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[E3 2006#185]独立系デベロッパによる驚愕のFPS「Project Offset」開発者インタビュー
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印刷2006/05/17 23:15

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[E3 2006#185]独立系デベロッパによる驚愕のFPS「Project Offset」開発者インタビュー

 ゲームエンジンのライセンスビジネスといえば,「Unreal Engine」のEpic Gamesが業界をリードしているが,将来的に彼らのライバルになり得ると業界内でささやかれているのが,「Offset Engine」である。
 Offset Engineを開発しているのは,南カリフォルニアを拠点にしたデベロッパ,Offset Softwareだ。2006年5月の時点では,20人にも満たない小規模な開発チームだが,ここ半年ほどで少しずつ明らかになってきた実力は相当なもの。E3 2006では,NVIDIAのブースで,2006年3月に開催されたGame Developers Conference 2006とほぼ同じ内容の技術デモを展示していたのだが,ムービーだった前回から打って変わって,今回はリアルタイムシークエンスのデモとなっており,開発は順調に進んでいるようだ。

 今回は,Offset Software設立メンバーの一人で,リードプログラマーのSam McGrath(サム・マクグラス)氏に,Offset Engine,そして同エンジンを採用して開発が進められているFPS「Project Offset」(仮題)についてインタビューを実施。同社にはまだ専用ブースを借り切るだけのソフトも経済的な余裕もなく,物理エンジンで提携していると思われるAGEIA Technologiesのブースで落ち合った後は,近くにあった休憩所に移動して,話を聞くことになった。

4Gamer:
 まず,Offset Softwareというデベロッパについて教えてください。

Sam McGrath氏:
 Offset Softwareは,ちょうど2年ほど前にTravis(トレイヴィス)とTrevor(トレヴォー)のStringer(ストリンジャー)兄弟と,私の3人で設立した会社です。私がプログラム担当で,ここ1年半ほどはずっと,Offset Engineの開発を行ってきました。

4Gamer:
 ええ!? このゲームエンジンを一人で作っていたんですか? それはすごい。

Sam McGrath氏:
 ま,3人ですからね。つい最近まではアパートの自室に集まって開発していました。
 2005年末になって,Offset Engineのデモを二つリリースしたところ,大きな反響を得ることができました。最近では,元Blizzard Entertainmentのアーティストたちが興したRed 5 Studiosにエンジンをライセンスすることが決まって,ある程度の資金を得て,ようやくオフィスを構えられるようになってきたところです。従業員も抱えられるようになりまして,今はバイトも含めて19人いますね。

4Gamer:
 そして,そのOffset Engineを使って制作されているのが「Project Offset」というわけですが,現在の進捗状況はいかがでしょう?

Sam McGrath氏:
 せっかく来ていただいて申し訳ないのですが,現在のところはまだお見せできるものがほとんどありません。
 簡単に説明しておくと,Project Offsetは,中世ファンタジーをベースにしたFPSになる予定です。FPSといっても,剣や弓矢,魔法などが攻撃の主体になるわけですが。
 プレイヤーは,巨大な城塞都市はもちろん,ダンジョンや大河もリアルに表現した世界で冒険することになります。我々がサーバーを運営し,ホストされているシングルプレイヤーモードを一人で遊んだり,仲間を募って協力し合いながら進んでいったりと,ソロとマルチプレイヤーモードとの移行を自由にできるようなゲームを目指しています。

4Gamer:
 Offset Softwareの3人が以前手がけていた「Savage: The Battle for Newerth」のような,ストラテジックな要素はありますか?

Sam McGrath氏:
 Savageには,我々3人もコアメンバーとして開発に参加し,おかげさまで2004年のIndependent Games Festivalではグランプリを獲得していますが,あれと今回のProject Offsetの間に,関連はそれほどないと考えてください。(Savageのデベロッパである)彼らS2 Gamesも今続編を作っているようですし。
 ただ,ご質問の回答になるか分かりませんが,マルチプレイヤーモードでは,二つのチームが広大な戦場を駆け回ってパーツを集め,アーマーのセット一式を完成させるといったような遊び方も,モードの一つとして考えています。当然,チームプレイ技能が要求されますから,そういう意味でタクティカルなゲームプレイになると考えてもらっていいでしょう。

4Gamer:
 Offset Engine採用タイトルとしての,Project Offsetの魅力的な部分について教えてください。

Sam McGrath氏:
 Offset EngineはHDRレンダリングをフルに活用しており,ピクセル単位での色精度補正やモーションブラーも実現しています。性能的には,XMLベースのシェーダモジュールからライトマッピング,ほかにもセルフシャドウ,スペキュラブルーム,レイトレーシングなど,他社の市販ゲームエンジンに勝るとも劣らない実力を持っていると思います。

4Gamer:
 「とくにここ!」というアピールポイントはありますか?

Sam McGrath氏:
 多くのオブジェクトを表示していても,フレームレートを一定に保てるよう設計してあるのは,自慢ですね。
 Project Offsetは,何百匹ものゴブリンに囲まれた状況を派手な魔法で打開するような,刺激あるゲームになると思ってください。

4Gamer:
 現実的な話,ゲームの発売まで,どれくらいかかりそうですか?

Sam McGrath氏:
 うーん。まだかなり時間がかかるでしょうね。Project Offsetは,Offset Engineと切っても切り離せない関係にあるわけで,エンジン自体がまだ軌道に乗り始めたばかりですから。

4Gamer:
 了解しました。最後に,ゲームライセンスのビジネスを海外展開する予定はありますか?

Sam McGrath氏:
 将来的にはそのつもりです。ただ,現在のところは英語版の開発だけでいっぱいいっぱい。他国語へのローカライズやビジネスサポートまで手が回る状態ではないのです。日本でも興味を持ってくれる開発者はいますかね?

4Gamer:
 たくさんいると思いますよ。次のニュースを期待していますので,ぜひがんばってください。


 ――McGrath氏をはじめとしたOffset Softwareの面々は,まだ20代前半が多いようで,エネルギッシュな若い力を感じた。ほぼ無名のデベロッパでありながら,すでにエンジンのライセンス契約を成功させているという,幸先の良さも見逃せないところだ。今後,相当な注目を集めていくことになるのではなかろうか。(奥谷海人)

  • 関連タイトル:

    Project Offset

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