インタビュー
アクション要素の強化と武器強化システム刷新で一段上の楽しさを追求。「Blade Chronicle」開発/運営スタッフインタビュー
さまざまな剣技を付加して理想の愛刀を作る新武器強化システム「剣技継承」
3つめのポイントはなんですか?
古谷氏:
「剣技継承」という,新たな武器強化システムです。Blade Chronicleでは,一人のプレイヤーが最大3本の武器を所有できます。それぞれの武器で行えることと行えないことがあり,状況に応じて使い分けることがポイントでした。
しかし新システムでは,一つの武器でさまざまなことができるようになります。例えば,従来は回復に特化していた刀に剣技を付加することで,攻撃も行えるようにできるんです。
4Gamer:
それは,武器にプレイヤーごとの個性を反映させるという,当初のコンセプトを崩すことになりませんか?
古谷氏:
そのような面があるのは確かです。
しかし,これも1年半サービスを続けて分かったことなんですが,プレイヤーの皆さんは,一つの武器にとても大きな愛着を持ってくれているんです。つまり,複数の武器を育てて使い分けるより,1本の愛刀をとことん強化していきたいという思いが強いんですよ。
そこで,本作をより深く遊んでもらえるよう,今回の剣技継承システムを採用しました。とはいえ,例えば攻撃特化型の武器に回復効果が付加されるととても便利な武器になってしまいますので,カスタマイズのハードルはかなり高くしています。
4Gamer:
具体的には,どんな手順を踏むんですか?
ある武器に,ある剣技が付加されているとしましょう。その剣技をほかの武器に付加するには,剣技が付加されている武器を「奥義書」に変化させる必要があります。そしてプレイヤーは,奥義書を得ると同時に,その武器を失います。
4Gamer:
なるほど。愛刀に剣技を付加するには,別の武器を一つ犠牲にする必要があるんですね。
古谷氏:
そうです。また同じ剣技でも,奥義書に変化するときに強さが多少変動します。さらに武器の段が高いほど,強い奥義書になりやすいという傾向があります。
柴田氏:
武器が複数覚えている剣技のうち,どれを奥義書にするか指定できないんですよ。
4Gamer:
1本の愛刀をとことん強化するという話とは矛盾している面がある気もしますが,望みどおりの強い愛刀を1本作るために,並行して別の武器をいくつも育成する必要があるんですね。
古谷氏:
そういうことです。理想の武器を作るには,かなりの時間が必要となります。
4Gamer:
とりあえず弱い剣技を付加し,あとから強い剣技に変えられますか?
古谷氏:
はい,上書き可能です。
またプレイヤーの「型」により,武器に付加できる剣技の数が異なりますが,今回実装される剣技継承システム向けに,全型共通で2枠ずつ追加しました。
4Gamer:
なるほど,先ほどの説明どおり,かなりハードルが高そうですね。
古谷氏:
最初は,とりあえずできたものを使ってみるだけでも,今まで以上に便利になることは確かですよ。それと並行して,時間をかけてじっくりと理想の剣を追求してもらえればと思います。
「合戦」はコミュニティを生かす方向に進化。“新たな成長軸”も検討中
4Gamer:
それでは,今後の展開について教えてください。
鮎沢氏:
運営面では,現在,イベントの開催に力を入れています。そこからプレイヤーの皆さんの要望をくみ上げ,開発にフィードバックしていくという作業は,今後も継続していく方針です。
4Gamer:
どんなイベントに人気が集まっているんでしょうか。
鮎沢氏:
毎日ログインするとアイテムがもらえるといった,継続タイプのイベントの人気が高く,開催すると目に見えてログイン率が上昇します。また,これまで2回開催した公式武芸者大会(PvP大会)も人気ですね。
古谷氏:
2回目の大会には開発チームも参加したんですが,ボロ負けしました(笑)。やっぱり,熱心に遊んでくれているプレイヤーさんは相当強いと思いますよ。
鮎沢氏:
Blade Chronicleは国内で開発されているタイトルですから,その強みを生かし,開発スタッフが,プレイヤーの皆さんから直接要望を聞くという試みも行っています。
古谷氏:
僕が皆さんの前に立ったとき,とても親切に接してくれたんです。僕としても,「そんな皆さんの要望になんとか応えていきたい」という気持ちがより強くなりました。
柴田氏:
「みんなでBlade Chronicleをより良いゲームにしよう」という気持ちが伝わってきて,とても嬉しく感じましたね。
古谷氏:
その形でプレイヤーの皆さんと最初に話をしたのは2009年12月で,そのときは型のバランスについて意見を交換しました。そのときの話をもとに,2010年の3月くらいまで調整を重ねてきたんです。
2回目は2010年6月に実施され,「兵団」や,RvRの「合戦」をテーマに話し合いました。主に挙動の重さについてですが,非常に前向きな意見が多かったのが印象に残っています。そのときの結果はまだアップデートに反映されていませんが,忘れずに作業を進めていますので,安心してください。
4Gamer:
そういった取り組みへの反響はどうですか?
鮎沢氏:
非常にいい反応が返ってきています。そのほか,運営では不正対策への取り組みも強化しています。アカウントハックに関しては,ほかのタイトルと同じID/パスワードを使っている人が狙われているようです。
またRMT業者と思われるアカウントも,地道に排除しています。
4Gamer:
チートにはどのように対応しているんですか?
鮎沢氏:
チートを試みると自動的にログアウトするシステムを採用しましたので,最近はめっきり減っています。
4Gamer:
それでは,今後のアップデート予定などを教えてください。
古谷氏:
2010年内を目標に,合戦に関するアップデートを行います。現状の合戦は,大雑把に説明すると人数を集めてワーワー戦うだけなんです。それはそれでシンプルでいいんですが,せっかくゲーム内のコミュニティが成熟してきているので,より組織的に行動する要素を追加します。「我々はこちらを守るので,あなた達はあちらを攻めてください」といった,もう一つ上のコミュニケーションを駆使することで,有利に戦いを進められるようなイメージですね。
また,生産能力を持ったプレイヤーが合戦に参加すると,これまた有利になるような要素も導入します。
4Gamer:
なるほど。合戦にコミュニティの要素を取り入れるわけですね。
古谷氏:
ええ。また,合戦時の動作が重いという点については,継続して取り組んでいきます。少しずつ手を加えているんですが,まだまだ改良の余地がある感じです。描画については,オプション設定でかなり緩和できますが,通信に関する部分がなかなか……。通常の戦闘と違って,人が多く集まる合戦はキツいところですが,随時対応していきます。
4Gamer:
中長期的な展開はどうですか?
柴田氏:
まずは新フィールドを実装します。ワールドマップの右側にある,開放されていない地域がそれにあたります。同時に,現在第4話まで展開している物語クエストの最終話を実装する予定です。2011年前半の実装を目標に開発を進めています。
さらに,型に制約されない,段とは異なるプレイヤーの進化システムの導入を検討しています。
4Gamer:
といいますと?
古谷氏:
今,レベルキャップは45段です。とはいえ,Blade Chronicleは何本もの武器を育てていく側面を持ったゲームですし,それは剣技継承システム導入後も変わりません。
その状況でレベルキャップを開放すると,自分の段も上げなければならないし,武器も強化しなければならないという思いに駆られ,心理的にかなり苦しくなってしまうと思うんです。
そういったことから,当面はレベルキャップを開放しないほうがいいんじゃないか,と。
4Gamer:
そこで,新たな進化システムを導入するわけですか。
古谷氏:
そうなんです。進化システムの詳細は追って発表します。
またレベルキャップの開放については,状況に応じて考えていくつもりです。
4Gamer:
そのほか,今教えてもらえることはありますか?
ゲームバランスの調整も進めます。今年の初めに,新規プレイヤーがより遊びやすいようゲーム序盤のバランスを変更しましたが,次はゲームに慣れてきたプレイヤーを対象とする調整を検討中です。
具体的には,各種コンテンツの遊び方を習得できるチュートリアルクエストのような内容を考えています。
古谷氏:
この1年半でコンテンツがかなり増えたので,当初用意したチュートリアルでは全然足りないんです。
4Gamer:
今回登場するキャンセルの概念も,知っているのといないのとでは,戦闘の楽しさが大きく異なりそうですね。
それでは最後に,Blade Chronicleのプレイヤーに向けて,メッセージをお願いします。
柴田氏:
Blade Chronicleは,今後も末永くサービスを続ける予定です。イベントやサポートメールを通じて,皆さんから多くの要望が寄せられていますので,それらを真摯に受け止めて企画/開発を進めていきます。引き続き,意見やリクエストをお願いします。
鮎沢氏:
要望をどんどん送ってほしいと思います。とくに,僕はゲーム内で不遇と指摘されている「巧迅」で遊んでいますので,同じ巧迅のプレイヤーの気持ちを十分理解しているつもりです。何か指摘してもらえれば,率先して解決に努めますよ。
古谷氏:
型バランスは,新要素と併せて調整していきます。2011年前半には,ひととおり調整を済ませる予定なので,期待してください。
4Gamer:
ありがとうございました。
古谷氏が述べているように,今回のアップデートは,Blade Chronicleの運営を通じて生じた,当初の企画意図や設計思想と,実際のプレイヤー動向とのギャップを埋めるものだ。プレイヤーの遊び方や,寄せられている意見にもとづき,より楽しさが増すよう検討を重ねたとのことで,開発/運営ともに内容にかなりの自信を持っているようだった。
また今回のアップデートは,次の展開に繋がる重要な前段階とのことなので,その内容自体を楽しむと同時に,Blade Chronicleの今後の発展にも期待したいところだ。
「Blade Chronicle: Samurai Online」公式サイト
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Blade Chronicle: Samurai Online
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