連載
アルタイルのアラビア半島一人旅(Assassin's Creed) / 第3回:いよいよ佳境,中近東の波高し
十字軍の侵攻に揺れる中近東地方からお送りする本連載,「アルタイルのアラビア半島一人旅」も第3回である。時の経つのは早いものだ。
生来,高いところが苦手な筆者だが,苦もなく登った降りたりできるアルタイルの操作はとても気持ちがよく,壁だの塔だのを見つけると無性に登りたくなるから困る。この気持ち,エベレストに初登頂したサー・エドモンド・ヒラリーの言葉を借りれば「そこに壁があるからだ」となるだろうか。だろうか,じゃないね。
しかし,登っている最中にときどき石をぶつけてくるおばあちゃん達がいるからやっかいだ。要するに見知らぬ人に「お金ちょうだい」と言うお仕事をしている人々なのだが,無視していると,怒って石を投げてくるアグレッシブさ。これが結構痛くて,うっかりすると途中で落っこちてしまうのだ。そんなときは,さすがに温厚な暗殺者である筆者でも剣を抜きたくなるが,これってアサシン失格?
それはさておき,前回からミッションを順番に紹介しているわけだが,雰囲気に浸ろうと頭にタオルを巻いたり,壺を頭に載せてウロウロしたりしているヘビープレイヤーにとっても手強いのが英語だろう。ミッションの内容がよく分からず,なんとなく暗殺して,なんとなく逃走して,なんとなく成功してもべつにいいんだけど,やはり謎が謎を呼ぶストーリーをそれなりに理解していたほうが趣があるというもの。
これまでの連載でアルタイルの任務の背後に,なにやら隠されている事実があることが,分かっていただけたかなと思うが,今回も前回に引き続き,ミッションの紹介をお届けしていこうと思う。いいですか?
その前にいつものお約束だ。本連載は,一見そうは思われないかもしれないが実は攻略連載なので,がんばってボヤかしてはいるのだが,やはりネタバレチックな部分が出てきてしまう。あらかじめ,その点をご了承のほど,よろしくお願いします。記事を読んでから暗殺するか,暗殺してから読むかは諸君の自由だ。フリーダーム!
十字軍のリチャード王はアッカでの勝利によって勢いづき,エルサレムを目指して南下中。途中でサラディン(イスラム側の最高司令官)を迎え撃つ気らしい。戦場はおそらくアルスーフの砦跡になるだろうというのがもっぱらの観測だ。両軍が相まみえるまでには,日数があり,それよりも先に手を打たなければならないことがある。
それは両王が留守の間,各都市に居すわる統治者を排除することだ。暗殺のターゲットとなるのは,ダマスカスの大富豪アブル・ヌクド,アッカの執政官モンフェラート侯ウィリアム,エルサレムの首長マハド・アッディーンの三人である。
ちなみに,一人暗殺するごとに自動的にマシャフに戻り,大導師アル・ムアリムへ報告するのはご存じのとおり。また,マシャフから一度行ったことのある都市へは,キングダムを経由することなくジャンプできるようになる。これはメチャクチャ楽ちんだが,選択画面でキングダムも選択できるため,馬(もしくは徒歩)で行きたい人はそちらをどうぞ。途中,いろいろなものもあることだし,馬,楽しいし。
暗殺の舞台となるのはダマスカスの富裕地区。お金持ちが多いため,前の貧困地区と比べると兵士の数も増えており,ちょっと行動しにくい。例のごとくアサシン教団支部でアブル・ヌクドについての情報を得ようとするが,「ダマスカスの大富豪と異名をとっているヤツ」としか分からない。まったく頼りにならない管区長なので,私がいつも言われていることをここで声を大にして言ってやろう。「給料泥棒め」。
仕方なく足を使って集めた情報によると,アブル・ヌクドは最近,エルサレムの首長マハド・アッディーンとアッカの執政官モンフェラート侯へそれなりの金を送ったらしい。もちろん,金を送られた二人も今回のターゲットで,どうやら三人は裏でつながっているらしいが,大導師アル・ムアリムは何も教えてはくれなかった。
さらに情報を集めると,近々,アブル・ヌクドが豪華な宴会を催すことが分かる。いつもは部屋に引きこもっているアブル・ヌクドも宴会の席には姿を現すらしく,そこを狙うことになる。
宴会会場にアブル・ヌクドが現れる。集まった貴族達に対してにこやかに「存分に宴を楽しんでください」と言った直後に豹変する。アブル・ヌクドは,自分が貴族達からバケモノ呼ばわりされたり,陰口を叩かれていることを知っており,その仕返しが始まったのである。どうも,それが理由のすべてではない気もするのだが,貴族との関係にうんざりしたアブル・ヌクドは,全員を殺すように指示するのだった。すげー。
アブル・ヌクドの暗殺は,背後からこっそり近づいてサクッとやるか,逃走するところを追いかけるか,「ヤツにどうやって近づいたか」によってちょっと違いが出る。まあなんにせよ,お命頂戴!
恒例,謎の遺言シリーズ。アブル・ヌクドは,これは復讐ではないと言い残す。自分が化け物扱いされるようなことを許す神のために金を出せないとも語るが,では,彼の金は何に使われていたのだろうか? さらに彼は,自分のしていることは,アルタイルの任務と同じであり,わずかな犠牲が大多数のためになり,大いなる善のためのささやかな悪なのだという……。はい,終わり。
今度はアッカの富裕地区が舞台だ。暗殺ターゲットであるモンフェラート侯ウィリアムは,リチャード王の留守を預かる執政官だが,頑固で自分のことしか考えておらず,周りからはあまり良く思われていないらしい。いや,私の話じゃなくて。
どうやら市民達から食料を取り上げ,過酷な軍事教練を課しているらしいではないか。また,アッカ陥落時に捕らえたイスラム軍捕虜3千人の処刑を無断で強行したことで,リチャード王との確執を深くすることになったらしい。うむ,中近東の平和のため,こいつは消さねばなるまい。消さないとゲームが進まないし。
いつもどおりに得た情報によると,モンフェラート侯ウィリアムはリチャード王の砦の中にいるが,砦は厳重な警備が敷かれているうえ,どの入り口も完全に封鎖されており,入るには壁を越えるしかないらしい。まあ,アルタイルの身体能力を生かせば,そんなのちょちょいのちょいだが。最近もリチャード王と一悶着あったらしく,以来,自身の周りを軍勢で固めているのである。臆病なヤツだ。
モンフェラート侯ウィリアムへのもとへは屋根づたいに進んで迫る。部屋の上まで来たら様子をうかがい,スキを見て背後からサクリというのがベストだろう。もし,失敗しても冷静に剣で戦えばよいのだ。
モンフェラート侯ウィリアムは「すべて市民のことを考えた行動だったのだ」と言う。うそでー。
彼によると,食料を取り上げたのではなく,新世界の到来に備え,食料が乏しくなったときに公平に配給するための備蓄なんだとか。軍事教練も戦い方を教えるためのものではなく,秩序と規律を教えることが目的だったとか。「己(アルタイルのこと)の犯した間違いにいずれ気付くだろう。圧政から市民を解放したつもりだろうが,実は地獄に突き落としたのだ。必ずや後悔することになるだろう」と言い残して召されていく。
マシャフに戻り,アル・ムアリムへ報告するアルタイルだったが,意味不明な言葉を残していく連中になんとなく解せない思いを深めていた。アルタイルへの質問にはっきり答えない大導師アル・ムアリムへの強い不信感がついに爆発。
いろいろあって,やっと重い口を開いたアル・ムアリムによれば,アルタイルが暗殺してきた奴らの間には,アサシン教団と同じような血の誓いがあったというのだ。仕切っていたのはテンプル騎士団で,彼らは世界を支配しようとしているのだ。そのことをアルタイルに説明しなかったのは,自力で真実を見つけ出し,理解してほしかったためだとか。
ああ,そうですか。なーんだ,水くさいなあ。隠すことないじゃん……とは簡単に答えられないアルタイル。アル・ムアリムの言葉が真実かどうかを突き止めようと決心するのだった。
再び永遠の都,エルサレムに戻ってきた。今回は街の南側に位置する貧困地区が舞台だ。アサシン教団支部で得た情報によれば,支配者のいないこの都市で,マハド・アッディーンという人物が指導者の名乗りをあげ,犯罪者や反体制分子の処刑を繰り返すなど,恐怖と力で市民を支配しているらしい。なるほど。偉そうにしてられるのも今のうちだぜ,マハドさん。
情報によれば,マハド・アッディーンは今日も今日とて処刑を行っている。しかも,処刑される人々は罪人ではなく,マハド・アッディーンとその仲間が企てている計画にとって危険だから殺されているのだとか。
そんな強気っぽいマハド・アッディーンだが,エルサレムにアサシン教団の者が入ってきたという噂におびえてもいるらしい。アサシンって,アルタイルのこと? 支配者を気取っている割にケツの穴の小さいヤツだ,がっはっはと思うが,アサシンの行動がバレてるのもどうかと思うので,この勝負,引き分け!
今日執り行われる公開処刑の罪人の中にはアサシン教団の兄弟も含まれており,アル・ムアリムは彼を救うことも望んでいる。実際の救出作戦はほかの部下にやらせるので,彼が処刑されないようにしてくれりゃいいとのこと。チャンスを窺いながら,マハド・アッディーンご本人の処刑を執り行うことにする。
マハド・アッディーンは台上の人々を順番に処刑していく。全員処刑されてしまうと任務失敗となるため,それまでにマハド・アッディーンを暗殺しなければならない。方法はいくつかあるが,アサシンらしく暗殺するのであれば神学者に紛れながらマハド・アッディーンの近くに迫り,処刑台の上で暗殺するのが一番カッコいいし簡単だろう。また,いきなり剣を抜いて兵士に斬りつければ,マハド・アッディーンを巻き込んだ大立ち回りが発生するので,どさくさ紛れに彼を倒してもオッケーだ。あんまり暗殺っぽくないところが難点だが。
マハド・アッディーンによると,市民を殺したのは,殺せるから殺したのだという。うう,なんというヤツだ。彼は続ける。人の生死を左右する権力は素晴らしく,人々の喝采,人々のおびえる顔を見るのが楽しかったのだとか。そして最後に「立場が違えば,おまえもそうしただろう」と言い残す。とくに謎めいた言葉ではなかったものの,やはり背後にある陰謀の存在を感じさせないでもない。
今回もいい感じで任務をこなしてきたアルタイルだが,大導師アル・ムアリムの曖昧な態度に切れたり,なかなか面白い展開になってきた。残るターゲットは3人。さらに隠された謎の神髄に迫りつつ,物語は予想外の方向へ展開していくのだ。
筆者はすでにゲームをクリアしているので知っているのだが,ここではアル・ムアリムに習い,セリフをいくつか並べて未プレイの読者にモヤモヤしたものを残そう。「えーっ! 彼がなぜ!」「おまえ,いいやつじゃなかったのか!」「おまえだったのか!」……止めといたほうがよかった気がしてきた。
というわけで,次回はいよいよ最終回。書けないところを除いてラストまで一気にミッション紹介をしていく。お楽しみに。
任務実行までにスリ,尋問,盗聴など,念入りな準備が求められるのはご存じのとおりだが,ここに取り上げるのが下準備には欠かせない「情報提供者」。アルタイルと同じアサシン教団に属する兄弟から課題が出され,それをクリアすると情報が手に入るというシステムだ。課題というより,面倒に陥ったり,都合が悪くなったり,うまくいかなかったりしている兄弟の任務や野暮用を代わりに片付けてあげる「使いっぱ」みたいなものだ。本文にも書いたが,ほんと,アサシン教団は使えないヤツばっかりだと思う。
Xbox 360版では「旗集め」と「(メインターゲット以外の)暗殺」の二種類の課題があったが,PC版についてはこのほか「情報提供者の護衛」「弓兵の暗殺」「露店の破壊」「屋上レース」が加わり,スリや尋問などと入れ替えられたり,新たに“情報提供者ミッション”として追加される形で登場している。
まあ,「旗集め」と「暗殺任務」は基本的に難しくないが,変更/追加されたほうもあんまり難しくない。筆者がXbox 360版をさんざんプレイしていたという照れくさい事実を差し引いても,ビギナーでも数回プレイすればクリアできるだろう。
情報提供者の護衛 情報提供者を護衛しながら目的地まで移動する。情報提供者とあまり離れないように移動し,兵士が襲ってきたらすかさず反撃。情報提供者が倒されたら失敗だ |
弓兵の暗殺 基本的に暗殺任務と同じで,警戒レベルが最高になると任務失敗だ。弓兵の暗殺ということから分かるとおり,ターゲットは屋上にいて周辺を警戒するように移動している。投げナイフが効果てきめん |
露店の破壊 制限時間内に指定された露店を破壊する。近くにいる人を投げつけると露店が一発で壊れるからビックリ! 兵士との戦いになったりもするが,そんなときは兵士を投げつけてやろう |
屋上レース 制限時間内に別の場所にいる情報提供者のところにたどり着くというもの。目的地まで全速力で走ればいいだけだ。“ルーフトップレース”という名前がついているが屋上だけでなく地上を走ってもかまわない |
上のコラムにもあるが,今回のムービーでは,PC版に新たに登場した使いっ走りミッションのうち,「露天の破壊」をお目にかけよう。まず情報提供者と会って指示を受け,しかるのちに目標となる露天をぶっ壊すという,内容としてはただそれだけのものだが,兵士をつかんでぶん投げると露天が派手に壊れてたいそう面白い。白昼,突然お店をぶっ壊したり兵士にケンカを売ったりなんて,暗殺者というよりただの暴れん坊だという意見もあるだろうが,それはぜひ胸にしまっておいてほしい。
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- 関連タイトル:
アサシン クリード 日本語マニュアル付英語版
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