Firaxis GameのCivilizationシリーズをプレイしたことがある人なら,「あの一つ一つの街をさらに綿密に建設してみたい」と考えたこともあるかもしれない。2K Gamesから
7月に
リリースされる予定の
「CivCity: Rome」は,そんな願望をかなえてくれる作品になりそうだ。
CivCity: Romeを開発するのは,中世城塞都市建設シミュレーション「Stronghold」で定評のあるFirefly Studios。もちろん,Firaxis Gamesともコラボレートしており,アチコチにCivilizationシリーズ的なゲームシステムが見え隠れしている。それに加え,鍛冶屋や粉挽き,行商などの様子が事細かくアニメーション化されているのが,Fireflyらしい味付けである。
プレイヤーは,首都ローマの建設を命じられた政治家となり,道路の設置から食料や交易品の調達,さらには豪華な施設の建築や税金の徴収までを担うこととなる。
労働者達から徴税するためにも施設を配置し,往来や交易を迅速に行えるような道路を敷設しながら,徐々に街を大きくしていくのは,都市建設シムの王道的なシステムだろう。
CivCity: Romeで特徴的なのは,Civilizationの魅力的な部分をうまく引き継いでいる点だ。例えば,街の進化に合わせて進歩する技術や科学のリサーチを行い,
「テクノロジーツリー」を一つ一つ攻略できる。
もっとも本作で扱われているのは,BC300年から数百年間に限ってのゆったりとした時代の移り変わりであるため,テクノロジーも文字(Alphabet)や薬学(Medicine),宗教(Religion)などから始まり,本(Books),演劇(Plays),音楽教育(Musical Education)などへとスローに発展していく。発展すれば,より高級な施設を建築できるようになったり,民度が向上して税収が上がったりするのである。
また,CivCity: Romeには,ローマ時代に限定したさまざまな
「不思議」(Wonders)が用意されており,闘技場や野外演劇場などの巨大施設を設置することで,街の価値を飛躍的に向上させられる。小屋が数階建てのアパートとなり,やがてマンションへと成長していく過程で,その建物に住む人が家族や奴隷を増やしていくといった,人間の営みを垣間見ることもできるのである。
残念ながら,Civilizationのように近隣にほかの文明が都市を建設しているという緊張感は,CivCity: Romeにはない。しかし,ローマ市民が幸福に暮らせるよう,機能的で贅を凝らした街並みに仕上げていくことで「文明レーティング」が決定され,プレイヤーの政治家としてのスコアが記録されるという趣向には,それ相応の緊張感があるだろう。
CivCity: Romeには,Civilopediaも添付されており,ローマ時代の人々の暮らしなど,絵付きで青少年向けの分かりやすい情報が満載になっている。Firefly Studiosの開発ディレクター,サイモン・ブラッドバリー(Simon Bradbury)氏は,7月のリリースに向け,E3後は数週間泊り込みでの最終調整にかかるとのこと。セールス次第では,「CivCity: London」のような
Civilizationを
題材にした都市建設シムの
外伝シリーズを
継続させていくことも
示唆していた。
シングルプレイヤーモードで,ゆったりと都市建設を満喫したい人にはお勧めの一作といえるだろう。(ライター:奥谷海人)