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新連載「キネマ51」:第1回上映作品はアレクサンドル・ソクーロフ監督「ファウスト」
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印刷2012/07/03 11:00

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新連載「キネマ51」:第1回上映作品はアレクサンドル・ソクーロフ監督「ファウスト」

[1]旧コマ劇場跡
新宿歌舞伎町の中心として2008年まであった劇場。演歌の殿堂として有名。現在,再開発のため取り壊されている


[2]パクリ
「読んでから見るか,見てから読むか」が元ネタ。これは,角川書店が1970年代後半から始めた,書籍と映画のメディアミックス戦略のなか生み出された名コピー。のちに多くのパロディが生まれた


[3]アレクサンドル・ソクーロフ監督
1951年シベリア生まれ。75年以降ソビエト連邦崩壊まで作り続けた作品が全て公開禁止処分にされた。近年では,昭和天皇をイッセー尾形演じたので話題になった『太陽』('05)など,問題作を作り続けている。今作で初めて第68回ヴェネチア国際映画祭グランプリ受賞という快挙を遂げた


[4]魔術師“ファウスト”伝説
悪魔と契約して魂を売り渡すかわりに,地上の快楽を手に入れたという,ドイツに古くから伝わる伝説。ゲーテだけでなく,数多くの作家が題材にしただけでなく,シューマンやリストといった作曲家たちにも影響をあたえ,多くの楽曲も創り出された


[5]「疲れたときに,すーっと入ってくる」
現タワーレコード代表取締役社長である嶺脇育夫氏の言葉。アイドル好き社長として有名で,タワーレコード内に,アイドル専門レーベル“T-Palette Records”を立ち上げ,アイドルヲタから支持されている業界内ヲタの一人。この言葉は「タモリ倶楽部」出演時,モーニング娘。にはまったきっかけを説明するために,使われた


[6]映画の資料
「ゲーテの『ファウスト』から『自由に』作ったことを明示している。さまざまなファウストがあるのは,時代のもっとも尖鋭なテーマを扱うのに,ぴったりの素材であるからだろう。魂と悪魔の誘惑,官能と無垢,試みと遍歴,堕落と救済をめぐりおあつらえのシーンがズラリとそろっている。しかも,ファウストと悪魔というコンビを自在に動かすことができる。」
※映画「ファウスト」プレス資料「ゲーテとソクーロフ」(池内紀)より転載)


[7].キーワード
・悪魔メフィストフェレス:映画では高利貸マウリツィウスとして描かれている
・魔女の厨:映画では,ファウストの住居。原作では,若返りの薬を飲む場所だが,映画では毒ニンジンを飲もうとする場所として描かれている
・錬金術とホムンクルス:原作のファウストは,卑金属を金に変える錬金術師であったほか,人工生命体ホムンクルスを従えていた。映画では,弟子のワーグナーが育てたホムンクルスは,すぐに死んでしまう
・アウエルバッハの地下酒場:ライプツィヒに実在する酒場。ファウストや登場人物たちが体力を回復する場所として,やはり酒場は欠かせないようだ
・「はじめに言葉ありき」:ヨハネによる福音書第1節より。ファウストは「言葉」に疑問を呈し,「思い」や「力」を当てはめ,最後に「行い」にたどり着く。映画では,「意識」をあてはめさせたあと,マウリツィウスに「業(わざ)=行い」と語らせる
・契約書:メフィストフェレスがファウストに魂を売り渡すための契約書。その署名は血でなされなければならない
・動物:悪魔の化身として,犬,猿,そしてカラス(原作では,魔女の召使いとして登場)がファウストの周りに常に登場する
・ワルプルギスの夜:4月30日の夜から翌朝にかけ,ドイツ中部にあるブロッケン山に魔女が集い,餐宴を開くといわれる。原作では,メフィストとファウストもこれに参加する。映画にも,まるでブロッケンのような山が登場するが……
※映画「ファウスト」プレス資料「ゲーテとソクーロフ」(池内紀)より転載)


[8]チェスキークロムロフ
チェコの都市。クルムロフ城と歴史文化財で知られる。1992年に,世界遺産に登録された。映画「ファウスト」もチェコを一部ロケ地に使っているということで,「シャドウ オブ ザ ダムド」と街並みが似ているのは,うなずける

  • 関連タイトル:

    シャドウ オブ ザ ダムド

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