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[韓国ゲーム事情#392]韓国の業界から見たChinaJoyの”話題作”
ChinaJoy最大の"話題作"はKart Racer?(2005/8/15)
Text by Kim Dong Wook特派員
4Gamerでは先日(7月21〜23日),中国の上海で開催されたゲームショウ「ChinaJoy」を取材したわけだが,そこに出品された作品の中で,韓国ゲーマーにとって一番の注目作は,北京八八信息科技がムービーを展示していた,カートレースゲーム「Kart Racer」だ。
というのも同作品は,韓国で今も高い人気を誇るNexonのカートレースゲーム「Crazy Racing:Kart Rider」(以下Kart Rider)を,ほぼそのまま模倣しているからだ。
Kart Riderの最近の実績を見てみると,累積会員数1200万人, 同時接続者数は22万人を突破する人気を保っている。
中国側の作品であるKart Racerのムービーを「こちら」(32.9MB・1分20秒・MPEG-1)からダウンロードして見てみれば,NexonのKart Rider(ムービーは「こちら」)とほとんど雰囲気が変わらないことが分かるだろう。コースの背景や色使い,カメラワーク,インタフェース,コース上に出現するアイテムなども,ほとんど同じ仕立てになっている。
Kart Riderのヒットによって, 韓国でもカートレースをモチーフにしたオンラインゲームが多数登場しているが,このKart Racerほど堂々と似せたゲームは出なかった。
同作品をWebメディアで見た韓国ゲーマー達の反応はさまざまだ。あるゲーマーが「中国ゲームが極端な模倣をすることは分かっているが,ここまで堂々とそっくりなものを作るのには驚いた」と,中国ゲームを非難するかと思えば,ほかのゲーマーは「Kart Riderは任天堂のマリオカートを模倣した作品だから,Kart RacerはKart Riderでなく,マリオカートを模倣したことになる。Nexonとしても言える立場ではないはず」という"再模倣論"を繰り広げるなど,さまざまな意見がBBS各所を賑わしている。
また,6月末にはNexonとPC Bang(ゲームに特化したネットカフェ)課金問題で対立していた韓国インターネットPC文化協会(関連記事は「こちら」)が, NexonのKart Riderを牽制するため,独自に中国製のKart Racerを輸入し,全国のPC Bangを通じてサービスを提供するという噂が広がり,同作品をめぐる議論が再び業界を騒がせた。
同団体は,9月ごろKart Racerの輸入サービスに関する公式見解を表明する予定としている。まだスタンスが明確でないため今後の展開は分からないが,とにかくKart Racerは,ChinaJoyでの初公開以来, 韓国ゲーム業界で一躍"話題"のゲームとなっている。
韓国ゲーム業界のある著名人は「まず,模倣と盗作の境界線に関する明確な規定を,日本,韓国,中国など関係各国が協議しなければならない。今後もこのような問題が生じる可能性は極めて高いので,そうした規定を早期に公式のものとしたうえで協議することが,各国デベロッパの人的,物的,時間的な無駄を最小化することにつながる」と指摘した。
半ば盗作じみたものも含めて,"模倣"によって成り立ってきた部分が否定できない韓国オンラインゲーム業界だが(※),その彼らは,日本のデベロッパでさえまだ得意でない部分――オンラインゲーム開発運営のノウハウ――を身につけた。そして,MMORPGゲームバブルもはじけつつあるこれからが,韓国ゲーム業界にとっての正念場だ。
今回の件に関しては,そもそもまずKart Riderを問題にすべきではないかという疑問提起もあるだろうが,さしあたりそうした個別の議論をここで展開するつもりはない。より重要なのは,韓国ゲーム業界がかつて自分達がやってきたことを"される側"として目の当たりにした今,何を思い,どういう反応を見せ,どういう策を採るのか,という点だ。関係各国の協議も大切だが,まずは韓国側の動きに注目しておきたい。
ともあれ,ほかのあらゆる創作物の場合と同様に,ゲームにおいて模倣と盗作を分ける普遍的な原則を立てることは極めて難しい。結局のところ,実際に起きた問題で当事者同士が協議した内容を,先例として積み上げていくしかないのかもしれない。
※編注:周知のように模倣と盗作をめぐる問題は,日本国内の作品同士や欧米作品と日本作品の間にも存在するわけだが,本文の趣旨からやや逸れる論題であるため,ここでは深く立ち入らない。
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