エヌ・シー・ジャパンは10月23日,MMORPG「
The Tower of AION 」のオフラインイベント「エヌ・シー・ジャパンが行く!」を,東京の恵比寿ガーデンホールにて開催した。当日の会場には約1100名ものディーヴァ達が集い,さまざまなAION関連のイベントを通じて楽しいひとときを過ごしていた。
今回のイベントのメインテーマはもちろん,11月2日の正式実装が待たれる大型アップデート
「エピソード2.0 新世界」 である。開発/運営スタッフらによって2.0にまつわる開発秘話が紹介されたほか,2.0の先行体験プレイや,ユーザー参加型のアトラクションなど,さまざまなイベントが行なわれた。また,2.0のさらに次のアップデートとなる“
エピソード2.1 黄金時代 ”が,なんと11月30日に予定されているというサプライズ発表も行われた。
当日のイベントは5時間もの長きにわたって行われたが,本稿では新たに明らかになった情報を中心に,イベント内容を整理してお伝えしていこう。
実装間近のAION 2.0,そしてAION 2.1の実装も電撃発表!
まずは,AIONプレイヤーにとって気になる新情報の数々が明らかになった,
開発/運営スタッフらによるトークセッション について。ステージ上に登場したのは,韓国NCsoftで海外開発チーム長を務めるイ・ジホ氏と,日本のAIONプレイヤー達からのフィードバック情報をまとめる張 盛然(ジャン・ションヨン)氏だ。
最初に,レベルキャップ開放をはじめ,新たなメインステージとなる“龍界”の各種システム,インスタンスダンジョン,ペットシステムなどといったAION 2.0の各種コンテンツがあらためて紹介された。この辺りの情報は,4Gamerでも何度かお伝えしているとおりだ。そしてその後,7月にワールドを統合した後の現状について,なかなか興味深いデータが明らかになった。
現在の全ワールドにおける天族・魔族の人口比は,“44%:56%”で天族が優勢。ワールド統合により,ワールド単位では改善されつつあるものの,全体で見ると依然として天族有利の状況が続いている。とくにイズラフェルに関しては,天族が倍近くもの人数で圧倒しており,これがPvPバランスに大きな影響を与えている。これは勢力格差是正を目指して行われた,ワールド統合時のワールド移動の仕組みが意図とは違う方向で利用されたようで,ちょっと残念だ。
実際ののPvPへの影響を表す具体的なデータとして,過去1か月にわたる“要塞戦”の支配状況の詳細なデータが,各ワールドに対するコメントと共に紹介されていった。
詳しくはスライド画像を見ていただきたいが,本来は要塞を奪ったり奪い返したりといったバランスが理想ではあるものの,実際には上手く機能していると言いにくいようだ。長期にわたって一方的な支配が続いている要塞も多く,最初から勝負を投げている節も見受けられる。あるいは,PvPを行う人数に対して,要塞の数自体が多すぎるのかもしれない。
もちろん,開発/運営チームがこの状況を,指をくわえて見ているわけではない。まずはワールドごとに現状を把握したうえで,今後の対策として,開発/運営がそれぞれ別のアプローチを検討していることが明らかに。PvPのバランス調整は非常に難しい作業ではあるが,そのための第一歩として,現状の把握は着々と進んでいるようだ。少し長い目で見守っていきたいところである。
続いて紹介されたのは,“日本の”AIONが,今後どのようなゲームバランスに調整されるかについて。補足すると,これまでAIONのゲーム仕様は全世界で統一されていたが,最近では各国のローカライズを重視する方向に変わってきている。簡単にいうと,日本のニーズを的確に把握するのがジャン氏の役割で,それらの情報を元に日本バージョンのAIONを開発するのが,イ氏が率いる海外開発チームである。
実は今回の2.0にも既に,日本独自のローカライズ仕様が一部盛り込まれている。熱心なプレイヤーにとって,ここは大いに気になるところだろう。
2.0における日本独自仕様は,大きく分けて6項目がある。スライド情報を補足していくと,アイテムドロップ率が上昇するのは,基本的にレベル45以下のネームドモンスターが対象。インスタンスダンジョンへの再入場時間が短縮されることも,歓迎するプレイヤーは多いだろう。続いての“成長ストレスの軽減”では,デスペナルティの軽減およびリフレッシュ効果が増大される。クエスト報酬も,経験値と獲得ギーナの両面で全体的に改善されるという。
キャラクタースロットの増加に関しては,今後レベル50までのキャラクター育成環境が大きく改善されるので,新たなキャラクターでそのバランスを体験してほしいという思いが込められているとのこと。最後の「キョォウ!」は,AIONプレイヤーにはお馴染みのクレストリッチ族。一時期,このすっとんきょうな鳴き声がプレイヤー間で流行したが,こういった要素を反映させるあたり,日本独自仕様を端的に示している(のかも)。
そしてその後,さりげなく映されたスライドと共にビッグサプライズが。なんと,エピソード2.0に続く大型アップデートとして,「エピソード2.1 黄金時代」の実装が予定されているという。これは韓国でもつい先日導入されたばかりで,2.0を導入してからのフィードバックの反映が主な内容だ。具体的には,ゲームバランスが全体的に緩和されており,例えばレアアイテムのドロップ率に関しては“劇的に”跳ね上がっているとのこと。韓国プレイヤー達からの反応はすこぶるよく,ギーナやアイテムのお宝がざっくざく,これがタイトルの“黄金時代”,というイメージなのかもしれない。
しかも驚くべきことに,この2.1は,日本では11月30日の実装が予定されている。2.0から1か月も経たないうちであり,ここまで早くローカライズされることを予想できた人は,ほとんどいなかったのではないだろうか。AIONはこれから年末にかけて,大きな勝負に出る形となる。これが日本のオンラインゲーム市場にどのような影響を及ぼすのか,かなり気になるところだ。
熱く盛り上がったユーザー参加イベント
マゾい,マゾすぎる……ものの,クリアしてしまう
プレイヤーって
ユーザー参加型のアトラクションも,2部構成によって行われた。PvEとPvPが各テーマで,それぞれ“左の翼の影”と“スティールクロウ号”のエリアをアレンジした,この日のために作られたオリジナルダンジョンが舞台だ。
この“アレンジ”が半端でなく,最強装備に身を包んだディーヴァ達(しかもフォース規模)すら,次々と倒れていく凄まじい光景となる。こういった阿鼻叫喚の様子が,司会の青木氏と田辺氏によって面白おかしく紹介される様子は,イベントを取材する側としてはささやかな楽しみの一つだったりする。
扉を開けるとなぜかタハバタや,ドレドギオンの全ネームドが待ち構えていたり,思わず「これ,AIONですよね」と呟いてしまった。参加したプレイヤー達も口々に「マゾい」「カオス」といった感想を述べており,運営スタッフにとっては,苦労して作った甲斐があったことだろう。
しかし,運営チームが「30分でクリアは不可能」と自信を持ってマゾく作ったダンジョンなのだが,左の翼の影のほうは,わずか十数分でクリアされていた。耐性などは考慮されていないノーマルのディーバニオン装備なのでタハバタ相手には苦労するはずとのことだったが,イベント開始まもなくあっさり沈められていたり,スティールクロー号でも塔の守護に2体ずつ配置された守護神長をものともせず,全体にプレイヤーのうまさが際立っていた。
あまりに面白いので,今回は30分×2回のイベントにおけるメインスクリーンの様子を,丸ごとムービーで紹介したい。イベントの雰囲気を感じ取っていただければ幸いだ。
※ムービーファイルへのリンク
※ムービーファイルへのリンク
今後の方向性は? 会場からの要望にも,その場で回答
ロビーにはワールドごとにテーブルが用意されており,そこを中心に初顔合わせのディーヴァ同士が自己紹介といった,オフラインイベントらしい光景もちらほら。でも種族別にしたほうがよかったかもしれない
当日行われたアンケートを読み上げての質疑応答コーナーでも注目すべき発言が多くなされていた。全体的にアバターアイテムやイベントに関する要望が多かったようだが,「スクール水着(ほか水着)を導入してほしい(複数)」に対しては,ほぼ導入する方向が確認できたほか,「女性キャラのおっぱいを揺らしてほしい」など,割とぶっちゃけた内容の要望にも,「実はかなり真剣に検討したこともあったのだが,モーションすべてに関わってくるので,すぐには難しい」との回答。いずれは導入できるかもしれないのだが「デザインのチーフが女性なので,どう切り出していいのか悩んでいる」とか,アクセサリを増やしてほしいという内容で「耳とか耳とか耳とか」という要望には,「猫耳はもう作ってあります。日本はやっぱり猫だと認識しておりますので」と,イ氏らのおちゃめな一面も明るみに。
イベント当日は,そのほかにもさまざまなアトラクションが用意されており,ベテラン,ビギナーにかかわらず,AIONプレイヤーなら誰でも楽しめる内容となっていた。これらに関しては写真とキャプションでざっと紹介していこう。
一部のアトラクションをクリアすることでメダルを手に入れ,それを用いてガチャが行えた。リアルマネーを使わせなかったのは好印象
協賛メーカーのPC試遊台では2.0の先行プレイが行えた。クラス別に分けられたPCで,フルスペックのキャラクターが体験でき,多くの人達が注目していたようだ
最初のアトラクションはAIONにまつわるクイズ大会で,勝利した種族の来場客はガチャ用のメダルを獲得できた。全問題のスライドを掲載しておくので挑戦してみてほしい
全体的に見て,
前回 の反省点をきっちり改善しつつ,来場客の環境にも気配りが行き届いた,素晴らしいオフラインイベントだったと思う。例えばこういったカンファレンスというのは,ステージ上からの一方通行的な内容になりがちではあるが,会場内では2.0の試遊台など,ほかのアトラクションも並行して行われており,来場客は思い思いのスタイルでイベントを楽しむことができた。また,来場客同士の雑談もとても賑やかな印象で,会場内で初めて会ったというケースも多かったのではないだろうか。
こうなると,オフラインイベントの経験が豊富な同社の強みを最大限に生かすことができるだろう。司会のトークも相変わらず軽妙だし,参加型のアトラクションにしても,フォース規模の人数をその場でクラス別に集める手際のよさなど,普通はなかなかこうはいかない。
残念ながら今回のイベント参加できなかったAIONプレイヤーも,もし次にこのような機会があった際は,気軽に参加してみてほしい。また同時に,首都圏以外でも,こういったオフラインイベントを開催してくれることにも期待したい。
なお,イベント当日のトークセッション終了直後に,イ氏とジャン氏の2名にインタビューを行っている。トークセッションの補足や,2.0以降の日本独自仕様の方向性,そして気になる2.1でのさらなる内容について,なかなか興味深いを話を聞くことができた。こちらも近日中に掲載予定なのでお楽しみに。