連載
ミリタリー系のカジュアルなオンラインFPSを次々に紹介する本連載,「カジュアルオヤジのFPS教室」だが,今日は話の枕をぶっ飛ばしていきなり本題に入るので,あなたが女性であるなら「まあ,男らしい」と私に惚れてくれてもかまわない。というわけで,今回はサイカンゲームズの「PaperMan」(以下 ペーパーマン)を取り上げてみよう。“ミリタリー系の”と最初の最初に書いてあるけど,果たしてペーパーマンはミリタリー系なのだろうか? という微妙な問題があるかもしれない。だが,遊んだ感じは間違いなくミリタリー系だ。登場する武器はすべて実在のものをベースにしているうえ,銃口の跳ね上がりや,それぞれ銃の性能の違いなどもかなりリアルに再現している。薬莢のまき散らしぶりや,リロードの感じもなかなか堂に入っている。
ただ,登場するキャラクターは紙。私もよく「薄っぺらな男だ」と誉められることがあるが,ここに出てくるのはすべて紙の人間なのである。ああ,だからペーパーマンなのかと今さら気がついた人は鈍すぎるが,女の子もいるのでペーパーパースンが正確だろうか。ペーパーピープル? 横になると弾に当たりにくいとか,火をつけるとボウボウ燃えちゃうとか,紙ならではのフィーチャーも用意してあるという,一風変わった雰囲気のゲームになっているのだ。開発は,サイカンゲームズコリアが担当している。
日本での人気は正直「まだまだ」というFPSだが,カジュアルなプレイヤーにとって可愛い紙のキャラクターはいかなるインパクトを与えるのだろう。たいそう面白い試みであり,個人的に期待が持てる。FPS部分に妥協が少ないところも好印象だ。というわけで,いつものように,以下にペーパーマンを簡単にまとめたので,見てほしい。
なお,本稿は先頃終了したクローズドβテストと昨年(2007年)12月に行われたプレスカンファレンスをもとにしており,正式サービスが実際に始まった場合,ここに書いたこととは若干の食い違いが生じるかもしれないのは,どうか一つ,ご了承くださいね。
サービス開始日 2008年春
発売元 サイカンゲームズ
開発元 サイカンゲームズコリア
最大参加プレイヤー数:16人(8人vs.8人)
ゲームタイプ:チームサバイバル/チームデスマッチ/爆弾解除/個人サバイバル/スチールモード
武器の種類:未定
雰囲気:スポーツ系
ヘッドショット:有効
同士討ち:×
大型兵器:×
選べる兵科数:多数
世界観:
ゲームの舞台となるのは,誰もが魔法を使える架空の国「パピルス王国」。優しい王様ときれいな王妃様のもと,人々は平和に暮らしているそうである。そんな王様の頭を悩ましていたのがサバイバルゲーム,「ペーパーマン」にうつつを抜かすお姫様の存在。ある日,そのお姫様がペーパーマンを国技にすると言いだしたので大騒ぎ。国中がペーパーマンブームになる中,任務のため,仕事のため,そしてお金のために世界中からプレイヤーが集まってきたという設定である。だが,王様の権限を以てお姫様の行き過ぎた言動を押さえることはできなかったのか? ジョン・アクトン卿の有名な警句「権力は腐敗する」は,パピルス王国王家にもそのまま当てはまるのか? なんて思ったあなたは考えすぎ。
4Gamerの記事中よく出てくるのが「Unreal Engineを採用した美麗グラフィックス」とか「Source Engineでリアルな演技をするキャラクター」とかいうフレーズ。ゲームエンジンとは,「グラフィックス処理」や「サウンド」「AI」「物理処理」などをまとめたフレームワークで,ゲーム制作者はこのエンジンに2D/3Dツールで作ったキャラクターやテクスチャ,サウンドツールで作った音楽などを組み合わせることでゲームを作るのである。通常,直接ゲームに関わらないエディタやコンバータなどのユーティリティも一緒に用意され,ユーザーの利便を図っている,ぐらいのことを知っておけばいいかと。それ以上は筆者もムニャムニャなのだが,現在欧米のゲーム業界ではEpic GamesのUnreal Engineの最新版が独り勝ちで,使用例がたいへん多い。マルチプラットフォーム対応なので,各コンシューマ機間,もしくはPCへの移植が簡単。ほかのプラットフォームでリリースする場合もライセンスの再取得が不必要(らしい)というところが勝利の理由みたい。二番手はValveのSource Engineあたりだが,まあダンゴ状態というところだ。
ペーパーマンの料金形態は,専門用語でいうところの「基本料金無料のアイテム課金制」となるが,どこが専門用語だ! というわけで,どのようなアイテムの販売が考えられているのか気になるところ。何度も書いちゃうのだけど,オンラインFPSの場合,誰でもほしいのが強力な武器だが,それを販売しちゃうとゲームバランスが崩れてしまうので,サービス中(あるいは予定)の各社は苦労なすっているわけだ。
ペーパーマンの場合,登場するキャラクターが可愛いという特徴を生かしたアバターアイテムの販売がメインとなりそうだ。クローズドβテストでもセーラー服やショートパンツ,そしてメイド服の女の子がぶっ倒し合いをする不思議世界だったが,さらに着物やドレスなどの販売が予定されている。細かいドレスアップが可能で,衣装にしても「トップス」「ボトムス」「シューズ」「アクセサリー」などに分けられているし,アバターの表情や髪型などもさまざまに用意されている。
さらに,銃器の販売も考えられているが,類作のようにゲーム内で得られる「経験値」を貯めて入手するのか,有料だけになるのか,さらにそれらの武器が「レンタル制」になるのか,それとも永久使用が可能なのかなどは鋭意調査中。いずれにしろ,正式サービスが始まった暁には,冬にはミニスカサンタ,夏にはビキニと非常に嬉しい衣装を着たキャラクターが跳んだり跳ねたり撃ち合ったりすることになるだろう。うふふ。紙だけど。
最低二人,最大16人(8人vs.8人)が参加できるペーパーマンのゲームモードには,「チームサバイバル」「チームデスマッチ」「爆弾解除」「個人サバイバル」,そして「スチールモード」の5種類が用意されている。いずれも,最初からずっと本連載を読んでいるという希少動物(絶滅危惧種)みたいな人々にはすっかりおなじみだろうが,「紙ならでは」といえば,やはりスチールモードだろうか。
というわけで,まずは今そこにあるゲームモード5種類から。
AとB,二つのチームに分かれて戦いを繰り広げる。制限時間内に規定数の敵を倒すか,終了時により多く倒したほうが勝ちとなる。倒されてもリスポーンするので,チームのため積極的に戦おう。とはいえ,あんまりやられちゃうと個人のキル/デスバランスが悪くなってしまうなあ。
二つのチームに分かれてマッチを行う。マッチは複数のラウンドで構成されており,各ラウンドには制限時間が設定されている。ラウンドでは,時間内に相手を全滅させるか,終了時により多く倒したほうが勝ちとなり,半数以上のラウンドにより早く達したチームが勝利する。リスポーンはなし。
基本となるルールはチームマッチと同じだが,それに爆弾の要素が加わっている。設置側と解除側に分かれて対戦し,設置側は所定の位置に爆弾を設置して爆発させれば勝ち。解除側はそれを解除すれば勝利となる。こちらもリスポーンはないので,爆弾そっちのけで敵の全滅を目指す戦略もありだ。
最低二人から最大16人まで参加できるモード。自分以外はすべて敵という分かりやすい話になっている。制限時間内に一定の数の敵を倒すか,終了時により多くの敵を倒したプレイヤーが勝利を収めるというシステムなので,ペーパーマンビギナーの練習にはもってこいだろう。
それぞれチームが守る染料倉庫に侵入し,染料(液体)を奪って自陣に戻り,それが先に一定量に達したチームが勝ちというもの。こ,これは,染料倉庫を占領するというダジャレか? と思ったのはたぶん私だけだが,染料の奪い方が「体に染みこませて」というところが紙っぽいのだ。一度染料を奪われるともう取り戻せないが,自陣に戻ろうとする敵を倒すことで,敵の手にこちらの染料が渡るのを防げる。
さあ,いよいよ戦いだ。フィールドに出てみると,やっぱり紙である。正面から見ると普通だが実はペラペラで,最初はちょっと笑ってしまうだろう。だが,敵の銃弾を受け始めると,笑っちゃあいられない。紙とはいえ戦闘はシビア。紙戦士の運動能力はなかなか高く,跳んだり跳ねたりのダイナミックな戦闘が展開する。
上にも書いたが,クローズドβテストが終了したばかりのペーパーマン。現在そのテストの結果を吟味して,いろいろな変更や追加,改善などが行われているところだろう。順調ならば3月下旬にオープンβテストがスタートし,それから正式サービスに移行していく予定となっている。というわけで,一刻も早く紙っぺら戦士としてデビューしたいという人もいるだろうが,あと1か月ほどの辛抱だ。
その後の予定としては,さまざまな特殊武器やゲームシステムの追加などがありそうだ。こっから先は「あくまで予定」であり,そう思って聞いていただきたいのだが,燃えやすい紙人間を守るための「水爆弾」を企画調整中とのことだ。水素爆弾ではなく水爆弾なのでお間違えなきよう。これは,体に火のついた仲間に放り投げることで火を消すという,まあ水風船みたいなもの。味方に投げる爆弾というところがユニークで,水爆弾を食らった仲間には「炎に耐性を持つ」というメリットがおまけでついてくる。とはいえ,水は吸った紙は重いので,染料の場合と同様に移動が遅くなり,また水を吸った紙は柔らかくなるので,防御力がダウンするという,いらないおまけもついてくるのだ。
このバリエーションとして考えられているのが「ペイント手榴弾」。中に入っているのはコールタール風のペイントで,これが炸裂して体にかかると,なにせベタベタなので移動速度が低下し,汚れてかっこ悪い。しかもこのペイント,引火性が強いため,火炎手榴弾や火炎放射器の攻撃を受けるといつもより4倍増量の大ダメージを受けてしまうのである。こちらはかなり凶悪なアイテムになりそうだ。
それ以外にも,特殊ゲームシステムとして「大扇風機」(風に乗ってスーパージャンプが可能)とか,ボタンを押すと跳ね上がる「鉄板ガード」(板に乗っていた敵を飛ばしたり,遮蔽物として背後に隠れたりする)といったギミックが考えられており,紙戦士の紙らしさを強調したアイデアが今後,いろいろと盛り込まれる予定になっている。
というわけで,一味変わったオンラインFPSをプレイしたいという人にオススメのペーパーマン。「なぜ紙なんだろう?」という疑問は疑問のままに残るが,それはエベレスト初登頂を目指した登山家ジョージ・マロリーの言葉「そこに山があるからだ」にならって「それが紙であるからだ」と答えて今週は終わりにしたい。いや,私が答えることはないんですけどね。
※2月14日15時30分,記事に誤りがありましたので修正しました。ご指摘ありがとうございました。
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