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印刷2007/07/17 14:16

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[E3 2007#35]新しいE3 Summitに参加した数少ないロシア勢,1C Companyの新作をチェック

エキスポ会場となったBarker Hangar
 様変わりしたE3 Summitで,筆者が一番残念に感じているのは,Kentia Hallがなくなってしまったことだ。ロサンゼルスのコンベンションセンター地階,Kentia Hallにはもっぱら中小ゲーム企業のブースが集まっており,そこには独特の熱気があった。出展されているタイトルは,「むむ,どこかで見たような気がする」というものや,「去年は1000人同時表示って言ってたけど,作ってみたら結局10人同時表示になっちゃったのね」みたいなものが多く,筆者としてはそれはそれで割と好きだったのである。
 とはいえ,新しくなったE3 Summitのエキスポ会場は,なんとなくKentia Hallのような雰囲気がしないでもない。というのは,「こちら」でも書いたように,会場内には同じようなブースというか試遊台がいくつも並んでいるだけで,メーカーの規模によるブースのきらびやかさや大きさの差はないのだ。コンパニオンの姿も全然ないし,大音響サウンドもなし。

 さて,ロシアの大手デベロッパ/パブリッシャにしてKentia Hallの常連だった1C Companyはエキスポのみの出展。三つのモニターを使って2007年から2008年にかけて発売される予定のタイトルを紹介していた。ちなみに,1Cのお向かいはActivisionで,何軒かおいて隣はMidway Entertainment。なんと,今や旧E3の上階組と肩を並べたわけで,かなり意気が上がっていた。
 今回の彼らのお勧めタイトルは,極地を舞台にした雪と氷の描写が美しいサバイバルホラーFPS「Cryostasis」。DirectX 10完全対応にして,1Cとして初のXbox 360版同時発売を予定するレースゲーム「Death Track: Resurrection」。そして今から紹介する気まんまんのFPS,「NecroVisioN」だ。上記三作の発売日はいずれも「2008年中」となっている。



 デモの冒頭に登場するのは,廃墟のようになった塹壕である。夜の闇の中,ときおり爆弾が赤く炸裂し,塹壕の中を照らす。プレイヤーキャラクターが持っているのは,大時代的なボルトアクションのライフル。空を行くのは複葉機だ。そう。ここは第一次世界大戦たけなわのヨーロッパ。おお,これまでファンに「あったらいいな」と思われていたものの,全然出てこなかった第一世界大戦モノFPSがついに登場したのかと思いきや,主人公がドイツ戦線の奥へ奥へと進んでいくうち,様相は次第に変化していく。
 ちなみに主人公は,人生経験を積むためイギリス軍に参加した一人のアメリカ人青年。人生経験を積む方法はほかにいくらでもあるような気がしないでもないが,ここではともかく納得しておこう。プレイスタイルは典型的なランボータイプで,たった一人で,次から次へと現れるドイツ兵を撃ち倒していくという,1Cが自ら認めるように“オールドスタイル”のFPSだ。
 独自のエンジンによるグラフィックスはまあ普通のレベルだが,塹壕内のボロボロな感じや,砲撃で崩れ落ちる建物の物理効果など,なかなかのものだ。

 ドイツ軍の塹壕の奥に達した主人公は,やがて自分が戦っている相手が人間ではないことに気がつく。朽ち果てた骸骨やゾンビのような兵士が次々に襲ってくるのである。実は,1916年の今,ヨーロッパを吹き荒れる戦争の嵐は人間が引き起こしたものではなく,人間には見えない地下世界の住民達によるものなのだ。そこでは悪魔と吸血鬼が激しく対立し,主人公は思いもかけず彼らの戦いの渦に巻き込まれていく……。というわけで,一見リアル系FPSと思わせておいて,実はファンタジーホラーに切り替わるという趣向の一本なのである。



 ゲーム制作に当たっているのはポーランドのデベロッパ,The Farm 51「Painkiller」シリーズを開発したスタッフが独立して立ち上げたスタジオと聞けば,そうかなるほど,という雰囲気のゲームだ。現段階では,AIが壁に当たってもそのまま走り続けようとしたり,攻撃が単調だったりと,まだまだ修正すべき要素は多いように思える。とはいえ,独特な雰囲気とかなりぶっ飛んだストーリー,そして銃と魔法が登場するゲームシステムなど,リリースされたらプレイしてみたいという気持ちになるのも事実だ。

 締め切りを守れないことで有名なロシア/東欧のメーカー(とはいえ,最近は欧米のデベロッパもその点については怪しくなった)で,実はこのNecroVisioNもまた当初は2007年の発売予定となっていたのがやっぱり遅れている。というわけで,ぜひとも2008年の発売を期待しよう。(松本隆一)

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