プレイレポート
12月18日発売予定,正義に生きるも悪に堕ちるもとにかく自由なRPG「Fable II」の先行試遊レポートを掲載
前作から500年後の世界で,今度はどのような物語が展開されるのか? 今回,「Fable II」を約2時間,タップリ先行体験する機会に恵まれたので,実際にプレイした感想を交えながら,ゲームの概要と序盤の展開について紹介していこうと思う。
なお,本作は18歳以上のみ対象のCERO Z指定となり,18歳未満の人はプレイできないのでご注意を。また,ストーリーに関して多少のネタバレ要素を含んでしまうので,その点はあらかじめご了承いただきたい。まぁ,筆者の歩んだ道のりなど,膨大な可能性のなかの一つに過ぎないので,ネタバレといっても微々たるものだとは思うのだが。
また,あらかじめ書いておくが,今回のテストプレイで筆者が選んだ行動は,ハッキリいって最低で最悪である。間違っても現実世界でマネしないようにお願いしたい。しかし,そんなイカレた人生をも歩めるという部分から,本作が持つ異常なまでに自由度の高さ,奥の深さを感じてもらえればと思う。
貧しい生活から抜け出す鍵
願いを叶える魔法のオルゴール
最初こそ嘘っぱちだと馬鹿にする姉弟だったが,ただならぬ雰囲気で「オルゴールは本物だ」と話す盲目の女性“テレサ”に出会い,半信半疑ながらもオルゴールに興味を持つようになる。そしてオルゴールを買うため,姉弟は街の住人たちの依頼をこなしてお金を稼ごうとするのだが……ここから物語が本格的に動きだす。
オルゴールの金額は“5ゴールド”。依頼を探し,まず近くにいた衛兵に話しかけてみると,大切な“逮捕礼状”が風に飛ばされてどこかに行ってしまったという。「そんな重要な仕事を子供に頼むなよ……」と思いつつも,幸先良く逮捕礼状探しのクエストを獲得。ちなみに本作では,クエストを受けられるキャラクターや重要なオブジェクトが緑色のオーラに包まれて表示されるので,非常に分かりやすい。
街中に落ちている逮捕礼状を回収しつつ,新たな依頼も同時に探していると,“人の姿を魔法の紙に写す機械”……まぁ,ぶっちゃけるとカメラを作り出したというおじさんに出会った。モデルをやる報酬に1ゴールドくれるというので,姉とともに舞台へ。ここで好きなポーズを取ることができたのだが,なんとなく「写真に臭いを写してやるぜ!」とばかりに豪快な放屁をかましてみた。このとき,主人公の頭上に妙なアイコンが表示されたのだが,取った行動によって主人公の性格が善悪のどちらかに傾くシステムはどうやら健在のようだ。もちろん今回の結果は言わずもがな,“悪”に傾いた。
本作において善悪は,性格や周りの評価に影響するだけでなく,後々主人公の姿形まで変えてしまうという。前作がそうであったように,角が生えたり,天使の輪がついたり……そういうぶっ飛んだ変身が本作にも期待できそうだ。
何はともあれ,カメラおじさんから「みっともない」という感想と,1ゴールドを頂戴する。写真を撮らせるだけで1ゴールドとはオイシすぎる。何度も繰り返せないかと思ったが,どうやらフィルムは1枚しかない様子。残念。
将来がちょっと心配? やりたい放題の少年時代
いじめっ子が退散したあと,姉が犬を気遣うイベントがあったが,貧しい姉弟にはペットを飼う余裕などない。泣く泣く別れることになった。
お次に見つけたのは害虫退治の仕事。倉庫の持ち主“バルタザール”の話によると,中に“ビートル”という甲虫型モンスターが巣食ってしまい,困ってるらしい。子供に頼むくらいだし,恐らくモンスターといっても,でかいゴキブリくらいの扱いなのだろう。害虫相手といえど,一応は初の対モンスター戦闘。意気揚々と倉庫に突入した。
倉庫でビートルを探していると,窓のほうから何者かの声が。行ってみると,“ニッキ団”の者だと名乗る,いかにも悪人面の男が,「倉庫の荷物を破壊してくれたら報酬を払う」と依頼を持ちかけてきた。
依頼主を裏切って荷物を壊すだなんて,そんな不謹慎なこと……やる気満々の主人公。悲しいけど,悪事のほうが手っ取り早く儲かるというのが,このゲームのセオリーだと思う。親の仇と言わんばかりに,荷物を次々破壊していく。
荷物をすべて破壊し,バルタザールの「やめてくれぇ!」という悲鳴も聞こえなくなった頃,「おまえ才能あるぜ」と悪人に褒められ,いよいよウキウキ報酬タイム。その額はなんと……1ゴールド。ビートル退治と変わらないとか……シケてやがる。
まぁ,姉も「物をぶっ壊してゴールドがもらえるなんて,笑っちゃう!」と喜んでいたので良しとしよう。いい具合に荒んできてるね,この姉弟。もちろん邪悪な行いによってモラルは低下し,また主人公の性格が悪に傾いてしまった。
予想し得なかった突然の別れ。運命の歯車は動き出した
その後も禁酒を勧める女房を無視してアル中の旦那に酒を渡してみたり,せっかく集めた逮捕礼状を衛兵じゃなく悪人に渡してみたり,イタズラやりたい放題でゴールドを稼いで行く姉弟。配達を頼まれたラブレターを相手の母親に渡して一人の男の恋路を叩き潰した頃,ついに5ゴールドが集まった。
急いで行商人の元に向かってオルゴールを購入する姉弟。そして人気のない場所で,「貧しい暮らしから抜け出したい」という願いを込めながらオルゴールのネジを回す。オルゴールから音楽が鳴り出し,それが狂ったように速くなって行く。そして突然光を放ったかと思うと,オルゴールは跡形もなく消えていた。「5ゴールドがパァ」だとガッカリしながら家路につく姉弟。
ボロボロの家に帰ってみると,そこにはいじめっ子から助けた犬がいた。どうやらついてきたらしい。姉は「しょうがないわね」と言いつつ,どうやら犬の面倒を見る決心がついた様子。色々な出来事に疲れ果てた二人と一匹は,仲良く眠りについた。
……その夜。突然の来客に目を覚ますと,そこには見覚えのない兵士たちが。話を聞くと,どうやら彼らは街にある“フェアファックス城”の主“ルシアン卿”の使いらしい。話を聞くと,なぜか姉弟を城に招きたいという。なぜそんな高貴な人間がただの子供を城に招くのか? 解せない部分はあったが,「貧しい生活から抜け出せるかもしれない」という期待を抱きつつ,姉弟は城へと向かった。
しかし,そんな甘い考えは残酷に叩き潰されることになる。魔法のオルゴールを使用できたという話と,部屋にあった魔方陣のただならぬ反応から,姉弟が英雄の血を引いていると確信したルシアン卿は姉を射殺。主人公も撃たれ,窓から落下してしまった。
突如訪れた悲惨な結末。しかし,主人公は盲目の女性,テレサによって助けられ,一命を取り留めたのだった。
それから数年後,バウワーストーンから遠く離れた場所で傷を癒した主人公は,立派な青年へと成長を遂げ,その傍らにはかつていじめっ子から助けた犬も付き従っていた。憎き姉の仇,ルシアン卿を倒す旅がこれから始まる。
立派に成長を遂げた主人公。ついに本当の冒険が始まる
青年期に入ると,物語的には序章に過ぎなかった幼少期とは比べ物にならないほど自由度が上がっており,街の人々も多彩な反応を見せてくれるようになっていた。“怖がらせる”“笑わせる”“口説く”などといったアクションを行うことにより,人々の好感度が変化するシステムは独特のものといえる。試しに大勢の前でコサックダンスを踊ってみると,みんな手を叩いて喜んでいた。
また,好感度が一定以上になった相手には求愛が可能で,成功するとベッドインや結婚も可能だという。しかもアイテムとして避妊具まで存在し,使わなかった場合は子供が生まれることもあるとのことだ。さらに驚くべきは,相手が同性愛者だった場合,同性同士の結婚も可能だということ。こればかりはさすが,鬼才ピーター・モリニュー氏が手がけたゲームだとしか言いようがない。
人々と十分に談笑を楽しんだところで,本筋を進めることにする。テレサの指示で自宅へと戻り,“錆びたロングソード”と,“古い軽クロスボウ”を獲得。農民が使うようなしょぼくれた武器だが,何もないよりははるかにマシだろう。ただ,“偽物のHP薬”は……偽物って。まぁ一応回復はするようだから,別にかまわないが。また,犬用の薬や首輪,そしてシャベルも手に入った。
武器も手に入れたことだし,ここで一度装備を確認する。防具を見ると,どうやら本作の装備に防御力の概念はない様子。ファッション性と,人々の好感度に関係するようだ。ちなみに初期装備は「腋の部分から異臭を放っている」「物乞いのマストアイテム」など,散々な説明文だった。そりゃあいい服も着たくなるというものだ。
ボロボロとはいえ,ついに本物の剣が使えるようになったので,試しに抜刀。すると周りにいた人々が悲鳴を上げ,好感度が大きく低下してしまった。う〜む……国産RPGだと武器剥き出しでも村人が普通に応対してくれることが多いので,つい感覚が鈍ってしまっていた。確かに,これが本来の“自然な”反応だろう。
ちなみに本作には“安全装置”が存在し,一般人への攻撃の可/不可を切り替えられる。ボタンの押し間違いで切りつけてしまうこともしばしばあるので,善人でいたい人は,常に安全装置をオンにしておくべきだろう。
バウワーレイクの墓で,新たに目覚める英雄の力
紋章を使い,バウワーレイクの墓に行けと言われた主人公。いよいよ外の世界へと踏み出した。モンスターもいないし,快調に目的地に向かって走っていると,突然犬が「ここ掘れワンワン」状態に。どうやら,何かが埋まっているようだ。シャベルを使って掘り起こしてみると,ゴムボールを獲得。犬の玩具かよ……と若干ガッカリしつつ,一応もらっておいた。なお本作では,パートナーである犬と遊べるほか,“褒める”や“けなす”コマンドで躾けもできる。どのような躾けをするかによって,犬の性格も変化していくようだ(関連記事)。
途中大した障害もなく,目的地の墓へと到着。さすが墓場なだけあり,恐ろしげなBGMと周りの景色が相まって非常に不気味だ。怯える犬をなだめすかして奥に進んで行くと,モンスターに遭遇。お馴染みのでかいゴキブリこと,ビートルだ。世界が世界ならムシキングとして大人気だったかもしれないが,哀れザコキャラ。大したダメージも受けずに倒せてしまった。
しかし,幼少期とは違い,ここでは“XPオーブ”が獲得できた。XPオーブには近接攻撃を強化する“強さ”,遠距離攻撃を強化する“スキル”,そして,魔法能力に影響を与える“ウィル”の3種類が存在し,一定量貯まるとさまざまなアビリティが習得可能。非常に自由度が高く,体型も変わっていくので,どのパラメータを伸ばしていくかによって主人公の個性が大きく違ってくる。
また,戦闘は近接攻撃と遠隔攻撃の切り替えがスムースで,非常に爽快。上手く立ち回れば映画のアクションスターのような戦い方もでき,アクション性は申し分ない。
途中何度か遭遇したビートル共を蹴散らしつつ,ついに最奥部の目的地に到着。テレサとの会話のあと,主人公の秘めたる力が目覚め,スペルが習得できるようになった。最初に手に入れたのは“インフェルノ”。自分の周囲に炎の輪を発生させたり,火の玉を発射することができるスペルだ。スペルはレベルアップさせるとより強力になり,溜め撃ちもできるようになる。
ウィルの力を手に入れ,本格的に英雄らしくなってきた主人公。これから先に待つ冒険に胸を躍らせながら,バウワーレイクの墓を後にした。
何がしたいんだ主人公よ。悪逆非道の英雄譚
その途中,検問が張られていた。警備兵に話しかけてみると,どうやら悪名高い山賊“サグ”が出没し危険なので,バウワーストーンへの道を封鎖しているという。「もし急いでいるなら,サグを何とかするしかないだろうな」と,無茶振りをしてくる警備兵。……それはお前の仕事じゃないのか?
と,そこでテレサからも通信が入り,「手に入れた能力を駆使して,サグを倒して」と言ってきた。はいはい,分かりましたよ。やればいいんでしょ,やれば。寄り道と言うには危険すぎるが,とりあえずサグを倒すためにバウワーレイクのキャンプへと向かうことになった。
目的地に到着すると,「なんて格好をしてやがる!」などと叫びつつ,手下の山賊どもが襲い掛かってきた。山賊にまで馬鹿にされるとは……主人公の格好はどれだけ酷いのか。
自分なりのオシャレファッションを馬鹿にされ,トサカにきた主人公。覚えたばかりのスペル,インフェルノで山賊を次々とローストしていく。
山賊全員がこんがりと焼け上がった頃,ボロ屋の戸を突き破って親玉のサグが飛び出してきた。動物の毛皮を全身にまとい,かなり異様な格好をしている。さすがに山賊の親玉だけあって,手下のザコとは比べ物にならないタフさを持つサグだが,蝶のように舞い,蜂のように刺す動きでインフェルノを発射しつつ,剣でラッシュをかける主人公。やがてサグは動かなくなり,山賊を討伐したことで主人公の名声が高まった。
どうしたものかとしばし悩んだが,とあるナイスアイデアを閃いた自称英雄。奴隷商人が村人と口論をしているスキに,奴隷商人を倒して持ち物を頂戴する。ついでに村人も解放する。人に感謝されるというのも,悪い気分じゃない。儲かったし。
……残念ながら時間切れで先行プレイはここで終了。正直,仕事とか関係なしに続きを遊びたかったが,仕方ない。
主人公に合わせて姿を変えていく,
確かに存在するもうひとつの世界
“とにかく面白い”。プレイした感想を理屈っぽく長々と書くことも可能だが,突き詰めればこの一言に尽きる。洋ゲー特有のバタ臭いキャラクターデザインなどが人を選びそうだが,そういうのが苦手な人でも引き込むほどのパワーを持った作品だと思う。
冒頭でも書いたが,筆者の取った行動は,ハッキリいって倫理的に最低で最悪だ。しかし,当然ながらまったく反対の善の道も歩むことができるし,そのとき「こんなことができちゃうかも?」と思ったことが,ことごとく可能になるという,本作の異常なまでの自由度の高さがうかがえたと思う。
プレイする人によって主人公は救世主にもなるし,悪魔にもなる。プレイヤーの人間性を映し出す,まるで鏡のようなゲームだ。まぁ,その論理で行くと筆者の人間性はゲスで最低最悪ということになるが……。
とにかくあと約1か月,自分の人間性を見つめ直しながらFable IIの発売を期待して待ちたいと思う。……決して筆者のような人間にならないように,読者の皆さんもFable IIでの人生を歩んでほしい。
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