみたいで面白かったです。
茂木氏:
プレイヤーの要望を聞いて,もっと楽しく遊べるようにしていきたいですね。
台湾版のバックストーリーは日本版とはかなり違ったものなのですが,これは今後の展開には影響しないのでしょうか? プレイヤーを召喚したことになっているテイアはともかく,いまのところカデナの存在はゲームでまったく感じられないのですけど,カデナは今後ゲーム内に出てくるようなことはあるのでしょうか。
茂木氏:
クエストかなにかで出てくることもあるかもしれませんね。そういった要望もありますし,ボスキャラなどで登場するかもしれません。
4Gamer:
分かりました。期待しています。ところでテスト中の人口統計などはないんでしょうか。なんか,みんな鉄砲持ってたり,魔法使ったりという印象があるのですが。
茂木氏:
4Gamer:
なるほど。序盤はタンク系のソロでも全然辛くないなと思っていたんですが,メイジはさらに楽でしたか……(そんな気もしてたけど)。
オープンβテストで追加されるもの
ところでオープンβテストではどんな要素が追加されるのでしょうか。
茂木氏:
エリアが増えるほか,キューピッドシステムの要望が高かったので,急遽オープンβテストで公開することになりました。ほかにはハッピーパイロットシステム,クラン機能,お祈りなどが加わります。
4Gamer:
お祈りというのはどういうものですか? クローズドβテストでもボタンだけあって不思議に思っていたのですが。
茂木氏:
これは友達に対して祈りを捧げることで,一定のメリットが出てくるものです。
4Gamer:
Buffのようなものですかね?
茂木氏:
似たようなものですね。
ハッピーパイロットシステムは,どうなりますか?
茂木氏:
オープンβテストでは,限定的な公開になり,プレイヤーは参加のみ可能という形で公開します。まず,ハッピーパイロットシステムではどんなことができるのかを体験してもらうことが主眼となっています。とりあえず,こちらからなにができるのかをレクチャーしていく感じですね。
4Gamer:
ハッピーパイロットは個人的に期待しているので頑張ってください。ところでオープンβテストのレベルキャップはいくつでしょうか?
45です。正式時には55になります。
4Gamer:
正式でアルテミス様と同じですね。3次転職はレベルいくつからでしょうか?
茂木氏:
3次転職はレベル35ですね。
4Gamer:
あと,クローズドβテストでよく分からなかったものに「幸運の銅貨」があったんですが,あれはなんだったんでしょうか。
茂木氏:
銅貨はギャンブルで使うものですね。クローズドβテストでは実装されていませんでしたけど。
4Gamer:
ああ,ギャンブラーっていましたね,そういえば。あそこで使うものでしたか。なるほど。ところで,クローズドβテストではサーバーは余裕だったとのことですが,オープンβテストでは大丈夫でしょうか?
茂木氏:
フタを開けてみないことには分かりませんが,十全の準備を整えてあります。
正式サービス,そして今後の展開
4Gamer:
正式サービスではどんなものが加わりますか。
茂木氏:
まず,不具合関係の修正が第一ですね。フェイスパターンの追加はこの時点で行う予定です。またアイテムモールも当然開設されます。
4Gamer:
課金アイテムはどんなものがあるんでしょうか。
茂木氏:
経験値2倍とか生産成功率アップとか,あとは台湾でも人気という移動系の転送スクロールなどですね。これは,任意の地点で転送位置をセーブできたりと,かなり便利なものです。
4Gamer:
遠いマップへの移動は面倒だと思っていた部分なので,課金アイテムとはいえ解決できるのはいいですね。先ほどの話では,日本版はビジュアル面以外は台湾版と変更がないということでしたが,今後独自仕様などは考えていますか?
茂木氏:
まずグラフィックス部分ですね。システムに関連するものでも,面白そうなものは随時導入すべく開発側に要望を出していきたいです。
「桂ちゃん」(ゲーム内に登場する台湾のアイドルキャラクター。クエストでプロマイドをくれる)は日本版ではどうなるんでしょうか?
茂木氏:
どうするかは,まだちょっと未定です。日本では日本のアイドルを使いたいところですね。
4Gamer:
あのプロマイドは,持ってるとそのうちレアになるんでしょうか(笑)。鞄がいっぱいになるとすぐ消しちゃうんですけど。
茂木氏:
キャラクターを消すことがあってもアイテムの削除は行いませんので,ずっと持っていればそのうちレアアイテムになるかもしれません(笑)。
4Gamer:
「ブライトシャドウ」や「飛天オンライン」で行っていたような,ほかのゲームやアニメとのコラボ企画などは,このゲームでもやっていくんでしょうか。
茂木氏:
もう少し落ち着いたら考えるかもしれません。現状ではそういう予定はありませんが,別にできないわけではありませんし。面白いことは随時導入していくというのが基本姿勢です。
4Gamer:
ルーセントハートは,日本ではどういった層をターゲットとしていますか。
茂木氏:
主に低年齢層と女性層ですね。可愛い系の雰囲気を前面に出してできるだけ低年齢層にもアピールしていきたいと思っています。また,女性誌などとタイアップしていくといった展開もアリでしょうね。
4Gamer:
日本での運営の方向性はどんな感じになりますか?
やはりキューピッドシステムなどのようなものをアピールしていきます。そして,コミュニケーションを活性化させることを中心にしていく予定です。
4Gamer:
今後の予定についてですが,ペットなどは日本ではいつ頃になりそうでしょうか。
茂木氏:
台湾で導入されたばかりですので,日本では早くても10月末以降になると思います。
4Gamer:
分かりました。期待しています。最後に,お二方それぞれ日本のプレイヤーに向けてなにか一言お願いします。
茂木氏:
ルーセントハートは,クローズドβテストでは大きな不具合もなく,順調に進行してきました。これからオープンβテストを行って,よりプレイヤーの意見を反映したものを展開していく予定です。この部分については運営と開発が一つになって取り組んでいきますので,今後の展開に期待してもらってかまいません。
Chang氏:
PlayCooでは,私たちのゲームをできるだけたくさんの人に楽しんでもらいたいと思っています。例えば,これまでオンラインゲームをしていなかったような,女の子でも気軽にゲームに触れられるような,そんな作品にしていきたいですね。そのためにもユーザーとは,なんでもいいあえる仲であることが重要です。ユーザーと開発がもっと密接な関係になれるように努力していきたいと思います。
4Gamer:
頑張ってください。本日はありがとうございました。
「恋愛系」というと,どうも胡散臭い雰囲気を感じる人も多いようだが,コミュニティ重視と考えると見方は少し変わってくるだろう。
このゲームは,台湾では,これまでオンラインゲームをやっていなかった層を取り込むことに成功している。実際にゲームをしてみると,確かに基本部分は非常に簡単指向にできていることが分かる。可愛い系のグラフィックスをしていても,いざ始めるとなかなかマゾいゲームも少なくないのだが,これだったら面倒くさがりな友人にすすめても大丈夫と思わせるものがある。
戦利品は自動収集だし,クエストNPCがマップに表示されるのはもちろん,ターゲットモンスターの位置も光の道が導いてくれる。ものすごく利口な表示というわけではないのだが,十分に役に立つ。目標がマップをまたいでいても大丈夫というあたりが心強い。
序盤部分はソロでやってもまったく問題のないゲームバランスだが,ダンジョンに入ると難易度はがらっと変わる。だがソロで進むのはほとんど無理でも,二人でレベル下のダンジョンなら,まだなんとかなりそうな気もしないではない(それでもクラスは限定されるが)。
たいていのMMORPGは,作り込みという面ではシングル用RPGほどの完成度はなく,一人で遊んでいてもたいして面白いものではない。ほかのプレイヤーと一緒にプレイしてこそのMMORPGなのだが,日本ではオンラインゲーム初心者にはパーティを組むということ自体のハードルが高いようなのも事実で,オンラインゲーム市場の拡大の障壁となっている雰囲気もないではない。システム側でこのあたりをサポートしようとするゲームもいくつかあるが,成果を挙げているものは少ない。
台湾では,キャラと中の人の性別が一致しているため,女性向け主体のプロモーションとあいまって,男性(たいていオンラインゲームのヘビープレイヤー)と女性(オンラインゲーム初心者)という組み合わせは実にうまく機能したようだ。日本では(現状では)同じような展開は期待できそうにないが,プロモーション次第では同様なことが起きる可能性もないではないだろう。ゲームの素地としては,優良な初心者向けに仕上がっている。事前に,かなりレベリングのきついゲームだと聞いていたのだが,序盤に関してはまったく問題はなかった。
また,本文中でも触れたチャットの星座チャンネルとは,文字どおり所属星座ごとのチャットチャンネルで,単にチャットをするだけなのだが,同じ星座というだけで独特の仲間意識が生まれ,エリアなどに限定されない会話が可能ということもあって,ギルドのチャットに近い雰囲気になっている。MMORPGを本格的に楽しもうとすると,ギルドに加入することは必須といえるのだが,これも意外とハードルが高い行為だ。デフォルトでコミュニティに所属しているという状態は,オンラインゲーム初心者にMMORPGの面白さを伝えるうえで有益なシステムのように思われる。
生産などでは,絶対に他人の力が必要になるゲーム設計となっているため,コミュニケーションは重要になる。そして,生産スキルの貸し借りなどを含め,ゲーム全体に,簡単に他人の力を借りられるような仕組みが用意されている。
日本のオンラインゲーム市場は拡大しつつあるといわれても,3D MMORPGではコアなオンラインゲームプレイヤーが主体であり,若年層や女性層は非常にカジュアルなゲームに偏りがちとなっている。所有するPCスペックの問題もあるのだろうが,3D MMORPGなどはまだまだ難しいものと思われている節もある。そういった状況を打開するためにも,ルーセントハートのシステムは,いろいろな意味で興味深いものとなっている。
「より多くの人に遊んでもらいたい」という,これまでオンラインゲームをしていなかった層への訴求。今回のインタビューでは,開発者の方向性がなによりもそういったものを目指していることが確認できた。もちろん,同様なものは多かれ少なかれ,どこでも目指しているのだろうが,ゲーム内に反映されているかというとちょっと疑問だ。ルーセントハートでは,いくつかの部分で実際に有効な施策を打ち出してきている。日本市場でもそれが有効に機能することを祈りたい。
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ルーセントハート
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