プレイレポート
予想外に奥深い戦闘/育成システムに注目。昨年末に行われた「モンスターファームオンライン」CBTのレポート記事を掲載
本作は,コンシューマゲームとして人気を博しているモンスターファームシリーズに連なるPCオンライン版で,多くのゲーマーから注目を集めている。CDやDVDといったディスクからモンスターを再生する(誕生させる)という独特のシステムはそのままに,パーティプレイやほかのプレイヤーとのコミュニケーションといった,オンラインゲームならではの要素が楽しめる。昨年末に行われたCBTの段階では,どの程度のゲーム体験が可能だったのか。その様子をお伝えしていこう。
モンスターを生み出す方法は二つ
“ディスク”か”円盤石”か
読み込ませるディスクによってモンスターの種族が決まっていた従来作品とは違い,MFOでは最初に生み出したいモンスターの種族を選び,その後に読み込ませたディスクによって,モンスターのステータスや特徴が決まるという形になっている。
CBTで選択できたモンスターの種族は,「ライガー」「コルヌー」「ピクシー」「アンテロ」「キキモ」「シグニール」「シグエ」「マムー」「パンチョ」の9種類。種族によって基本形となる容姿やステータス,性格が決まり,その後,ディスクを読み込ませることで容姿の細部や特徴が微妙に変化するというわけだ。
ちなみに,なかには特別なディスクでしか誕生しないレアモンスターもおり,それらは特別目立つ容姿をしている場合が多い。プレイヤーとしては,通常/レアを問わず,さまざまなモンスターを連れて冒険したいものだが,今後実装予定の種族に関しては,テスターの要望に耳を傾けつつ,順次追加していくそうだ。
また,CD/DVDディスクが読み込めない環境のプレイヤーに対しては,光ディスクではなく“円盤石”というアイテムを用いて,モンスターを誕生させる仕組みが用意されている。特別なモンスターを生み出すための円盤石も存在するので,いずれはプレイヤー間で取り引きされる可能性がありそうだ。なお,本作は基本プレイ料金無料のアイテム課金制で運営されることが決定しているので,円盤石が課金アイテムとして販売されることも考えられる。そのあたりの展開にも注目していきたいところだ。
ブリーダー達が集う“シディララマ”
人とモンスターが共存する楽園
チュートリアルを終えたのち,再び長老に話しかければ,晴れて見習いブリーダーとして認められる。これでフィールドへと繰り出せるようになるが,はやる気持ちを抑え,まずはタウン内を散策。CBTの段階では,消耗品が購入できる「雑貨屋」,モンスターのエサを販売している「食材屋」,ブリーダーやモンスターの装備が買える「仕立工房」「モンスター用具屋」などが実装されていた。アイテム類を販売しているお店以外にも,ブリーダーの自宅のようなエリアである「ファーム」や,モンスターの再生や転生,合体などが行える「神殿」,そして「闘技場」といった施設が存在した。
■雑貨屋
モンスターのHPや状態異常を回復するアイテムや,ブリーダーのガッツを回復するアイテムが販売されている。フィールドに出る前に,まずはここで準備を整えておくのが基本だ。ちなみに,通常のゲーム内通貨が“SP”で,“MP”はリアルマネーで購入する有料アイテム用の通貨だ。有料アイテムの概要は明らかにされていないが,どのようなものが導入されるのか楽しみである。
■食材屋
食材屋では,モンスターのエサが販売されている。モンスターには種族や性格に応じて好き嫌いが設定されているほか,肉類は「ちから」,野菜類は「精神力」,穀物類は「丈夫さ」という具合に,与えたエサによって伸びるステータスが変化する。
好物ばかりを与えるとステータスの成長が偏るし,嫌いな物を与えればモンスターは不機嫌になる。自分のモンスターをどのように育てていきたいか良く考え,与えるエサをチョイスしていきたい。
■仕立工房
上着やアクセサリなど,さまざまな装備を販売しているショップ。本作ではブリーダー自身が戦闘に参加することがないため,ステータス強化型の装備はあまり存在せず,どちらかというとオシャレ用の意味合いが強い印象を受けた。
直接戦闘に関わってくるのは「剣」「杖」「本」などの装備品くらいで,これらを装備すると,モンスターのスキルスロットが増える。
■モンスター用具屋
ブリーダー用の装備とは違い,こちらではモンスターの種族ごとに専用の装備品が販売されている。防御力などの表記がないため,ステータスに影響があるのかどうかは不明だ。
ビジュアルにこだわったオシャレ装備が多いように見えるので,恐らくはこちらも,基本的にはファッション性を重視したものなのだろう。
■ファーム
ブリーダーのマイホームともいえる場所。CBTでは家具を設置するくらいしかできなかったが,今後のアップデートにより,モンスターのトレーニング器具を設置したり,畑や植木からモンスターのエサを収穫したりできるようになるらしい。ブリーダーにとって,とくに重要な施設になりそうだ。
■大会会場
さまざまな大会が開催される予定の大会会場だが,CBTではNPCと戦闘し,勝利することでモンスターのグレードを上げていく「段位認定戦」のみプレイ可能だった。今後は3対3の「パーティ大会」や,見た目の美しさを競う「見た目コンテスト」などが開催される予定だという。
■神殿
モンスターを再生,合体,転生させる施設。CBTでは再生と転生のみが行えた。転生は,元となるモンスターの技を受け継いだまま,新しいモンスターを生み出すシステムで,年齢を重ねたモンスターをベースとするほど,継承する技が強くなるという。若いモンスターを転生させた場合,継承する技自体は弱くならないが,パラメータが低くなってしまうため,結果的に技の効果が弱くなってしまう。その点にはご注意を。
戦闘はすべてMOフィールドで行う
間合いの取り合いが熱い戦闘システム
MOタイプのRPGだと,ほかのプレイヤーとの狩り場の奪い合いが生じないので,比較的快適なプレイが楽しめるが,やはりほかのプレイヤーキャラクターと出会えないというのは,少々寂しく感じる。今後,初心者でもパーティが組みやすい環境やシステムが導入されていけば,MFOでの冒険はより楽しくなっていくだろう。
なおフィールドには,“ブリーダーランク”が一定以上でないと入れないなど,進入条件が設定されている場所もある。ブリーダーランクはクエストをこなし,長老に認められることで上昇していくパラメータだ。
実際にプレイしてみたところ,モンスターの育成をしつつ,積極的にクエストをこなしていれば,自然とブリーダーランクが上昇していく感じだった。
本作での戦闘は,プレイヤーキャラクターが,パートナーであるモンスターに指示を出すことで行う。
目標である敵をクリックしてターゲットし,画面右下にあるモンスター用のコマンド,またはショートカットキーで技を指定して,攻撃を繰り出す。
モンスターの技には近/中/遠の三段階の射程距離(ゲーム中では“距離帯”と呼ばれる)が存在し,その射程距離から遠すぎても近すぎても効果的ではない。また,モンスターごとに“得意距離”が存在し,それにうまく合わせるため,プレイヤーは「GO」「WAIT」「COME」という三つの命令でモンスターを移動させながら,敵と戦っていくのだ。
こちらに有利な間合いを確保したり,相手の射程距離を見切って攻撃を避けたりといった駆け引きは,実際にプレイしてみると,想像以上に面白い。画面レイアウトを見たときには,一般的なクリックタイプMMORPGの戦闘システムを想像していたのだが,いい意味で予想を裏切られた次第だ。
なお,ブリーダーはあくまでモンスターに命令する立場であり,自分自身が戦闘に参加することはない。その代わりに“ガッツ”というパラメータを消費することで,モンスターに技の指示を出す。このガッツが戦闘において非常に重要で,調子に乗って攻撃スキルを連発すると,ブリーダーが“ガッツブレイク”という気絶状態に陥る。その間はモンスターへの命令や,アイテム使用などのコマンドが一切行えなくなるため,敵から一方的に攻撃を受けてしまう。なので,戦闘中は常にブリーダーのガッツ残量に注意しなければならない。
ここまでの説明で分かるように,本作の戦闘はプレイヤースキルがある程度要求されるので,少々ハードルは高いかもしれない。しかし操作自体は比較的簡単だし,慣れれば敵の攻撃を避けつつ,こちらの攻撃を的確に当てていくという戦い方も可能になる。モンスターの力量差をプレイヤースキルによってカバーできる,完成度の高い戦闘システムといえるだろう。そういう意味では,後々実装されるであろう対人戦が,今から非常に楽しみだ。
“エサ”が個性を伸ばす
自由度の高いモンスターの育成
しかし,習熟度を上げているだけでは,能力自体は成長しない。モンスターにエサを与えることによって,初めて能力が上がる仕組みなのだ。食材屋の説明でも少し触れたが,エサによって上がりやすいステータスが違うので,適当なものを与えれていればいいというわけではない。
モンスターの「ちから」を効率的に伸ばしたいのなら肉類を,「かしこさ」なら魚介類を与える……といった具合に,最適なものを選ぶ必要がある。エサの相性やモンスターの腹具合によっては,ステータスが下がってしまったり,不機嫌になったりする可能性もあるので,エサやりはモンスター育成において,とくに注意すべき要素だろう。
また,能力だけが上がるわけではなく,モンスターにはレベルも存在し,ステータスの上昇値が合計で50になるたびに,レベルが1上がるという,少々複雑な仕組みになっている。レベルアップ時の恩恵はHPの増加のみで,ほかの能力に変化はない。
一般的なRPGのように,レベルアップを通じて能力を上げていくわけではなく,能力が上がるに従ってレベルアップするという変わったシステムも,本作ならではといえるだろう。
CBTで確認できた内容のレポートは以上だ。もう少し時間があれば,さまざまな光ディスクを使ってのモンスター再生検証なども行いたかったのだが……それは正式サービスがスタートしてからのお楽しみとして,取っておくことにする。
全体的な印象として,CBTの段階にしては「遊べる」要素が豊富だったように感じた。プレイヤースキルを存分に発揮できる戦闘システムや,ディスクから生み出される多彩なモンスター達。個人的には,コンシューマのモンスターファームシリーズの良い部分をしっかりと受け継ぎ,オンラインゲームとしてしっかり昇華できているように思えた。パーティマッチングシステムを初めとするコミュニティ関連機能は,コンシューマゲームからの派生タイトルだけに,心配せずともきっちりと整備されるだろう。
オープンβテストおよび正式サービス開始の暁には,ぜひともお気に入りの音楽CDやDVDからモンスターを再生し,「モンスターファームオンライン」の世界を思いっきり堪能したいものだ。
- 関連タイトル:
モンスターファーム ラグーン
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