テストレポート
Logicool Gの新型ワイヤレスマウス「G900」ファーストインプレッション。スリープからの復帰は文句なしに早く,重量は相当に軽い
発表にあたってLogitech/ロジクールは,G900について,「プロゲーマーが本当に競技で使えるワイヤレスマウス」とか,「ワイヤードマウスより高速なワイヤレスマウス」とか,にわかには信じがたいアピールを行っているわけだが,果たしてLogitech/ロジクールの言い分はどこまで信頼に足るのだろうか?
詳細なテストは追ってレビューとしてお伝えしたいと思うが,発表に合わせて入手した製品版サンプルを,正式発表までのわずかな時間ながらテストすることができたので,今回はファーストインプレッションとして,多くのゲーマーがワイヤレスマウスに対して「気持ち悪い」と思う(と筆者が確信している)部分の検証結果を,ムービーメインでお伝えしたい。
なぜゲーマー向けワイヤレスマウスは「気持ち悪い」のか
ゲーマー向けのワイヤレスマウスは,以前「G-Series」というブランド名だった頃のLogicool G(日本以外ではLogitech G)が発売した「G7 Laser Cordless Mouse」(以下,G7)以来,各社からさまざまな製品が市場に送り出され,筆者も仕事でいくつかの製品を試してきた。基本的に,ゲームをプレイしている場合は高い性能を発揮しており,最近のものは,レスポンスも,追従性も,かなり高いレベルになってきていると思う。
そこで問題となるのが,スリープ状態からの復帰にかかる時間だ。スリープ状態から動作状態へ移行するにあたって,ほとんどのワイヤレスマウスにはラグが生じる。これが,「マウスは動いているのにカーソルが動かない」という一瞬の「間」を生み,それが気持ち悪さにつながっていた。
スリープに入らなければ,この復帰ラグは生じない。それは頭では分かっていても,この気持ち悪さがゲーム中,本当に出ないかどうか,感情では一抹の不安が拭えないのだ。
Logitech G/Logicool Gは,G900で,スリープからの復帰に代表されるラグを解決したと,声高らかに謳っている。本稿でテストするのはその部分だ。
G900とMamba 2016,Sensei Wirelessで「スリープからの復帰速度」をざっくり比較
今回のテストにあたっては,G900と,2015年に国内デビューしたRazer製のゲーマー向けワイヤレスマウス「Razer Mamba」(以下,Mamba 2016)と,2014年にデビューしたSteelSeries製のゲーマー向けワイヤレスマウス「Sensei Wireless」を用意した。Logitech G/Logicool Gの「G700s Rechargeable Gaming Mouse」(以下,G700s)を入れていないのは純粋に時間の都合なので,レビュー本編では比較対象として加える予定だ。
G900は電力制御が完全に自動化されており,ユーザー側で「無操作状態がn分続いたらスリープに入る」といった設定は行えないため,実際に放置して確認したところ,約10分5秒でスリープに入ることが分かった。そこで,G900は約15分放置してからマウスを動かす。対するMamba 2016とSensei Wirelessは設定ソフトウェアからスリープに入るまでの時間を設定できるため,いずれも1分に設定したうえで,前者は約1分30秒,後者は約2分経過した時点から復帰を試みる。
なお,15分,1分半,2分という数字に大した意味はなく,「確実にスリープ状態になっている」ことを確認するため,仕様もしくは設定値より長めに取っただけである。
用意した環境は,テスト対象のマウスと,ストップウォッチとしてのスマートフォンをWebカメラから撮影し,マウスをワイヤレス接続したPC上で「QUAKE」を実行のうえ,ストリーミング用ソフト「XSplit Gamecaster」からWebカメラで撮影した映像とゲーム映像を1つの画面に取り込み,ローカルレコーディングを行っている。ストップウォッチのタイマーが見づらいかもしれないが,そこはご容赦を。
その結果が下のムービーだ。生データを基に,途中,放置状態を早送りしたデータは別途4Gamerのファイルサーバーに自己解凍方式のrarファイル
見てもらうと,かなりの違いが生じているのが分かるだろう。もう少し細かく説明しておくと,ストップウォッチの示す経過時点で,G900は15分0秒07,Mamba 2016は1分30秒2,Sensei Wirelessは2分0秒2から復帰操作を行っているが,復帰までG900は0.2秒なのに対し,Mamba 2016は0.3秒,Sensei Wirelessは0.5秒かかっていた。
スリープからの復帰に時間がかかるMamba 2016もSensei Wirelessも,単体で使ったときにはそれほどの遅さを感じなかったのだが,一度G900の速度を体感してしまうと,0.1〜0.3秒という違いは大きく感じられるようになる。1.5倍,2.5倍の時間というのは,やはり無視できないのだ。
また,普通に使っていても,G900は操作に対して追従してきているのを感じられる。ワイヤレスマウスにありがちな,気持ち悪い「少し遅れてくる感じ」がほとんど――まったく,かどうかまでは未検証――ないのは,もうこれだけで万歳といったところである。
充電時以外はワイヤレスなので,ケーブルがマウスパッドの端に擦れるような感触がなく,またケーブルに引っ張られる心配がない……というのは他社製品と同じだが,この軽さゆえに,より快適な印象だ。
原稿執筆時点では実勢価格についてコメントできないが,現段階で最大のハードルは,税別の直販価格が軽く2万円超えという点だろう。
ワイヤレスマウスとしてのポテンシャルについて言えば,スリープからの復帰周りと軽さから,相当に期待できそうだと感じている。なので,「ゲーマー向けマウスの将来はワイヤレスにある」と思っているなら,強気の価格設定を信じてみるのも悪くないと思う(※4Gamer読者先着200名はAmazon.co.jpから10%引きで買えることだし!)。現時点における筆者の印象はポジティブなものである。
ただそれでも,過去,さんざんワイヤレスマウスに裏切られた経験があると,ちょっと二の足を踏むかもしれない。
ということで,後日お届けする予定の本番のレビューで,「本当にG900は信頼できるのか」を突き詰めていきたいと思う。お楽しみに。
Logicool G,「ワイヤードマウスより低遅延」なゲーマー向けワイヤレスマウス「G900」発表。キーパーソンがその特徴を語る
Logicool Gのマウス製品情報ページ
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