インタビュー
年末年始にかけて怒濤のアップデート/イベント展開!「ペーパーマン」運営チームインタビュー
「ペーパーマン」プロデューサー 関 芳樹氏 |
「ペーパーマン」ライツプロデューサー 紙野氏 |
「ペーパーマン」GMへびメタ氏 |
地域に根ざしたコミュニティの形成を目指し
全国のネットカフェ巡業に再注力
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回は,ペーパーマンの現状と,運営開発における2012年9月以降の取り組みについて,お話を聞かせていただけるとのことですが。
関 芳樹氏(以下,関氏):
ところが2012年は,ペーパーマン最大の強みであるはずのキャラクター展開が手薄になっていました。水面下では動いていたのですが,なかなかきちんとした報告ができない状態だったんですね。そこで,2013年2月に4周年を迎えることに先駆け,キャラクター展開を含むファンサービスを強化すると共に,ゲーム内の利便性を向上していこうと考えたんです。
4Gamer:
確かに,2011年のアニメ以来,キャラクター展開はおとなしかった印象がありますね。
関氏:
おっしゃるとおりです。ただ,オフラインイベントの開催数という面では,ペーパーマンは日本のオンラインFPSとしては最も活発なんですよ。年2回,大きなイベントを開催していますが,それ以外にも公認ネットカフェの協力を得て,全国で年間100回以上開催した年もありました。
4Gamer:
年100回……平均すると週2回開催ですか。かなり力が入っていますね。
関氏:
またペーパーマンは,ゲームの特性上,リアル系FPSと異なり,弾を当て続けないと相手を倒すことができません。そのためエイミングが鍛えられるのか,実はリアル系FPSよりも優れた実力を誇るお客様も多いんです。
実際,2010年開催のオフラインイベント「FPS甲子園」では,オンラインFPS各タイトルの強豪クランを押さえて,ペーパーマンのチームが優勝しました。ただ現状では,そういった実力者を称えるような場が少なく,アピールしきれていない感があります。
そういったことから,今回,あらためてオフラインイベントに注力していきましょうと考えたわけです。
GMへびメタ氏:
4Gamer:
年間100回というと,ゲームの公式イベントがあまり開催されない地域もまわっているのでしょうか。
関氏:
そうです。店舗主催のイベントもあるので全てに運営チームが行ける訳ではないですが,顔を出した会場ではお客様も非常に喜んでくださって,GMへびメタなんかは会場で配布したグッズにサインを求められていましたね(笑)。
紙野氏:
せっかく作った会場限定グッズなのに……。
GMへびメタ氏:
自分でも「こんな男のサインで本当にいいんですか?」と思うことがあります(笑)。
紙野氏:
オフラインイベントは,回を重ねるごとに来場者数が増えていますし,途中で会場限定グッズを増産したこともありました。
GMへびメタ氏:
1年前と比較して,2倍以上のお客様がいらっしゃった会場もあったほどで,運営としてはいくら感謝しても足りないくらいです。
2012年9月に待望の「ペーパーロッカー」導入
そして「GREASEGUN」の性能も復活
4Gamer:
ゲームそのものでも,2012年の年末にかけて,毎月のようにアップデートが行われるそうですね。
関氏:
すでに9月に行った内容を紹介していくと,まず不正防止ツールを「XIGNCODE」に変更しました。セキュリティの都合上,どこが優れているかという話はできないのですが,動作は以前のものより軽くなっています。もちろん,これをもって不正対策が完了したわけではありません。今後,よりよい環境を構築していくための第一歩と捉えてください。
4Gamer:
そのほかでは,「ペーパーロッカー」システムも導入されましたね。
関氏:
このシステムは,通常のインベントリとは別に,アイテムを最大700個まで預けられるというものです。ペーパーマンは3年以上前に設計されたゲームですから,正直なところ,今となってはかなり古いシステムを使っています。この先5年10年とサービスを続けていくことを考えた場合に,何らかの形で新しい機能を追加していかなければ,限界が来てしまいます。
そこでまずは,ペーパーロッカーという形で,新しいストレージ機能を追加したわけです。このシステムを使えば,全12キャラのキャラ別のアイテム管理も,かなり快適になります。
4Gamer:
スキルスロット機能の拡張についてはいかがでしょうか。
関氏:
ペーパーマンでは,「ペーパズル」を組み合わせて移動速度上昇やリロード速度上昇などのスキルを発動します。しかし,これまではパズルの組み合わせを保存できず,別のスキルを使うために,毎回,組み合わせを直さなければなりませんでした。これでは連戦するときに大変ですから,最大5種類まで組み合わせを保存し,迅速に発動スキルを変更できるようにしました。
4Gamer:
最大5種類ということは,5スロットまで所持できるわけですね。
関氏:
はい。ゲーム内通貨のPGやCASHを使用することで,スロットがアンロックされていき,最大で5つのスロットが使えるようになります。
4Gamer:
ゲーム以外の部分では,「ネットカフェシステム」というのも追加されましたが,こちらについてもお聞かせください。
関氏:
これは,以前から一部の公認ネットカフェで利用できたシステムなのですが,総プレイ時間や総利用者数に応じて,店舗ごとに特典を付けられるというものです。例えば,同じ武器でも少し代金が割引されたり,報酬が多くもらえたりといったメニューがあるのですが,その中から,店舗ごとに任意で特典を選べます。
これは先ほどお話した,地域ごとのコミュニティを活性化させることを目的とした施策です。運営開発チームでも,「この週はどこそこの店舗でこういう特典が付きます」といった情報を公開し,より多くのお客様が利用できるようにしていきます。
4Gamer:
分かりました。
あと,プレイヤーとして見逃せないところでは,武器のバランス調整が行われましたね。
関氏:
今回の調整の目玉となったのは,サブマシンガンの「M3 GREASEGUN」です。この銃は以前,ほぼすべての武器をバランス調整したときに下方修正することになったものなんですが,「元の性能に戻してほしい」というリクエストが非常に多かった武器です。今回,ようやく元に戻すことができました。
4Gamer:
以前の調整では,問題があったから下方修正されたわけですよね。それを元に戻して,全体のバランスは保てるんですか?
関氏:
実のところ,以前の調整では,M3 GREASEGUNが直接問題になったわけではないんです。問題のあるほかの武器との兼ね合いで,M3 GREASEGUNも性能を下げざるを得なかったというのが真相です。
とはいえ,今回性能を戻すにあたっては,開発スタッフとも慎重に検討を重ねました。おかげさまで非常に反響がいいので,今後もお客様のリクエストを踏まえた調整を心がけていきます。
2012年10月はクラン活動の指標となる「クランランカーシステム」を導入
4Gamer:
続いて,2012年10月実施予定のアップデートについて教えてください。
関氏:
4Gamer:
クエストを受託したあとは,普通にプレイして条件を満たせばクリアできるんですよね。
関氏:
そうです。お題は数百種用意しているので,ぜひ挑戦してほしいと思います。このシステムは,普段クランで遊んでいるお客様が,例えばいつもと違う時間帯にログインし,一人で遊ぶことになったときなどに,プレイの目標にしてもらえればと思います。
4Gamer:
分かりました。ほかには,「クランランカーシステム」というものも予定されているようですが。
関氏:
これは以前からお客様の要望が多かった,クランの存在意義をより大きくするためのシステムです。ペーパーマンでは,PMC(PaperMan Championship)やPMフェスを開催することでクラン活動を促進してきたのですが,その一方で,普段のプレイの中でクランを意識させる施策を行ってきませんでした。
このシステムでは,どのクランが強いのか,どのクランを目標にすればいいのかといった指標を提示します。4か月に一度,ランキング用のオンライン大会が実施され,モードごとに各クランがS/A/B/Cとランク分けされます。
また「上位ランカーに挑め!」といった感じのイベントも企画していますし,あるいはオフライン大会でも,「スチールモードのSランククラン同士を競わせる」といったことを考えています。
4Gamer:
ペーパーマンに,競技的な側面が付加されると。
関氏:
そういうことです。今後は,上位ランカー限定装備を提供するなど,より競技として盛り上がるような施策を考えています。
4Gamer:
なるほど。プレイヤーに新たなモチベーションを与え得るシステムですし,実装後の反響が楽しみですね。
関氏:
そのほか,一般的なオンラインFPSでいうところの「今すぐプレイ」に相当する,対戦に即参加できる「クイック入場」機能も実装予定です。オプションでモードを指定しておくと,わざわざ探さなくても,空いているルームに自動で参加できます。
2012年11月はプレイヤーのリクエストに応え,利便性の向上を図る
4Gamer:
それでは,2012年11月のアップデート内容についても,可能な範囲で教えてください。
関氏:
まずは「チームシャッフル」機能を追加する予定です。ペーパーマンでは最大8対8のチーム対戦を楽しめますが,例えばクランメンバー限定で遊んでいるときに,同じメンツでチーム分けだけ変えて連戦したいということがありますよね。この機能を使えば,わざわざロビーに出ることなく,チーム編成をランダムで変えられます。
4Gamer:
なるほど,確かにこれは便利ですね。
関氏:
ペーパーマンは,レベルや戦績といったデータと,実際のお客様の技量がかけ離れているケースが多く,自動マッチングがそれほどうまく機能しないんです。そのため,基本的にはランダムでシャッフルします。
実は,このチームシャッフルは,今回の一連のアップデートでも,かなりリクエストの多い機能なんですよ。
GMへびメタ氏:
ひょっとすると,要望の第1位かもしれません。それくらい,多くのお客様が望まれている機能です。
4Gamer:
熱心に遊んでいる人ほどありがたい機能かもしれませんね。ちなみに要望として目立つものとしては,ほかにどのようなものがありますか?
GMへびメタ氏:
お客様からの要望という意味では,「タイムリミット」が該当すると思います。
4Gamer:
それは新モードか何かですか?
関氏:
もう一つ,これも一部のお客様ですが,特定のモードで意図的に放置することで,戦績を調整される方がいます。タイムリミット機能には,そういったお客様を自動的に退出させようという狙いもあります。
4Gamer:
なるほど,ゲームの盛り上がりにも直結しそうな機能ですね。
関氏:
ゲームの盛り上がりといえば,チャットシステムにも手を加える予定です。現在の仕様では,チャットの最中にショップに行ったり,あるいはチャットのタブを変更したりすると,その間のチャットが見られなくなってしまうんです。例えばクランチャットの最中に買い物をしたら,その間に行われたクラン内の決定を見逃してしまう……ということも起こり得ました。その問題に対して,チャットログの閲覧機能を実装するなどして対応する予定です。
2012年12月は,新モード「占領戦」登場。「ペーパーマン」独自の対戦を目指す
4Gamer:
ここまででも盛りだくさんの内容ですが,2012年12月にも,何らかのアップデートが行われるわけですよね?
関氏:
そうなんですよ。年末年始のプレイ需要の増加を踏まえ,新モード「占領戦」と「シングルモード 2」の実装を予定しています。
4Gamer:
おお,それは大きな内容ですね。占領戦は,いわゆるキャプチャー・ザ・フラッグのようなルールですか?
関氏:
はい。基本的には2チームに分かれて領域を奪い合う内容ですが,ペーパーマン独自の,キャラクターが風で浮いたり,濡れて移動速度が落ちたりといった要素を生かすことを意識しつつ,開発を進めています。「ペーパーマンと言えば占領戦」といわれるくらいのクオリティを目指しており,2013年開催の大会では「爆破」と並ぶ一つの競技として,お客様に挑んでいただけるよう,バランスやマップの調整を行っています。
紙野氏:
もう一方のシングルモード 2は,文字どおりシングルモードの第2弾です。冒頭でもプロデューサーの関がご説明したとおり,現在,ペーパーマンでは,最大の特徴であるキャラクターを生かしきれていません。
シングルモード 2からしっかりとキャラクターのバックグラウンドやパピルス王国の全容などのストーリーを絡めていこうというのが,今回の施策です。
関氏:
2012年11月ごろから特設サイトにて,グッズ展開やキャラクター展開といった情報が公開されていきます。
紙野氏:
先行して,2010年にテリシアのキャラクターソングを発表したり,PVを作ったりしましたが,彼女以外の全キャラクターも,同じように展開していきます。
4Gamer:
なんと,ずいぶんと力の入った展開ですねぇ。まずはどのあたりのキャラクターから展開していくんですか?
関氏:
シングルモード 2では,第1弾としてハヤテとティナをフィーチャーしています。二人のファンはぜひ期待していてください。
4Gamer:
分かりました。
ちなみに同時展開するグッズには,どんなものがあるんでしょうか。
紙野氏:
またこれに先立って,2012年7月から,Amazon.co.jpを介してペーパーマングッズの通信販売を開始しています。これまでオフラインイベントでしか販売してこなかったグッズも,1年中お買い求めいただけるようになりましたので,これからどんどん盛り上げていきます。
4Gamer:
グッズの需要はかなり大きいんですか?
関氏:
はい。おそらくオンラインFPSとしては異例なんでしょうが,全国のネットカフェでオフラインイベントを開催すると,グッズのお問い合わせが急増するんです。そこで,より多くの皆さんに喜んでいただこうと,グッズ展開を拡充しました。
4Gamer:
幅広い年齢層に支持されているペーパーマンだからこそ……という感じですね。ちなみに,今後のオフラインイベント動向についても,可能な範囲で教えていただけますか。
GMへびメタ氏:
また会場では,低年齢のお客様が楽しめるような施策や,会場に足を運べないお客様がオンライン配信で楽しめるような企画という部分にも,力を入れてきたいですね。
関氏:
ペーパーマンは4周年を迎えようという息の長いコンテンツですし,全国各地の地域コミュニティが盛り上がっているコンテンツでもありますので,「あの場に立ちたい」「優勝したい」と思っていただけるような内容のイベントにしたいですね。
4Gamer:
あと,最後に一つ聞かせてください。2013年2月に,周年記念恒例の新キャラは登場しますか?
関氏:
そのあたりは,年末くらいにあらためてお話できるかと思います。
4Gamer:
分かりました。それでは2012年末に向けての意気込みなどをお願いします。
GMへびメタ氏:
ネットカフェ巡業で全国各地を回ると,ペーパーマンは本当に若いお客様に支えられているんだなぁと実感します。皆さん,機会さえあれば,イベントに参加したいと思っていらっしゃるんですよね。オフラインイベント担当として,もっともっと皆さんと実際にお会いできるように,さまざまな企画を行っていますし,お客様主催の大会などにも積極的に協力させていただきます。機会がありましたら,ぜひ会場に遊びに来てください。
紙野氏:
2012年以降は,さらにペーパーマンの世界観やキャラクターを掘り下げ,その魅力を広めていきます。お客様が,よりペーパーマンを好きになってくださるよう,グッズ展開にも今まで以上に注力していきますので,今後ともよろしくお願いします。
関氏:
GMへびメタやライツプロデューサーの紙野を筆頭に,ペーパーマンの運営開発チームは,今後も長くサービスを続けていきたいと考えています。そのためには,お客様のリクエストに基づく環境の整備を行い,同時により楽しんでいただけるコンテンツやオフラインイベントの企画を進めることが重要です。当面の目標は10年を超えるサービスの提供です。ぜひ皆さんからもガツガツとご要望をいただき,ガツガツとオフラインイベントでお会いできるような関係を構築したいと考えています。
2013年2月に4周年を控えたペーパーマンだが,さらなるシステムの改善や新モードの追加といったアップデートを図り,人気グッズの販路も確保し,全方位隙なしでプレイヤーのリクエストに応えている印象を受けた。2012年末に発表されるかもしれない,周年記念恒例の新キャラクターの登場にも期待が高まるところだが,まずは一連のアップデートを通じて,さらに遊びやすく,競技性の高まるペーパーマンを遊び倒してほしいところだ。
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