インタビュー
「エミル・クロニクル・オンライン」SAGA8アップデートインタビュー。それぞれの視点で関わりを持てる“戦いの世界”
複数ルートで進む,第四の種族との戦い
4Gamer:
では,注目の「攻防戦(仮)」について。導入時期はある程度決まっていますか?
水落貴嗣氏:
多分,今年最大の目玉ということになるでしょうね。SAGA8中に入れたい……なぁ(笑)。
4Gamer:
その内容は,以前からお聞きしているとおり,第四の種族との攻防ですか。
そうですね。こちらのほうは本当にストーリーに密着した形になります。そして戦況によって街の機能が変わっていくと。方向性としてはそう決まっていて,技術的にもなんとかできるんじゃないかという判断がつきつつありますので,その形で進むと思います。
4Gamer:
マップのグラフィックスも明確に変わるということですか。町並みが廃墟になったりとか。
水落貴嗣氏:
それも何とかできる「かも」という感じです。何段階にできるのかは未定ですけれど。
4Gamer:
攻防戦(仮)に参加するためには,例えばそのマップ上のどこかに行くとかいう形になるのでしょうか。
水落貴嗣氏:
全体的な仕様はまとまっていないですが,基本的には彼ら第四の種族が占領しに来る。それに対して攻防戦(仮)を展開するという形ですね。
それを,例えば施設や街が壊される否かといった形で分かりやすくするか,あるクエストのワールドごとのクリア回数などで陣地をどこまで侵略されたとかいう,パーセンテージ的なものにするかは,まだ企画の段階です。いずれにせよ,その結果を物資の枯渇や高騰,NPCの不在という形で表現することは可能です。
4Gamer:
そうか,物がなくなるだけじゃなくて,価格が高騰する可能性もあり得ますよね。確かに。
平原智子氏:
そうなればバックパッカー系の出番です。
4Gamer:
ちょっとエグいですが,確かにプレイ要素として面白い気がします。あらためて導入時期を確認させていただきたいのですが,攻防戦(仮)が今年いっぱいに入るとすると,それはSAGAいくつくらいになりますか?
水落貴嗣氏:
今年は最終的にSAGA10までいく予定なので,できれば8から9にいくまでの間に入れたいと考えています。
4Gamer:
実際のところ第四の種族って,どのくらい強いのでしょう?
水落貴嗣氏:
どのくらい……そうですね,登場時点においては,プレイヤーのみなさんにはたぶん倒せないくらい強いですよ。
4Gamer:
そ,それは楽しみというべきなのか……。ところでそもそも攻防戦(仮)って,イベント的に生じるものなんでしょうか。それとも,常に展開されているものなんでしょうか。
水落貴嗣氏:
常にというわけではなく,例えば2週間に一度とか,1週間に一度とかいうタイミングで実施する形になると思います。
4Gamer:
参加人数についてはいかがですか?
水落貴嗣氏:
本当に大人数でできるような形を取りたいですね。それがそもそも,最初の段階で挙げていたコンセプトの一つなので。いまの段階ではレベルキャップが低いので,それほどレベル差は生じないと思いますが,今後エミルの世界と同じような形でレベル分布が下から上まで広がったときにも対応できるようなものでなければなりません。
例えば第四の種族の侵攻ルートが幾つかに分かれていたりして,そのルートの一つでは低レベル層向けの敵が出てくるとか。そして高レベルの人達は,そこに行けないという。
4Gamer:
レベル帯ごとに担当正面が違うと。
水落貴嗣氏:
そのうえで,最終決戦の場みたいなところも用意できるといいですね。
4Gamer:
ルートごとに分かれて進んできたプレイヤーキャラクター達が合流し,一丸となって戦う場所ですか。戦い全体の展開は,マップ攻略的なものなのか,出てきた敵を殲滅するという形なのか,出てきた敵に殲滅されないよう最後まで粘ることなのか,どれでしょう?
水落貴嗣氏:
まだ確定しているものではなく,最終的にどのような形で提供できるかは未定です。一つの案として,ECO祭のときにちょこっとだけ出したアンデッド城に近いものが挙げられるでしょう。その攻略を,さらに大規模にした形でやりたいと考えています。
マップ各所を攻略しながら進んで行くことで,すべてのレベル帯のプレイヤーさんが参加できる形を取りつつ,決戦場へ進んでいく。そこで活躍するのはたぶん高レベルキャラクターなんだけれども,低レベル層でも行けて,その状況を一緒に見られたりするといいなぁと。
4Gamer:
つまり,以前マップ攻略型イベントとして予定されていた事柄と,統合して実現してしまうわけですね。
水落貴嗣氏:
今回もうドミニオンの世界が開放されて,PvPも入るわけです。そして世界観を考えると,依然未定のまま来ている企画を吸収し,PvPとも絡めつつ同時に実現したほうが,面白いことできるように思えたのです。もともとSAGA6以降,世界観を語っていこうという方針でしたし,今回第四の種族との敵対関係も形になるので,それなら全体の世界観と合わせて,実現してしまおうと。
4Gamer:
つまり,仮に最初は敵を待ち受けるところから始まるとしても,最終的には分進合撃的な攻略戦闘になりそうだ,と。
水落貴嗣氏:
そうですね。それがどこかの段階で逆転して,向こうを例えば“次元の扉”――だか何だか分からないですけど――へ押し込めちゃうところまで見せられれば楽しいかと。まだ大まかな流れくらいしか,出来ていないですけどね。
街が占領されていく。そして自分達の生活,つまりドミニオンが最後の砦として守っているようなところまで脅威に晒され,このままでは間違いなく征服されちゃうから,頑張って対抗しましょう,というストーリーラインになるわけです。
そこで自分達で勢力を盛り返すというスキームにもっていきたいわけですが,それをどこまで見せられるかはシステムも含めていろいろ考えなくてはいけない。ある程度のコンセプトとして,こういうことをやりたいというのは出来ているけど,最初の段階でどこまでお見せできるかはちょっと未定,という感じですね。
4Gamer:
敵のNPCがどのくらいインテリジェントに動くかでも,かなりイメージが変わりますね。
水落貴嗣氏:
それもありますし,あとはまだ仮定の話なんですけれども,自分達が使うキャラクターの中で,第四の種族が使えるようになるという選択肢も,アリだと思うんですよね。
4Gamer:
敵の裏切り者ということですか? それとも敵役ができるようになるんでしょうか。
水落貴嗣氏:
どちらの可能性もありますが,それがあまりにもECOの世界観とかけ離れてしまってはいけないので,現状ではあくまで仮定です。
4Gamer:
ただ,同じストーリーを逆方向から見られるというのは,楽しい仕掛けだと思いますね。
水落貴嗣氏:
いいかもしれないですね。とすると,彼らの中から裏切りが出て,それを援助するような形で流れていくとか。まあ,まだ分かりませんけど。
そういった展開まで含めて,よく考える必要があるなあと。場合によってはもう少し先のSAGAとかで,いま考えている攻防戦(仮)をバージョンアップすることも考えられますしね。
4Gamer:
すると,SAGA8の終わりで実現したいのはどこまでですか?
水落貴嗣氏:
ドミニオンの世界が侵略されることに対して,これを守るのがメインで,できればちょっと反撃に転じて,敵がこれ以上進撃できない状態になるところまでは持っていきたいですね。
フィールドマップがそのまま戦場に?
4Gamer:
では攻防戦(仮)の舞台についてですが,これはフィールドマップですか,専用マップですか?
水落貴嗣氏:
もしかすると本当に通常使っているフィールドマップ,例えば王都などがそのまま戦場になるかもしれないですし,フィールドマップの地形をベースにした,便宜上の専用マップになるかもしれません。
4Gamer:
前者の場合,戦闘に巻き込まれたくない人は,警告音が鳴り始めたら,その地域から退避しろ,みたいな雰囲気になるんですかね。
水落貴嗣氏:
それも面白いですよね。実現できるようであれば,フィールドマップのままでいきたいですね。
4Gamer:
確かに新しいですよね。いきなり荷物を片付けて逃げ出す人がいるかと思えば,逆に武器を運び込む人がいたりして。蜂の巣をつついたような騒ぎになる。
水落貴嗣氏:
商人キャラバンとか出てきますね。で,それを守るための傭兵がいたりして。
4Gamer:
輸送部隊ですか。それが例えば1週間に1度とか2度とかのペースで到着して,物資が補充されたり。
水落貴嗣氏:
そういう形にできたほうががいいかなぁと。
4Gamer:
そうなると,飛空庭が果たす役割も考えたいですよね。緊急離脱とか,飛空庭降下部隊とか。100人とか入れるわけですし。それと,生産系の人が戦闘設備を作れたりするとまた変わってきますよね。土嚢とか。生産職が果たす役割として,物資の供給以外に考えていることはありますか?
そこは「ロールプレイ」の問題として考えたいですね。いろいろなRPGでそうなんですけど,なんかこう,ロールプレイしづらい状況というか,なんだかんだで戦闘力もあるか,ただまったりと生活の場として捉えるかの二者択一じゃないですか。
4Gamer:
MMORPGにつきまとう,強固な固定観念ですね。
水落貴嗣氏:
実際,日本で現在流行っているMMORPGが,世界観があるというよりは,やはり戦闘でも何でもできて的なものになっています。ECOもご多分に漏れず,そうした例だと思うんですよ。
ただ,ECOはプレイヤー同士の「絆」を前面に押し出して,それぞれのコミュニティを活性化し,一緒に頑張っていきましょうと訴えかけている部分が大きい。だから,それぞれのコミュニティとして新しい事態を捉え,どうしていくかを楽しんでもらえたらよいと思っているんですよ。
こちらとしては多分,大まかなストーリーと,それに合った舞台を用意するくらいしかできないのかなと。同じ状況を,個々のコミュニティがどういうものとして捉えるか,そこは自由であってよい。例えばあるコミュニティがバックパッカー系ばかりだったら,攻防戦(仮)を絶好の商機と捉えるかもしれない。それでよいと思うんです。
4Gamer:
いきなり役割が与えられるんじゃなくて,既存のコミュニティがそのアイデンティティを活かしつつ,どう噛んでいくかが重要と。十分な奥行きを持つゲームであれば,確かにそれが正論なのでしょうね。
では,基本システムの質問に立ち返りますが,攻防戦(仮)におけるデスペナルティとリスポーンって,通常のフィールドと違う形で考えていますか?
水落貴嗣氏:
フィールドマップをそのまま利用する形になると,そこは別立てにしにくいですね。その場合,ドミニオンの世界での成長の早さやクエストにおける報酬によって,攻防戦(仮)で生じるデスペナルティを埋め合わせる形になるかと。もちろん,これから検討される攻防戦(仮)の舞台次第ですが。
それから,攻防戦(仮)で個人が挙げた戦果や,戦いの勝敗によって,参加していたメンバーなどに何かしらの還元ができないか。なかなか難しいところではあるんですけれども,何かシステム的に対応できるところがないかなと。デメリットがあるかもしれないけれど,総じて若干のプラスになるとか。そういう方向で収めたいですね。
4Gamer:
では攻防戦(仮)1回は,どのくらいの時間になりますか?
水落貴嗣氏:
30分か1時間程度ですね。10分とかで終わってしまうと短すぎますし,2時間3時間かかると,それはかなりつらいですから。
4Gamer:
戦闘設備の構築はともかく,以前お聞きしていた生産職系が施設の修理に活躍するというイメージについてはどうですか?
水落貴嗣氏:
実現するかはともかくとして,例えば外壁が敵の攻撃で崩れてきたときに「タタラベー! 直してくれー」っていうのはやりたいですね。
4Gamer:
各職業の基本的なスキルは変わらないけど,例えば金属修理スキルを壁に向かって使うと,修理できるようになる,とかですか?
水落貴嗣氏:
そうです。
4Gamer:
あとはウォースミス的な方向性でしょうか。壊れた武器や防具を修理するとか。
水落貴嗣氏:
ええ,それは普通に可能ですから,例えばタタラベならば,そういうところでも活躍できます。
4Gamer:
やはりどの職業で行ってもドミニオンの世界を楽しめる状況が理想というわけですね。
水落貴嗣氏:
そうですね。やはりそこは目指したいところです。
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