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[COMPUTEX 2007#20]液冷ならぬ“泡冷”のハイエンド向け静音CPUクーラー「SilentFlux」
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印刷2007/06/08 23:20

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[COMPUTEX 2007#20]液冷ならぬ“泡冷”のハイエンド向け静音CPUクーラー「SilentFlux」

SilentFlux ATX
 COMPUTEX TAIPEI 2007のHall 1。主に拡張カード,メモリ,周辺機器,CPU/GPUクーラーなどが展示されるホールに,Noise Limitという耳慣れないデンマーク企業が出展していた。同社が展示していたのは「SilentFlux ATX」と名付けられたCPUクーラー。重さ220gのヒートシンクと2300rpmの92mm角ファンを組み合わせたこのアルミ製クーラーは,TDP 130WのCPUをなんなく冷却し,騒音レベルは最大29dBAに留まるという,驚きの仕様を持つ製品だ。

左は,SilentFlux ATXを反対側から撮ったカット。この状態で総重量は400gとのことだ。右は,ファンとファン固定用カバーを取り外した状態


カタログに描かれていたSilentFluxの概念図
 このカラクリは,同社が特許を持つ,製品名と同じ名前のSilentFlux技術にある。クーラー本体は,CPUに設置する冷却ヘッドの部分から,放熱フィンを持つヒートスプレッダ部に向かって太いパイプが2本伸びる形状になっているが,このパイプはいわゆるヒートパイプではない。同社のプロダクトマーケティングマネージャー,Bjarne Nordahl Hansen(イヤーン・ハンセン)氏によると,「パイプの中には熱で気化しやすい液体が入っており,CPUの発熱を受けると気化(フェーズチェンジ)し,泡となって片方の出口からヒートスプレッダ部へと流れる。そして,冷却されて再び液体にフェーズチェンジすると,冷却ヘッドに戻る構造になっている」とのこと。

ブースで実施されていた動作デモ
 SilentFlux技術のキャッチコピーとしては,「Closed loop liquid bubble pump」という,訳しづらいコピーが付いているが,構造的には,どちらかといえば密閉型の水冷(液冷)クーラーに近い印象だ。ただ,クーラー本体にはポンプをはじめとした機械部品がいっさいなく,また水漏れの心配もないため,ユーザーは,中型の空冷型CPUクーラーと同じように扱えるというわけだ。
 なおHansen氏は,SilentFlux ATXのメリットとして,“泡冷”のほかにも,本体サイズが小さいため,CPUソケット周囲のマザーボードコンポーネントと干渉しないという点を挙げていた。なお,本製品のクーラー本体サイズは135(W)×85(D)×128(H)mmである。
 SilentFlux ATXの対応CPUは,Socket 754/939/AM2/Fに対応したAMD製品と,LGA775パッケージ向けのSocketT対応となるIntel製品。SilentFlux ATXの製品ボックスには両社のCPUに対応した取り付け金具が付属するという。

(左)左側がAMD用,右側がIntel用のクリップ。AMD用は,既存のCPUリテンションに取り付ける仕様で,Intel用はプッシュピンタイプとなる。
(右)本体からカバーとファンを取り外したところ


うっかりクーラーの底面を撮り忘れてしまったので,広報写真でご勘弁を。ちなみに,とくにどうということもないアルミ面だった
 そのほか,エアフローに電源ユニットの吸気ファンを利用する,パッシブクーリングタイプの「SilentFlux PASSIVE」,そしてMedia Center PCに対応する小型のアクティブクーリングモデル「SilentFlux media」という製品も用意されている。

 SilentFlux PASSIVEの正体は,SilentFlux ATXからファンとファン固定カバーを取り払ったもの。Core 2 Duo E6300より低発熱のCPUであれば,ファンレスで運用できるとのことだ。最近登場した「Athlon X2」あたりは,ファンレス運用できる可能性が高そうだ。
 SilentFlux mediaに関する詳細情報は明らかにされなかったが,ヒートスプレッダ部を横に寝かせた,背の低い形状になっており,先に挙げた2モデルとは若干趣が異なっている。ブックタイプなど,Low Profile対応のスリムPCに向けた製品のようにも見える。

(上段)SilentFlux PASSIVEの外観(というか,SilentFlux ATXからファンを取り外したもの)と,動作デモの様子
(下段)SilentFlux mediaの外観2カット


ブースでは,SilentFlux技術のイメージとして,泡が移動するオブジェを飾っていた
 Noise Limitは小さな会社ということで,基本的には(AMDなどとの)OEMビジネスに注力するそうだ。ただHansen氏は,SilentFlux ATXをハイパフォーマンスなPCを求めるゲーマーやハイエンド指向のユーザーに訴求したい意向を見せており,実際,チャネル市場の開拓に向けて,PCパーツ&周辺機器メーカー兼販社の台湾Akasa Groupと提携したという。Akasa Groupは販売代理店を通じて日本国内でも活動しているので,SilentFlux ATX(など)が日本市場に登場する可能性はありそうだ。

 いずれにせよ,Hansen氏のいうとおりの実力をSilentFlux ATXが示せるなら,現行あるいは次世代のハイエンドCPUを,小型のクーラーで運用できることになるわけで,肥大化しつつあるゲーム用PCを小型化する切り札になるかもしれない。出荷時期は2007年7月とされているが,なるべく早いタイミングで国内にも登場することを期待したい。(佐々山薫郁)

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