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新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?
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印刷2019/11/02 00:00

テストレポート

新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?

 2019年10月31日,発表と同時に国内でも話題となったRazerの新型左手用キーパッド「Razer Tartarus Pro」(以下,Tartarus Pro)が国内発売となった。アクチュエーションポイントを変更できるRazer独自の光学式キースイッチ「Razer Analog Optical Switch」(以下,Analog Optical Switch)を採用するのが見どころの製品だ。
 左手用キーパッドマニアである筆者は,発売日に秋葉原でTartarus ProのMercuryモデルを購入してきたので,早速,写真中心のファーストインプレッションをお届けしたい。

Tartarus Pro Mercury。ゲーマー向け製品らしからぬカラーは日本でも好まれそうだ。なお,購入時の価格は税込で1万5799円だった
画像集 No.002のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?

Tartarus Pro Mercuryの製品ボックス(左)と,ボックスの上蓋を開けたところ(右)
画像集 No.003のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は? 画像集 No.004のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?

 Tartarus Proは,2017年に発売となった「Razer Tartarus V2」(以下,Tartarus V2)をベースとした新製品である。メインのキーパッドは5キー×4行から1つ引いた19キーで,キーパッド右下にセンタークリック機能付きのスクロールホイールを,スクロールホイールの右側には,左手親指で操作する「8-way directional thumbpad」(以下,Thumbpad)や追加ボタン,20番目のキーとなる大きめのキーをまとめた「Thumb Module」(以下,サムモジュール)が配置されている。
 これら主要コンポーネントの数や配置は,どれもTartarus V2とまったく同じものだ。

奥側にメインキー,手前側にパームレストがあり,左手親指で触れる部分にサムモジュールがあるという構成は,Tartarusシリーズや上位モデルであるOrbweaverシリーズと同じものだ
画像集 No.019のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?

19個のキーが並ぶメインキー部分。行ごとにキートップの角度が違うことがよく分かる
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スクロールホイールにもカラーLEDが組み込まれている
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 サムモジュールには十字キー型のThumbpadがあり,Thumbpad上には円形のキャップが填め込まれている。ゲームパッドのスティック感覚で操作したいときはキャップを付けたまま(※アナログ入力には対応していない),十字キーとして使いたいときは,写真のように取り外して使うことが可能だ。

Thumbpadから円形のキャップを外した状態。D-Pad的に使いたいときは,外したほうが使いやすいかもしれない。なお,手前にある[20]キーは,メインキーと同じキースイッチを採用している
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合皮素材のパームレスト。Mercuryモデルはここだけが灰色で,デザイン上のアクセントになっている
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パームレストを含むパネル部分は,写真のように着脱可能だ。取り付け孔が2セットあり,差し込む位置によってパームレストの奥行きを調整できる
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上は工場出荷状態で,下はパームレスト部分を手前にずらした状態
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 Tartarus ProとTartarus V2を並べてみたが,色の違いを除くと違いが分からないほどだ。Tartarus ProのBlackモデルで比較すれば,どちらがどちらか見間違えそうである。

左がTartarus Proで,右がTartarus V2。色の違いを除くと,違いが分からない
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 ただ,まったく同じ金型で作ったパーツを使っているというわけでもないようで,よく見比べるとサムモジュールからパームレストの底面側パネルが,両製品で異なる形状をしていた。もっとも,実用上の違いはないだろう。

上はTartarus ProとTartarus V2の左側面,下は右側面を比較した写真。Tartarus Proのパームレスト下側には,パーツの分割線があるが,Tartarus V2にはないので構造が若干異なっているようだ
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Analog Optical Switchはクリック感のない赤軸風

アクチュエーションポイントの変更は全キー一律


Tartarus V2のキーキャップを外した状態。基板上にメンブレンシートが広がっている
画像集 No.018のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?
 さて,Tartarus Pro最大の特徴であるAnalog Optical Switchを見ていこう。Analog Optical Switchは,19個のメインキーとサムモジュール手前にある[20]キーに使われている。キーキャップを外してスイッチを確認してみると,Tartarus V2のスイッチである「Mecha-Membrane」(メカ・メンブレン)とは,まったく違う構造であることが一目瞭然だ。

Tartarus Proのキーキャップを外したところ。キーキャップ自体は,Cherry軸風の十字型をした軸にはめ込む仕組みだった
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 Mecha-Membraneは,メンブレンキースイッチ風のソフトな押し心地と,メカニカルキースイッチ風のクリック感を両立させたのが特徴であった。そのため,押し込むと明確なクリック感がある。
 それに対してAnalog Optical Switchは,いわゆるCherry赤軸に似た,クリック感のないリニアな押し心地となっており,打鍵音も静かだ。クリック感がないのは構造的な理由よりも,アクチュエーションポイントが変更可能であるため,クリック感を付けると不自然になるからであろう。筆者としては,Mecha-MembraneよりもAnalog Optical Switchの打鍵感のほうが好ましく思える。

 Analog Optical Switchのアクチュエーションポイントは,Razerの統合設定ソフトウェア「Razer Synapse 3」(以下,Synapse 3)を使って設定する。Synapse 3をインストール済みのPCにTartarus Proを接続して,キーパッドを選択すると設定画面に切り替わる仕組みだ。画面中央にあるTartarus Proの画像下側に,アクチュエーションポイントを設定するスライダーがあった。
 アクチュエーションポイントは,最小が1.5mm,最大が3.6mmとなっており,「一次」と「二次」の2点を設定できる。浅く押し込んだときに反応するのが一次で,深く押し込んだときが二次だ。なお,複数のアクチュエーションポイントを使い分けない場合は,一次だけが使われる。

アクチュエーションポイントを設定するスライダー。二次を一次より浅くすることはできない
画像集 No.020のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?

 なお,このアクチュエーションポイントの深さ設定だが,筆者が確認した限りでは,各キーごとに設定を変えることはできず,Tartarus Pro全体で共通の設定になるようだ。キー1つずつに異なるアクチュエーションポイントを割り当てることはできない。

 浅く押し込んだときと深く押し込んだときで異なる入力を行うには,Synapse 3のカスタマイズ画面で使い分けをしたいキーを選んだうえで,左ペインにある機能割り当ての項目で「二次機能」のチェックボックスをオンにしよう。すると,機能の割り当て設定が2つに増えるので,上側に一次,下側に二次で入力したいキーやボタンを割り当てればいい。[Shift]キーや[Ctrl]キーなどとの同時入力も設定可能だ。
 [W/A/S/D]キーの押下で通常の移動,[Shift]キーを押しながら[W/A/S/D]キーを押すとダッシュ移動になるゲームの場合,たとえば一次に[W],二次に[Shift]+[W]を割り当てると,浅く押せば普通に移動し,深く押せばダッシュで走るという具合に使い分けられるようになる。

浅い入力では[D]キー単独で,深い入力では[Shift]+[D]キーを入力する設定にした例。[Shift][Ctrl][Alt]と同時入力するときは,「修飾キーを含める」のチェックボックスをオンにする
画像集 No.021のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?

 何分,購入してきたばかりで細かい設定の作り込みまではできていないのだが,通常移動とダッシュ移動の押し分けは,思ったよりも難しいように感じた。
 日常的にプレイしている「Elder Scrolls Online」を使い,一次を最も浅い1.5mmに,二次を最も深い3.6mmに割り当てて移動とダッシュ移動の使い分けを試みたのだが,押し込む指に少し余計な力がかかっただけでダッシュ移動になってしまうのだ。また,深く押し込むと緊急回避が発動する設定も試してみたが,やはり押し込む力の加減がなかなか難しく,誤爆が頻発してしまう。
 誤爆しても実害が少なく,同じキーでの押し分けが効果的なゲームや場面というのは,今のところ思いついていない。

画像集 No.022のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?

 もう1つ,Tartarus Proで気になるのは,Thumbpadの耐久性がTartarus V2から改善されているのかだ。製品情報ページを見ても,Thumbpadについてはとくに改良点もないようで,ほとんど言及されていない。実際にTartarus ProとTartarus V2でThumbpadを触り比べてみたのだが,とくに違いは感じなかった。当然ながら,メインキーのようなアクチュエーションポイントの変更機能もない。
 筆者が自宅で使っていたTartarus V2のThumbpadは,購入から1年少々で一部の方向に入力できなくなった。ゲームにおける移動操作をThumbpadに割り当てることが多いので,入力頻度が非常に高いためだろう。Tartarus ProでThumbpadのスイッチに耐久性の高いものが使われているかどうか分からないのだが,現時点では少々不安が残る。

 余談気味だが,現在のSynapse 3には,日本語キーボードを接続しているのに,Tartarus ProやTartarus V2の設定では英語キーボードと誤判定してしまうバグがある。たとえば,[@]キーを割り当てようとすると,英語キーボードにおける[@]キーの入力操作である[Shift]+[2]キーが設定されてしまうので,[@]キーを割り当てることができないのだ。かなりひどいバグなのだが,Synapse 3の開発にはバグの存在が伝わっていないのだろうか。

画像集 No.023のサムネイル画像 / 新型左手用キーパッド「Tartarus Pro」ファーストインプレッション。新型キースイッチの感触は?

 今回はあくまでもファーストインプレッションなので,細かいテストや評価は今後の課題としたいが,現状ではアクチュエーションポイントを好みに合わせて変えられる点と,リニアで打鍵音の少ないキースイッチは気に入っているので,Tartarus Proを使い続けたいと思う。
 一方,キーの押し込みで入力を切り替えられる特徴を生かした使い方は,思い浮かんでいない。左手用キーパッドを購入したいが,キーの押し分け機能は重視しない人なら,1万円前後で買えるTartarus V2を選ぶという手もありだろう。

RazerのTartarus Pro製品情報ページ

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