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[TGS 2006#65]メタルユーキ氏に聞く,「ときめきメモリアルONLINE」の現在
番組パーソナリティの牧島有希さん(天宮小百合役),中尾良平さん(桜井晴役)に加え,TMOのプロデューサーでアニメの監修を務めるメタルユーキ氏が登場。さらに,アニメ「ときめきメモリアルOnly Love」に出演する吉川友佳子さん(春日つかさ役),藤田咲さん(弥生水奈役)もゲストとあって,ステージ前はかなりの混雑っぷりに。この模様は,10月3日(火)より,放送部(ときめきメモリアルONLINE♪放送部)にてON AIRされるとのことだ。
なお今回,ステージイベント終了後にメタルユーキ氏にインタビューをする機会を得た。放送開始直前のアニメ(放送時間は本記事の最後に掲載)の話題のみならず,学校(サーバー)の統合が発表されたTMOについても,話を聞いた。
■地上波でのアニメ放送は,長年の夢だった
4Gamer:
いよいよ10月,アニメ「ときめきメモリアルOnly Love」が始まりますね。
メタルユーキ氏:
うん,ようやくだね。当初から,ときめきメモリアルの世界を,ファンの皆さんの日常生活の中のいろいろなシーンで楽しんでもらいたかったんだ。
4Gamer:
以前からおっしゃっていた,メディアミックス戦略ですよね。
メタルユーキ氏:
うん。ファンブックやグッズはゲームの開始と同時にいろいろやってきたし,最近ではコミックスや,携帯電話でのデジタルコミックス配信といった試みもやっているんだ。でも,ときめきメモリアルって,OVAになったことはあるけれど,テレビの地上波で放送されるアニメは,ずっとなかったんだよね。
4Gamer:
実写映画なんかもありましたけどねぇ。
メタルユーキ氏:
あったねぇ。でも結局,みんな単発だったんだよね。だから今回のアニメは,長年の夢がようやく実現できたっていう感じなんだ。
「ときめきメモリアルONLINE」(以下,TMO)では描かれていない,語られていない部分を,アニメで分かってもらえれば,相乗効果も出てくるんじゃないかなって期待しているんだ。
アニメの見どころは,どのあたりでしょうか?
メタルユーキ氏:
やっぱり今回は,どこかに作っていただくという形でなく,コナミが自分達でやっているところに意味がある。ゲームをただ単にアニメ化するのではなく,アニメはアニメとしてしっかりしたものを作って,楽しんでもらいたいんだよね。
4Gamer:
TMOのプレイヤーや,ときめきメモリアルシリーズのファンだけでなく,アニメファンも楽しめるような形を目指しているんですね。
メタルユーキ氏:
もちろん,そうだよ。ゲームを原作にはしているんだけど,アニメならではの楽しみを視聴者に感じてもらえるような作り方をしているんだ。高本監督やシリーズ構成の渡辺先生も,もの凄く高いテンションで,自分達のイマジネーションを最大限に発揮すべくがんばってるからね。きっと楽しめるものになるよ。
4Gamer:
今回は放送局は地上波で三つ,それとCSのAT-Xですよね。AT-Xを除くと,深夜の放送になるわけですが,一番のターゲットはどういった層ですか?
メタルユーキ氏:
ときめきメモリアルを12年間続けてきた中で,TMOは30代前半から中盤ぐらいが中心になるかなと考えていたんだ。でも,サービスを開始してみたら20代前半から中盤の人が中心だったんだよね。
4Gamer:
お,思ったより若いですね。
メタルユーキ氏:
うん。そこで,TMOで遊んでいる人達に,もっとときめきメモリアルの世界を楽しんでもらうため,そして,今まで名前を聞いたことはあるんだけれどゲームをプレイしたことはないその世代の人達に世界観などを知ってもらうには,良い媒体だと思うんだ。
4Gamer:
確かにその世代は,深夜帯に放送されるようなアニメへの親和性は高そうですよね。
メタルユーキ氏:
だから,今ゲームをプレイしてくれている人達が,アニメでも楽しめる機会が増えるのはサービスアップにつながると思うし,深夜にテレビを見ているアニメファンには,原作がゲームであることを知ってもらって,関心を持ってもらえると嬉しいな。
4Gamer:
多くの人が目にしますよね,きっと。となると,今後の展開も含めて楽しみですね。
■学校をにぎやかにするための,統合
4Gamer:
で,実はこっちを本当は聞きたかったんですが……。先日,学校(サーバー)の統合を発表しましたよね。今回の発表がサービスの縮小に見えて,不安を感じているファンもいると思うんです。
メタルユーキ氏:
確かに文字面だけで見れば,規模が小さくなってるように感じられるかもしれないね。でも,TMOって元々“Boys'&Girls'学園コミュニティ・ゲーム”とうたっているわけで,コミュニティが生まれないことには,楽しんでもらえないと思うんだ。だから,コミュニティが生まれやすい環境を,もう一度作ろうという目的があるんだよね。
4Gamer:
人がいなくてコミュニティが生まれなくなってしまったら,TMOにとってはかなり致命的な問題です。
メタルユーキ氏:
ある程度人が多い学校でも,参加者数が少ない時間帯もあれば,学校によっては全校生徒数自体がほかに比べて少ない所もあるんだよね。だから,参加者数が少ない時間帯しか登校できない人や,生徒数が少ない学校に在学している人は,ほかの生徒とのコミュニケーションをとりにくい状況が発生しやすいんだよ。
4Gamer:
一人でたんたんと授業や部活に打ち込まざるを得ないという。
メタルユーキ氏:
そうなると,同じ金額を支払ってもらっているのに,公平なサービスを行えていないということになるんだよね。
4Gamer:
どうしても不公平感は出てきてしまいますね。
メタルユーキ氏:
だから,学校を統合することで,一つの学校の生徒の母数を増やすということにしたんだ。
4Gamer:
なるほど,そういう狙いがあるんですね。
メタルユーキ氏:
生徒の皆さんは,学校が統合されることによって,新しく出会ういろいろな人とのコミュニケーションができるようになると思うんだ。
4Gamer:
クラスメイトと離ればなれになることは,ないようですしね。
メタルユーキ氏:
うん。できるだけ公平な形で統合できるように,あれこれ検討しているよ。
4Gamer:
ただ実際のところ,統合に反対する声も上がっていますよね。もちろん,歓迎する声も上がっていますが。
メタルユーキ氏:
今,アクティブにプレイしている生徒の皆さんは,それだけ愛着心があって,生活サイクルの一部に組み込んでいるんだろうと思うんだ。だから,その環境が変わってしまうことに対する不安が,もの凄く大きいんだろうと考えている。
4Gamer:
愛校心の強い人ほど,抵抗感があるでしょうね。
メタルユーキ氏:
そうだね。自分のクラスのサイトを作っている人なんかは,学校名が変わってしまうことを残念に思っているようだしね。
また,一つの学校に同姓同名の生徒が存在できないということに,不満を感じている人もいると思う。そういう人達の意見や要望を聞きながら,どういう形が全生徒のためになるかを検討しているんだ。
4Gamer:
実際,名前の問題が一番大きいかな,とは思っているんです。
メタルユーキ氏:
本当の学校だったら,たとえ同姓同名の生徒がいたとしても,外見で区別がつくんだよね。だけどこういうキャラクターだと,どうしても似てしまう可能性がある。当初から,同じ学校に重複する名前の生徒を登録できなくしているのは,そういうことなんだ。
4Gamer:
ええ,それは分かります。
メタルユーキ氏:
ただ今回最初に,学校の統合後,名前の重複があったら先にログインした人が優先されるって,発表してしまったんだよね。これは,愛情を持って育ててきたキャラクターの名前に対して,皆さんが持っている思い入れへの配慮が足りなかったと反省している。ただ,学校の統合自体は,本当に全生徒のための施策であるということは,理解してほしいんだ。
現在は,名前の重複への対応として,早い者勝ちではない方法を検討しているんですよね。
メタルユーキ氏:
うん,さっきも言ったように,意見や要望を聞きながら検討しているよ。
4Gamer:
学校の統合というのは,サービス開始当初から念頭に置いていたことなんですか?
メタルユーキ氏:
学校間の生徒数に差異が生じることは,ある程度想定されていたので,一人一人のお客様にできるだけ公平なサービスを提供していくために,どこかのタイミングにおいて,学校の統合を含めた対応をする必要性は考えていたよ。
4Gamer:
新しい学校ほど,人が少ない状況みたいですし。
メタルユーキ氏:
そうなんだよね。新規の生徒が新しい学校に入学しても,人が少ないから楽しめないような状況になってしまっている。一方,最初からある学校には,人がいる。そういう状況を見ながら,すべての生徒に対して公平なサービスをできていないんじゃないかなって思っていたんだよ。
4Gamer:
コミュニティそのものに重点を置いたサービスですもんね。人数のばらつきが,サービスそのものに直結しているというか。
メタルユーキ氏:
うん。アニメを通じてTMOというコンテンツを初めて知った生徒が,新規に入ってくる可能性もあるから,そのときにはまたサーバーを増やす必要が出てくるかもしれない。そのときも,すべての生徒が公平にサービスを受けられるような形に,運営をしていきたいと思っているよ。
4Gamer:
学校の統合って,なんだかネガティブな話題のような気もするんですが,かなり前向きですよね。
メタルユーキ氏:
今回の統合で学校がまたにぎやかになれば,休学している人も戻ってくるかも知れない。そうすると,さらににぎやかになるでしょう? 我々制作サイドとしては,そういう風にポジティブに考えて取り組んでいるんだ。
■ようやく第二のスタートラインに立てた
4Gamer:
アニメを見て,TMOをやってみようという人もいると思うので,そのタイミングで課金方式が変わるのではないか? とも思ってたんです。
メタルユーキ氏:
課金方式の変更は,なかなか難しい部分があるんだよね。パッケージ版を購入した生徒は,いきなり課金体系が変わってしまうと,損をしたと感じてしまうかもしれない。すべての生徒に公平なサービスをしなければいけないわけだから,そういう事態は避けたいんだ。
4Gamer:
ああ,そうですね。パッケージ購入者の中には,3か月分の学費を前納している形の人もいるんですよね。
メタルユーキ氏:
それに市場に流通中のパッケージをどうするか? サービス内容が変更されたパッケージが店頭に並ぶまでは,パッケージ版の販売を中止するのか? など多くの問題もはらんでいるので,十分な検討と慎重な対応をしていく必要がある。だから,すぐに課金方式を変更するということはないよ。
4Gamer:
それは,いずれはあるということですか?
メタルユーキ氏:
どういう形が適切なのかは,今でも常に検討しているからね。今はなんとも言えない。
4Gamer:
ああ,そういうことでしたか。では,無料お試し期間みたいなものを設定する計画などはありますか?
メタルユーキ氏:
キャンペーンとして,そういうものをやる可能性はあるね。例えば,大学のオープンキャンパスみたいなものをイメージしてね。
やっぱりTMOって,やってみないと中身が分からないじゃない。だけど,ちょっと試してみたいとなったときに,必ず最初にお金を払わなければいけないとなると,少しハードルが高いと思うんだ。
4Gamer:
パッケージゲームでは,買ってみないと面白いかどうか分からないのが普通だったんですけどね。オンラインゲームでは,無料でちょっと遊んでみてから……っていう流れになっていると思います。
メタルユーキ氏:
そうなんだよね。βテストは,無料で気軽に参加できたと思うんだけど,正式サービスが始まっちゃうとなかなかね……。
4Gamer:
オープンキャンパスは,ぜひやってみてもらいたいです。
メタルユーキ氏:
ほかにも,友達紹介キャンペーンや,休学している人のカムバックキャンペーンなんかも,いろいろと検討しているところなんだ。せっかくゲームの内容も充実してきたからね。試してもらえる機会を,しっかり作っていきたいと思っているよ。
こういうキャンペーンが,これまでなかなか行われてこなかったのは,なぜですか?
メタルユーキ氏:
うん,ずっとやりたかったんだけどね。これまでは,サーバーの安定動作など,サービスを行ううえでの最低限の部分を優先してきたんだ。
最近になって,ようやくサーバーも安定してきたから,次の段階として,お客様の要求に応えていけるようなタームに入れたのかなぁ,っていう感じだね。
4Gamer:
本当は,もっと早くそのタームに入るべきでしたよね。
メタルユーキ氏:
それはもう,サービス開始と同時にやりたかったことなんだけどね。多くの生徒が一挙に入ってきたときに,どういう状況になるか,なかなか予想できない部分があったんだ。コナミとしてもこの手のサービスは初めてだったから,経験と準備が不足していたのは事実だよね。そういう意味でも,最初に遊んでくれた人達に対しては,申し訳ないと思っているんだ。
4Gamer:
休学なり退学なりをしてしまった生徒の声には,「遊べる要素が少ない」というものが多いですよね。こういう声に対しては,どうお考えですか?
メタルユーキ氏:
うん……。当初の計画では,最初から定期的に新しい要素を追加していこうとしていたんだ。例えば,声優さんを招いてクイズ大会を開いたりするゲーム内イベントを,9月13日〜15日に行ったんだけど,本当はこういうのも,サービス開始直後からガンガンやりたかったことの一つなんだ。
4Gamer:
イベントらしいイベントって,ずっとなかったですもんね。
メタルユーキ氏:
実際のところ,サーバーの安定性を向上させなければ,何もできない状態になってしまっていたから,ゲーム内イベントを行える段階に至っていなかったんだ。だから,こういうサービスが後手後手に回ってしまった。
4Gamer:
じゃあ,今後はゲーム内イベントも積極的に行っていく,と。
メタルユーキ氏:
うん,そうだね。一日限定のイベントだけではなくて,一週間続くようなものもやっていきたい。一日限定だと,どうしても参加できない人がいるからね。やっぱり,多くの生徒が自分のライフスタイルに合わせて,公平に楽しめるサービスを提供したいんだ。
サービス……といえば,タイピングゲームも追加されましたし,もうすぐ大富豪も実装されるんですよね。
メタルユーキ氏:
うん。あれもね,クラスメイトが集まったときに授業以外で楽しめるものを考えたんだ。休み時間って,何をやって過ごしたのかな? なんて考えながらね。だから,当初からミニゲームを投入するイメージはあったんだ。
4Gamer:
昨日や今日の思いつきではなく。
メタルユーキ氏:
ただ,サーバーやプログラムの安定性が確保できていない段階で新しいコンテンツを追加していくと,大きなバグを誘発してしまう危険性もあるわけでね。ちょっとそこは,自分もプロデューサーとしてじれったい部分だったし,生徒の皆さんにはお待たせして申し訳なかった。
4Gamer:
結果的には,コンテンツの充実や,ゲーム内イベントの実現,サーバーの安定稼働というものがどうにかなってきたタイミングで,学校を統合してもう一度コミュニティを活性化しようという形になるわけですよね。もしかしたら,ある意味でこれがスタートラインなのかな,という気もします。
メタルユーキ氏:
でも,これまでも遊んでくれた人はいるわけだからね。あくまでも,第二のスタートラインといったところかな。
4Gamer:
それに合わせて,学校を離れてしまった人も,戻ってきてくれるといいですね。
メタルユーキ氏:
そうだよね。これから冬にかけて,アニメを通じて多くの人にTMOを知ってもらえるし,新しい仲間も増えていくと思う。そんな中で,より完成度が高く,みんなが楽しめるゲームを提供できるように,スタッフ一同がんばりたいと思っているよ。
4Gamer:
分かりました。今後に期待しています。
お忙しいところ,ありがとうございました。
先日,学校の統合について掲載した記事は,かなりのページビューを記録した。なんだかんだ言っても,TMOが,ときめきメモリアルシリーズが,各方面からの注目を集めているのは確かなようだ。
そして今回,アニメの放送開始によって,これまでオンラインゲームに興味を持ったことがなかった人が,新たにTMOに興味を持つ可能性も高く,これまで以上にTMOへの注目度(実際に遊ぶかどうかは別問題だが)は高まるだろう。
メタルユーキ氏が,現状をきちんと理解したうえで前向きに物事を進めようとしているのは確かである。だが,集めた注目を,いかにしてプラスに転化していけるかは,今後のかじ取りにかかっている。学校統合後のTMOの動向に,今後も注目していきたい。
最後になるが,アニメ「ときめきメモリアルOnly Love」の放送時間は,以下のとおりだ。
・テレビ東京:毎週月曜日25時30分〜(10月2日放送開始)
・テレビ大阪:毎週金曜日26時30分〜(10月6日放送開始)
・テレビ愛知:毎週金曜日26時28分〜(10月6日放送開始)
・AT-X:毎週木曜日10時30分〜/21時30分〜,毎週月曜日14時30分〜/24時30分〜(10月26日放送開始)
TMOに興味はなくても,アニメは好き……という人は,とりあえず第一回をチェックしてみよう。(TeT)
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