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Crize氏が語る,間近で見た「Unreal Tournament 2007」の実力
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印刷2005/07/22 23:53

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Crize氏が語る,間近で見た「Unreal Tournament 2007」の実力

 7月17日に,秋葉原コンベンションホールで開催された,GeForce 7800 GTXの販促イベント「nVIDIA EXPERIENCE DAY」。そこで公開されたEpic Gamesの最新FPS「Unreal Tournament 2007」について,「Unreal Tournament 2004」などで名を馳せてきた筋金入りのFPSプレイヤーであるCrize氏に,間近で見た本作の印象を語ってもらった。どうやら,氏も本作に強いインパクトを受けたようだ。

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 7月17日,東京は秋葉原駅前の,建設から間もないダイビル2階「秋葉原コンベンションホール」で,「nVIDIA EXPERIENCE DAY」が開催された。
 このイベントは,NVIDIAの最新グラフィックスチップ「GeForce 7800 GTX」をフィーチャーした自作PCイベントで,カードメーカー各社や,ホワイトボックスPCメーカーがパートナーとして多数参加した。各ハードウェアの展示や,展示スペース裏手の会場で行われたゲームタイトルのトークセッションの模様は,先日「こちら」でお伝えしたとおりだ。

 そんな中,この日ゲームファンにとって見逃せなかったのが,2006年度に発売予定のFPS「Unreal Tournament 2007」(以下,UT2007)のデモンストレーションが行われるという情報だった。UT2007の映像を生で見たいという大勢のゲームファンが,期待に胸を膨らませ会場に足を運んでいたに違いない。何を隠そう,筆者もその一人である。

 UT2007は,1999年に初版が発売された"Unreal Tournamentシリーズ"の最新作。言うまでもなく,Unreal Tournamentは,"Quakeシリーズ"と人気を二分する,アクション系3Dシューティングゲームの大ヒットシリーズである。Unreal Tournamentシリーズは,世界最高水準のゲームエンジン「Unreal Engine」の進化と共にバージョンアップが繰り返されており,今回のUT2007も,開発元であるEpic Gamesの最新エンジン「Unreal Engine 3」によって実装されている。

 今回のデモンストレーションは,2005年のGDCやE3などで公開されたバージョンと同じものが使われていたが,日本国内で一般に公開されるのは,実はこれが初めて。Unreal Engine 3上で動作するUT2007のゲーム画面を生で見られた感想と,次世代のゲームエンジンで武装したUT2007の可能性についてお伝えしたい



■格段に増した,キャラクターの「存在感」

デモンストレータのDarren Brown(ダレン・ブラウン)氏
 さて,この日は,あらかじめ用意されたムービーを見られるだけでなく,実際にその場でNVIDIAのスタッフにゲームを操作してもらいながら,Unreal Engine 3に実装されたさまざまな技術を紹介してもらった。こちらのリクエストする画面を見せてくれ,ゲーム画面に合わせて解説してくれたのは,NVIDIAのデベロッパーテクノロジー技術者である芦田幸治氏と,デモンストレータであるDarren Brown(ダレン・ブラウン)氏。

 まずダレン氏がUnreal Engine 3の魅力として強調したのは,「ハリウッド映画などで使用されている最新の3Dグラフィックスを,リアルタイムで描画できる」という点だった。映画の場合は,大元の映像に各種フィルタやエフェクトを加え,時間をかけてレンダリングを行ったのち,加工された映像をフィルムに収録している(これを「オフラインレンダリング」という)。しかしUnreal Engine 3では,最新のグラフィックスをリアルタイムでレンダリングし,描画するパワーをもっているというのだ。

 そんなUT2007のゲーム画面を実際に見て驚かされたのは,ゲームに登場するキャラクターの"存在感"である。
 キャラクターの歩き方や会話中の仕草などが,現実の人間さながらにリアルに表現されていた。あえて"存在感"という言葉を用いたのは,単に動作がスムースなだけでなく,あらゆる角度の光源によって生じる影や肌の色の変化や,フォーカスされていない対象物の"ピンぼけ表現"による遠近感の演出など,最新エンジンによって描画された映像が,"人の目を通して見ているように"見えたからだ。

 素晴らしいのは,そういったグラフィックスを"できるだけ頂点数を減らしたメッシュ"で実現しようとしているところ。ダレン氏は,ピクセルシェーダによって,ポリゴン的には単純な立方体をあらゆる材質/質感に変化させて見せてくれた。美しさと動作パフォーマンスのバランスを取りつつ,それでもやはりグラフィックスの精度にこだわるという,Unreal Engine 3のコンセプトを垣間見たようだ。



■グラフィックスの進化で,ゲーム性にも変化が?

  また影の進化をUnreal Tournamentシリーズ中の変化として考えると,UT2007ではキャラクターの側面からの光に対して,これまでよりもさらにクッキリと影が投影される。光源の角度によっては,影は必要なだけ伸びて壁面に投影されたりもするので,影の情報によって死角にいる敵の位置を捉えられるようになるのかもしれない。。
 これは筆者の想像の域を超えないが,これまでのUnreal Tournamentにおいて,プレイヤーが敵の位置を知るためには,足音や武器を拾ったときの音など,聴覚に頼る部分が大きかった。しかしこの影の描画によって,今後はより視覚的な策敵が可能になりそうである。

 また本作を含めFPSは,(当然だが)一人称視点でプレイするため,普段は自分が操作しているキャラクターの動きは見られない。しかし,ここまでグラフィックスが進化したのなら,ゲームプレイ時と同等のフレーム数でプレイシーンを記録できる,高性能なリプレイデモ機能などはぜひ搭載してほしいところである。ほかのプレイヤーとの熱い戦いをさまざまな角度から見直し,検証することができれば,ゲームプレイのモチベーションも格段に上がるだろう。
 このように,プレイヤーの立場で考えると,新しく追加された技術がゲーム内ではどのような楽しみ方につながるのか? ということをあれこれ想像せずにはいられないのである。



 さて,現時点でのUT2007の操作インタフェースは,「Unreal Tournament 2004」(以下,UT2004)と大きな違いはない。UT2004の基本動作だった「ダブルジャンプ」や「ダブルドッジ」,壁を使った「ウォールジャンプ」などはそのまま残っているし,ロケットランチャーなどの武器についても,外観の違いこそあるものの,弾道や弾速などにはほとんど変化はなかった。バランス調整が行われるのははるかに先であろう現時点では,Unreal Engine 3を使用した,"見た目がUT2007のUT2004"というレベルなのだろう。
 
 ただ,UT2007を競技性の高いスポーツシューティングと捉えている筆者にすれば,今後の作り込みのほうが気にかかる。
 例えば,UT2003,2004で筆者が個人的に問題視していた,"マップのバランスの悪さ"。ゲーム自体には多くのマップが収録されているが,WCG(World Cyber Games)などの大規模なゲーム大会で採用するに値する"名マップ"の少なさには,多くのプレイヤーが残念に感じていたはずだ(広大なマップなのに武器が少なかったり,その逆だったり……)。マップしかり武器しかり,一体どのようなバランスでリリースされるのか,期待と不安が入り交じる。UT2007というゲームそのものはまだまだ完成にはほど遠く,今回のバージョンでその仕様を判断するのは難しい。

 今回筆者が感じたのは,非現実(unreal)を謳うこの作品が,限りなく現実(real)な世界を表現しようとしていること。そして,その現実と非現実の世界の狭間に,これまでのスポーツFPSのカラを破る新しい世界が待っているという,確信に近い期待感だった。
 製品版の発売が待ち遠しい限りだが,じっくりと時間をかけて,非現実的な日常を待ち望んでいる多くのゲームファンをうならせる,素晴らしい作品に仕上げてほしいと心から願う。(ライター:Crize)

  • 関連タイトル:

    アンリアル トーナメント 3 英語版 日本語マニュアル付き

  • 関連タイトル:

    GeForce 7800

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