インタビュー
100人vs.100人規模でアクション性の高い対人戦を実現した,MMORPG「蒼天」開発/運営スタッフインタビュー。日本市場に“遊び心”のある三国志観を提供
しかし,韓国では2009年にアクション性を売りにした新作オンラインRPGの情報が続々と公開され,また日本のゲーム市場では,三国志にしてもアクションにしても,著名なタイトルが確固たる地位を築いている。
そうした状況の中,蒼天はどのような戦略を持って日本のオンラインゲーム市場に進出するのか。WeMade Entertainment 蒼天開発チーム・マネージャー キム・ジンウク氏と,アラリオで蒼天のプロジェクトマネージャーを務めるキム・ソンファン氏に話を聞いた。
WeMade Entertainment 蒼天開発チーム・マネージャー キム・ジンウク氏 |
アラリオ 「蒼天」 プロジェクトマネージャー キム・ソンファン氏 |
キム・ジンウク氏は,蒼天の最大の魅力を,アクション性の高さを保ったまま大規模な戦闘ができる点にあると述べた。韓国において2007年にサービスを開始した当初は,それまでに例を見ない内容であったことから,リアルアクションを楽しめるMMORPGとして,新鮮さと驚きをもってプレイヤーに受け入れられたという。いわば2009年の現在,韓国オンラインゲーム業界で話題を集めているアクション性の高いMMORPGやMORPGの,先駆け的な存在だったわけだ。キム・ジンウク氏は,そうした昨今のタイトルと比較したときに,蒼天は2年近く先行しているぶん,アドバンテージがあると自信を見せる。
「蒼天とそれらのタイトルとの最も大きな違いは,大規模戦にあります。蒼天は100人対100人で戦えますから,より戦略・戦術的で派手な戦いを楽しめます。
しかし一方で新しいタイトルは,ここ1〜2年のプレイヤーの要望に沿ってユーザビリティが高くなっていることも事実です。蒼天も負けないよう,日本でのローンチに合わせてインタフェースの改善を施す予定です」(キム・ジンウク氏)
また三国志のゲームといえば,ここ日本ではいうまでもなくコーエーの影響が強い。オンラインゲームにおいても同様で,三国志を扱うタイトルはいくつかあるが,どこも差別化には苦心している状況だ。蒼天の発表会では,「いわゆる“コーエーの三国志”とは異なる軸で展開していく」という説明がなされたが,具体的にはどうなるのだろうか。
「日本における正統派の三国志(演義)のゲームは,コーエーさんの独壇場です。したがって我々は,いわば吉川英治氏に対する北方謙三氏のようなスタンスで三国志を描いていこうと考えています。三国志が好きな方々にご協力をいただき,イベントやアイテムなどに遊びの部分を入れていきます。参加していただくのは三国志検定1〜2級といった方ばかりですから,もちろん三国志としての軸がぶれることはありません。三国志マニアのプレイヤーにも楽しんでいただける遊びを提供します」(キム・ソンファン氏)
蒼天の日本におけるサービス開始は,2010年春を予定している。アラリオでは,アジア各国で展開している蒼天をそのまま日本に持ち込んだとしても馴染みにくいであろうことを把握しており,入念なローカライズ/カルチャライズを進めているという。
「日本での展開を踏まえて,事前に韓国版と中国版の2種類のクライアントをテストしたんです。最終的に,日本ではチュートリアルが充実している韓国版をベースにすると決定したのですが,さらに日本版ではレベルアップするごとに細かく説明が加わります。それが,およそレベル15くらいまで続きます」(キム・ソンファン氏)
さて,蒼天はアクション性の高さを売りにしており,であるがゆえにコントローラでの操作を重視しているのだが,これも少し気になるところ。よく知られているように,韓国ではコンシューマゲームよりPCオンラインゲームが主流であり,必然的にキーボードとマウスによる操作体系が一般的だ。コントローラに対応しているタイトルもあるにはあるが,操作キーを単純にボタンに割り付けただけの仕様に過ぎないことも多く,日本のプレイヤーが求める──例えば「モンスターハンター」シリーズのような──操作感には程遠い。
「僕自身,RPGをはじめ日本のコンシューマゲームを数多く遊んでいますので,日本の皆さんがコントローラに求める操作感は重々承知しています。操作に違和感があると,それだけで面白さも半減してしまいますよね。
蒼天では,最初は誰でも簡単に遊べて,やり込んでいくうちに難しい操作も可能になるよう配慮しています。もちろんボタンの配置パターンを選んだり,カスタマイズしたりできるコンフィグも,日本向けに充実させようと考えています」(キム・ソンファン氏)
「ご存じのとおり,韓国ではコントローラで操作するゲームは,あまりポピュラーではありません。しかし蒼天の開発スタッフは『真・三國無双』シリーズや『モンスターハンター』シリーズをやり込んでいます。そうした日本のアクションゲームを“師匠”としてコントローラの操作感を重視してきましたし,今後の蒼天の日本展開においても改善を続けていきます」(キム・ジンウク氏)
2010年,韓国における蒼天は,対人兵器の導入やマップのバリエーションを追加し,より大規模戦に力を入れていく。また,より多くのプレイヤーが戦争に参加できるよう,支援システムの実装も検討しているという。
しかし日本展開においては,そうした戦争だけでなく,そのほかの部分にも力を入れていくと,キム・ソンファン氏は述べる。より日本のプレイヤーが親しみやすい形で三国志の世界を作り出していく予定で,さらには,まだ公開していない戦争以外のゲーム要素もふんだんにあるとのこと。それらの詳細は,正式サービスの開始に向けて順次発表されていく予定だ。
それでは最後に,蒼天に注目している人に向けたキム・ジンウク氏のメッセージを掲載しておこう。
「現実的な大規模リアルタイム戦闘を表現できている三国志MMORPGは,蒼天しかないと自信を持っていえます。それに加えて今後の展開では,より三国志の理解が深められるような内容にしようかと考えています。期待してください」(キム・ジンウク氏)
アラリオ,三国志テーマのアクションMMORPG「蒼天」の日本国内運営を発表。2010年春正式サービス開始
「蒼天」公式サイト
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