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Logicool G,「ワイヤードマウスより低遅延」なゲーマー向けワイヤレスマウス「G900」発表。キーパーソンがその特徴を語る
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印刷2016/03/24 16:01

インタビュー

Logicool G,「ワイヤードマウスより低遅延」なゲーマー向けワイヤレスマウス「G900」発表。キーパーソンがその特徴を語る

 北米時間2016年3月24日00:01,Logicool G(日本以外ではLogitech G)は,ゲーマー向けの新しいワイヤレス&ワイヤード両対応マウス「G900 Chaos Spectrum Professional Grade Wired/Wireless Gaming Mouse」(国内製品名:プロフェッショナルグレード ワイヤード/ワイヤレス ゲーミング マウス,以下 G900)を全世界で一斉に発表した。国内における発売は4月14日予定で,ロジクールの直販サイト「ロジクール オンラインストア」における価格は2万1130円(税別)だ。単純計算した税込価格は2万2820円となる。

G900。左右対称形状を採用している
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 G900でLogitech G/Logicool Gが目指したものは,「プロゲーマーが本当に競技で使えるワイヤレスマウス」だ。Logitech G/Logicool Gでは,プロゲーマーがワイヤレスマウスを使わない理由として,

  1. 遅延
  2. 重さ
  3. バッテリー駆動時間かセンサー性能かの二者択一という妥協

があったとしたうえで,G900では,これら問題のすべてを解決したとアピールしている。

Logitech/ロジクールが明かした「プロゲーマーがワイヤレスマウスを使わない3大理由」
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 1.の遅延では,2.4GHz帯をベースとした無線技術を1から見直し,電波強度の強化や通信プロトコル刷新を実施。さらにはBluetoothが操作性に大きな影響を与えることを突き止め,その対策を行ったとのことだ。最終的には,これまでのゲーマー向けワイヤレスおよびワイヤレス/ワイヤード両対応マウスどころか,他社のワイヤードマウスよりも俊敏に反応できるようになったという。

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「Razer Mamba」の2016年モデルだと重量は約133gなのに対し,G900は約107gだとするスライド
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 2.重量は,搭載するコンポーネントやバッテリーパックの改善により,バッテリー込みで約107gを実現。そして3.では,「G502 Proteus Core Tunable Gaming Mouse」(国内製品名:G502 チューナブルゲーミングマウス,以下 G502)や「G303 Daedalus Apex Performance Edition Gaming Mouse」(国内製品名:G303 パフォーマンスエディションゲーミングマウス,以下 G303)と同じ最新世代のセンサー「PMW3366」を搭載しつつ,LED消灯時に連続32時間,点灯時にも連続24時間のゲームプレイを可能にしているという。
 さらに,バッテリー残量0%から100%まで2時間で充電できるようになっており,その間は着脱が容易な専用ケーブルで充電しながらワイヤードマウスとして使える仕様である。

本体底面にもボタンが1つあるが,これはプロファイル切り替え用
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 本体サイズは67(W)×130(D)×40(H)mmなので,イメージとしては,ざっくりG502と同程度の大きさという理解でいいだろう。
 なお,G900は,ボタン構成にも一工夫ある。左右メイン×2,センタークリックおよび左右チルト機能付きスクロールホイール,ホイール手前×2というのはおおむね標準的ながら,左右2個ずつのサイドボタンはマグネットによる着脱式となっているのだ。標準では右利き用になっているため,左サイドが2ボタンで,右サイドはボタンを無効化するカバーが填まっているのだが,左利きの人は,これを左右逆にできる。あるいは,4ボタンすべてを有効にすることも,逆に無効化することも可能だ。

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設定ツール「Logitech Gaming Software」(日本では「Logicoolゲームソフトウェア」)より。サイドボタンのレイアウトは4パターンから選択できる
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製品ボックス付属の小型ケースに,ワイヤレスレシーバーとアダプターとセットで,交換用のボタンおよびカバーが入っていた

 そのほか主なスペックは下にまとめたとおりとなる。

●G900の主なスペック
  • 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤレス・ワイヤード両対応タイプ
  • ボタン:左右メイン,センタークリック&チルト機能付きスクロールホイール,ホイール手前×2,左サイド×2,右サイド×2(※左サイドおよび右サイドの2ボタンはそれぞれ無効化可能。別途,スクロールホイールの刻みを有効化/無効化するスイッチ搭載)
  • トラッキング速度:最大300IPS
  • 最大加速度:最大40G
  • フレームレート:未公開
  • 画像処理能力:未公開
  • トラッキング解像度:200〜12000 DPI
  • レポートレート(ポーリングレート):1000Hz(※ワイヤレス/ワイヤード接続時共通)
  • データ転送フォーマット:16bit/axis
  • リフトオフディスタンス:未公開
  • 本体サイズ:67(W)×130(D)×40(H)mm
  • バッテリー駆動時間:32時間(※LED消灯時),24時間(※LED充電時)
  • 重量:107g
  • マウスソール:動摩擦係数11μ(k),静摩擦係数17μ(s)(※ベニヤ板上で計測)
  • ケーブル長:未公開
  • 保証期間:2年間

Chris Pate氏(Portfolio Manager, Logitech G, Logitech)
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 4Gamerでは本稿の掲載と同時に,別途,BRZRK氏によるファーストインプレッション記事を掲載しているが,さらに,Logitech G/Logicool Gの製品ポートフォリオマネージャーを務めるChris Pate(クリス・ペイト)氏に,G900に関してもう少し突っ込んだ話を聞くことができた。
 あらかじめお伝えしておくと,4GamerではG900の発表に合わせてスイスのローザンヌ市にあるLogitech/ロジクールの研究開発施設を訪ね,G900開発現場を見学する機会を得た。その模様は追ってお伝えする予定だが,インタビューはその見学後に実施したこともあり,一部,見学を前提とした受け答えがある点は,あらかじめお断りしておきたい。

 また,インタビューはGAME Watchとの合同で行われた。筆者が行った質問とその回答はほぼすべて掲載しているが,GAME Watchのそれは,筆者が用意していたものと同じ,もしくは近いもののみをピックアップしているので,その点もご了承を。


Logitech G/Logicool Gのキーパーソンに聞くG900


――G900の開発計画は,いつ頃始まったのですか。

Chris Pate氏:
 公式にはだいたい2年前です。ただ,事前の技術検証や準備自体は,3年くらい前にはスタートしていますね。私はスタートの時点から関わっています。

――開発の契機は何でしょうか。さまざまな要素が考えられますが。

Chris Pate氏:
 そもそもは,「プロフェッショナルグレードのワイヤレスマウス技術を使いたい」というところから始まっています。(G900のユーザーとしては)とくにCounter-Strike(※筆者注:Counter-Strike: Global Offensiveのこと。以下同)ゲーマーを想定していますが,彼ら彼女らは,「ワイヤレスマウスの品質が低い」と理解していますよね。そこを解決するための開発に取り組んだのがスタートです。

G700sの立体分解モデル
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――Logitech G/Logicool Gのワイヤレス対応モデルというと,既存製品としては「G700s」(G700s Rechargeable Gaming Mouse)と,そのベースモデルとなる「G700」(Wireless Gaming Mouse G700)がありますが,これらに対するユーザーのフィードバックが開発には反映されているということですか。

Chris Pate氏:
 そうですね。G700とG700sで採用したワイヤレス技術自体はとてもよいものでしたが,ゲーマーにとって最適でない部分が2点ありました。1つはセンサーで,プロゲーマーから高い評価を得られませんでした。光学センサーではなく,レーザーセンサーを搭載していたことも大きいですね。
 もう1つは重量で,G700とG700sはざっくり150gくらいありました(※筆者注:正確にはG700sが152g,G700が151g)。G900の開発にあたって,我々は時間をかけて「いかにして重量を減らすか」についての分析を重ね,おおむね33%の軽量化を実現しています。

――北米市場における価格は税別で149.99ドルだそうですね。ゲーマー向けマウスとしてはちょっと高すぎるようにも思うのですが,その点はどう考えていますか。

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Chris Pate氏:
 G900はとてもプレミアムな製品であり,プレミアムな技術とプレミアムなコンポーネントを投入しています。市場で似たようなコンセプトの製品を探してもらえば,それらがG900と似たような価格になっていると分かるでしょう。「(純粋に)高価か?」と聞かれれば「そのとおり」なのですが,プレミアムな技術やコンポーネントを投入しなければ,ベストな体験は得られないのです。
 グラフィックスカードを買うことを考えてみてください。Counter-Strikeを120fpsでプレイするとなると,グラフィックスカードの購入には600〜700ドルかかります。「十分な性能は得られるが,ベストの体験ができるわけではない」ものでも300〜400ドルです。
 GPUやCPUは,だいたい2〜3年に一度買い換えることになりますが,それに照らし合わせると,G900は,最高の性能を(各地の消費税率次第ながら)1年50〜60ドル程度で手に入れられることになります。性能を考えると,むしろ安いと私達は考えていますよ。

――となると,今後,ゲーマー向けマウスの価格はますます高くなるのでしょうか。

Chris Pate氏:
 必ずしもそうではありません。
 G900はプレミアムモデルなので高価ですが,ご存じのとおり,私達はプレミアムモデルだけを作り続けているわけではありません。ミドルレンジやエントリー市場向けの製品も,ユーザーのニーズや他社の動向を見ながら,今後も継続して定期的に投入していきます。

 たとえば「G302」(G302 Daedalus Prime MOBA Gaming Mouse)やG303で,私達はまったく新しいボタンデザインを行いましたが,あれは「League of Legends」のプレイヤー(のニーズ)を見ていたからです。持ち方やボタンの連打など,プレイスタイルは(FPSと)大きく異なります。(RTSジャンルに属する)「StarCraft」もあのような感じではありませんよね。そこで,新しいボタンデザインが必要になり,ゲーム体験の改善を図ったのです。
 (ゲーマー向けマウスの市場では,価格帯を問わず)常にどこかに改善の余地があります。たとえば,別のジャンルのゲームが人気になったら,異なるスペックのセンサーが必要になるかもしれません。(価格帯を問わず)開発に終わりはありません。

――搭載するセンサーはPMW3366で,G502やG303と同じとされています。センサー自体の消費電力も同じなのですか。それともG900で何らかの最適化を行っていますか。

G900のメイン基板。搭載するセンサーの型番は「PMW3366DM-VWQU」だった
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Chris Pate氏:
 センサーは同じものです。また,「操作しているときの消費電力」という観点からすれば,G900はG502やG303と変わりません。
 ただ,G900で休止ステートに対するスリープタイマーを実装していまして,たとえば数分放置しているとG900は低消費電力モードに入り,マイクロコントローラがマウスシステム全体の消費電力を下げるようになっています。

――そのスリープモードですが,完全な自動制御ですか。それともかつての「G7」(G7 Laser Cordless Mouse)ようなフルパワーモードのような設定を選択できたりしますか。

Chris Pate氏:
 完全な自動制御です。

――G7のような,交換式のバッテリーパックは検討しなかったのですか。

Chris Pate氏:
 していません。その理由は簡単で,まず,G7型のバッテリーでは駆動時間が満足できるものにならないからです。また,バッテリーをプラスチック製ケースで覆うと,追加の重量増を許容することになり,本体側にもケージやスプリング,ボタンといった着脱機構を用意しなければなりません。カートリッジ型バッテリーの充電機構も別途用意しなければなりませんし,そもそもバッテリーも複数個必要になります。

G900に内蔵されるバッテリーパック。750mAh 3.7V 775Whというスペックになっていた
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 そこでG900では,内蔵バッテリーを2時間で充電できるようにして,その間もワイヤードマウスとして利用可能にしました。そして,一度充電すればざっくり1週間は利用できます(※筆者注:Logitech G/Logicool Gは,1回の充電で連続32時間動作し,一般的なゲーム利用であれば一週間,充電なしで利用できるとしている)。

――交換できないとなると気になるのはバッテリーの耐久性です。どれくらいを見ているのでしょうか。

 (LEDを点灯したまま)24時間使い続けるとバッテリー残量が100%から0%になるとして,そこから100%に充電し,再び連続で使い続けるというのを繰り返した場合に,1080回,およそ3年行えるレベルの耐久性があります。一方でG900そのものの製品保証は2年ですから,バッテリーの寿命は,製品保証期間をはるかに超えるレベルで確保できているとお考えください。

――無線技術におけるブレイクスルーはどのあたりになるでしょうか。

Chris Pate氏:
 2.4GHz帯の無線技術に関して,私達は長年にわたって研究を重ねてきて,今回,ゲームプレイにおいては,Bluetoothが性能に悪影響を与えるということを突き止めています。また,1000Hzレポートレート設定時の転送速度は私達の技術が最も優れていますね。

――開発中にはどんなチャレンジがありましたか。

G900の立体分解モデル。G700sと比べると明らかに部品点数が多く,それでいて軽いというのが見どころだ
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Chris Pate氏:
 完全に左右対称で,かつ,多くの人達が快適に持てるようにするというのは,とてもやりがいのあるテーマでした。それを実現するために,デザイン上のさまざまな規則を設けて,細かく細かく,カーブだったり幅だったり高さだったりの調整を行っています。その後,メカニカルエンジニアが,私達が導入したいと考えているすべてのコンポーネントを詰め込み,そのうえでプロゲーマーが安心して使えるだけの十分な強靱性と軽さを実現するという流れです。

――その結果だと思いますが,G900は,これまでのLogitech G/Logicool G製マウスのなかでも,群を抜いて「溝」が多いと思います。埃が溜まりやすいのではないかと思いますが。

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Chris Pate氏:
 その点はご指摘のとおりです。なので気になる場合には,ブラシやエアダスターといった,カメラのメンテナンス用機材を使って掃除することをお勧めします。また,溝ではありませんが,ABS樹脂にマットクリアコートしてある部分は,水拭きで簡単にクリーニングできるでしょう。

――個人的には,メインボタンの構造上,脇の隙間から埃が入りやすいのが気になります。ボタンの操作性に対する影響はないのでしょうか。

Chris Pate氏:
 「脇の隙間から埃が入りやすい」というのもご指摘のとおりですが,内部に入り込んだ埃は,やはりエアダスターで対処できるので,安心してください。また,最も気になるのはスイッチ自体に埃が入り込むことではないかと思いますが,スイッチは二重にシールドされていて,「スイッチに埃が入って押下特性が低下する」ことは起こり得ないと確信しています。

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メインボタン機構。G900では,斜めに取り付けられたスイッチをカバーが押すような構造になっている
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詳細は追って掲載予定の記事でお伝えするが,こちらが,Pate氏の言う「地下」で筆者が見た,G9xベースのプロトタイプ
――そのメインボタンですけれども,スイッチの機構は,G9xにおける金属の軸と,G303におけるバネの合わせ技のように見えます。実際,技術のミックスなのでしょうか。

Chris Pate氏:
 いえ,新作です。地下でG9xのプロトタイプをご覧になったからそう思うのかもしれませんね。
 G9xベースのプロトタイプを作った理由は2つで,1つは,開発を開始した時点で,Logitech G/Logicool Gのマウスのなかで,G9xのボタンが最も押下感に優れていたため。もう1つは,テスターに「プロトタイプを使っている感」を持たせなくするためです。後者は非常に重要で,何か新しい形状をしていると,テストをする人の頭には「これは何か新しいものだ。これまでとは違うはずだ」というバイアスがかかってしまうんですよ。

――となると,「良好な押下特性を実現するメインボタン関連技術」が,現行世代で2種類存在することになりますよね。一方で主力マウスであるG502には当該機能がないわけですが,後継モデルが出るとして,G900とG303,どちらの機構を採用することになるのでしょうか。

Chris Pate氏:
 ご存じのとおり,将来のお話はできません。ただ,ある技術や機構によってゲーマーが大きな利益を得るのであれば,私達はその技術を上から下までの製品に実装することを検討します。
 同時に,ほぼ同じ結果を期待できる2つの技術があるとすれば,私達がどちらを採用しようと,ユーザーにとって大きな問題にはならないでしょう(から,そこはあまり重要ではないと考えています)。

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――G900は両サイドに2個ずつサイドボタンを搭載し,着脱可能になっているわけですが,この機構を活かして,ボタンの数を変更できるようにしようと考えたことはありましたか。

Chris Pate氏:
 たとえば3ボタンとか?

――ええ。

Chris Pate氏:
 それはありません。左2ボタン,右2ボタンの4ボタンを提供しようと,当初から考えていました。一般に,3ボタン以上あると,押し分けにあたってユーザーは混乱しやすくなります。

――ただ,G502だと,ユニークな実装で3ボタンを実現したりしていますよね。

Chris Pate氏:
 G502の3ボタン中央は容易に区別しやすく,多くの人に3ボタンを歓迎してもらえました。ただ,そうでない人もかなりいまして,そのため,G900の開発にあたっては,当初から,より多くの人に受け入れてもらいやすい数を選択したということです。

――サイドボタンは今回着脱式ですが,なぜ着脱式にしたのでしょうか。

Chris Pate氏:
 第一には,左効きに対応するためです。また,サイドの4ボタン全部を使いたい人がいて,そうでない人もいるので,片側を物理的に有効化/無効化できるようにしたかったというのもあります。カスタマイゼーション,あるいはパーソナライゼーションの方法をユーザーに委ねているわけです。

――ここ数年,着脱系のギミックはすべてマグネットによる実装ですよね。これはどういう理由によるのでしょうか。

Chris Pate氏:
 マグネットが好きなんですよ(笑)。マグネットはすごい(笑)。
 真面目にお答えすると,ネジやツメという機構では,壊れるリスクがあります。もちろん,マグネットには重量増というトレードオフがあるのですが,「外そうと思ったら簡単に外れ,それ以外では容易には外れない。そして壊れる心配がない」という点で,着脱機構にはマグネットがベストだと考えています。

両側面のサイドボタンはマグネットによる着脱式。ボタンを無効化するためのカバーも,もちろんマグネット式である
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――その着脱式サイドボタンでは,G900がオムロン(=オムロン スイッチアンドデバイス)製スイッチを採用したのが印象的でした。私(=佐々山)の記憶が確かなら,サイドボタンにオムロン製スイッチを採用したのは初めてだと思うのですが。

筆者がチェックしたところ,G900のサイドボタン用スイッチはオムロン スイッチアンドデバイス製だった
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Chris Pate氏:
 G900ではさまざまなマイクロスイッチを採用しています。それは,一般的なマイクロスイッチではデザインにフィットしないからです。
 ですがご質問には,正直に申し上げて,回答できません。私達は,「メインボタンのスイッチが2000万回の押下に耐えられる」というスペック情報を具体的に挙げていますが,スイッチのブランド名は明示していないからです。私達にはコンポーネント調達先として多数のパートナーがいますが,センサーユニットを除いて,コンポーネントのブランド名は開示していないのです。

――重量調整機構を付けなかったのはなぜですか。

Chris Pate氏:
 スペースがなかったから(笑)。
 下で分解モデルを見てもらったと思いますが,どこにも場所はありません。これまでのマウスに対しては,重かったG700sやG700に対してすら「もっと重くしたい」というフィードバックがあった(くらいなので,できる限り要望には応えたい)のですが,搭載しない理由は基本的にスペースかコストによるものです。

G900の充電用ケーブルは先端がクワガタムシ(というかヘラクレスオオカブトムシ)的な形状になっていて,その先に標準でUSB Micro-B−USB Type-A変換アダプター経由でワイヤレスレシーバーを取り付けるようになっている。充電のときはアダプターごとレシーバーを外し,左右に広がったツメがG900側の凹みと合うように差し込めば取り付け可能だ
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――ケーブルの接続機構はとにかくユニークですが,なぜあの形状なのでしょうか。素人考えでは,Type-Cなら,(Type-Bのように,ケーブルの上下を気にする必要もなく)簡単だと思うのですが。

Chris Pate氏:
 ユニークな形状にしたのは,接続するときのガイドとして機能するようにしたためです。(※実機を使って示しながら)このようにブラインドの状態でもケーブルを差せるようにするのが目的ですね。とにか素早く接続できるように。
 G900では,バッテリー残量が15%を下回ると,LEDインジケータが瞬くようにしてあります(ので,すぐ気づくと思います)が,それでもバッテリー切れの不安はあるでしょう。League of Legendsでチャンピオンが復活するまでや,Counter-Strikeでゲームが始まるまでといった十数秒から数十秒で充電を開始するためには,少しでも素早くケーブルを接続できるようにしなければなりません。

――それはよく分かります。G700でもケーブルの取り付けやすさには配慮がありましたね。ただ,あちらは,いったん差すと,とにかく抜きづらかった。

Chris Pate氏:
 (抜きづらいのは)プラスチックモールドで耐久性を追加した結果ですね。おっしゃるとおり,取り付けやすかったけれども,取り外しはしにくかった。G900ではその部分の改善を図っています。

――ここまでのお話を聞いていると,いよいよブラインドでケーブルを差せるType-Cはアリではないかと思うのですが。

Chris Pate氏:
 Type-Cのほうですが,これはそもそも,G900の開発を公式に開始した2年前の時点で,Type-C関連コンポーネントの選択肢がほぼなかったからです。
 現時点においても選択肢は乏しく,導入コストも高い。今日(こんにち)の市場において,Type-Cはリーズナブルな選択肢ではありません。広く採用され,コストが下がったら,その時点で検討することになるでしょう。これはもう,タイミングの問題ということですね。

――製品の命名ルールを確認させてください。今回,久しぶりに9系の型番が選択された理由は何でしょうか。

Chris Pate氏:
 トップティアプロダクトだからです。G9xに続く,トップエンド製品ということですね。

本論とはあまり関係ない質問として「なぜLogitech G/Logicool Gは交換用マウスソールの単品販売をしないのか」と尋ねたら,即座に「いや,logitech.comで売ってるよ?」と返事が来た。日本のロジクールストアでは買えないこと,けっこう困っている人がいることは伝えておいたが,さて……
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――今回の製品はなぜ「900」という型番なのでしょうか。

Chris Pate氏:
 番号には法則があります。百の位はティア(tier,階層構造)で,十の位は製品のタイプを示しています。0はマウス。1はキーボード,2はレーシングホイール,3はヘッドセット,4はマウスパッド,5はそれ以外ですね。

――5はゲームパッドとかですか?

Chris Pate氏:
 いまは言えません(笑)。
 話を戻すと,1の位が「世代」を示します。ただし,1の位に「より数字が大きいほうが優れている」こと以上の意味はありません。2より3が優れていますが,(0から途切れることなく)順番に並んでいなければならないわけでもなかったりはします。
 (1の位の命名法則について)正確に言えば秘密の理由はありますけれども,大した理由ではありません。重要なのは「ティア,ジャンル,世代」ということです。

――愛称も気になります。「Chaos Spectrum」の「Chaos」とはどういう意味なのでしょう。Chaosというのはけっこう不吉な感じですが。

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Chris Pate氏:
 まず,愛称自体は神話に基づいた命名になっています。
 ただ,G900自体がカオス(=大混乱)なわけではありません。ユーザーがカオスな体験をするのではなく,逆に,G900のユーザーがカオスをもたらすという意味です。

 また,デモンストレーションでご覧に入れたとおり,G900は,世界で初めての,ワイヤードマウスよりも優れたワイヤレスマウスです。私達はゲーマー向けマウスの将来はワイヤレスにあると信じているのですが,G900は,史上初めて,性能に妥協のないワイヤレスモデルとなりました。競合よりも優れていて,競合にカオスをもたらすという意味もあります。
 G900ユーザーの敵,そして私達の競合に,災いをもたらす存在なのです。

――いまワイヤレスという話も出ましたが,ゲーマー向けマウスの将来をどう見ていますか。

Chris Pate氏:
 10年前にもよく「PCゲームの未来はどうなるのか」と聞かれましたよ(笑)。いわく,PCゲームはPS3に席巻されて,プロゲーマーなんてものはなくなるだろう,と。

 私は,ゲーマー向けマウスも,ゲーマー向けマウスのファンも,将来にわたって増えていくと考えています。技術のステップチェンジ,あるいは大きなシフトがあると思います。また,G900をもってしても「最高到達点」には到達できておらず,まだ改良の余地はあるとも考えています。
 G900の開発には3年を要しましたが,エンドユーザーの方々がそれを手にする頃,私達はまだ見ぬ製品の開発に入っていきます。いつも「何かすべきことがある」というのはとてもよいことで,とても楽しいですね。

Logicool Gのマウス製品情報ページ

Logicool G「G900」ファーストインプレッション。スリープからの復帰は文句なしに早く,重量は相当に軽い



予約注文先着200名に限り10%引き。Amazonとのコラボキャンペーン


 今回,4GamerとAmazon.co.jpは共同で,G900の予約注文キャンペーンを実施することになった。具体的には,下に示したリンクの先にあるクーポンコードを使うと,先着200名に限り,Amazon.co.jpの通常価格より10%引きで購入できる。高価なマウスなだけに,10%引きというのは大きいだろう。4GamerとAmazon.co.jpではこの手の企画を過去に何度か実施しているが,今回も早い者勝ちである。

4Gamer×Amazon共同企画,G900注文の先着200名が10%引きキャンペーン(Amazonアソシエイト)

Amazon.co.jpのG900販売ページ(Amazonアソシエイト)


 クーポンコードは,G900をAmazon.co.jp内でカートに入れた後,レジに進んで,決済直前の「注文内容を確認・変更する」ページで入力することになる。下に示したボックスへ入力したら,[適用]ボタンをクリックすると,決済時に割引きが確定となる仕掛けだ。
 適用されなかった場合は,先着順での受付が終了したということになるので,この点はあらかじめお断りしておきたい。

「注文内容を確認・変更する」ページの例。矢印で示したところにクーポンコードを入力して[適用]ボタンをクリックすれば,割引きが適用される(※ここで入力しているクーポンコードはダミーです)
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 細則はAmazon.co.jpのヘルプを参照してもらえればと思う。


※16:05追記
 Amazon.co.jp側でキャンペーンが始まっていません。販売ページも立ち上がっていないようです。状況が分かりましたら,追ってお伝えします。

※16:45追記
 キャンペーン開始を確認し,販売ページへのリンクを追加しました。
  • 関連タイトル:

    Logitech G/Logicool G

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