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間もなく「熱血高校オンライン」がお目見えか? WindySoft,キム・ジョンレ副会長インタビュー
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印刷2007/02/07 21:05

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間もなく「熱血高校オンライン」がお目見えか? WindySoft,キム・ジョンレ副会長インタビュー

 1月31日に開催された「『LieVo』プレスカンファレンス 2007 WINTER」では,LieVoにオンラインアクションゲーム「INFINITY」を投入している韓国のWindySoftから,キム・ジョンレ副会長が出席していた。
 WindySoftの創業者であり,ゲーム業界歴も10数年というキム副会長は,ステージではごく普通の挨拶をするにとどまっていたが,いまのWindySoftには,「塊魂オンライン」(仮題)のことを含め,聞きたいことが山ほどある。そこで,発表会終了後に無理矢理時間を作ってもらい,話を聞いてきた。


■「INFINITY」,Version 2.0ではRPGの要素を追加

4Gamer:
 今日はよろしくお願いします。

WindySoft キム・ジョンレ副会長:
 こちらこそ,よろしくお願いいたします。

4Gamer:
 WindySoftといえば,「GetAmped」(邦題 ゲットアンプドR)の運営で大成功を収められていますよね。「INFINITY」はWindySoftにとって,GetAmpedの後継タイトルという位置付けだと発表されていた記憶があるのですが,まだまだGetAmpedの人気も根強いものがあると聞いています。これは,GetAmpedで獲得してきたプレイヤーが,INFINITYに移っていないということなのでしょうか?

キム副会長:
 そういうわけではありません。GetAmpedとINFINITYとでは,プレイヤーの年齢層が違うんです。韓国では,幼稚園児すらオンラインゲームで遊んでいるんですが,そういう基盤がまずあって,GetAmpedの場合は小中学生のプレイヤーがメインになっています。一方INFINITYは,18歳以上がメインのプレイヤーなんですよ。

4Gamer:
 なるほど。確かにGetAmpedは,子供にとって親しみやすいグラフィックス,キャラクターデザインですもんね。では,GetAmpedのプレイヤーがこの先成長したら,INFINITYで遊んでもらおうという狙いはありますか?

キム副会長:
 実は,そういう期待はあまりしていないんです。GetAmpedはGetAmpedで,低年齢層を主に確固たる客層を築いています。INFINITYでは,GetAmpedとは異なる客層を広げていきたいんですよ。

4Gamer:
 年齢層ごとに異なるゲームを投入して,WindySoftとして幅広い顧客を獲得していこうということですね。
 それでは,韓国におけるINFINITYの現在の状況を教えてください。

キム副会長:
 INFINITYは,サービスをスタートしてから1年が経っている,当社の主力コンテンツの一つです。企画自体は,3年前から動いていたのですが,実は当初の計画とは違う形で発展しているんですよ。

4Gamer:
 と,いいますと……?

キム副会長:
 やはり,成功したGetAmpedの後継タイトルということで,企画段階ではPvPに重点を置いていたんです。実際,その方向でのβテストを実施しました。当初は熱狂的に受け入れてもらえたので,この方向でいけば成功するだろうと思っていたのですが,いざ正式サービスが始まってみると,PvPだけでは物足りないと感じる人が多かったようなんです。

4Gamer:
 企画からサービスまでの時差に原因があったのでしょうか。

キム副会長:
 そうですね。開発しているうちに,市場のニーズが変わっていたということです。そこで,新たなニーズに応えるために,2006年にはミッションモードやシングルモードを用意しました。また,2007年には“Version 2.0”として,MORPGという形での拡張を予定しています。

4Gamer:
 それは,もの凄く大胆な方向転換ですね……。企画段階では,どういったアップデート計画があったのですか?

キム副会長:
 最初がPvPというのは当然変わっていませんが,第二段階でエピソードを,第三段階で多人数での攻城戦を……といったステップを踏む予定だったんです。
 オンラインゲームには,プレイヤー達の要望を聞きながら,徐々にアップデートしていけばいいという考え方がありますよね。でもそれは,開発側の考えでしかありません。実際には,プレイヤーの要望というのは,こちらが開発するよりも早く,次の段階へ,次の段階へと発展していくんですよ。そのすべてに応えるのは,大変です(笑)。

4Gamer:
 そうですよね。開発の現場は,もの凄いことになっていそうな気がします。



■日本版「INFINITY」は,韓国版と異なる進化をする可能性も

「INFINITY」出演声優
左:金光宣明さん(ドロシー),中:牧口真幸さん(ユーリ),右:小清水亜美さん(エレナ)
4Gamer:
 ところで今日は,日本のINFINITYでゲーム内ボイスを担当する声優が発表されましたよね。韓国のINFINITYでも,やはり韓国の声優を起用しているのですか?

キム副会長:
 ええ。韓国の有名なアニメーションに出演している声優さんが,各キャラクターの声を演じています。

4Gamer:
 日本と韓国とで,同じような展開をしているんですね。
 ゲームのアップデートに関しても,日本版は韓国版がたどったようなステップを踏襲するのでしょうか。

キム副会長:
 いえ,必ずしもそうはならないと思います。ローカライズというのは,ただ言葉を翻訳すればいいというわけではありません。ゲーマー達の嗜好や,その背景にある国ごとの固有の文化は違うものですから。
 INIFINITYは,韓国で1年前からサービスをしていますので,ある程度の内容は揃っていますが,それをそのまま日本に持ってくればいいか? というと,そうではないと思うんです。

4Gamer:
 日本のプレイヤーの声に応じて,韓国とは違うゲームに成長していく可能性もあるわけですか?

キム副会長:
 ええ。そうなる可能性もありますね。基本的には,日本で運営を担当するSeedCさんが,プレイヤー達のリクエストやマーケティングデータを集めて,WindySoftに提案してくるという形になりますので,できる限り柔軟に対応しようと思っています。

4Gamer:
 韓国で開発されたゲームが日本でのサービスを始めるとき,皆さんそうおっしゃいます。が,いざ蓋を開けてみると日本のプレイヤーの声が,何一つ形になっていないというケースも,残念ながら少なくないと思うんですよ。

キム副会長:
 確かにそういうケースはありますね。ですが,WindySoftは,GetAmpedで今回のINFINITYとは逆の経験をしてきていますので,そのあたりはご安心下さい。

4Gamer:
 それは,どのような経験ですか? もう少し詳しく教えてください。

キム副会長:
 GetAmpedが成功した理由の中で一番大きかったのは,WindySoftが韓国でサービスする立場として,開発元のサイバーステップさんが,私達の提案したことに対して最大限の努力で対応してくだったことにあるんです。

4Gamer:
 なるほど。そういうことがあって,韓国で成功を収めることができた,と。

キム副会長:
 ええ。ですから現在はSeedCさんに,「INFINITYを日本で成功させるために,私達は何をしましょうか? できる限りの対応をしますから,何でもいいのでリクエストを下さい」という話をしているんです。もちろん,ゲーム性も重要です。しかしオンラインゲームというのは,ビジネスとして長期的な視野で見ると,いかにプレイヤーの要望に応え,いかにプレイヤーに快適な環境を提供できるか,ということを常に考えていかなければいけない,いわばサービス業なんです。
 ですから,私達もSeedCさんに任せっきりにするのではなく,生みの親として育ての親(SeedC)と手を取り合って,日本でINFINITYが成功するよう,がんばっていきたいと思っています。

4Gamer:
 勝算はありますか?

キム副会長:
 韓国と比べると,日本のオンラインゲーム市場は,まだそれほど大きくありません。ですが,さまざまなジャンルで,数多くのオンラインゲームがサービスされていて,競争は激しくなっています。だからこそ,マーケティングやβテストなどで得られたデータの分析は重要です。こうしたデータや,SeedCさんからの要望に対し,WindySoftとして可能な限り応えていけば,日本のゲーマーの皆さんにも,私達のINFINITYにかける意気込みを理解していただけるのではないかな,と思っています。

4Gamer:
 地道かつ,プレイヤーに対して誠実に取り組んでいこうということですね。
 ではそもそも,INFINITYをLieVoに投入しようと考えたのには,どのような理由があるのでしょうか。

キム副会長:
 LieVoは,非常にオープンな理念を持っているんです。一つの会社だけでがんばるのではなく,コンテンツを持つ各社がLieVoを通じてノウハウをシェアしたり,LieVoを足がかりに世界へ展開したり……そういう発想に,非常に魅力を感じました。

4Gamer:
 この理念が,きちんと形になれば,世界中のゲームデベロッパやクリエイターが幸せになれそうですよね。
 それでは,LieVoを運営しているSeedCとテクモには,どういった印象をお持ちですか?

キム副会長:
 SeedCさんには,オンラインゲームサービスの確かな運営実績がありますから,期待も信頼もできます。テクモさんは,オンラインゲームへの取り組みの歴史は浅いですが,確固たる知名度と,コンシューマゲームおよびアーケードゲームでの豊富な開発実績を持っています。この二社が強力に結びついていることは,とても素晴らしいことだと思っています。

4Gamer:
 WindySoftとして,SeedCあるいはテクモに対して希望することはありますか?

キム副会長:
 そうですねぇ……例えば,テクモさんが持つ有名なキャラクターを,INFINITYに登場させるといったコラボレーションが実現すれば,LieVoだけでなく,韓国でも凄く盛り上がるのではないかと期待しています。ここで言える話かは分からないのですが(笑)。



■「塊魂オンライン」の前に,「熱血高校オンライン」が

4Gamer:
 ところで,つい先日(1月29日)には「塊魂オンライン」(仮題)を発表しましたよね。バンダイナムコゲームスの塊魂シリーズに愛着を持っている日本のゲーマーにとって,非常に気になるタイトルです。これは,日本で遊べるようになるのですか?

キム副会長:
 こればっかりは,バンダイナムコゲームスさんといろいろな話し合いをしなければいけませんから,まだなんとも。開発も始まったばかりですし,何も言えないというのが正直なところです。ただ,ゲームが出来上がってくる頃には,両社で協議する予定ではありますよ。

4Gamer:
 では,吉報を待っています。

キム副会長:
 当社では,ほかにも10タイトルぐらいのコンテンツを準備しているんですよ。その中には,LieVoでサービスしたいと考えているものもありますので,それらも楽しみにしていて下さい。

4Gamer:
 例えばどんなタイトルを投入していく予定があるのですか?

キム副会長:
 LieVoだけというわけではないのですが,日本市場に向けて,3月には「Buzz Fellowz」を,上半期には「熱血高校オンライン」(仮題)のクローズドβテストを展開できるのではないかと思っています。ほかにもレーシングゲームなど,いくつかのコンテンツがありますので,いろいろと検討しています。

4Gamer:
 あ,そういえば熱血高校オンラインもWindySoftのタイトルでしたね。

キム副会長:
 ええ,社内ではゲームができるレベルになっていますので,もう少しお待ち下さい。

4Gamer:
 はい,楽しみにしています。
 WindySoftは,日本で生まれたコンテンツを韓国で展開するという取り組みが目立つように思います。WindySoftは,日本のゲーム業界と,どのように歩んでいくおつもりですか?

キム副会長:
 そうですね……私はゲーム業界に入って10数年経つのですが,ゲームの仕事については日本から学んだ部分があるんですよ。そういうこともあって,日本のゲーム会社と関係を持って展開している韓国のゲーム会社はいくつもありますが,WindySoftが一番親密な関係を築いているんじゃないかと思っています。今後も,コミュニケーションをとりながら,お互いにプラスになるよう,がんばっていきたいです。

4Gamer:
 なるほど。ただ,うがった見方をすると,日本発のコンテンツを,韓国でオンラインゲーム化するというのは,ゼロから開発する力が韓国のゲーム会社にはないのでは? という見解もあると思います。これについては,どうお考えですか?

キム副会長:
 何もないところから企画,開発をし,展開していくことは,非常に価値のあることだと思います。ですが,現在はオンラインゲーム市場の競争が激しくなっているんです。となると,市場にインパクトを与え,一人でも多くのプレイヤーを集めるためには,コンシューマゲームなどで知名度のあるコンテンツが効果的なんです。コンシューマゲームで遊んできた人達にも,振り向いてもらえますし。

4Gamer:
 過酷な競争の中,注目を集めるのは並大抵のことではありませんよね。

キム副会長:
 ええ。そういう目的があって,日本や韓国で知名度の高いコンテンツをオンラインゲームにしたいと,長い間考えてきました。その過程で,バンダイナムコゲームスさんとの話し合いがあって,塊魂オンラインという形を発表させていただいたわけです。

4Gamer:
 目的を達成するための手段として,既存コンテンツを活用しようということですか。

キム副会長:
 ええ。しかしオンラインゲームは,権利を売買したらそれで終わりというものではありません。違う国の会社同士であっても,パートナーシップを結んで,ともにがんばっていかなければ,成功することはできません。
 仕事というのは人間がやるものですから,コミュニケーションが重要ですよね。その点,WindySoftや近い関係にある韓国のデベロッパには,私を含めて日本が好きな者,日本の文化をある程度理解している者,日本語ができる者がいますので,うまくやっていく自信はあるんですよ。


■コンシューマゲーム市場にも魅力を感じている

4Gamer:
 2006年末には,“次世代”コンシューマゲーム機が出そろいました。アプローチの仕方は異なりますが,どれもオンラインに対応しており,コンシューマゲームの世界でもゲームのオンライン化が期待されています。WindySoftとして,コンシューマゲーム市場への本格参入の可能性などは,あるのでしょうか?

キム副会長:
 ええ。WindySoftとしては,これまでに数タイトルのコンシューマゲームのラインセンスを受けて,パブリッシング,流通をやってきました。2007年は,これを強化する方向で考えています。

4Gamer:
 なるほど。では,自社コンテンツの移植などは?

キム副会長:
 WindySoftはコンシューマゲームの開発経験がないので,すぐにとはいかないでしょう。でも,例えばLieVoを通じて,WindySoftのオンラインゲームコンテンツを,テクモさんが移植してくださるようなチャンスがあれば,非常に嬉しいですよね。ただ,どんなタイトルを移植するにせよ,その前にオンラインゲームとして成功を収めなければいけませんので,当面はここに注力していきます。

4Gamer:
 ということは,コンシューマゲーム市場自体への魅力は感じているということですか?

キム副会長:
 GetAmpedもそうなんですが,韓国のゲーマー達にとって,成功したオンラインゲームのキャラクターは,ディズニーやサンリオなどのキャラクターよりもなじみ深く,人気があるんです。実際,書店に行けばゲーム関連のマンガや雑誌がよく売れています。
 WindySoftでも,文房具屋さんなどと組んで,GetAmpedのキャラクタービジネスも展開しているんですよ。オンラインゲームで成功すれば,二次商品の売り上げも期待できるようになるわけです。その流れで,可能であればさまざまなプラットフォームで展開したいという考えは持っています。

4Gamer:
 一度にマルチプラットフォーム展開をするのではなく,あくまで中心となるのはオンラインゲームなんですね。移植ということでは,具体的に話を進めているものなどはあるのでしょうか。

キム副会長:
 実は今,社内で企画を練っている段階です。

4Gamer:
 ひょっとして,その開発をテクモが担当するような話も実際にあるのでしょうか?

キム副会長:
 雑談ベースではそういう話も出てはいます。企画が固まったとき,テクモさんが魅力を感じて引き受けてくださるのであれば,すごく光栄だと思います。
 例えば自社コンテンツとして,レースゲームやパズルゲーム,ロボットアクション……Buzz Fellowzなんかもありますが,そういったものはニンテンドーDSなどにも合うコンテンツではないかなと思っています。

4Gamer:
 カジュアルに遊べるタイトルは,据え置きゲーム機よりも携帯型ゲーム機に合いそうですね。ところで,韓国では1月18日にニンテンドーDS Liteが発売されたばかりだと思うのですが,韓国のゲーマー達の間での評判はいかがですか?

キム副会長:
 いま,CMにチャン・ドンゴンさんが出演していることもあって,ゲーマー達の間でもかなり話題になっていますよ。

4Gamer:
 日本と同じような盛り上がり方をしそうですか?

キム副会長:
 近い国ということもあって,日本で盛り上っている雰囲気は韓国にも伝わってきています。いまはインターネットの時代なので,ゲーマー達は世界中のゲームのトレンドを知っていますし。

4Gamer:
 日本での盛り上がり方って,ちょっと特殊なんですよね。例えば「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の人気だとか。これまでのゲーム関連のブームとは,かなり違う感じです。

キム副会長:
 あ,韓国でもやっぱりそのタイトルが話題ですよ,任天堂さんも,そういう戦略をとっているのでしょうし。

4Gamer:
 そうなんですか。それは非常に興味深いですね。キャラクター性やコミュニティ性みたいなものがないのに(笑)。



■テクモのオンラインゲームを韓国でサービスしたい

4Gamer:
 それでは最後に,WindySoftの今後の方向性を聞かせてください。

キム副会長:
 そうですね。WindySoft社内にも開発チームはありますが,韓国や日本のデベロッパとの提携や,投資などの形で,いろいろなタイトルを開発していきたいですね。それと同時に,今後は日本のゲーム会社もオンラインゲームへの開発に乗り出してくると思いますが,日本発のオンラインゲームを,韓国で最も良い形でサービスできる会社にしていきたいと思っています。

4Gamer:
 開発と運営の両面で,さまざまな会社と手を組みながら,しっかりしたサービスを手がけていきたいということですね。

キム副会長:
 ええ。韓国では現在,オンラインゲームが飽和状態にあります。ですから,世界各国でパートナーシップを結べる会社を探して,太いパイプを作りながら,韓国内外で一緒にがんばっていきたいんですよ。自社だけで何でもこなそうとするのは,どう考えても無理ですから。

4Gamer:
 日本以外の地域への進出も検討しているんですか?

キム副会長:
 ええ,中国や東南アジア地域,ヨーロッパ地域などで,いろいろと話を進めています。

4Gamer:
 中国や東南アジア地域は予想どおりだったのですが,ヨーロッパ地域もですか。アジア圏ともまた違うゲーム文化があるだけに,どんな話が進んでいるのか,ちょっと気になります。

キム副会長:
 私もびっくりしたのですが,「G★2006」にはヨーロッパから,たくさんの方が来場していたんです。もちろん,日本からも多かったのですが。そのときにいらしたお客さんから,WindySoftのコンテンツをヨーロッパ地域でサービスしたいというオファーを受け,いくつかのタイトルのヨーロッパ展開が決まっています。

4Gamer:
 どんなタイトルですか?

キム副会長:
 近々発表しますので,今は秘密です(笑)。

4Gamer:
 そんなにすぐに発表されるんですか。それは楽しみです。
 ヨーロッパで展開されるタイトルは,現地のパブリッシャが運営を担当するわけですよね? となると,またパブリッシャやプレイヤーの要望に従ったアップデートなどを,WindySoftで行うということになるのですか?

キム副会長:
 はい。出来る限り各国の要望には応えていきたいと思います。ただ,ヨーロッパの場合は複数の国,言語が違う国があるじゃないですか。それを考えると,どこまで対応しきれるかという面では,やってみないと分からないという部分があるのは確かです。
 ですが,先ほどもお話したとおり,日本で生まれたGetAmpedを,韓国で成功させた実績を持っていますし,そのために開発元であるサイバーステップが何をしてくれたのかを,よく知っています。それと同じように,当社のコンテンツに対しては,できるだけ当社で対応をして,現地で成功させたいという気持ちでいます。

4Gamer:
 一つのタイトルが,世界のあちらこちらで別々のパブリッシャが運営していても,権利元や開発元は一つしかありませんよね。開発部隊のリソースも限られていると思いますし,各国からの要望すべてに応えるのは,相当厳しいのではないでしょうか。

キム副会長:
 ええ,それは頭の痛いところです。ただ,例えばINFINITYの場合,韓国の市場を第一に考えていて,その次が日本市場です。ほかの国からの引き合いもあるのですが,きちんとした対応ができるようになるまで,契約する時期やサービスする時期を調整しながら,話を進めているんです。

4Gamer:
 ああ,なるほど。サービス開始時期をずらすことで,開発部隊にかかる負荷を分散させるわけですね。

キム副会長:
 ええ,そういうことです。コンテンツによっては,グローバルサーバーで全世界の人達に遊んでもらえるようなものもあるでしょうから,必ずしも時期をずらさなければならないというわけでもないのですが……。コンテンツ次第ですよね。

4Gamer:
 言葉でのコミュニケーションがいらないようなゲームであれば,グローバルサーバーのほうが楽かもしれませんね。
 では,オンラインゲーム市場を世界規模で見たとき,どこに一番注目していますか?

キム副会長:
 そうですねぇ,一番よく知っているのがアジア地域なので,そこに限ったお話しますと……。これまで,韓国はインフラが恵まれていたということもあって,オンラインゲーム開発のチャンスが豊富で,市場も広がっていきました。でも最近では,台湾や中国の市場も大きくなってきていて,台湾のパブリッシャには“勝ち組”になっているところもあります。そういったパブリッシャの組織力,資金力,知名度が高まると,自社での開発にも力を入れ始めると思うんです。すると今後は,中国や台湾のオンラインゲームが,韓国にも進出してくるでしょうね。

4Gamer:
 日本はいかがでしょう?

キム副会長:
 これまで日本のデベロッパは,オンラインゲームに対する理解が不足していた部分があったかもしれませんが,もうだいぶ経験を積んできています。
 開発の歴史や実績自体は相当なものがありますし,例えばコンシューマゲーム市場で知名度のあるコンテンツをオンラインに持って行くようなことがあれば,相当期待できると思いますよ。テクモさんでも,いくつか準備を進めていると聞いていますので,それを韓国でサービスできる日が来ることを,楽しみにしています。

4Gamer:
 そんな日が早く来ることを,僕も楽しみにしています。
 今日はありがとうございました。


 残念ながらというか,予想どおりというか,塊魂オンラインについての詳しい話を聞くことはできなかったが,その口ぶりからは日本でのサービスも当然視野に入っているという印象を受けた。
 また,しばらく鳴りを潜めていた熱血高校オンラインが,近いうちに日本でもクローズドβテストが行われるというのは,ちょっとしたサプライズとして受け止める人もいるのではないだろうか。
 ご存じのとおり,この2タイトルの原作は,日本で生まれたゲームである。それが海を越えてオンラインゲームになり,再び日本に戻ってくるとなれば(塊魂オンラインは未定だが),日本のゲーマー達は相当シビアな目で評価を下すことになるだろう。それを受けて,WindySoftがどういった対応を見せるのか。非常に興味深いところである。(Text by TeT / Photo by 新井邦彦)


(2007年1月31日収録)

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