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ATI,“7900 GS”対抗の199ドルGPU「Radeon X1950 Pro」を発表
ミドルレンジ向けに投入したRadeon X1600シリーズがGeForce 7600シリーズに完敗してからしばらくの間,ATIは単体グラフィックスカード市場のミドルレンジにおける有効な“武器”を持たなかった。「Radeon X1800 GTO」や「Radeon X1900 GT」などといった上位モデルの機能制限版も価格や流通の問題から成功せず,単体グラフィックスカード市場のミッドレンジにおけるシェアを失い続けていた同社だが,ようやく武器が完成したというわけだ。
■基本的には「R580の4分の3」になる
■RV570=Radeon X1950 Pro
さて,Radeon X1950 Proの特徴は,価格だけではない。ある意味最も重要なのは,Radeon X1900シリーズの名を冠しつつ,開発コードネーム「RV570」という,新しいGPUコアを採用している点である(表)。
したがって,FP16(16bit浮動小数点ユニット)を用いたHDR(High Dynamic Range)レンダリングや,高速動的分岐といったR580の特徴はそのまま受け継がれる。もちろん,リング状のバスにメモリを接続するRadeonシリーズ独自のアーキテクチャ「リングバスメモリアーキテクチャ」も健在だ。なお,採用するグラフィックスメモリは2006年秋時点で主流のGDDR3である。
ただしRV570には,R580と一つだけ決定的に異なる部分がある。それは製造プロセスだ。製造プロセスについての詳細は連載「ソフトにハードの物語」第2回を参照してほしいが,R580の90nmに対して,RV570では80nm。R580シリーズが課題として抱えていた消費電力面で,大幅な改善が期待できる。
また,プロセスの微細化というものは,単純に「縮小してみました」というものではない。RV570で細部の最適化が行われた可能性は十分にあり,この意味でもRadeon X1950 Proは,完全に新しいGPUといえるだろう。もっとも,完全に新しくなったことで,当初噂されていた2006年夏という発売時期から,大きく遅れてしまったという問題もあるのだが。
もう一つ,ゲーマーにとって注目に値するのが,ATIが「New Native CrossFire Technology」と別称を与えている,新しいCrossFireインタフェースである。
ハイエンドモデルでCrossFireを実現するに当たって,これまでは専用の外部ケーブルが必要だった。スレーブとなるカードのデジタル/アナログRGB(DVI-I)端子から,マスターカードの専用端子に接続するという形だったわけだが,ケーブルが硬すぎたり,専用端子の留め具が扱いづらかったりと,あまり褒められたものではなかった。
■搭載カードは遅くとも今週中に登場
■ヒートアップする2万円台の戦いは要注目
GeForce 7900 GSは店頭でもかなりの人気と聞く。いくらハイエンドのグラフィックスカードが性能で優れているといっても,4万円を超えるパーツに手を出せる人はそう多くないはずで,比較的手ごろな2万円台のカードが売れ筋になるのは当然だろう。そんなミドルレンジの価格帯に,ATIが「4万円を超える価格でデビューしたRadeon X1900 GTよりも高スペック」なGPUを投入してきたわけで,これは間違いなく注目に値する。
秋葉原ショップ筋の情報を総合すると,メーカーによって若干バラつくものの,店頭価格は2万8000〜3万2000円程度になる見込み。安価なものならGeForce 7900 GSと十分戦えるレベルだ。搭載製品は遅くとも今週中には店頭に並ぶ予定になっているので,Radeon X1900シリーズ初のミドルレンジ製品が気になるなら,まずはレビュー記事で,その実力を確認してみてほしい。(米田 聡)
- 関連タイトル:
ATI Radeon X1900
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