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ロジクールのゲーマー向けマウス主力シリーズ最新作「G502」レビュー。伝統に背を向けた新デザインは吉と出るのか?
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印刷2014/05/16 00:00

レビュー

主力シリーズの最新モデルが採用する「伝統に背を向けた新デザイン」は吉と出たか?

Logicool G G502 Proteus Core Tunable Gaming Mouse

Text by BRZRK


G502 Proteus Core Tunable Gaming Mouse(国内製品名:G502 チューナブルゲーミングマウス)
メーカー:Logitech
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085(平日9:00〜19:00)
実勢価格:6800〜7600円程度(※2014年5月16日現在)
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 2014年5月16日,ゲーマー向け製品ブランド「Logicool G」(海外では「Logitech G)の新型ワイヤードマウス「G502 Proteus Core Tunable Gaming Mouse」(日本では「G502 チューナブルゲーミングマウス」,以下 G502)が発売となる。
 Logitech/ロジクールのゲーマー向けマウスにおける“5系”は,保守本流として,これまで,始祖ともいえる「MX510 Performance Optical Mouse」(以下,MX510)の,丸みを帯びた形状をかなり忠実に守ってきた。従来製品「G500s Laser Gaming Mouse」でもそうだったわけだが,G502はそれと比べると,ずいぶんと思い切った形状変更になった。

G500s(左)とMX510(右)。いろいろと基本仕様は変わりながらも,従来の“5系”では似たような意匠が採用されてきていた
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 “5系”に慣れ親しんできた人ほど,今回のG502はどうなのかと気になっていると思うが,果たしてG502は,従来からのファンを満足させつつ,新しいファンを獲得できるような製品に仕上がっているのか。今回はその点をチェックしていきたい。


G500sと似た部分はあるものの

新デザインらしさのほうが強いG502


 Logicool Gのラインナップでいうと,2013年9月に国内発売された「G602 Wireless Gaming Mouse」(以下,G602)と同じ「Gxx2」系となる,今回のG502。確かにG602と似たコンセプトだと思う読者も多いだろうが,ロジクールに確認したところ,今後市場投入予定の製品も含め,Gxx2系ではG602で採用したデザインコンセプトのほうで統一していくという。その意味では,G502のデザインも,将来的には見慣れたものになっていくかもしれない。

“5系”の面影は薄く,G602を発展させたような外観となっているG502。「G」マークが光るが,こうして純粋なイルミネーションが用意されるのは,Logicool Gのマウスとして初めてのことだったりする
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製品ボックス。G502と並んでProteus Coreともプリントされている
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 ちなみに,英語版の製品名にある「Proteus Core」(プロテウスコア)というのは,「欧米市場向けの愛称」(ロジクール)とのことだ。
 iPhone用ゲームコントローラ兼バッテリーの「PowerShell Controller+Battery」が日本で発表されたとき,ロジクールは「極東アジア地域では『G+数字』型番が浸透しているため」として,国内製品名に「G550」の型番を入れていたのを憶えている人も多いだろう(関連記事)。これとは逆に,欧米では型番よりも製品名のほうが受けがよく,それゆえ,海外製品名は長くなっているそうである。

 ……と,いきなり余談から入ってしまったが,下に示したのがG502の主なスペックだ。

DPI設定は最大5段階を登録可能。インジケータは数秒で消灯する仕様だ
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●G502の主なスペック
  • 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤードタイプ
  • ボタン数:12(左右メインボタン,チルト&センタークリック機能付きスクロールホイール,ホイール手前×2,左メインボタン脇×2,左サイド×3)
  • トラッキング速度:300IPS(≒7.62m/s)
  • 最大加速度:40G
  • 画像処理能力:未公開
  • フレームレート:未公開
  • DPI設定:200〜12000 DPI(50DPI刻み)
  • ポーリングレート:125/250/500/1000Hz
  • データ転送フォーマット:16bit
  • 実測本体サイズ:約75(W)×132(D)×40(H)mm
  • 実測重量:約168g(※ケーブル含む),約124g(※ケーブル抜き)
  • ケーブル長:約1.9m
  • マウスソール:動摩擦係数 −μ(K)0.1,静止摩擦係数 −μ(S)0.15
  • 製品保証:3年間

G502でセンサーは本体底面ほぼ中央に移動した。G500s&G500では本体前面寄りだったのが,G400sと同じような場所になった,という表現も可能だろう
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 スペック面での見どころはなんといっても,トラッキング速度300IPS,最大加速度40Gという光学センサーである。製品名が「G5」で始まるゲーマー向けマウスでは初採用となる光学センサーには,「G400s Optical Gaming Mouse」(以下,G400s)で採用されていたのと同じ「Delta Zero」(デルタゼロ)の名が冠されているが,G400sのDelta Zeroセンサーはトラッキング速度70〜140IPS,最大加速度25Gだったので,別モノという理解でいいだろう(※後ほど分解して事実関係は確認する)。
 従来製品であるG500sだと,サイズは73.4(W)×129.2(D)×44(H)mmで,ケーブル込みの重量が約170g,ケーブルを取り外したときの重量が約120gだったので,縦横は大きくなった一方で背は少し低くなり,ケーブル抜きの重量は,もともと重量級のG500sからさらに少し重くなったことになる。

4Gamerの比較用リファレンスにして,G500sと基本形状を同じくする「G500s Laser Gaming Mouse)と並べたところ。背は低くなっている一方,横から見たときの曲がり具合や,左右メインボタンについた角度,スクロールホイールの配置などは変わっていないことも分かる
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左メインボタンは凹み,右メインボタンは膨らむという,珍しいデザインだ。セパレートタイプだからこそできるアイデアといったところ
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左右メインボタンはつや消し加工済み。多少の手汗があっても汚れは目立ちにくい。スクロールホイールはプラスチック感満載(?)だ
 左右メインボタンは,いわゆるセパレートタイプで,右のほうが本体奥側(=前方側)へせり出している。また,左だけ凹んでいるが,これはホームポジションを低い位置に用意することで,左メインボタン脇で比較的大きめの存在感を見せている[G7][G8]ボタンを“誤爆”させないような配慮ではなかろうか。いずれにせよ,G500sでは両方とも丸みを帯びていたので,ここは大きな変更点だといえる。

 スクロールホイールの横幅は実測約6.7mm。ホイール部分は約2.5mmごとに比較的大きめの凹凸が設けられているのだが,ラバーコーティングなどの滑り止め加工はされておらず,プラスチック剥き出しといった趣なので,やや馴染みにくい。
 スクロールホイールのすぐ手前にあるボタンは,G500sと変わらず,カチカチとしたノッチ感が得られるスクロールと,回転させたときの抵抗感がなくなるスクロールを切り替えるハードウェアスイッチだ。後者をゲーム用途で使うことはまずないだろう。
 なお,変わっていないという点では,左右チルトが用意されているのも従来製品と同じである。

本体側面にはサイドボタンとなる[G4][G5]ボタンとは別に,他社製のゲーマー向けマウスでよく「AIMボタン」とか「スナイプボタン」とか言われるボタンが配置されるところにも追加の[Shift]ボタンが用意されている
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 本体左側面は,カバー部と側面部を隔てる溝のところにサイドボタン[G4][G5]が用意され,その下は軽く凹んだ後,本体底面側でせり出した格好だ。そのため,親指は置くというより,乗せるような感覚になる。
 側面のコーティングは,いま紹介した左側が本体後方左右中央くらいまで,右側は薬指や小指を置く場所がそれぞれラバー加工されている,指先がきそうな部分にはエンボス加工された多数の三角形があって,さも滑り止めとして機能しそうなのだが,正直,滑り止めの効果はあまり感じなかった。

本体左側面の凹みとサイドボタンおよび[Shift]ボタン。サイドボタンは手前側の小さな[G4],奥側の大きな[G5]とも,本体からそれほどは隆起していない。隙間によって誤爆を防ぐデザインになっており,親指を上側へ移動させれば押下できるようになる。一方の[Shift]ボタンは本体から3mmほど隆起していた。これはホームポジションから遠いため,逆に押しやすくしてあるのだろう
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左側面の滑り止め加工は凹んでいたのに対し,右側面は逆に盛り上がっている。これは,指が配置されるであろう位置と形状に合わせた配慮なのだろうが,肝心の滑り止め効果が弱いので,あまり意味があるようには感じない
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底面カバーを外して,新型の錘を取り付けたイメージ
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 G502の新要素としては1つ,「G5 Laser Mouse」以来の「Weight Cartridge」(ウェイトカートリッジ)が廃され,「1枚3.6gある,緩い『∧』型をした錘(おもり)を本体底面カバーの下に最大5枚取り付けることで,積極的に重量バランスを左右や本体後方寄りに調整できるようになった」ことが挙げられる。ただ結局のところ,今回もケーブル抜きの重量が124gと十分に重いため,わざわざ重くすることに対するメリットはない。錘周りの仕様はずいぶんと変わったが,とにかく重いマウスが好きなのだというのでなければ使う意味がないという点では,新しいウェイトシステムも従来から変わっていない。

底面のカバーはマグネットで固定されており,本体後方向かって左側のスカート先端に見える水色の部分を利用して簡単に開けられる。中央は付属の錘ケース。右はそれを開けたところだ
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意外と持ち方を選ぶ形状

どの持ち方でも重さがネックに


 持ちやすさもチェックしておこう。
 大きめで重量感のあるマウスは一般に,「かぶせ持ち」との相性がいいのだが,実際に握ってみると,G502の場合は,前段で述べた「微妙に歪んだ右側面」のために小指の配置場所を安定させづらく,意外と適していない。
 その代わり,指を立てて持つ「つまみ持ち」や「つかみ持ち」,かぶせ持ちをベースとした筆者独自の持ち方「BRZRK持ち」だと,指先を右側面とフィットさせやすく,総じて扱いやすい印象を受けた。

 以下,実際に持った写真を示しておくので,参考にしてほしい。

つまみ持ちの例。親指を側面に立てているため,サイドボタンの操作は難しくなるが,これはやむを得まい
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つかみ持ちの例。手前側の小さな左サイドボタンには親指が届きにくくなるので,2個使い分ける場合には少々無理する必要がある
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かぶせ持ちの例。伸ばした小指の第三関節から先が宙に浮いたような状態で,なかなかストレスフル。あまり適した持ち方とはいえない
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BRZRK持ちの例。親指は寝かせた状態で,小指と薬指を立てるようにマウスを持つと,かなり操作しやすい。おそらくこれがベスト
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 というわけで,4種の持ち方ではBRZRK持ちが最も負担がない。つまみ持ちとつかみ持ちがそれに続き,かぶせ持ちには適さない,という結果になった。
 ただ,注意してほしいのは,筆者が日本人のなかでは手が大きい部類に入ることだ。手が小さめの人だと異なる印象を受ける可能性があるので,その点は頭に入れておいてほしい。
 なお,ケーブル抜きで124gというのは,やはり重い。腕や手首にかかる負担を常に感じながらの操作になったことは付記しておこうと思う。

 従来製品であるG500sとの比較でいうと,Logitech/ロジクールは同じようなシルエット,同じような握り心地になるよう苦心した跡は見られるものの,実際の印象は大きく異なる。サイドボタンの大きさはもちろんのこと,全体的にボタンの配置場所が変わったことが,この印象の大きな要因になっていると述べていいだろう。少なくとも,G500s以前の“5系”マウスを使っていた人が,G502に乗り換えて,何の違和感もなく使えるかというと,正直怪しい。
 慣れればなんとかなるレベルではあるので,問題ないといえばそれまでだが,“5系”マウスの直系最新作らしい「買い換えていきなり使い始めたときの違和感のなさ」を求めると,裏切られたと思うかもしれない。


設定ツールは基本的に変わらずだが

新要素の使い勝手は非常によい


 G502自体はWindowsのクラスドライバで動作する仕様だ。ただ,Logicool Gの従来製品と同様に,ボタンやセンサー周りの細かい設定を行うためには「Logicoolゲームソフトウェア」(海外では「Logitech Gaming Software」)を導入する必要がある。

 Logicoolゲームソフトウェアの使い勝手は,基本的に従来同様。なので,いまLogicool Gのマウスを使っている人には馴染み深いと思われるが,これは「そうでない人には分かりにくい」というのと同義でもある。

 最も分かりにくいのは,メインメニューに「オンボードメモリ」「自動ゲーム検出」という2つの選択肢があり,選択結果によって挙動が変わることと,その説明がヘルプファイルにすら満足に書かれていないことだ。

「オンボードメモリ」(左)と「自動ゲーム検出」(右)。メインメニュー下に並んだアイコンの数が変わっている
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「オンボードメモリ」でメインメニュー下部のマウスアイコンをクリックを選択した状態。3つあるプロファイルそれぞれに,ボタンへの機能割り当てと,DPI設定,レポートレート(ポーリングレート)を設定できる
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 簡単にいうと,前者では,マウス側のフラッシュメモリに,ボタンへの機能割り当てとDPI設定,レポートレート(ポーリングレート)設定のみをプロファイルとして最大3つ登録できるだけだが,Logicoolゲームソフトウェアのインストールされていない環境でも利用できる。一方の「自動ゲーム検出」では,加速の有無なども追加で設定できるようになり,4つ以上のプロファイルを登録して,ゲームなどアプリケーションの起動に合わせて自動的に切り替わるようにもできるが,使えるのはLogicoolゲームソフトウェアがインストールされた環境のみとなる。
 試行錯誤していけばそのうち気づけるので,一度分かれば問題ないのだが,初めてゲーマー向けマウスを買う人にこれを「慣れろ」というのは酷ではなかろうか。

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「自動ゲーム検出」で同じアイコンをクリックした状態。複数のプロファイルを登録できるようになり,また,ボタンへの機能割り当てはドラッグ&ドロップで行えるようにもなる
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「自動ゲーム検出」では,「ポインタ設定」のメニューが独立しており,DPI設定やレポートレート設定をプロファイルごとに変えたり,ポインタの加速の有無を設定したりできる

 さて,そんなLogicoolゲームソフトウェアだが,G502では1つ,従来のLogicool Gマウスになかった機能が用意されている。それが,マウスパッドごとのキャリブレーション機能だ。他社製マウスの一部ではすでに採用されているものなので,目新しいものではないが,こちらは調整方法の説明も含め,非常に分かりやすい。Logicool Gのマウスパッドなら,プリセットが用意されているので選ぶだけ,それ以外のマウスパッドも画面の指示に従っていくだけでキャリブレーションを行えるので,これはぜひ試してみてほしいと思う。

メインメニューで「マウスパッドの上に照準がある」アイコンをクリックすると,「表面のチューニング」が表示される(左)。Logitech/ロジクールのマウスパッドは標準でリストアップされているので,選ぶだけでキャリブレーション完了。それ以外は「新しい表面を追加」から,まず,キャリブレートしたいマウスパッドを登録する(中央)。登録したら[調整]ボタンを押す(右)
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[調整]ボタンを押すと,調整モードに入る。あとは画面の指示に従っていくだけ。マウスを動かす速度は,画面中央の速度計で赤いゾーンに入らないように注意しよう。右の画面になれば完了だ
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キャリブレーションの効果は抜群

リフトオフディスタンスは極めて短い


 G502のセンサー性能はどうか。まず,マウスパッド全14製品におけるリフトオフディスタンスをチェックしてみよう。
 今回から,リフトオフディスタンスの検証では0.05mmから1mmまで,厚さの異なるステンレスプレートをいろいろ用意して,より正確な値を計測することにした。その結果がだ。なお,テストにあたっては,Logicool Gのマウスパッドを使うときはLogicoolゲームソフトウェア上のプルダウンメニューから適切な選択肢を選択し,それ以外のマウスパッドではキャリブレーションを行っている。

表 G502のリフトオフディスタンス検証結果
テスト結果
ARTISAN 隼XSOFT(布系) 1mm以上,1.05mm未満
ARTISAN 疾風SOFT(布系) 1.15mm以上,1.2mm未満
ARTISAN 飛燕MID(布系) 1mm以上,1.05mm未満
Logicool G440(プラスチック系) 0.95mm以上,1mm未満
Logicool G240(布系) 0.95mm以上,1mm未満
Razer Destructor 2(プラスチック系) 0.85mm以上,0.9mm未満
Razer Goliathus Control Edition(布系) 1mm以上,1.05mm未満
Razer Goliathus Speed Edition(布系) 1mm以上,1.05mm未満
Razer Manticor(金属系) 0.65mm以上,0.7mm未満
Razer Sphex(プラスチック系) 0.95mm以上,1mm未満
SteelSeries 9HD(プラスチック系) 1.15mm以上,1.2mm未満
SteelSeries QcK(布系) 0.9mm以上,0.95mm未満
ZOWIE G-TF Speed Version(布系) 1.15mm以上,1.2mm未満
ZOWIE Swift(プラスチック系) 0.9mm以上,0.95mm未満

 新しい基準でテストを行っているので,筆者がこれまで行ってきたリフトオフディスタンス検証結果と直接の比較はできない。この点はくれぐれも注意してほしいが,端的に述べて,2mm未満どころか,最も長くても1.2mm未満なので,極めて良好なテスト結果が出たと述べていいだろう。光学センサー搭載マウスとは思えないほどのスコアだと述べていい。

 ゲームを前にしたセンサーの操作感は,何の問題もない。というか,キャリブレーションの効果が非常に高いと評するべきだろうか。
 あるマウスパッドに対してキャリブレーションを行うと,挙動に不安がなくなり,しかもリフトオフディスタンスが明らかに短くなる。面白いのは,その状態のG502を別のマウスパッドと組み合わせて使おうとするとまるで使い物にならなかったりすること。これまでのゲーマー向けマウスで用意されていたキャリブレーションとは,最適化のレベルが数段違う印象だ。
 利用にあたっては最初にキャリブレーションすることを強く勧めたい。

直線補正の有効/無効は,メインメニュー右端のアイコンから開ける「設定」に用意されている
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 なお,直線補正のテスト結果は下に画像で示したとおり。Logicoolゲームソフトウェアからアングルスナップを無効化する限り,体感的に無効化されていると感じられるレベルだった。
 一方,アングルスナップを有効化すると,補正がかなり効いているのも分かる。ここまで聞いていると,細かな操作が要求されるゲームでは意図しない動作になりかねないことを覚悟すべきだろう。ゲームプレイにおいては無効化が正解だ。

アングルスナップ無効時(上)と有効時(下)の違い
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光学センサーはPixArt製カスタムモデルか

内部は全体的にコストがかかっている雰囲気


 最後に分解である。G502の分解は少々難儀したというか,「底面部のマウスソールを剥がし,4本あるネジを取り外す」だけではダメで,微妙な力加減で押したりしなければならなかった。ともあれ,下に示したのが上面カバーを取り外した状態と,そこでメイン基板に寄ったところだ。
 サイズの割に内部はけっこう狭く,それゆえ,ぎっしりと詰まった印象になっているのが見て取れる。

上面カバーを取り外したところと(左),メイン基板に寄ったところ(右)。メイン基板に光学センサーのユニットが載っていないのと,左右メインボタンだけでなく,左メインボタン脇のボタンやスクロールホイール手前のボタンにもオムロン製スイッチが採用されているのが見どころと言えそうだ
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オムロン製スイッチの型番は定番の「D2FC-F-7N」だった。G500sの「D2FC-F-7N(20M)」とは少し異なるが,製品スペックとして「2000万回の押下に耐える」とされている点は変わらない
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上面カバー,メインボタンのスイッチを押下する部分には,G500sから引き続き,シリコンシートが貼られていた。筐体側の作りが相当に複雑なのも見て取れよう
左:スクロールホイール部。透明なパーツと組み付けられており,全体で,チルトスイッチと,ホイール回転時の抵抗感を変更するスイッチが一体になっている。チルトスイッチのメーカーは確認できなかった
中央&右:スクロールホイールの右側にある白い棒は,ホイール手前のボタンと対応。これが伸びた状態だと回転時の抵抗がなくなり,押し込まれた状態だと金属製のバー(※矢印で示した)がホイール内側にある凹凸と接触し,抵抗を生み出す
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メイン基板上には「Cortex-M3」ベースで,フラッシュメモリなども統合したSTMicroelectronics製32bitマイクロコントローラ「STM32L100R8T6」の姿が見える(左)。右は底面の錘カバーを固定するための永久磁石。そこそこ強力で,分解中のネジがバンバン吸い取られていた
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 メイン基板からは,サイドボタンスイッチが搭載されたサブ基板,そしてセンサーユニットの搭載されたサブ基板へのフラットケーブルが伸びている。

メイン基板を取り外したところ(左)と,サイドボタン用基板が取り付けられている様子(右)
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取り外したサイドボタン用基板がこちら。Zippy Technology製の小型スイッチを採用しているのが分かる
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 光学センサーには「PMW3366DM-VWQU」と書かれているので,PixArt Imaging(旧Avago Technologies)製品なのは間違いない。同社の製品ページにPMW3366DMという型番のセンサーはリストアップされていないので,Logitech/ロジクール向けのオーダーメイドモデルだと思われる。

PMW3366DM-VWQUと書かれたセンサーを搭載する基板。裏側ではレンズユニットが組み付けられている。形状からして,センサーは赤外線タイプと見ていいだろう。センサーユニットには「A18」という刻印も見えるが,その意味するところは分からない
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 というわけで,「これだけ詰め込めばケーブル抜き124gという重量にもそりゃなるよなあ」といった印象だ。カスタムモデルと思われるセンサーに,定評あるメーカーのスイッチと,全体的にコストがかかっている印象を強く受けた。

※注意
 マウスの分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は筆者が入手した個体についてのものであり,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。


センサー周りの性能は素晴らしいが

総合的には「惜しい」G502


 以上,G502を一言でまとめると,「非常に惜しい」ということになる。
 “5系”のマウスは,これまでも新しいことをいろいろとやってきた。ゲーマー向けマウスとして初のレーザーセンサー採用,錘による重量調整機構などなど。それが今回は,歴史と伝統ある形状からの決別と,他社のゲーマー向けマウスとは次元の異なるキャリブレーション機能だったということになるのだろうが,ここでの評価は一勝一敗で,そこが「惜しい」のである。

画像集#051のサムネイル/ロジクールのゲーマー向けマウス主力シリーズ最新作「G502」レビュー。伝統に背を向けた新デザインは吉と出るのか?
 とにかく,キャリブレーションの効果は劇的で,やり方も簡単だ。センサー周りはほとんど文句の付けどころがない
 一方で新デザインは,ぱっと挙げただけでも,滑り止めの弱さ,スクロールホイールのあまりよろしくない操作感,ある程度G500sに近づけてあるのは理解できるものの,実際にはやはり大きく異なる形状のため,いろいろと持ち方に制約があることなどが気になる。さらに重くなったのもマイナス要素で,全体的に微妙なポイントが多いというのが正直なところだ。

 また,Logicoolゲームソフトウェアも,非常に分かりやすいキャリブレーション周りを実装するこのタイミングは,そのほかの分かりにくさにメスを入れるチャンスでもあると思うのだが,そこに手が入っていないことも気になった。

画像集#053のサムネイル/ロジクールのゲーマー向けマウス主力シリーズ最新作「G502」レビュー。伝統に背を向けた新デザインは吉と出るのか?
 ユーザーはいつでも新しいマウスを求めている。その意味で,伝統の形状を守り続けてきた“5系”マウスに,「ブラッシュアップではない」新しさをもたらそうとしたことは理解できる。また,歓迎もできるのだが,今回に関していえば,「Logitech/ロジクールは完璧な仕事をした」とは言えないだろう。
 もちろん,そこは世界最大のマウスメーカーであるLogitech/ロジクール,基本的な完成度は非常に高いので,購入して後悔する人は多くないはずだ。ただ,6000〜8000円程度という激戦区の市場で,すでに十分な評価を得ている定番製品を差し置いて指名買いするほどの価値があるかというと,疑問は残るとまとめておきたい。

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ロジクールのG502製品情報ページ

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    Logitech G/Logicool G

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