インタビュー
8月17日ついにアニメ公開! 「ペーパーマン」メインキャスト&運営プロデューサーにアニメの話を聞いてきた
2011年5月に開催された「第3回 秋葉原PCゲームフェスタ」では,ついに「アニメ化」が発表され,ファンを沸かせたことも記憶に新しい。
そのアニメ版「ペーパーマン」が,いよいよ8月17日に公開される。このたび4Gamerでは,同アニメのアフレコ現場にて,ガイ役の檜山修之さん,リカ役の植田佳奈さん,ドッドン役の岡崎雅紘さんにインタビューを行う機会を得た。さらにはペーパーマン運営チームのプロデューサー関 芳樹氏,テリマネ・ヘウォン氏にも合わせて話を聞いてきたので,まとめてお届けしよう。
「ペーパーマン」公式サイト
アニメ版「ペーパーマン」メインキャスト インタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずはアニメ版ペーパーマンの収録を終えて,演技するときに気をつけた点や苦労された点を教えてください。
ゲームのときのペーパーマンもそうですが,ガイには「これ」と決まったキャラクター設定がありませんから,そこは少し考えました。これまで多種類のキャラクターを演じて培ってきた経験の中のどのラインで演じるのか,というようにね。ただ,それも苦労というほどではありません。変な意味ではなく,いつもどおり収録に臨めたと思いますよ。
植田佳奈さん(以下,植田さん):
私が演じたリカは,ドラマCDには登場しなかったので,キャラ作りを考えるところから始めました。リカはそんなにセリフが多いキャラクターではないので,やりすぎないように,けれども地味にならないようにと,振り幅を考えて演じました。
岡崎雅紘さん(以下,岡崎さん):
ペーパーマンのサービスが始まってから,それなりの時間も経っていますし,これまでにさまざまなタイプのボイスが追加されています。なので今回は演じる前に,最初に録ったキャラクターのボイスがどういうものかを思い出すため,ゲームにログインして確認しました。皆さんが思い描いている世界観と,今回自分が表現しようと思ったものが一致していれば幸いですね。
4Gamer:
キャラクターを“作る”ときは,ご自身の経験から似たようなキャラクターを持ってくるのでしょうか,あるいはまったく新しい引き出しを作るのでしょうか。
檜山さん:
自分の引き出しから探すことはありますが,やはり能力にも限界はあります。ですからほかのキャストの方からインスピレーションを受けるなど,ありとあらゆる手を使ってやりますよ。
一般的なアニメでは「こいつはこういうキャラ」というようにカラーは一つでいくんですが,ゲームのペーパーマンでは1キャラにつき6パターンを演じたりすることがあって,オリジナルがよく分からなくなることもあるんです。ある意味いろんな方向に迷走しているんですが,それに従ってキャラクターそのものも広がっていくのは面白いですね。
私はキャラクター表をいただいてから,「こういう感じかな?」といったふうにイメージしていくんですが,現場で臨機応変に対応できるように,作りこみすぎないように気をつけています。リカに関しては,笑い声をちょっとずつ変えながら演技していますので,ぜひ注意して聞いてみてください。
岡崎さん:
ドッドンのベースとなるキャラクターはいるんですが,同じキャラクターを複数のイメージで演じる場合は,まったく違うものを演じるべきなのか,当人のオリジナルを残しつつ別の人格を演じるべきなのか,悩んだ記憶がありますね。
4Gamer:
アニメは,キャストの皆さんが揃って収録されたと思いますが,現場でのエピソードなどありましたら教えてください。
檜山さん:
エピソードとは違うけど,芝居って「僕が投げる」「相手が返す」「そして僕が受ける」という相乗効果で盛り上がっていくものだと思うんです。ゲームを作っている方に向かってこんなことを言うのは申し訳ないのですが,ゲームの音声は芝居っぽく入れていれているだけなんです。
本来,芝居というのは掛け合いで成立するものですから。そういった意味では,今回の収録は楽しかったですし,「芝居はこうじゃなきゃいけない」とも思いましたね。
植田さん:
アフレコ以外の話になるんですが,私はティナ役の藤田 咲ちゃんとよく一緒に旅行に行くんですよ。でも一緒にお仕事をしたことはあまりなかったので,今回ご一緒できたのは嬉しかったです。
共演者とのエピソードというよりは,収録現場を見ての感想になるんですが,やはりゲーム音声の収録ですと,ほかの役者さんと会うことがあまりないんです。檜山さんが仰っていたように,掛け合いで生じるリアリティや,深まる世界観というものが,アニメ版ペーパーマンにはあると思います。
4Gamer:
最後になりますが,今回のアニメを楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをいただければと思います。
檜山さん:
「ペーパーマン」はすでにドラマCDがあり,次はアニメにもなります。今回のアニメは,時間はそれほど長くないし,顔見せのような意味合いの強い作品になるかとは思いますが,確実にステップアップしています。徐々にですが,ペーパーマンはコンテンツとして成長しているんですね。僕や共演者,スタッフの皆さんも「この歩みを止めたくない」と考えていると思っています。
実は,アニメの題名に「バトル1」と書いてありましたので,「2」とか「3」とか続編があることも十分に考えられます。このアニメは配信という形ですが,今後より身近なコンテンツにしたいという野望もあります。ぜひ良い反響をいただき,「ペーパーマン」が次の一歩を踏み出すための,材料の1つになってくれればいいですね。ここがゴールではありませんが,とりあえず今回のアニメを見て楽しんでもらえればと思います。
植田さん:
私が演じたリカというキャラクターはペーパーマンの中では新参者ですから,これからも活躍していければいいなと思っています。今回のアニメーションを皆さんより一足先に見ましたが,動いているキャラクターをもっともっと見たくなるし,戦闘シーンやキャラクター同士の関係性もますます知りたくなる作りになっています。ぜひアニメを見ていただいて,これからも末永く「ペーパーマン」を応援してください。
岡崎さん:
「目指せ! 地上波!」,以上です。
4Gamer:
ありがとうございました。
ペーパーマン運営チームインタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは「ペーパーマン」がアニメ化されるに至った“きっかけ”を教えてください。
関 芳樹氏(以下,関氏):
アニメ化に関しては,昨年行った「テリシアメジャーデビュー大作戦」という企画が,そもそもの発端になっています(参考記事)。その企画を立てた当初から,「アニメ化したいよね」という意識がチーム全体にあったんです。「主題歌をやったらアニメをやろう」という話もありましたが,FPSでアニメを作るなんて前例がないですよね。
まずは「キャラクターの価値観やキャラクター性の部分を,もっと濃く出せるようになってからやろうよ」という話になり,音楽CDの次はドラマCD,というステップを踏みました。ドラマCDではキャラクターをアピールしたところ,お客様からの評判も良かったんです。そこでいよいよ,目標だったアニメ化を実現しようと動き始めたのです。
テリマネ・ヘウォン氏(以下,テリマネ氏)
テリシアメジャーデビュー大作戦のときは,テリシアのビジュアルを生かしてファンの皆さんにアピールし,次のドラマCDは声で各キャラクターの関係性などを表現しました。そして今回は目で見てもらって,「こんなエピソードがあるんだ」ということを強調したいと思っています。
4Gamer:
そういえば,ペーパーマンといえば名前のとおりキャラクターが紙ですが,アニメではどうなるんでしょう……?
関氏:
もちろんペラペラの紙にしました。アニメでもそれはしっかり表現されています。例えば,現実のスパイが身を隠すとしたら物陰などを選ぶじゃないですか。でも新キャラのリカは並んでいる自動販売機の隙間に入って隠れたりするんです。ペーパーマンならではのコミカルな表現がたくさん見られますよ。
4Gamer:
今回のアニメーション,6分という短い尺にした理由があれば教えてください。
関氏:
例えば30分程度のアニメを作る場合,ペーパーマンの世界観であるとか,キャラクター達がどうやって暮らしているのかを描くと思うんです。そういう部分はドラマCDである程度表現しましたから,今度は「戦闘に入る前」を描こうと決めました。
ゲームでは,戦闘に入る直前にキャラクター達が何をしているのかは分かりませんよね。現実でも,スポーツ選手が試合前に声をかけあったりしますが,そういうものをペーパーマンで描いてみようと思いました。
銃を準備する人,のんきにお風呂に入っている人といろいろいますが,とにかくそこにフィーチャーして,短いバージョンにしました。時間は長くありませんが,制作当時に登場していたキャラクターが登場しますよ。
4Gamer:
今回のアニメはWebで配信されるとのことですが,プロモーションやキャンペーンなどはどういったことを考えていますか?
関氏:
アニメにはゲーム内で実装されている武器が出てくるんですが,何点かの武器はオリジナルのカスタマイズが施されています。それをゲーム内でご購入いただけるように,アニメに登場するカスタマイズモデルをゲームにも実装します。ゲームとアニメの連携ができれば,よりプレイヤーの皆さんに喜んでいただけると思い実施した施策の一つですね。
今回のアニメの中では,サイラスというキャラクターが,ロングマガジンとスコープが装着されたデザートイーグルを使っていますし,ミリィというキャラクターはM4A1のカスタマイズモデルを使っています。また,あるシーンではバスタオルとシャワーキャップを着用したティナがボディブラシを投げつけたりするんですが,これらを「アニメパッケージ」のような形で販売するつもりです。
4Gamer:
ゲームとアニメの連携というのは面白い試みですね。
テリマネ氏:
ちなみにWebサイトやメディアに公開するアニメは,完全版ではなくショートバージョンになっていて,アニメパッケージを購入すると完全版をダウンロードできるようになります。
4Gamer:
では次にアニメ制作に関して印象深いエピソードをがあれば教えてください。
関氏:
アニメ化にあたって制作スタジオに絵コンテなどを描き下ろしてもらったんですが,最初にできたバージョンはピンときませんでした。それで,制作チームのなかでも意見をぶつけ合ったり,プレイヤーの皆さんが掲示板で「このキャラクターはこうでしょ」などと議論している部分を反映したりしつつ,しっかりとしたキャラクターを構成できるように会議を重ねたのが印象深いですね。
4Gamer:
アニメ制作には,ゲームポットのスタッフも関わったのでしょうか?
関氏:
ペーパーマンのボイス収録や今回のようなアニメのディレクションは,自社開発なので企画を立てたメンバーが関わるようにしています。収録の現場には担当企画メンバーも来ていますし,私自身が来ることもありますね。現場ではマネージャーやディレクターに話して,「こういう風にやってほしいんです」とディレクションすることもありますよ。
テリマネ氏:
今回のアニメのアフレコには私も立ち会いました。声優さんの声のトーンがちょっと上がるだけでも印象はすごく変わりますから,みんなで相談して,必要ならばセリフの調整も行い,キャラクターの特徴をできるだけ引き出したつもりです。
4Gamer:
気が早いかもしれませんが,今後,アニメの続編を作るといった考えはありますか?
テリマネ氏:
次につなげられるかは結果次第ですね。今回のアニメの評判にもよるんですが,キャラクター性に関してはほかのFPSには真似できない部分なので,要望があったり,効果が見えたりすれば,続けていきたいと思っています。
4Gamer:
それではペーパーマンの今後の展開を教えてください。
関氏:
タイトル名はまだ出せませんが,コラボレーションが1タイトルすでに決まっています。また,今年の12月にはシステムアップデートで大きなものも予定していますよ。来年2月の3周年に向けて,より一層盛り上げていこうと思っています。
4Gamer:
12月に実装されるシステムは,「スイッチウェポン」「オークションシステム」の2点でしょうか?
関氏:
それ以外にも「AIシステム」の実装を予定しています。これはプレイヤーではなくBOTを相手に戦えるモードですから,ゲームに不慣れな人の練習用としてもいいですね。ほかにもお客様からは要望をたくさん頂いていて,その部分をしっかり叶えていきたいです。
あとは,今回のアニメもそうですが,コラボレーションなどをとおして「ペーパーマン」を多くの場所にアピールできるよう展開していければと思っています。
4Gamer:
最後に,今回のアニメを楽しみにされているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
関氏:
プレイヤーの皆さんの期待を裏切らないように,いろいろなところから意見を集め,チーム全体で会議を行い,過去のボイス資料を入念に調べてから作り上げた作品ですから,ペーパーマンの世界観とキャラクターが好きな方を裏切ることはない出来になっていると思います。
見て楽しんでいただくことはもちろんですが,それを友達や仲のいい人と共感してもらえれば,より嬉しいです。
テリマネ氏:
私には,ペーパーマンはただのオンラインゲームに留まらせず,もっといろいろな方向に広げていきたいという夢があります。この夢を実現するために「テリシアメジャーデビュー大作戦」を企画し,ドラマCDを制作してきました。そして,それに続くのが今回のアニメになります。
アニメが完成した現状,次は何をすればいいか悩んではいますが,プレイヤーが求める声にしっかり耳を傾けていきたいと思っています。同時に,今後も新しいことにチャレンジしていきたいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
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