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「ウィザードリィ・外伝 ~五つの試練~」ファーストインプレッション
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印刷2006/06/09 23:14

レビュー

「ウィザードリィ・外伝 ~五つの試練~」ファーストインプレッション

 「ウィザードリィ・外伝 ~五つの試練~」(以下,五つの試練)は,アイ・アール・アイ コマース アンド テクノロジーが6月8日に発売したロールプレイングゲーム。本稿では五つの試練を実際に遊んでみたうえで,どういったゲームなのかをざっと紹介していこう。

 最大6キャラクターのパーティを編成してダンジョンを攻略していく(疑似)3D RPG「Wizardry」の名は,ほとんどすべての読者が,今までにどこかで目にしたことがあるだろう。とくに日本におけるWizardry人気はかなりのもので,外伝やオリジナル作品などの関連タイトルを含めると,全部で数十作ものタイトルが販売されている。

 今回紹介する「ウィザードリィ・外伝 ~五つの試練~」は,それらの中でも極めてオーソドックスな内容。つまり本家のシリーズでいうならば,シナリオ1~3,5に近いゲームシステムとなっているのだ。昨今では「学園物ウィザードリィ」などもあるが,本作はとくに日本で人気の高い,本家の初期シリーズと同じ方向性なので,安心(?)してほしい。

本作は,日本のWizardryファンから高い評価を受けた「戦闘の監獄」をベースに,5本の新シナリオが盛り込まれた作品。シナリオ作成ツールも今後配布される予定だ


■どこを切っても昔ながらのWizardry。普遍的な面白さが凝縮された作り
Wizardryフリークにとって馴染み深いモンスターも,続々と登場する。各シナリオともシンプルな作りだが,なかなかツボを心得ている
 何はともあれ,早速「五つの試練」をプレイしてみることにしよう。ゲームを起動して最初に驚かされたのは,プレイできるシナリオが5本も収録されていること。しかもこれらには,ストーリー的/キャラクターデータ的な相互関係がなく,「シナリオセレクター」で完全に切り替えて楽しめる。ダンジョンやゲームバランスはもちろん,キャラクターデータまでもが完全に別物となっているのだ。

 つまり単刀直入に言うと,五つの試練には5本分のソフトが収録されていると考えてよい。ご存じのとおりWizardryには,クリアしたあとも延々とプレイし続けてしまう,ある種麻薬的ともいえる魅力がある。とはいえ,レベル上げ/アイテム集めがメインプレイとなるゲーム後半は,さすがにマンネリになりがちなのだが,五つの試練では各シナリオが独立しているため,新鮮な気持ちで再プレイできるというわけだ。このお買い得感が,本作のアピールポイントの一つだと感じた。

 とりあえず一番目のシナリオ「旅人の財産」を選んで,ゲームスタート。五つの試練に登場する種族や職業,インタフェースなどを含んだ基本システムは,Wizardry1~3や,本作の前作にあたる「ウィザードリィ・外伝 ~戦闘の監獄~」から,ほとんど変わっていない。これはネガティブな意味ではなく,すでに完成されたものをアレコレいじる必要はない,というデザイン思想によるものだろう。

左:七つのランクに分かれた呪文は,バランスが微調整されており,使いやすくなった 中央:五つのシナリオは,それぞれ目的やゲームバランスが異なっており,まったく別のゲームとして楽しめる。写真は「旅人の財産」を起動した状態 右:拠点でのメニュー画面。利用可能な施設は実にシンプルで,これ以上付け足す必要も削る必要もないと思われる


本格的なコンピュータRPGの原点ともいえるWizardryの魅力は,本作でも健在。むしろシンプルだからこそ,如実に伝わってくるというものだ
 画面レイアウトも(相変わらず)シンプルではあるが,センス良くまとめられている。「戦闘の監獄」を未経験だという人も,画面を見ればおおむね理解できるだろう。ショートカットキーも使いやすく,ゲームに慣れていけば,極めて軽快に操作できるようになる。

 旅人の財産シナリオの目的は,「鉱山で発見された古代の宮殿を探索せよ」という,極めてシンプルなもの。探索対象のダンジョンは,20×20マスのフロアが複数組み合わさって構成されており,ゲームを進めていくと,舞台は鉱山から遺跡へと変化する。
 そんな世界の中で,パーティの壊滅やレアアイテムのドロップなどに一喜一憂しつつ,少しずつキャラクターを成長させていく。五つの試練では余計な装飾が施されていない分,Wizardryならではの普遍的な面白さ(謎解き/キャラクター育成/アイテム集め/)が,十二分に楽しめるようになっている。

 Wizardryから受ける面白さは人によって違うだろうが,個人的にはこの,謎解き/キャラクター育成/アイテム集めの面白さをむきだしにした部分に凝縮されていると思う。その観点で考えるならば,本作は完全に本家Wizardryの初期シリーズと同じだ。普段はフル3Dグラフィックスのタイトルばかりをプレイしているが,本作の疑似3Dはそれだけに(もちろん物足りなさは感じるが)新鮮で,ゲームそのものの面白さを再認識させられる。過去にWizardryに夢中になった人であれば懐かしさを,今回初めて接する人であればRPGの本質を,しみじみと実感しながら楽しめるはずである。

左:キャラクターがとれるすべての行動は,ショートカットキーに対応している。慣れれば快適なプレイが可能だ 中央:前作と違いミニマップ機能は搭載されていないが,一度踏破した場所は,呪文で随時確認できる 右:ダンジョン内にはさまざまな仕掛けが存在する。シンプルではあるが,いかにもWizardryといった謎解きが多い


■完全独立した5本のシナリオを収録,シナリオ作成ツールも無料配布予定
「灼熱の車輪」シナリオからの一幕。このシナリオだけは例外的に,コテコテのヘヴィメタル調のシナリオが堪能できる
 五つの試練には,「旅人の財産」のような独立したシナリオが全部で5本収録されており,シナリオによっては,ゲームシステムまでもが微妙に異なっている。例えば「初期装備の有無」「二刀流の可否」「転職時の条件」といったルールが異なっており,それらが絶妙なゲームバランスを生み出している。

 そのためか,新たなシナリオを開始するたびに,ゲームから受ける印象が微妙に違っているのだ。これが行きすぎると,古くからのファンに「こんなWizardryは認めない」と言われてしまいそうだが,本作はその寸前で留まっている,という印象を受ける。Wizardryという伝統あるシリーズを最大限に尊重しつつ,適度に新鮮さを盛り込んでいるところが,五つの試練の最大のポイントのように思えた。

 本作に収録されているシナリオを以下にまとめてみた。“クリア想定レベル”から,プレイ時間の大体の目安が分かるだろう。

【五つの試練・シナリオ一覧】
・旅人の財産 Traveler's property クリア想定レベル(25~30)
・満月王の子供達 Children of the king Selene クリア想定レベル(14~16)
・欠けた大地 The devoid of apotheosis クリア想定レベル(14~16)
・ガルヴァンの酢漬け男 the Pickled Man of Galvan クリア想定レベル(15~20)
・灼熱の車輪 the Wheels of Flame クリア想定レベル(15~18)

 各シナリオとも,基本的にはオーソドックスなWizardryなのだが,それらの中で例外といえるのが,最後の「灼熱の車輪」シナリオ。BGMや各施設といった世界観に,「'80年代ヘヴィメタル」的な要素が盛り込まれているのだ。個人的には,初期の女神転生シリーズをプレイしているかのような印象を受けた。これは半ばジョークのようなシナリオなので,息抜きとして気楽に挑戦してみてほしい。



Wizardryは熱心なファンがとくに多いブランドだ。「Wiz-Scenario Making Tool」で作られるユーザーシナリオにも,期待が持てそうである
 そしてもう一つ,五つの試練で忘れてはならない要素が,プレイヤーが自由にシナリオを作成できる「Wiz-Scenario Making Tool」だ。これは7月中旬にダウンロード配信される予定で,製品版の購入者であれば無料でダウンロードできる。「灼熱の車輪」のようなユニークなユーザー作成シナリオがプレイできるようになる日が,今から楽しみだ。

 というわけで,6月8日に発売されたばかりの「ウィザードリィ・外伝 ~五つの試練~」を,やや駆け足ながら紹介してみた。現時点における個人的な感想としては,「初期の本家Wizardry,もしくは外伝シリーズが今でも好きなら買って損なし」といえる内容である。熱心なファンは相当細かい点も厳しくチェックするとは思うが,その期待にも応えうるといってよい。筆者もまだ本作を思いっきり楽しんでいる最中(プライベートを含む)なので,後日にちゃんとしたレビュー記事をお届けしたいと思う。(川崎 政一郎)

五つのシナリオは,それぞれでゲームバランスが微妙に違っている。あまり急がずに,じっくりと腰を据えて取りかかりたいタイトルだ
  • 関連タイトル:

    ウィザードリィ・外伝~五つの試練~ Five Ordeals

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