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[GC 2006#01]ドイツのゲームショウGC 2006に先立ってスタートしたGCDCの基調講演レポート
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印刷2006/08/23 15:18

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[GC 2006#01]ドイツのゲームショウGC 2006に先立ってスタートしたGCDCの基調講演レポート

今も現役で活躍する業界最古参の開発者の一人,Stormfront Studiosのドン・ダグロウ氏
 ドイツ連邦共和国(ドイツ)のライプチヒで行われるゲームショウGames Convention。GCは例年,水曜日から日曜日まで開催されるのだが,それに合わせる格好で,同じ週の月曜日から水曜日の午前中にかけ,GCDC(Games Convention Developers Conference)というイベントも行われている。
 「Developers Conference」という言葉からも分かるように,GCDCはゲームの開発者を対象とする会合である。毎年3月にアメリカで開かれているGDC(Game Developers Conference)の地方版といったイベントで,IGDA(Independent Game Developers Association)のドイツ支部が運営。同時期にイギリスで開かれるGDCE(Game Developers Conference Europe)と共に,ヨーロッパでのゲーム開発シーンをリードする存在だ。

 今年(2006年)のGCDCでは,ドイツを中心に600人ほどの開発者が集い,3日間で70以上のセミナーや講演が集中的に行われる。“次世代ゲーム機戦争”ともいわれるクリスマスシーズンを前に,ドイツ国内で活動する中小の開発者が,いかにして生き残っていくかをテーマとするセッションが多いのが印象的だ。ドイツ以外にも,イギリス,オランダ,ポーランド,ロシアなどから参加する開発者もおり,セミナーや講演は英語を第一言語として行われることになる。



 GCDC初日の21日には,アメリカで35年にわたって精力的に活動し,今もなお独立系デベロッパとしての立場を貫いている,Stormfront Studios社長ドン・ダグロウ(Dan Daglow)氏が基調講演を行った。
 ダグロウ氏といえば,1971年に開発された史上初のスポーツゲーム「Baseball」を手がけた業界最古参の開発者の一人。また,1979年発売の家庭用ゲーム機Intellivision用ソフトを開発した実績も持っている。
 その後,1980年代にはElectronic Artsでゲーム開発に従事し,1987年にはBroderbundにマネージャとして招聘された。同社では,「Prince of Persia」や「SimCity」,Carmen Sandiegoシリーズといった名作の販売に携わったほか,LucasArtsとライセンス契約を結んでスター・ウォーズ関連のゲームを世に送り出すなど,その先見性の高さでも知られている人物だ。
 ダグロウ氏は1989年に独立してStormfront Studiosを設立し,「ゴールドボックスD&D」と呼ばれるRPGの名作シリーズや,グラフィックスを併用したテキストMUDでMMORPGの先駆けをなした「Neverwinter Nights」,そしてさまざまなシミュレーションゲームを生み出した。最近では,Electronic Artsから発売されて人気を博した「The Lord of The Rings: The Two Towers」の開発を裏方として支えたことでも有名だ。

 ダグロウ氏の基調講演のテーマは,「次世代ゲーム開発における問題点」(Next-Gen Game Development Issues)。ゲーム開発費の高騰により,マーケティングや金銭管理の面でシビアな注文をする“スーツ組”(マネージャ)の勢力が増す情況に,ゲームの本質であるクリエイティビティを担う“ジーンズ組”が,いかにして自分を殺さずに対処していくべきかを説いた。
 また,ゲーム開発シーンのトレンドを10のタイプに分類して説明。プレイステーション2用ソフト「The Guiter Hero」を例に挙げ,欧州にもテクノロジーよりアイデアを前面に打ち出したソフトで成功できる予兆があることを示した。さらに,プレイステーションとプレイステーション2で市場を独占してきたソニーが,プレイステーション3でやすやすとはその地位を明け渡すはずがないと発言し,「プレイステーション3危機説」を否定していたことが印象的だった。

 次世代ゲームソフトの開発現場では,コストに関するプレッシャーが今後もさらに強まっていくものと思われる。しかしダグロウ氏は,そんなつらい状況にあっても,個々の開発者の情熱がチーム全体に対してインスピレーションを与え得ると力説。
 ドイツの詩人による「私の持つすべての知識は,誰だって持ち得るものだが,私の心はいつだって独り立ちしているのだ」との言葉を引用し,講演を締めくくった。

 さてこのGCDC,ATI Technologies,Intel,Nokia,AGEIA Technologiesといったハードウェアメーカーがスポンサーを務めており,セミナーや講演にもプログラミングなどの技術的な内容のものが多い。
 2日め以降は,ピーター・モリニュー(Peter Molyneux)氏や,ビル・ローパー(Bill Roper)氏,ルイス・キャッスル(Louis Castle)氏(Electronic Arts)などの著名人による講演が予定されている。この3日間はヨーロッパの開発者にとって,とても貴重な体験に満ちたものとなることだろう。(ライター:奥谷海人)

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