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  • 発表日:2006/01/06
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印刷2006/04/07 23:45

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[IDF-J 2006#2]PCベースのアーケード基板「TAITO Type X」の今後と,ノートPCの近未来コンセプトモデル

 2006年4月6日から7日にかけて行われた開発者向けカンファレンス「インテル・デベロッパー・フォーラム Japan 2006」(以下IDF-J 2006)では,講演と合わせて,Intelに関係する各社の新製品や,Intelの考える「次世代PC」のコンセプトモデルなどが展示される「デモ・ショーケース」が設けられていた。このデモ・ショーケース自体はIDF-J恒例なのだが,そのなかに4Gamerとして気になるものがいくつかあったので,ここでまとめてお知らせしておきたい。

■稼働日が迫る「HALF-LIFE 2 SURVIVOR」詳細と
「TAITO Type X」の今後

 まず紹介しておきたいのが,デモ・ショーケースの「通信インフラストラクチャー/エンベデッド・プラットフォーム・パビリオン」に展示されていた,タイトーのアーケード向けタイトル「HALF-LIFE 2 SURVIVOR」である。
 HALF-LIFE 2 SURVIVORは,4Gamer読者にはおなじみのFPS「ハーフライフ2」を,業務用(=アーケード用)に改良したもの。プレイ感などについてはAOU 2006のレポートに詳しいので,そちらを参照してほしいが,PCベースの業務用基板「TAITO Type X」上で開発され,動作しているのが特徴だ。

HALF-LIFE 2 SURVIVORの筐体(左)とシート(中央),ペダル(右)。シートに取り付けられたスティックのうち,左でキャラクターの前後/左右移動,右で視点移動と攻撃/武器交換を行う。足のところにあるペダルは左がしゃがみ,右がジャンプで,PCのFPSとはまるで異なる操作体系だ


 いくつかは上のレポートの繰り返しとなるが,ハードウェアの詳細がかなり明確に判明したので,それを説明しよう。
 マザーボードはそのものズバリ,TAITO Type X。シルク印刷までされており,ちょっとマニア心をくすぐる感じだ。チップセットはIntel 865Gで,HALF-LIFE 2 SURVIVORではCPUにPentium 4/2.80GHz,メインメモリがPC3200 DDR SDRAM 512MB×2となっており,拡張カードとしてRadeon 9800 Pro搭載グラフィックスカード(グラフィックスメモリ256MB)と,サウンドカード「Sound Blaster Audigy SE」が採用されている。
 Sound Blaster Audigy SEは,TAITO Type Xの標準仕様には含まれていない製品だが,タイトーのAM事業本部 AM開発部 VG開発チームの藤本貴文氏は,CPU負荷を下げるためと説明する。オンボードのAC’97 CODECでは,どうしてもゲームに影響のあるレベルでサウンド処理のCPU負荷が高くなってしまうための措置とのことだった。
 以前の記事から,HALF-LIFE 2 SURVIVORが5.1chサラウンドシステム「TXSURROUND」を採用しているのを覚えている人もいるだろう。一方,Sound Blasterといえば独自のサラウンドサウンド技術「EAX」が知られているが,HALF-LIFE 2 SURVIVORにおいて,EAXは用いられていない。Sound Blasterはあくまで,CPUの負荷低減目的で利用されているようだ。

 ちなみにHALF-LIFE 2 SURVIVORのロケテストはすでに終了し,現在は6月の正式稼働に向けて,ソフトウェア面の最終調整が行われている最中。ロケテストは好評で,とくに「ハーフライフ2の名前は知っていたが,自宅にプレイできる環境がなかった」「FPSをプレイしたことがなかった」といった人達が,リピーターになる率が高かったという。
 PC版FPSからのアーケード移植作としては,「カウンターストライク ネオ」が先行しているが,マウスとキーボードが用意されている同タイトルとは異なるアプローチで,“非FPSプレイヤー”を引き入れようとするHALF-LIFE 2 SURVIVORには,今後も注目していきたい。

 さて,2006年春の時点では,スペックが若干古めになってきたTAITO Type Xだが,次世代版の登場は 「まだ先」(藤本氏)とのこと。ただ,開発はもちろん進んでいるとのことで,2007年には何か動きがありそうだ。また,プログラマブルシェーダ3.0(Shader Model 3.0,以下SM3.0)対応という意味では,GeForce 7800 GS AGPがあるので,グラフィックスカードを差し替えればすぐにでも可能という見解を示していた。TAITO Type X対応タイトルがSM3.0世代のグラフィックスを投入してくる日は意外と近い可能性がある。

左:“HALF-LIFE 2 SURVIVOR仕様”のTAITO Type X筐体。写真下から2本めのPCIスロットに差さっているのがSound Blaster Audigy SEだ。ちなみに,セキュリティを確保するため,BIOSは独自のものが採用されている
右:専用筐体に採用されている液晶ディスプレイは32インチワイドタイプで,解像度は1360×768ドット


■将来のゲーム用ノートPCもこんな感じに?
IntelがノートPCのコンセプトモデルを展示

 このほか,来場者の注目を集めていたのは,デモ・ショーケースの「モビリティー・パビリオン」でIntelが展示していた,ノートPCのコンセプトモデルが挙げられる。以下,写真とともに説明していきたい。

12インチ液晶を搭載した「Montevallo 12”」の変化(へんげ)。目的に応じて液晶ディスプレイの位置を自由に変更できる。Intelとしては,飛行機のエコノミーシートなど,狭い場所でも快適に利用できることをウリにしていたが,電車の中などでも便利そうだ。なお,液晶ディスプレイを完全に写真右手前まで出して,映像を楽しんだりもできる
14インチ液晶を搭載した「Montevallo 14”」。一見オールインワンPCのようだが,実は「タブレットノートPC+スピーカー付きの大型クレードル」だったりする。外出先ではノートPCのキーボードとタッチパッドでも遊べるゲームをプレイし,自宅では机の上でお気に入りのキーボードとマウスを使って遊ぶ,というのはアリかもしれない
左は,すでに製品としてアナウンス済みのUltra Mobile PC(UMPC)の実機。中央と右の写真は,その将来のコンセプトモデルとして用意されていたものだ。液晶ディスプレイが回転するようになっており,90度回転させると,QWERTY配列のキーボードを利用できるようになる


 UMPCの実機を除いては,どれもあくまで「ノートPCの使い方の将来像」を提示するコンセプトであるから,このまま製品化されるわけではない。ただ,どれも「これでゲームができるなら面白いかも」とは,十分に感じられた。今後,無線LANなどが普及すると,さまざまな局面でノートPCを使用する可能性が高くなるはずで,こういったアイデアが“正しく”製品として結実すれば,ゲーマーとしても見逃せない存在になるのではなかろうか。ちなみに,個人的にはMontevallo 12”の実用性がかなり高いと感じた。

■実用化に向けて着実に進むワイヤレスUSB
ワイヤレスUSBのデモ。ノートPCの隣にデジタルカメラが置かれているだけ……に見えるが,ワイヤレスUSBで接続している
 デモ・ショーケースでは,USBをワイヤレス化する,ワイヤレスUSBに関する展示行われていた。そのなかで,最も完成度が高かったのが,Wisarという企業の展示である。
 同社は,ワイヤレスUSB対応デジタルカメラとワイヤレスUSBアダプタを利用して,デジタルカメラで撮影した画像を無線で転送し,さらに,ワイヤレスUSB対応ハブに接続した(ワイヤードの)プリンタから出力するというデモを行っていた。
 現時点では,日本国内において,ワイヤレスUSBが採用する無線通信技術「UWB」を利用することは法律的にできないのだが(会場内のデモは,実験局免許を取得して行っている),Wisarによれば,2006年7月には,国内でもUWBの利用許可が下りる見通しとのこと。近い将来には,ワイヤレスUSB接続のゲーム用入力デバイスなども登場してきそうだ。(石井英男)

左の写真がワイヤレスUSB対応ハブ。4ポートのワイヤードUSBポートを搭載し,接続したデバイスを“ワイヤレスUSBデバイス”化できる
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