インタビュー
「ペーパーマン」が今度はドラマCDに? その意図をディレクターとプランナーに聞いてみた。豪華声優陣からのメッセージも掲載
そこで4Gamerでは,ドラマCDの収録現場にお邪魔して,ペーパーマンのディレクターである関 芳樹氏と,ゲーム本編のプランナーにしてドラマCDのプロデューサーを務めた國安秀隆氏に,企画意図や今後の展開構想などを聞いてみた。
「ペーパーマン」公式サイト
ゆくゆくはアニメ化も? キャラクター主体のプロジェクト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは今回のドラマCDについて,企画意図などを教えてください。
國安秀隆氏(以下,國安氏):
「ペーパーマン」ディレクター 関 芳樹氏 |
「ペーパーマン」プランナー 國安秀隆氏 |
そのあと,次は何をしようか考えたんですけれども,まずペーパーマンはFPSですから,キャラ同士の絡みが少ないんですよね。そこで,皆が絡めるような内容のものがいいだろう,と。そのアイデアをさらに進めて,ドラマCDなら皆が絡んでワイワイ騒げるんじゃないかという話になったんです。
関 芳樹氏(以下,関氏):
一般的なFPSなら映画風のムービーを作るケースが多いかと思うのですが,ペーパーマンはアニメ調のキャラクターが特徴です。そこで,キャラを活かすためにもドラマCDがいいんじゃないかと,國安が中心になって企画を進めてきました。
4Gamer:
ということは,テリシアの主題歌に対する反響が良かったので,プロジェクトとして次の企画に進んだというわけですか?
関氏:
そういうことです。テリシアの主題歌を企画した当時,社内では結構盛り上がったんです。しかしいざ実行するとなると,やはり初めての試みでしたから,かなり手探りで進行していましたね。「これは本当に受け入れられるのだろうか?」という不安がずっと付きまとっていたんですが,イベントを実施した1か月間,プレイヤーの皆さんからずっといい反応をいただいていました。
既存のプレイヤーさんの満足度向上にはかなり貢献したといえます。
國安氏:
動画コンテストやCDレーベルのデザインコンテストも大盛況で,多くの方に楽しんでいただけた実感があります。
4Gamer:
一連のプロジェクトというお話ですが,主題歌,ドラマCDと来て,次は何をやるのか気になるところです。
関氏:
まあ「プロジェクト」とは言っていますけれども,まだ名前もないですし……。
発端は,運営チームスタッフ各々が,やりたいことをやろうというところから始まっているんですよ。「我々が楽しくなかったら,皆さんを楽しませることはできない」という考え方から,主題歌やドラマCDを作ろうという企画が個々に立ち上がったというイメージです。
4Gamer:
というと,とくに最終的な目標があるわけではないんですか?
関氏:
漠然とですが,スタッフ全員に「アニメ化したい」という気持ちはあります。とはいえ,企画としてはまだまだ具体的ではありません。こうして主題歌を作って,次にドラマCDを作って……と徐々に実績を積み重ねていって,いつかは! といった段階ですね。
4Gamer:
なるほど,アニメ化ですか。確かに,そこを目指して向かっているような流れで進んでいますね。
FPSをどうドラマ化する?
キャラ設定を生かしたドタバタ劇が誕生
4Gamer:
それでは,今回のドラマCDの内容などを教えてください。
國安氏:
ペーパーマンの場合,一人のキャラクターに対して学生バージョンだったり,戦国バージョンだったりと,さまざまなバリエーションがあるのですが,今回はデフォルトの一番ノーマルな性格設定を採用しました。
関氏:
ゲーム中ではお互いに戦っていますが,「パピルス王国」という世界の中では,実は仲がよくて一緒にワイワイ遊んでいたり,協力して何かを成し遂げたりしているんだ,というのが分かる内容になっていますね。
國安氏:
せっかくキャラそれぞれに設定があるのに,ゲームの性質上,これまであまり表現できていなかったんですよね。今回,ドラマCDでは設定を活かした表現を心がけていますので,そこを楽しんでいただきたいです。
4Gamer:
具体的に,ここを聞いてほしいという部分はありますか?
関氏:
セリフの中に,ゲーム中のラジオチャットで使っているフレーズを挟み込んでいるので,ぜひチェックしてみてください。「この場面なら,こういうことをいいそう」「ミリィなら,このセリフだよね」みたいな感じに仕上がっています。
國安氏:
基本はデフォルトのキャラなんですが,シーンによって異なるバージョンの性格が一時的に登場することもあります。ゲームをよく知ってる人だとニヤリとできると思いますので,ぜひ探してみてください。
とはいえ,全般的な内容はペーパーマンをプレイしたことがない人でも楽しめるようになっています。ドラマCDから,ペーパーマンの世界に入っていただくのもアリなんじゃないでしょうか。
関氏:
当然ながら,我々は台本の内容を知ったうえで今回の収録に立ち会ったわけですが,それでも現場で思わず笑ってしまう場面が何度もありました。ペーパーマンを知らない人が聞いても楽しめるし,知っているとより面白くなるという内容になっています。
4Gamer:
今回,総勢9人の声優さん全員が一堂に会したということで,収録もかなり盛り上がっていた感じを受けました。
関氏:
そうですね。ゲームの場合は一人ずつ収録するケースがほとんどですし,アニメの場合でも全員が集まるケースは稀とのことです。今回,奇跡的に9人全員に集まっていただけたので,普段は見られないようなノリが出て賑やかな感じになりました。
気になるドラマCDの入手方法は?
4Gamer:
完成したドラマCDは,どういった形で提供されるのでしょうか?
國安氏:
関氏:
著名な声優陣を起用していますので,ゲームはよく知らないという方にもアピールできるんじゃないかと考えています。そういった部分も踏まえたプロモーション展開をしていきたいですね。
4Gamer:
別途,声優さんからメッセージをいただいたのですが,皆さん,ドラマCDのシリーズ化を希望されていましたよ。
國安氏:
反響次第ではありますが,可能なら続編はやりたいと考えています。そのほか,テリシア以外のキャラクターそれぞれの主題歌の制作なども,アイデアとして出ています。
関氏:
またペーパーマンは,2011年2月に2周年を迎えるのですが,そのときに新キャラが登場します。そのタイミングで,ボイスを使った何かができないかと,今,考えているところです。ほかにも実際に進行している企画がありますが,それは年明け以降,順次発表していきます。
4Gamer:
分かりました。
そのほか,今,お話していただけることはありますか?
関氏:
最近は主題歌,ドラマCDとゲーム外での活動が目立っていましたが,年末のオフラインイベントなどでゲーム本編にも注力していきます。システムの改善やマップの追加など,具体的に企画が進行していますので,今後はゲーム内外ともに充実させていこうと考えています。
4Gamer:
それでは最後に,ドラマCDやペーパーマンの今後に期待する人に向けてメッセージをお願いします。
國安氏:
FPSというと,リアルなキャラクターがガチンコで戦うというイメージがありますが,ペーパーマンはそうではありません。可愛いキャラクターで楽しく遊べるゲームですので,FPSをやったことがないという人でも抵抗なく遊べる内容です。ぜひ一度遊んでキャラの魅力を知っていただいて,ドラマCDも聞いていただけると嬉しいです。
関氏:
私自身は,皆さんがゲームをより楽しめるような環境作りに注力しています。システムのアップデートやオンライン/オフラインのイベントなどを通じて,皆さんが快適にペーパーマンをプレイできるよう,引き続き頑張ります。
4Gamer:
ありがとうございました。
出演した声優&脚本家から頂いたコメントを掲載
またドラマCD収録後に,各キャラクターを演じた9人の声優陣と,シナリオを手がけた脚本家の山口 宏氏からメッセージをいただいたので,以下に掲載しておこう。
藤田 咲さん(ティナ):
皆さんと一緒に収録できたので,ティナというキャラクターの深みが増した感じがします。私自身,「ティナって,こういう娘だったんだ」とあらためて理解でき,これまで以上にペーパーマンの世界に広がりを持たせることができるんじゃないかと夢が膨らみました。ぜひ,その夢のドラマCD第1弾──第2弾も絶対あるはず!──を,耳をかっぽじって聞いてください。
長谷川明子さん(ミリィ):
ミリィのような可愛い女の子を演じることができて,とても嬉しいです。今回のドラマCDは,とても楽しい内容になっています。とくに劇中劇では,皆さんのお芝居がステキに炸裂しているので,ぜひ楽しみにしてください。これからもゲームとドラマCDでペーパーマンを楽しんでください。
中村繪里子さん(テリシア):
久しぶりにニュートラルなテリシアに会えたな〜,という感じがしました。久しぶりすぎて,「どんなだったかな?」とテリシアを見失いかける一方で,今回,皆さんと一緒に収録できたので,今までになかったテリシアとほかのキャラクターの関係性を知ることができました。その“久しぶりなんだけど,新しい”という混然とした感じが楽しかったです。そんな現場の楽しい雰囲気が皆さんに伝わったらいいな,と思います。またお会いできる日を楽しみにしています。
保志総一朗さん(ハヤテ):
ゲームではいろいろなバージョンを演じてきましたが,今回は原点に戻ったノーマルのハヤテです。ドラマCDはゲームとちょっと違って,物語の展開上,ハヤテであってハヤテでないという部分が出ていますので,楽しく聞いていただけると嬉しいです。ゲームでは今後もハヤテの違ったバージョンを演じることになると思うのですが,それと一緒にこのドラマCD“シリーズ”も,楽しんでください。
檜山修之さん(ガイ):
ペーパーマンは,同じキャラクターでも性格設定にさまざまなパターンがあるんですよね。これまで僕も何パターンのガイを演じたか分からない。皆さん,“ノーマル”“ニュートラル”と呼んでいるけれども,僕は何がオリジナルなのか,よく分からないんですよ。それこそ最初の収録の時点で,3パターンくらい演じていますし。
今回はそこを逆手にとって「少し崩してもいいだろう」と思い,あえて従来のキャライメージを維持せず,クールな感じを軸にした,いろんなガイの要素をちりばめつつ,面白おかしくやってみました。ぜひそこを聞いてみてください。
岡崎雅紘さん(ドッドン):
内容に関しては,聞いていただければお分かりになるとは思うのですが,ひょっとしたら,そこには新しいペーパーマンの展開のヒントが隠されているかもしれません。今後も展開していくペーパーマンに,一層のごひいきを賜りますよう,あ,よろしくお願い申し上げますぅ〜。
高階俊嗣さん(ヴァン):
ゲーム本編の収録は,「イテッ」「クソッ」「コノヤロッ」みたいに,ほぼ独り言なんですよね。なのでドラマCDはどうなるかと思っていたんですが,台本をもらって「なるほど,皆,意外に仲いいんだな」と納得しました。とくにヴァンはギャングという設定ですから,皆とは一歩外れたところにいるのかと捉えていたんですけれども,案外,ガイとも仲良しで。獣人同士,何か通じるものがあるんじゃないかとか,設定が楽しめるドラマCDになっているんじゃないでしょうか。
皆さんおっしゃっているとおり,ゲームでは何パターンもの性格を演じてきましたが,おそらくこのドラマCDの演技がスタンダードなものとして定着するんじゃないかと思います。また,そうはいってもさまざまな演技を織り交ぜていますので,それが聞いている皆さんに伝われば,成功といえるんじゃないかと思います。
又吉 愛さん(アルル):
設定上,ゲーム本編の収録では臆病なセリフが多いのですが,今回は,ぶっ飛んだ内容のシナリオで,まわりもぶっ飛んだキャラばかりなので,凄く楽しかったです。第2弾があるなら,もっとぶっ飛んだ内容になるんじゃないかと期待しています。ぜひ一度,聞いてみてください。
桑原敬一さん(サイラス):
ペーパーマンとのつき合いも,ずいぶん長くなって,最初がいつだか忘れちゃってるんですが,今回初めて皆さんと一緒に収録できて,サイラスの位置付けを再発見できたところが面白かったです。芝居がぶれているように聞こえるかもしれませんが,今まで演じてきた,さまざまなパターンを集約したというのが本当のところです。ええ,決してぶれてるわけじゃないんですよ……まあ,言い訳ですね(笑)。
ペーパーマンは紙の世界ということですが,ゲームもドラマCDも薄っぺらな内容にはなっていません。第2弾が出るときも,よろしくお願いします。
山口 宏氏:(脚本家)
僕自身,もともとFPSはマニアといえるくらい好きなんです。とはいえFPSは,RPGなどと違って基本的にはお話がないですよね。ペーパーマンの場合はキャラクターの設定やボイスがあるので,それを使って好きにやらせてもらいました(笑)。あとはファンの感想などを拝見して「このキャラは,こう受け止められているんだ」というのを確認し,それを悪ノリして膨らませた内容のシナリオになっています。
申し訳ないのは,女性キャラ優遇で,男性キャラの扱いが少々ぞんざいに感じるかもしれない点です。見せ場自体は全キャラ均等に作りましたので,男性キャラが不遇に感じられる場面があっても「気のせい」だと思って流してください(笑)。
僕個人はテリシアが可愛くて大好きです。彼女のセリフの語尾に「ニャ」を付けているときが,僕が一番輝いていた瞬間です。ぜひテリシアの「ニャ」を聞いてください。
【山口 宏(脚本家)プロフィール】
■携わった作品
新世紀エヴァンゲリオン(脚本)
勇者王ガオガイガー(脚本)
天元突破グレンラガン(脚本)
たまごっち!(脚本)
ケロロ軍曹(脚本)
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY (小説)
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