レビュー
G-Tuneブランドから登場したRealforceの特徴を押さえてみる
G-Tune MASTERPIECE KEYBOARD
<Realforce108B-MP>
2010年第4四半期,そんな“ゲーマー向けRealforce”の新たな選択肢として,マウスコンピューターのゲームPCブランド「G-Tune」から,「G-Tune MASTERPIECE KEYBOARD<Realforce108B-MP>」(以下 MASTERPIECE KEYBOARD)が登場した。
G-Tuneの名を冠したゲーマー向けキーボードというのは,もちろんこれが初めて。今回は,PCのBTOオプションとしてだけではなく,単体購入も可能な本製品の特徴や使い勝手を掘り下げてみたい。
接続インタフェースはPS/2のみ!
当然のように全キー同時押しをサポート
今回取り上げるMASTERPIECE KEYBOARDは,「Realforce108」という,ワイヤードタイプで日本語108キー配列のフルキーボードをベースとしており,東プレ&G-Tuneコラボレートモデルと位置づけられている。
天板を取り外したところ(※天板の取り外しはメーカー保証外の行為です)。赤いシートが貼られている |
キーの隙間からシートの赤色がちらちらと覗く。本体は手前側でも18mmの高さがあるので,場合によってはハンドレストを用意したほうがいいかも |
サイズは公称455(W)×168.5(D)×39.6(H)mmで,幅と奥行きは実測でも同程度。公称の39.6mmという高さはキートップを含んだ値であり,キー取り付け面の高さは奥側が実測30mm,手前側は同18mmとなり,底面のチルトスタンドを立てると奥側は同45mmまで持ち上がる。前後中央が窪むステップスカルプチャ配列仕様のため,キーの高さは列によって異なるが,最も高いところで10mm前後,中央部分の最も低いところは6mm強程度だった。
標準でも十分な傾斜があり,傾斜に慣れている筆者には合っているものの,キートップまでの高さがややあるため,ハンドレストがあったほうが操作しやすいかな,という印象も受ける。ハンドレストは付属しないので,このあたりは各自工夫が必要かもしれない。
ただ,残念ながら,高級感はあまり感じられない。つや消し加工されたキートップは見た目も感触も良好だが,本体は樹脂の無垢で,ぱっと見てもムラが分かったりする。MASTERPIECE KEYBOARDに,価格なりの高級感を期待すると,裏切られるかもしれない。
Realforceシリーズでは,複数のキーが押された場合,その押下をすべて認識できるNキーロールオーバーに対応するが,USB接続モデルの場合,「すべての押下は検出されるが,PC本体が押下状態を認識できるのは同時最大6キーまで」という,仕様上の制限が付く。これに対してPS/2接続を採用したMASTERPIECE KEYBOARDでは,Nキーロールオーバーに加えて,すべてのキーの同時押下も可能になるわけだ。
筆者が試した限りでは,確かに,どのキーを同時に押しても,押下したすべてのキーが検出されていた。
PS/2のみの対応をこだわりと見るか,不親切と見るかは判断が分かれるところだろう。
不要なキーを使用不可にするストッパーと
雰囲気を盛り上げる(?)赤いキートップが付属
- キートップリムーバー
- キーストッパー
- 交換用色違いキートップ
が付属する。
ストッパーは4個付属するので,必要に応じて,右のアプリケーションキーなどを無効化したりするのもアリだろう。
いかにもRealforceらしいキー押下感
45gという重めのバネは好みが分かれるか
キーの押下圧は公称45g(±15g)で統一。錘(おもり)を使った実測では,50g前後で沈む込むようだ。[Shift][Enter]キーはやや軽く感じられたが,仕様上はあくまでも,すべてのキーで45gである。
Realforceシリーズのキーボードは基本的に,キーの場所によってバネ圧に変化を付ける可変荷重を採用しているが,ゲームによっては多くのキーを使い分ける必要があり,そのとき,操作性に違和感をおぼえる可能性があることから,統一荷重になっているのだという。
可変荷重を採用しなかった理由はまあ納得といったところだが,45gという重さは賛否が分かれそうだ。とくに,冒頭で紹介したDHARMA TACTICAL KEYBOARD(DRTCKB91UBK)の場合,「キータッチが軽すぎて,人によっては文字入力しづらくなることもある」のを覚悟のうえで,ゲーム用途での快適性を追求し,30g統一荷重のキースイッチを採用していた経緯があるだけに,「軽いほうがいい派」には向かない可能性もある。
もっとも,G-TuneのゲームPCはオンラインRPGの推奨を取得しているものが多いだけに,文字チャットも前提に,より汎用性を追求したと解釈すれば,理にかなっているともいえる。いずれにせよ,MASTERPIECE KEYBOARDのキー荷重は,一般ユーザー向けのPC用キーボードよりやや軽い程度で,最近のゲーマー向けキーボードとして見ると,やや重めということは憶えておく必要がありそうだ。
キーストロークは公称4mmとされているが,これは押下しきったときのデータで,実際にはその半分,2mm強程度押し込んだところで反応するようだ。慣れるまでは,すべてのキーを底まで押してしまって,コツコツコツ……と,普通のキースイッチとは少し異なる感覚になるのだが,慣れてくれば軽く操作できるようになる。
一般的なゴムキャップ式のバネは,「押し始めに抵抗があり,押されると軽く沈む」という具合で押下圧に変化があるのだが,Realforceのバネは押下圧に変化がないので,45gという荷重が,いつも以上に強く,抵抗として感じられている可能性がある。
ただ,比較的浅い位置でキーが反応してくれるので,浅く操作するクセが付くと,俄然素早く操作できるようになるのも確か。底付きのコツコツコツという感覚を減らすよう,意識して浅めに操作してしていると,操作が俄然スムーズになるので,このあたりは慣れが必要だろう。ただ,45gと30g,どちらのほうが慣れやすいかというと,筆者は30gのほうに軍配を上げたい。
なお,当然ながら同時押し周りは言うことなし。移動やリロードに引っかかるということがなく,安心感は抜群である。
ライバルは既存のRealforceシリーズか
この仕様が合うか合わないか慎重に検討を
純粋にアクションゲームにおける使い勝手だけなら,もっとも安価な製品にも複数の選択肢がある。そう考えるに,MASTERPIECE KEYBOARDは,Realforceベースの静電容量無接点方式にこだわる人向けということになるだろう。もっとはっきり書くと,MASTERPIECE KEYBOARDのライバルは,市場投入されているそのほかのRealforceシリーズであり,MASTERPIECE KEYBOARDは,「日本語108キー仕様の45g統一荷重で,PS/2接続仕様で,キーストッパーと交換用キートップが付属する」Realforceであることに魅力を感じる人向けの製品,ということになる。
ゲーム用キーボードとしてRealforceシリーズの日本語108キーモデルを検討している人には,ほかの同種製品と慎重に比較検討することを勧めたい。そのうえでMASTERPIECE KEYBOARDに辿り着いた人にとっては,2万5000円の価値があるキーボードとなるだろう。
MASTERPIECE KEYBOARD販売ページ
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