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「アラド戦記」の運営で得た経験や考察は,新作ゲームの開発にどのように活用されたのか。NEOPLE代表ユン氏が過程を語る[G-STAR 2024]
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印刷2024/11/15 16:52

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「アラド戦記」の運営で得た経験や考察は,新作ゲームの開発にどのように活用されたのか。NEOPLE代表ユン氏が過程を語る[G-STAR 2024]

 韓国・釜山で開催中のG-STAR 2024と併催している,韓国ゲーム業界のカンファレンスイベント「G-CON 2024」では,オンラインゲーム「アラド戦記」を開発するNEOPLE代表,ユン・ミョンジン氏による「Developing New Games Like Running a Live Game Service」と題したセッションが行われた。
 「アラド戦記」の運営から得た経験や考察,そしてこれらを新作ゲームの開発において,どのように活用しているのか。その過程が語られたセッションをレポートしたい。

NEOPLE代表 ユン・ミョンジン氏
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「アラド戦記」公式サイト



開発中止になった「Project BBQ」


 ユン氏は大学を卒業してからアラド戦記をプレイするようになり(「住んでいた」と喩えるくらいにハマったらしい),その後にNEOPLEに入社した。インゲーム経済管理を6年務めてから,アラド戦記の開発ディレクターに就いている。
 現在は「The First Berserker: Khazan」(以下,Khazan)を開発しながら,新作「Project OVERKILL」のプロジェクトも進めている。

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 3本の新作を同時進行で開発していた時期もあるそうだが,ユン氏は「アラド戦記モバイル」iOS / Android)について,ミスが多く残念なところもあったと評する。ただ,同作はグローバル売上高1位を記録するなどの大ヒット作になっている。

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 それ以前には紆余曲折もあったようだ。2018年に発表された,アラド戦記のIPを使用したオンラインゲーム「Project BBQ」関連記事)は開発陣が誇りを持っており,海外でも好評だったにもかかわらず,開発は中止となっている。
 ユン氏はその理由として,Project BBQは見せたいものが多すぎたこと,2Dアクションのアラド戦記に対してカートゥンベースの3Dグラフィックスだったことなどを挙げた。当時は3タイトルを同時に開発していたことから,開発者も技術も,そして時間も足りない……といった状況になっていたと語る。

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 また,ユン氏は誰でも作れるゲームではなく,それこそ「◯◯ライク」と呼ばれるようなフォロワーが生まれ,未来に影響を与えるゲームを作りたいと考えていた。
 そのためにできることは,

  • 70%はやるべきものを入れる
  • やるべきものだが,やったことがないものをいくつか入れる
  • 絶対にやりたいものを1〜2個入れることを目標とする

であり,これに気づいたからこそProject BBQの開発をあきらめたそうだ。

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 「Khazan」の開発チームはシングルプレイ,ミッションプレイ,戦闘,カートゥングラフィックスなど,いずれも最高のクオリティを追求している。開発期間は2年半を経過しているが,3年以内の発売(つまり半年以内)を目標にしていると語った。


ミスが多い「アラド戦記モバイル」が成功した理由


 ユン氏が「ミスが多かった」と評するアラド戦記モバイルだが,当初はファイターを原作そのままにモバイル上で表現し,それを多くのプレイヤーに楽しんでほしかったそうだ。
 しかし,その目標はチームメンバー間での共感形成が容易ではなく,ディレクターの指示も異なる解釈になることが多かった。アラド戦記のような古いゲームでは,一人ひとりの共感できる部分が異なるため,単純に考えることができなかったと振り返る。

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 しかし,ユン氏は彼らとコミュニケーションを図り,最終的にグローバル売上高1位を記録する良い結果を生み出した。
 ユン氏は,開発計画段階で失敗を念頭に置くべきであるとしたうえで,自身も失敗をしたことから結果より過程を重視するようになったという。過程に意味を置けば,失敗しても次の挑戦にはより多くの準備と発展した過程があり,成功に近づけるからだと話した。

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プレイヤーの考えを定期的にフィードバックで確認する


 続いてユン氏は,開発者は失敗について2つのことを考える必要があると語った。
 1つは,プレイヤーの意見を無視するゲームは失敗するということだ。「どんなに悪いゲームでも誰かは喜んでくれる」としたうえで,サービスの終了はそうしたゲームを愛してくれる人に対する裏切りであり,その過程がとても悲しいと述べた。
 そして,もう1つは開発チームの努力だ。前述のように,サービスが終わればすべての努力が無になり,その結果を受けて開発者も苦しんでしまう。

 そうした状況にならないように成功の確率を上げるためには,プレイヤーからのフィードバックが必要だと語る。
 実際,アラド戦記モバイルの開発中はテンセントとさまざまな話をして,モバイルゲームではあるがテストサーバーを用意し,プレイヤーのフィードバックを受けている。中国のプレイヤーからフィードバックをもらうことで,同作は中国で人気を博すことにつながったと述べた。

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 このような経験からユン氏は,ゲームとは開発会社だけで作るのではなく,参加したいプレイヤーと共感を形成しながら一緒に作っていくものであり,ゲームは競争よりも協力で作るものだと総括する。
 また,多くの開発者とコミュニケーションをとりながら,互いに成長していく機会があるべきだとして,その過程をプレイヤーに公開してこそ,もっと良いゲームを見せられると語っていた。

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