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[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション
「発売されたばかりのゲーム機に関するセッションが満席にならない」あたり,北米市場においてPS Vitaの置かれている状況を示しているような気もするのだが,話はここから。SCE London StudioのDiarmid Campbell氏が登壇し,マーカーレスAR(AR:Augmented Reality,拡張現実)の話を始めると,場の空気ががらりと変わったのだ。今回はその部分をピックアップしてお届けしてみたい。
欧米の開発者が食いついた
マーカーレスAR
セッションにゲストとして招かれたCampbell氏はまず,「WAAR」(Wide Area AR,ワイドエリアAR)の紹介から始めている。これはTGS 2011のときにも解説された技術だが(関連記事),誤解を恐れず簡単にまとめるなら,「事前にARマーカーの認識を済ませておくと,ARマーカーが画面から消えた状態でも,マーカーに対応したキャラクターやオブジェクトが消えない」というものである。
ARカードに対応したタイトルとしては,日本でもすでに「リアリティーファイター」が存在しているが,欧米市場向けPS Vitaには標準でARカードが付属しており,WAARを利用した無料タイトルが標準で3本用意されているという。対応ゲームパック第2弾も開発中とのことだった。
そして本題。主役となるのが,マーカーレスAR用のミドルウェア「Magnet」である。
マーカーレスARもやはりTGS 2011のときに紹介されていたが,今回のMagnetは,その実用版に位置づけられるものという認識でよさそうだ。
Magnetは屋内に限らず,屋外の映像にもARで3Dオブジェクを配置できる。屋外の敷石に穴が開いてドラゴンが飛び出してくるデモ映像や,テーブルの上に置かれた新聞とテーブルクロスが突然ぐにゃぐにゃと波打つというデモ映像が披露されると,それまで静かだった会場から「Cool!」という声と拍手が起こった点は強調しておきたいと思う。
屋外の敷石に穴が空き,ドラゴンが飛び出してくるというゲーム風のデモ。穴の奥は地獄,あるいは火山口っぽい絵になっていた |
テーブルクロスと新聞が突然波打つデモ。これらMagnetのデモ映像が紹介されると,会場は沸いた |
さらにCampbell氏は,会場内でのライブデモも実演。机の上にアヒルを並べる様子をその場で見せ,大いに受けていた。
ARは見た目のインパクトが大きい割に,ゲームとうまく融合させた例はほとんどないのだが,ARマーカー不要なMagnetがARの起爆剤,そしてPS Vitaの起爆剤になるかもしれないと思うほど,マーカーレスARは大好評だった。
Campbell氏は「SDKの提供も可能なので,興味がある人はSCEに連絡を!」と締めていたが,Magnetを用いたタイトルがそう遠くない将来に登場する可能性はあると言っていいのではなかろうか。
PlayStation公式Webサイト
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