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復活を期待せずにはいられない意欲作。オンラインFPS「PaperMan」のプレイレポートを掲載
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印刷2008/04/01 21:34

プレイレポート

復活を期待せずにはいられない意欲作。オンラインFPS「PaperMan」のプレイレポートを掲載

画像集#001のサムネイル/復活を期待せずにはいられない意欲作。オンラインFPS「PaperMan」のプレイレポートを掲載
 2006年11月に「SPECIAL FORCE」の正式サービスが開始されて以来,「WarRock」や「サドンアタック」など,さまざまなオンラインFPSが日本でも遊べるようになってきた。最近では,「TakeDown: the First Mission」「クロスファイア」「S.O.W(SEVEN YEARS OF WAR)」といったタイトルのローカライズも進んでおり,オンラインFPSは本格的な群雄割拠の時代を迎えつつある。
 そんな中,サイカンゲームズが一風変わったタイトルを掲げて参戦してきた。その名は「PaperMan」。ゲーム名からして,一般的なオンラインFPSとはだいぶ雰囲気が違うが,その見た目からは想像できないほどしっかりと作られたタイトルだ。
 しかし残念なことに,3月31日付けのニュースでお伝えしたように,サイカンゲームズは同社のオンラインゲーム事業を整理することを発表。それに伴い,PaperManの国内サービスは未定という状態になってしまった。

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 本稿では,そんなPaperManがどのようなゲームなのかを,以前行われていたクローズドβテストや,先日まで行われていたオープンβテストの模様を振り返りつつ紹介していく。サイカンゲームズによる国内サービスは暗礁に乗り上げた形だが,なかなかの良作だっただけに,他社が運営権を獲得する可能性は皆無ではないはずだ。本作に関心を抱いていた人は,PaperMan復活に期待しつつ本稿に目を通してほしい。
 なお本作については,「カジュアルオヤジのFPS教室」第5回でも取り上げられている。興味のある人はそちらもご一読を。


プレイヤーキャラクターは紙人形

その意外性と魅力に注目


 PaperManの舞台となるのは,中東の紛争地帯でもなければ近未来のSF世界でもない。「パピルス王国」なる,誰もが魔法を使えるという架空の国である。
 「魔法の国で銃撃戦?」と驚く人もいるだろうが,実際に銃撃戦を繰り広げるわけではなく,設定的には「パピルス王国の住人達が楽しんでいるサバイバルゲーム」を楽しむことになる。つまりプレイヤーは,「PaperMan」というゲームが流行している魔法の国で,そのゲームを疑似体験するという構図だ。

 世界設定だけでなく,プレイヤーキャラクターもかなり奇抜だ。ゲーム名からも推察できるように,本作のプレイヤーキャラクターは「紙人形」。紙で作られたペーパーマンだけに,キャラクターの厚みは極薄だ。なので,自分に対して横を向いている相手は,「面」ではなくほぼ「線」として目に映る。この特性を利用すれば,銃弾の嵐の中を無傷で駆け抜けることも不可能ではない(実際には極めて難しいが)。
 また,銃弾を受ければ穴が空き(向こう側がちゃんと見える),爆風を受ければヒラヒラと舞い上がり,火が付けばボウボウと炎上してしまう。操作系統は一般的なFPSと大差ないが,実際にプレイしてみるとこれがなかなか新鮮で楽しい。

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 なお,マイキャラクターとして選べるペーパーマンは,デフォルトで4タイプ。ゲームの結果に応じて蓄積されていくゲーム内通貨「PG」を消費すれば,さらに2タイプのキャラクターを購入できる。髪型や衣装,武器なども購入できるので,自分だけのペーパーマンが作成できるのだ。
 ペーパーマンのタイプや服装によって,当たり判定の面積は変化するが,有利不利を意識せねばならないほどの大きな差は感じない。またゲーム中,味方以外のキャラクターは輪郭が赤いラインで囲まれているので,皆が皆,好き勝手な格好をしていても,敵味方の判別は容易である。

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ゲームモードは計6種類

同作ならではのユニークなモードも


 PaperManのゲームモードは,練習モードを含めて今のところ計6種類。筆者がオープンβテストをプレイしていたときには,チームサバイバルに3枚,チームデスマッチに2枚,それ以外のモードに1枚ずつ,計9枚のマップが用意されていたのだが,3月27日のアップデートにより,いくつかのマップが追加実装された。
 マップには,スラム街やオールドシティ,下水道といった比較的よくあるものから,魔法図書館やピラミッドといった奇抜なものまで,さまざまなタイプが用意されている。京都や新宿といった,実在のスポットをモチーフにしたマップがあるところも面白い。
 ほとんどのマップは,シンプルな構造で分かりやすく,面積もさほど広くない。同じマップを数回プレイすれば,自分好みの狙撃ポイントや攻略ルートが絞り込めるはずだ。

●スチールモード

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塗料を染み込ませると,キャラクターの身体は一色に染まる。真っ先に狙われるので慎重に行動しよう
 互いのチームが「塗料」を奪い合うという,PaperManならでわといえるゲームモード。決着がつくまでリスポーンが可能で,チーム全体のデス数は勝敗に影響しない。
 ゲーム中はお互いのチームが保有する塗料の量が,画面上部に表示される。相手チームの塗料をゼロにすれば,その時点で勝利となる。塗料を奪うには敵陣の瓶(かめ)に浸かって身体に塗料を染み込ませ,それから戻って自陣の瓶(かめ)に浸からなければならない。塗料を染み込ませただけでは奪ったことにはならないので,自陣に戻る途中でキルされるのだけは避けたいところ。キャラクターが紙であるという特徴と,うまく逃げ帰ることこそが重要というゲーム性が両方楽しめるモードである。

●チームデスマッチ

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一番最初にやられると非常に退屈である。……みんなやられちゃえ,とか思ってませんよ?
 相手チームを全滅させればそのラウンドは勝利となり,次のラウンドに移行する。そして最終的に勝利ラウンドの多いチームが勝ちという,シンプルなゲームモードだ。ラウンド中にキルされたら,次のラウンドまで復活できないため,緊張感のあるプレイが楽しめる。

●個人サバイバル

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白く点滅してるキャラクターは無敵状態。これに狙われたら一方的に追い込まれるので要注意
 設定されたキル数に到達するまでの速さを,各プレイヤーが競うゲームモード。決着がつくまでリスポーンが可能だが,周りはすべて敵なので,実にスリリングなゲーム展開が楽しめるの。しかし,リスポーン後の無敵時間が長いためか,マップが狭いためか,はたまた「ダメージ無視」アイテムが出過ぎるためなのか,とにかく無敵状態のキャラクターに遭遇して一方的にキルされる場面が多々あった。筆者がたまたまそうだっただけなのかもしれないが,そのあたりのバランシングには賛否両論あるかもしれない。

●チームサバイバル

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戦況を冷静に分析しやすいのもスナイパーの利点。味方の位置が解れば敵の位置もおのずと見えてくる
 設定されたキル数に到達するまでの速さをチームに分かれて競うモード。決着がつくまでリスポーンが可能。チーム戦である分,個人サバイバルよりもいくらか気楽にプレイできるので,比較的多くのルームでこのモードが選択されている。練習モードで基本操作を覚えたら,まずはこのチームサバイバルモードに参加して,ゲームの流儀を学んでいくのがいいだろう。

●爆弾解除

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爆弾を設置している最中は非常に狙われやすい。設置した瞬間キルされて,サクッと爆弾を解除されるとかなりつらい
 目標の爆破をめぐる攻防を楽しむ,ラウンド形式のゲームモード。攻撃(目標の爆破)と防御(爆破の阻止)は,チームが入れ替わりつつ同じ回数行われるので,先攻/後攻の違いが結果に響くことはない。本作のゲームモード中,もっともチームワークが問われるかもしれないモードであり,気の合うクラン(いわゆるギルド)の仲間同士で遊べば,盛り上がること請け合いだ。

●練習モード

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好きなだけ練習できるが,あくまで練習モードなので,キリの良いところで退室しよう
 アスレチックマップで,移動や射撃の練習,武器の使い分けなどを練習できるモード。キルされても直ちにその場で復活できるので,思う存分暴れ回れる。勝ち負けなど関係ないので,まずはこちらで慣らしプレイをしておこう。


使用できる銃器類はオーソドックス

種類豊富な手榴弾をうまく使おう


 PaperManには,メイン武器/サブ武器/近接武器/投擲武器/爆弾という五つの武器カテゴリが存在し,それぞれ数字キーの1〜5で切り替えられる(マウスホイールでの武器変更は不可)。メイン武器とサブ武器は基本的に銃器で,威力や連射速度,反動などがそれぞれ異なる。クローズドβテストでは,GMが火炎放射器を使用していたが,現在実装されている武器に特別個性的なものは見られなかった。いずれも,発砲した際の銃口の跳ね上がりがしっかりと表現されており,キャラクターデザインとは裏腹に(?)現実味のある仕上がりだ。
 一方,投擲武器にはユニークなものが揃っており,キャラクターが紙という特徴と相まって,独自のゲーム性を高めている。ここでは,そんな投擲武器について簡単に解説しておこう。

●HE GRENADE
 いわゆる普通の手榴弾。最初から所持しており,使用期限は設定されていない。威力は控えめで,携行数は2。味方にダメージを与えないが,爆風による「吹き飛ばし」効果は味方にも影響を与えるため,使用時には注意してほしい。

●AIR BOMB
 230PG/1日から入手できる投擲武器。携行数は2。直接的なダメージは与えられないが,有効範囲内のキャラクターすべてを空中に舞い上がらせる。浮いたキャラクターは一定時間移動不能になり,緩やかに自由落下していく(この状態の相手はいい的だ)。浮いている状態でも銃を撃つことは可能だが,命中強化アイテムなどを拾っていないと,命中させるのは非常に難しい。

●FIRE BOMB
 有効範囲内のキャラクターを炎上させ,ジワジワとダメージを与え続けると同時に,視界を炎で妨げる投擲武器。携行数は2で,170PG/1日から入手できる。持続的にに火をつけ,時間経過とともにダメージを与える。ダメージは敵のみに与えるが,視界の妨害は敵味方を問わないので,その点のみ注意が必要だろう。携行数は2。なお「こちら」の記事では,FIRE BOMBの効果を相殺/無効化する「水爆弾」の構想が語られている。いずれも,PaperManならではの効果や使いどころのある投擲武器なので,実装されたら実に盛り上がりそうだ。

●Mushroom BOMB
 有効範囲内にいれば,敵味方を問わずHPを回復するという投擲武器。携行数は3で,250PG/1日から入手できる。回復量は1回の効果で20ポイントほどだが,味方に投げても逃げられてしまうことがしばしばあった。クランの仲間や友人などと遊ぶときなら,事前の打ち合わせで有効活用できそうだ。スナイパーライフルと組み合わせ,戦局を冷静に見極めつつ使うのが効果的かもしれない。

●DEMOLITION
 HE GRENADEと似た手榴弾だが,より威力が高い。携行数は2で,180PG/1日から入手できる。味方に影響を及ぼさないので,敵味方が入り乱れる乱戦地帯にも,遠慮なく投げ込める。

●FLASH BOMB
 クローズドβテストで確認できた投擲武器。オープンβテストでは登場しないのかと思いきや,3月27日のアップデートで実装された。いわゆる閃光手榴弾で,携行数は2。爆発すると,まばゆい光が敵味方を問わず視界を奪う。考えなしに使うと味方に迷惑をかけてしまうこともありそうで,使いどころが難しい投擲武器である。

●LIQUID BOMB
 こちらも3月27日のアップデートで実装された投擲武器。爆発時に,一定範囲内にいるプレイヤーの移動速度を遅くするという効果がある。残念ながら,筆者は実際に使うことができなかったのだが,これはかねてより噂のあった「水爆弾」の,プロトタイプのようなものといえる。

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HE GRENADE
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AIR BOMB
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FIRE BOMB
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Mushroom BOMB
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FLASH BOMB
画像集#022のサムネイル/復活を期待せずにはいられない意欲作。オンラインFPS「PaperMan」のプレイレポートを掲載
DEMOLITION


キャラクターを倒せば強化系/補助系アイテムが出現

限定的だが効果は絶大だ


 バトル中に敵キャラクターを倒したり,自分や味方キャラクターが倒されたりすると,その場に強化系/補助系アイテムがランダムで出現する。それを拾えば,アイテムに対応したさまざまな効果が得られ,ゲームを有利に進められるのだ。
 アイテムには,一定時間攻撃力がアップしたり,無敵になったり,HPを一定量回復したり,投擲武器が補充されたりといったものが存在し,一定時間有効な強化アイテムを複数種類拾った場合,その効果は同時に得られる。何が出るかはランダムなので,そうそう都合良く拾いまくれるわけではないが,組み合わせによっては戦闘力が大幅にアップするので,ガンガン拾ってしまうのがいい。
 こういった強化系/補助系アイテムは,FPSよりも「無双系」のアクションゲームなどでお馴染みのものだが,その組み合わせは思いのほか面白かった。ともすれば,上級者による殺戮ショウになりがちなオンラインFPSだが,こういった逆転要素が用意されていれば,初心者でも活躍できる機会が増えそうだ(上級者に取られたら手が付けられなくなりそうだが)。

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スピードアップ
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無限弾薬
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パワーアップ
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HP回復
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ダメージ回復
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命中強化


「羊の皮をかぶった狼」的なオンラインFPS?

コミュニティ機能やマッチングシステムの向上に期待


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 本作をプレイしてみてまず感じたのは,見た目はやけにカジュアルだけれど,意外と難しいな,ということ。W/A/S/Dキーによる操作は,オンラインFPSとしては一般的なものだが,銃口の跳ね上がり具合や,キャラクターが紙ゆえの「手応え」のなさ,武器の違いによる命中精度の差など,FPSにある程度精通してないと,なかなかコツが掴めないかもしれない。
 とくに,若干着弾点が分かりづらいところや手応えの薄さは,練度の高いプレイヤーならば「ここを狙っているのだから確実にこの場所に当たっている」と自信を持てるかもしれないが,FPSに不慣れな人だと戸惑ってしまうかな,という印象を受けた。
 また,手榴弾の効果が高く活躍する機会が多いのだが,マップがそれほど広くないこともあって,猛威をふるいがち。投擲武器の特徴や扱い方に詳しくなれば実に楽しい要素なのだが,それまでは一方的にやられる我慢のゲームになるかもしれない。
 とはいえ,本作は基本的にチーム戦に重きが置かれているタイトルだし,サーバーには一応,初心者チャンネルとフリーチャンネルが用意されている。マッチング機能は充実しているとは言えないものの,ゲームの雰囲気とも相まって,勝ち負けにこだわらずとも楽しく遊べるタイトルなのではないだろうか。

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 キャラクターグラフィックスと背景グラフィックスとのギャップや,可愛い見た目にそぐわぬ意外とシビアなゲーム性など,若干ぎこちないデザインのオンラインFPSではあるが,PaperManはかなり「遊べる」部類のタイトルだろう。裏と表しか見えない紙っぽいキャラクターも,衣装や髪型を変えれば個性をアピールできるし,思いのほか愛着も湧く。普段オンラインFPSを遊ばないという層にも,確かにフックする良作だったように思える。

 しかし,冒頭でも触れたが,残念ながら本作の正式サービスは暗礁に乗り上げてしまった。今後,再びPaperManで遊べる日がやってくるのかどうかは不明だが,眠らせておくにはもったいないタイトルであることは間違いない。どのような形であるにせよ,本作復活の日を願わずにはいられない。

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