インタビュー
「攻速機戦LANDMASS」運営ディレクターとプロデューサーに聞く,CBTの手応えと今後の展開
LANDMASSは,プレイヤーキャラクターがMO-RATS(モーラッツ)と呼ばれるパワードスーツに身を固めた近未来の兵士という,ミリタリーFPSにロボットものの要素をミックスした設定になっている。
ゲームの詳細は,ネットワークテストのプレビュー記事で確認してほしいが,MO-RATSによる大型重火器を駆使したド派手でスピード感あふれる戦闘,四つのクラスごとに大きく異なる特性など,ちょっととんがったFPSをプレイしてみたい人や,ロボットもののゲームが好きな人をくすぐる要素がちりばめられている。ネットワークテストに参加できずオープンβテストの開始を心待ちにしている人や,オープンβテストで本作がどのように進化するのか気になるネットワークテスト参加者も多いだろう。
今回は,LANDMASSのディレクターである山下浩平氏とプロデューサーの栗原 哲氏に話を聞く機会を得たので,ネットワークテストの感触やオープンβテスト以降の展開,日本サービスでの独自要素についてなど,気になることをあれこれ聞いてきた。
スピード感と大規模戦闘でFPSの新たな可能性を目指す
本日はよろしくお願いします。まずは先日行われたネットワークテストの話をお伺いしたいところですが,LANDMASSを日本でサービス提供するにあたり,どのようなところが決め手になったのかお聞きしたことがなかったので,あらためて教えていただけますか?
山下浩平氏(以下,山下氏):
最初にLANDMASSを知ったのは,実は4Gamerの記事(2006年8月)なんです。韓国の「SPECIAL FORCE」が日本で展開されるというニュースが流れた少しあとの話ですね。当時,「サドンアタック」などが韓国で流行っている中,ちょっと毛色の違う変わったオンラインFPSがあるぞ,ということでLANDMASSに注目しました。
僕らがLANDMASSを「いいね」ってあらためて注目したのは,2007年初頭ですね。ベルクスが発足して新しい企画を検討したときに,やっぱりLANDMASSをやってみようという話になったんです。
4Gamer:
なるほど。ベルクスとして手掛ける最初の企画というわけですか。
栗原氏:
ええ。「Wonderland ONLINE」などは,ベルクス設立以前から進行していた企画なので,LANDMASSがベルクスとして契約した初のタイトルになります。
山下氏:
そのあと,実際にプレイする機会がありまして,「これはいけるんじゃないか」という実感を得ました。
4Gamer:
山下さんは無類のFPS好きとのことですが,FPS好きの視点で見て,最初にプレイしたときのLANDMASSはどういう印象だったのでしょうか?
山下氏:
やはり欧米のFPSと比較すると,荒削りな部分が多かったのは否めません。その一方で“ブーストダッシュ”のようにとんがった部分,磨けば光る部分があるのも感じました。そこを伸ばしていけば,これは勝負できるタイトルになるんじゃないかという印象ですね。とくに,SPECIAL FORCE以降の比較的新しいFPSファン層には,十分な訴求力を持っていると思いました。
4Gamer:
そうなるとターゲットとしているのは,最近盛り上がっているカジュアルFPSなどの,比較的ライトなゲーマーなんですね。
山下氏:
基本的にはそうなります。ただ,より多くの方に体験してもらいたいので,コアなFPSゲーマーを含めた,もう少し広い意味での対戦アクションゲームが好きなプレイヤーをターゲットとして考えています。
4Gamer:
カジュアルFPSの台頭で盛り上がっている半面,似たようなタイトルが乱立している感もあります。そうなると,ほかのタイトルとの差別化というかアピールできる部分が必要になってくると思います。LANDMASSは,ロボットものに近いイメージや見た目での差別化に成功しているとは思いますが,そのほかに“ここが違う”という部分はありますか?
今,市場にあるカジュアルFPSタイトルは,「カウンターストライク」のクローンを脱しきれていないものが多いと思うんです。LANDMASSはどちらかというと,バトルフィールドシリーズに近い方向を目指しています。バトルフィールドは完成度が非常に高い素晴らしいゲームですし,そのレベルに到達するのはなかなか難しいことだと思います。
ただ,“LANDMASSらしさ”も当然追求していきますので,まったく同じものになることはないです。とくにプレイのスピード感はまったく違っていて,LANDMASSのあとにほかのFPSをプレイしたら,間違いなく「なんでブーストダッシュがないんだ」くらいの気分になると思いますよ。
4Gamer:
そうしたスピード感を活かすような要素は,続々登場するのでしょうか?
山下氏:
たとえばネットワークテストでは,フラグアイテムをゴールまで運ぶ,ラグビーのようなルールの“タッチダウンモード”があります。このモード用のマップ「エアポート」は,日本でも韓国でも人気を博しています。カウンターストライクのように「足音を忍ばせて相手の背後を取って……」というスタイルではなく,全員で一斉にダッシュして攻めていくスタイルで,これがLANDMASSの目指す方向性を象徴していると思います。
栗原氏:
テスターからも広いマップがほしいという意見が多かったですね。
正式サービス開始後のアップデートで,相手の陣地を占領することが勝利条件になる「占領戦モード」を実装するのですが,このモード用に大規模マップ「ブリエル平原」を開発中です。ブリエル平原はかなり広く,輸送兵器に搭乗しないとマップの端から端まで移動するのも大変というくらいなので,遊び方もこれまでとは大きく変わってくるはずです。スピード感を満喫するという意味でも,期待を裏切らないものになると思います。
4Gamer:
ちなみに,ネットワークテストでプレイヤーの1日の平均プレイ時間はどのくらいだったんですか?
栗原氏:
滞在が平均2時間前後,その中で実際にプレイしているのが90分くらいです。LANDMASSはガチガチのコア向けではないですから,ライトユーザー寄りに短い時間で回数をこなせる方向に広げていきます。
4Gamer:
対戦1回あたりの平均プレイ時間はどのくらいですか?
栗原氏:
10分弱といったところですね。
4Gamer:
先ほどの話で出ましたが,ブリエル平原のように広いマップだと,1回の対戦にかかる時間が長くなるでしょうし,移動時間も当然長くなってきますよね。プレイ中気が緩むというか,間延びする問題も出てくると思うのですが。
山下氏:
そうですね。時期は未定ですが,対戦に参加可能なプレイヤー数を今後増やしていこうと考えています。そうなれば,敵陣営のプレイヤーとの遭遇確率も上がって,広いマップでも交戦までの時間が間延びするようなことはないはずです。現在,対戦可能なプレイヤー数は16対16ですが,最終的には30対30くらいになる計画で進めています。また,搭乗兵器や輸送兵器も実装されるので,MO-RATS単体で突撃する以外の戦略や遊び方が生まれてくるでしょう。
4Gamer:
なるほど。広いマップが実装されるだけだと,1回の対戦を短い時間で済ませたいプレイヤーは,実装済みのマップでプレイするか,プレイ中のマップに乱入するかといった選択しかできなくなるので,対戦可能なプレイヤー数を増やすのは,ブリエル平原実装と同時期か,近い時期に実装してほしいところですね。
“ロボットものっぽさ”をアピールする日本独自の展開
LANDMASSを日本で展開するに当たって,タイトルを変更したり声優を採用したりと,日本独自の仕様を入れていますよね。ただローカライズするだけではなく,その理由は,やはりロボットものっぽさを強調するためですか?
山下氏:
LANDMASSは,ブーストダッシュやパワードスーツのカスタマイズなど,近未来的な“ロボットとミリタリーの融合”が魅力です。しかし,韓国のFPS市場はミリタリー色のイメージを前面に押し出したタイトルの人気が圧倒的で,SFやロボットを前面に出したタイトルは,ことごとく苦戦しているという背景がありました。
結果,韓国ではLANDMASSをミリタリー色を強く打ち出す方向に動いているんですが,日本のゲームマーケットではその逆じゃないかなと。せっかくのSFロボットをミリタリー色全開で売り出したら,LANDMASSの魅力をスポイルしてしまいかねないでしょう。
そこで,国内ではより幅広いプレイヤーにリーチするように,露出方法の路線変更を行いました。幸い,LANDMASSはFPSでありながら世界観やバックボーンの資料が多く,MO-RATSを含めて設定がとても細かく用意されていました。また,実際にゲームをプレイすると,「パワードスーツを身にまとい,ブーストでフィールドを駆け抜けながら敵を撃つ」というコンセプトはもう近未来をベースにしたSFアクションだなと。
日本ではこの魅力を大きく打ち出していこうということで,まずはタイトルロゴをロボットアニメ風に「攻速機戦LANDMASS」として一新し,ジャンルもあえて近未来SFアクションとして打ち出しました。
山下氏:
個人的にはミリタリーも結構いけるクチではあるのですが,その割合を変えたという感じです。そのほか,ロボットものならやはり声の演出はかかせないだろうということで,声優さんを起用させていただいて,イメージイラストも独自に用意しました。日本独自のテイストを強くする部分では,各スタッフのこだわりが強すぎて,意見が対立して話がなかなか先に進まないなんてこともありましたね。
4Gamer:
その結果が,現在の形であると。
栗原氏:
そうですね。おかげさまで予想以上の反響があってびっくりしました。
4Gamer:
ネットワークテストでは,ロボット好きでFPS未経験のテスターは多かったんですか?
テスターの傾向は大きく三つに分かれていました。ほかのカジュアルFPSとかけ持ちで遊んでくださった方,「アーマード・コア」や「フロントミッション」といったコンシューマゲーム機のロボットもののゲームが好きな方,そしてゲームのジャンルよりも,ロボットなどの世界観に興味を持っていただいた方ですね。
ネットワークテストでは,このうちロボットもののゲームが好きな方々から,一番バリエーションに富んだご意見をいただきました。具体的には,「もっと装甲を厚くして」「ミサイルをもっと誘導するようにして」「空を飛べるようにして」といった感じです。
さすがに全部をそのまま導入するのは難しいのですが,たとえば,ブンブン空を飛び回るのは無理でも,ブーストしてより高くジャンプするのなんかはありだと思うんです。こうしたご意見を我々なりに消化して取り入れ,そういう形で日本でのロボットものが好きな人達,LANDMASSが好きな人たちを増やしてプレイヤー層を拡大していきたいですね。
4Gamer:
韓国での展開を日本向けにアレンジするというよりは,日本独自に発展させていく感じでしょうか。
栗原氏:
そうですね。韓国はオープンβテスト中で,まだ正式サービスを開始していないんですよ。むしろ日本での流れを韓国に持ち込むくらいのつもりで,開発会社と相談してコンテンツの実装に取り組みたいと考えています。
4Gamer:
日本がイニシアチブを取る余地が十分あるわけですね。
栗原氏:
先ほどのバトルフィールド寄りにするという話も,山下が直接開発チームを説得したという経緯があるんです。
もちろん開発チームで考えていることがありますから,意見を戦わせることはあります。そんなときは,プレイヤーの皆さんの意見が説得の決め手になりますので,どんどん送ってほしいです。ちなみに,開発チームにもアーマード・コアなど,日本のゲームのファンは多いみたいなので,少々無茶だと思うようなものでも,実現することもあるかもしれません。
4Gamer:
日本独自の要素というのは,今のところどういったものがあるのか,あらためて教えていただけますか。
栗原氏:
一番分かりやすいのはボイスですね。ミリタリーではなくロボットもののイメージを強くするために,声優の選定はかなり力を入れました。LANDMASSの声優は,山下こだわりのチョイスです(笑)。
4Gamer:
かなり玄人好みのチョイスですよね(笑)。テスターの反応はどうでしたか?
山下氏:
直接送られてきた感想としては少なかったのですが,テスターの方々のブログやSNSでの反応を見る限り,かなり反響があったようです。
4Gamer:
ちなみに,ゲーム中で声優目当てらしきテスターは見受けられましたか?
山下氏:
恐らくいらっしゃったとは思うのですが,そればかりを楽しむ余裕があるようなのんびりしたゲームでもないので,ちょっと分からないです(笑)。
LANDMASSでは,味方を誤射したときに,「ふざけるな,よく見ろ!」というようなボイスが聞けるんです。そこを多くのテスターの方々に面白がってもらえたという実感はありますね。オープンβテストでは女性兵士を選択できるようになりますので,より楽しんでいただけると思います。
4Gamer:
味方の女性兵士ばかり撃つ人も出てきそうですね(笑)。
山下氏:
クローズドβテストのイベントではGMが女性兵士を使っていたんですが,わざと誤射する人も多かったみたいです(笑)。
ロボットものとFPSの境界を行くクラスバランスの調整
ゲーム内のMO-RATSに対するプレイヤーの反応はどうでしたか?
山下氏:
MO-RATSはFPSとしてみた場合はけっこう頑丈なんですが,アーマード・コアのような純粋なロボットアクションゲームを想定していた方からは,「死にやすい」「ヘッドショットは不要では」といった意見をいただきました。ロボットものと本来のFPS,どちらの要素を色濃くしていくかは,今後の検討の課題ですね。
4Gamer:
プレイヤーのニーズ次第というわけですね。ネットワークテストでは,そのほか具体的にどういった意見が多かったのでしょうか?
エンジニア |
ディフェンダー |
ゲームバランスに関する意見としては,エンジニアとディフェンダーに関するものが多かったですね。一番多かったのはエンジニアのマイン(地雷)についてですね。エンジニアというクラスは,非常に高い威力の対人地雷を設置できます。ところが,仕掛けられる側にしてみれば,敵の地雷がどこに仕掛けられているか見えません,たとえ分かったとしても撤去が難しいという仕様を理不尽に感じて,改善してほしいという要望が多かったです。オープンβテストでは,地雷を楽に壊せるように仕様を変更する予定です。
4Gamer:
なるほど,クラス間のバランスが調整されるだけでなく,ゲーム的にも面白い要素になりそうですね。
山下氏:
次に多かったのがディフェンダーについてですね。ディフェンダーは装甲が分厚く,ミサイルとヘビーマシンガンを使える重量級のクラスなんですが,FPSなのでヘッドショット一発で倒されてしまうケースもあります。
ここが,先ほど話したアーマード・コアなどをプレイしてきた皆さんからすると納得しにくい部分のようでして,「もっと装甲を厚くしてほしい」「攻撃力を高めてほしい」など,さまざまな角度から意見をいただきました。
ただ,ディフェンダーは乗りこなすと実は非常に強い機体なので,調整に関してはかなり慎重に考えています。プレイヤーの皆さんが思い描くディフェンダー像というのも確かにあると思うので,いただいた意見は開発チームにも伝えています。
4Gamer:
そのほかのクラスについてはどうでしょう?
山下氏:
「アサルト」「スナイパー」については,想定していた範囲内だったといいますか,恐らくほかのFPSでも見られるタイプの意見が多かったですね。そういった点を踏まえて,プレイヤーの動向を確認しながら,長期的にクラス間のバランスを調整していく予定です。
4Gamer:
一番人気が高かったクラスはどれですか?
山下氏:
やはり扱いやすさからか,アサルトがダントツの人気でした。続いてスナイパーとエンジニアですね。アサルト:スナイパー:エンジニア:ディフェンダーで,3:2:2:1といったところです。
4Gamer:
そのほか,チーム戦で人数がアンイーブンなまま対戦が始まってしまうというケースも見られたようですが,オートマッチングによるバランス調整のような対策はされるのでしょうか?
山下氏:
確かに,そういった要望もいただいていますね。当然あった方がいい機能ですから,バランス調整の一環として実現する方向で検討しています。
加えて,チーム戦では敵味方の区別がつきにくいという印象を受けました。これはゲームごとにコンセプトがありますから,一概に分かりやすくすればいいというものでもないとは思いますが,実際のところLANDMASSではどうなのでしょう?
山下氏:
LANDMASSでは,味方を撃って殺すことは基本的にできないので,個人的にはプレイしていても特に気にしていなかったのですが,かなり多くの意見をいただきました。一応,識別マークが付いていますし,開発チームが意図的に区別しにくくしていることはないはずです。どうやって分かりやすくするか,デザインとの兼ね合いもありますので,開発チームのデザイナーも悩んでいる部分でしょう。もちろん,多くの意見をいただいた部分ですので,何らかの形で対処していきたいと考えています。
オープンβテスト以降も続々と追加される新要素
4Gamer:
では,今後のスケジュールなどを教えてください。
栗原氏:
4月中旬にオープンβテストを開始して,問題がなければそのあと比較的早いスパンで正式サービスに移行します。ネットワークテストでは,サーバーの許容限界を確認できたので,快適なプレイをお約束する形で今後のサービスを展開していきます。
4Gamer:
オープンβテスト以降の追加要素はどうでしょう?
マップが四つ追加され,合計七つに増えます。そのほか,先ほどお話した女性兵士の追加や地雷などのバランス調整を行います。そのほか,第2世代MO-RATSと呼ばれる追加機体が控えています。データ自体は完成しているのですが,これは正式サービス以降の実装を検討しています。
4Gamer:
ビジネスモデルは,基本プレイ無料のアイテム課金ということですが,具体的にどのような有料アイテムを用意する予定なのでしょうか?
当然カスタムパーツなどは考えていますが,FPSの性質上,高いパーツを買ったから強くなるというわけにはいきません。したがってゲーム内通貨獲得量アップですとか,あとはプレイヤーさんの意見を参考にしながらという感じですね。今までベルクスにはこういうゲームがなかったので,僕たちも模索している段階です。
山下氏:
当面は,ほかのタイトルにあるような,普遍的なもので固めていく形になると思います。そこが一通り揃ったところで,こういうのがあればいいなあというものを出していく。例えば,個人的には戦績を細かく統計的に表示できるようなものがほしいですね。まあ,いろいろ価値のあるものを考えてはいるんですが,今はそこまで手が回らないというのが実情です。
栗原氏:
ベルクスが運営しているタイトルって,今のところほとんどがMMORPGなんですよ。LANDMASSはFPSなので,翻訳テキストの量などはMMORPGよりもかなり軽かったのですが,運営についてはこれまで蓄積した経験を適用できない。クローズドβテストを「ネットワークテスト」と銘打ったのも,実はFPSとMMORPGではパケットの流れが違うという話があって,あらためて検証しなければならなかったからなんです。
4Gamer:
ああ,なるほど。これまでのノウハウが通用しないわけですか。
栗原氏:
手探りでチャレンジしている部分が多いですね。なので,少々優等生的な発言になってしまいますが,4月からプレイヤーの皆さんと一緒に作っていきたい,いろいろ教えてくださいというのが本音なんです。MMORPGのロジックでやったらまずうまくいかないことは見えているので(笑),そこは実際にプレイヤーさんの動向と意見をもとに進めていきます。
4Gamer:
今後,クラスが増えることはあるのでしょうか?
クラスは現状の四つでバランスが取れているので固定です。新しいクラスを追加する予定は今のところありません。MO-RATSは,ネットワークテストで使用できた第1世代に加え,第2世代,第3世代……と機体を増やしていく予定です。
ちなみに韓国では,4クラスのどれにも属さない“スペシャル機体”がありまして,これがスナイパーのライフルとエンジニアのレーダー能力を併せ持っているんです。「アヌビス」という名前なんですが,いわゆるヒーローユニットで,ちょっとゲームのバランスを崩してしまうくらい強いんです(笑)。
栗原氏:
強すぎてどうしようかってくらいなんですよ(笑)。
4Gamer:
アヌビスは普通に使える機体なんですか?
栗原氏:
韓国では大会の優勝賞品として提供されていましたね。ただ,そのまま導入するとバランスブレイカーになる恐れがあるので,出し方を考えているところです。有料アイテムにしてしまうと,「上手い人が強い」という構図が崩れて「お金を出した人が強い」ということになってしまいますから。そうならないよう,アヌビスの扱いはバランス調整も含めて検討していきます。アヌビス以後のスペシャル機体も企画中ですが,ただ強いユニットではなく,メリットとデメリットを兼ね備えたものになるよう,開発チームと調整しています。
4Gamer:
第1世代のMO-RATSよりは第2世代,第3世代のほうが強くなるのでしょうか?
山下氏:
いえ,単純に強くなっているわけではないです。たとえば,第2世代は第1世代より若干装甲が厚くなっていますが,その半面,ブーストのトップスピードは遅くなっています。我々は“ドリフト”と呼んでいますが,第2世代は,ダッシュ中に方向が変えられるといった,付加価値の部分の違いですね。また,新しい武器やパーツに関しては,そういった一長一短の特徴を備えたものを検討中です。実装タイミングは,全体的にバランスを取りながらになります。
4Gamer:
そういえば,先ほど話に出たブリエル平原はオープンβテストから実装されるんですか?
山下氏:
可能ならオープンβテストで実装したかったんですが,残念ながらスケジュールが遅れてしまいました。正式サービス開始後すぐにでもと考えているので,少なくとも何か月もお待たせするようなことはありません。また以降の追加マップについては,ブリエル平原がプレイヤーにどのように受け入れられるかによって,開発の方向を決定します。
4Gamer:
そうしたマップの追加といいますか,アップデートの頻度はどのくらいになるのでしょう?
栗原氏:
大きめのものは3か月に1回,マップや武器などの追加は毎月を予定しています。
そのほか,開発チームがCo-opモードを作りたいといってるんですよね。運営としてはもう少し先の予定として考えていたのですが,日本のテスターからもストーリー性のある協力モードの要望が多かったので,優先度を高める方向で考えています。
4Gamer:
FPSというと基本的には敵味方に分かれてドンパチやるものですが,協力プレイとかストーリーのあるゲームが好きな日本のプレイヤーは多いですからね。
山下氏:
個人的にはマップをどんどん増やして欲しかったんですが(笑)。運営の立場から考えると,他社のタイトルと差別化を図るという意味でCo-opモードの実装は魅力的に感じますね。
4Gamer:
最近のオンラインゲームは,コミュニティツールの充実なども重視されたりしますが,LANDMASSはどうでしょう?
山下氏:
LANDMASSのクランはWebと連動していて,SNSのような機能を利用できます。これは正式サービス以降,早い段階で実装する予定です。ただ,クランは同じ勢力のネストに所属しているプレイヤー同士でないと組めないので,そこは気をつけてください。また,ネストも今のところはそれほど大きな意味を持っていないですが,のちのちには,勢力を争うモードを実装したり,勢いのあるネストにはプラス要素があるといったことも考えています。
4Gamer:
それでは最後に,LANDMASSに期待している4Gamerの読者にメッセージをお願いします。
山下氏:
一番プレイしてもらいたい,大事にしていきたいと思っているのは,いままでFPSをプレイしたことのないプレイヤーさん達です。見た目でも世界観でも声優さんでもどこでも構いませんので,どこか一つでも琴線に触れるところがあったら,ぜひ一度LANDMASSにチャレンジして欲しいですね。そうすればLANDMASSだけじゃない,FPSという広大なジャンルへ興味も繋がっていくと思うんです。LANDMASSがそういうきっかけになってくれればいいな,と思います。
栗原氏:
LANDMASSは,ブーストを使って戦場を駆け抜けて敵を撃つというアクションだけでも面白いんです。基本無料なので,ブーストを試すだけでも構わないですからプレイしてみてください。人の迷惑にならない程度でお願いしたいのですが,わざと味方を撃って声を聞くという楽しみ方もあります(笑)。ガチガチのFPSではないロボットものなので,アクションゲーム感覚で気軽に楽しんでください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
ロボットものの要素を強調してライト層向けのフックを作り注目度を高めたLANDMASSは,これまでFPSを知らなかった層にアピールしていくタイトルにしたいと,山下氏と栗原氏は語っている。
オンラインFPSを一過性のブームではなく,広く定着させていくためにも,日本人好みのロボットものという要素を取り込んだLANDMASSの今後の展開に期待したい。
(収録:2008年3月24日)
- 関連タイトル:
攻速機戦LANDMASS
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