2004/09/22 22:41 |
本日(9月22日),MMORPG「信長の野望 Online」の拡張パック「信長の野望 Online 〜飛龍の章〜」(以下,飛龍の章)の発表会が行われた。ここではゲーマーにとって最も気になる,その拡張内容に絞って詳しくついてお伝えしよう。
飛龍の章は,同社が運営する戦国時代をテーマとしたMMORPG「信長の野望 Online」(以下,信On)初の拡張パックとなる。拡張パック単体でのパッケージ販売は行われず,既存プレイヤーはアップグレード料金を支払い,データをダウンロードすることで拡張を行うことになる。 パッケージとしては,これまでの内容に飛竜の章の内容が加わった「信長の野望 Online 〜飛龍の章〜」が発売される予定。サービス開始は2004年12月中旬が予定されている。なおアップグレードするためのチケットの料金は2940円(税込),パッケージの価格は7140円(税込),サーバー接続料金は(これまでと変わらず)30日1260円(税込)となっている。これらはすべてPC版,プレイステーション2版共通だ。
飛竜の章の開発コンセプトは「生き甲斐のある戦国コミュニティ」。信Onをこれまでよりもっと豊かで,できることに幅のあるゲームにするための拡張が多数盛り込まれている。具体的には以下のような拡張がなされる。
1・プレイヤーレベルのキャップの上昇
これまではレベル50までしかプレイヤーキャラクターを成長させられなかったが,飛竜の章の導入によって,レベル60まで上げられるようになる。それに伴い,既存のボスクラスのNPCの強さが調整されるほか,ハイレベルキャラクター向けの新しいダンジョンが追加される。
2・プライベートダンジョンシステムの実装
MMORPGの拡張における最近のトレンドの一つといえる"1パーティ専用ダンジョンシステム"の実装が,信Onでも行われる。飛龍の章における呼称は"トライアルダンジョン"だ。 とくに本作の場合,これまではかなり高いレベルまでキャラクターを育てないとダンジョンには挑めなかったが,この拡張によって低レベル,中レベルのキャラクターでも気軽にダンジョンに挑戦できるようになる。これは既存プレイヤーのみならず,新規のプレイヤーにとっても魅力的な要素といえるだろう。 この拡張が,いわゆる"アイテムキャンピング"問題の解消に一役買うであろうことは想像に難くない。もちろんトライアルダンジョン内にはボスクラスの敵のほか,そこでしか手に入らないようなアイテムが用意されるということだ。一つのダンジョンを探索するのにかかる時間は1時間から長くても2時間程度。町からトライアルダンジョンへのアクセスも容易にするということで,これまでよりも気軽にダンジョン探索のための徒党(パーティ)を組めるようになりそうだ。
3・マッチングシステムの導入
トライアルダンジョンでプレイしたい場合には,徒党の自動編成システムが利用できる。とりあえずエントリすれば,同じレベル帯の参加希望プレイヤー同士を,システムが自動的に徒党にしてくれるのだ。またこのときには,クラスバランスもちゃんと考慮されるという。 これほどのマッチングの仕組みを持ったMMORPGはほとんどなく,非常に素晴らしいシステムといえる。この仕組みによって本作は,最も短時間でフリーのパーティプレイが開始できるMMORPGになるだろう。
左がトライアルダンジョン内部の様子。右は城下町だ
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4・装備品&装備スロットの追加
これまで合計8か所だったPCの装備スロットが,12か所に増加する。既存の部位には変化なく,新たに"腕" "足" "紋所" "お守り"のスロットが増える。これに伴いプレイヤーが生産できるアイテムも大幅に増加する。 すべてのPCが実戦に耐える戦闘技能を有しつつ,生産/売買にも積極的に関わっていける仕組みは本作の長所の一つだ。生産可能品の増加によって,物作りの楽しみはさらに増すことだろう。ちなみに,この拡張によってすでに持っているアイテムが使えなくなることはないということだ。
5・プレイヤーが自分の家を持てるように
プレイヤーは身分や財力,所属勢力の大きさに応じて,自分の"屋敷"を持てるようになる。好きなフィールドに勝手に家を建てるような形ではなく,町の中にそのような一角が追加され,その場所からゾーンして自分の家に入るような仕組みだ。 始めは"長屋"住まいからで,アップグレードによっていずれは大きな"武家屋敷"に住めるようになるという。屋敷の内部や(ある場合は)庭は,アイテムを配置するなどしてカスタマイズが可能。キレイに飾った家にはもちろん他プレイヤーを招き入れることもできる。また各戸には"納屋"も用意され,そこにアイテムを保管しておくこともできるようになる。 「ウルティマ オンライン」や「スター・ウォーズ ギャラクシー」のように,"生活すること"にもウェイトを置いたMMORPGでは家の仕組みはポピュラーだ。しかし,「EverQuest」や「ファイナルファンタジー XI」,そして本作のような"戦闘をすること"に主眼を据えた作品には,まだ少ない。戦闘以外の活動をより多く楽しめるような方向性を持ったこの拡張は,まさに「生き甲斐のある戦国コミュニティ」というテーマに沿ったものだといえるだろう。実際のところは,「ダーク・エイジ・オブ・キャメロット」における家の仕組みに近い感じになるのではないかと予想される。
6・自分だけの領地に内政を施す仕組み"知行"
プレイヤーは,自分の領地を所有することが可能になる。そしてこの領地を領主として運営する,"知行"という仕組みが実装される予定だ。 具体的には,自分の領地に対して治水工事や開墾を進めるといったコマンドを発し,その結果,自領からの収穫量が増えたり,高級な特産品が産出されたりするようになる。経営シミュレーションのような内政の楽しさが味わえるようになるということのようだ。手腕によっては,この"知行"により大きな利益を上げることができるという。 また,調整にそれほどプレイ時間を割かれないこともこの仕組みの良いところだろう。まとまった時間が取れないようなときに,短時間のログインで知行を行うといったプレイスタイルが想像できる。この"知行"も,ほかのゲームにはない面白いアイデアだ。
7・プレイヤーを特別な存在にする"流派"と"官位"
信Onでは,目録を極めることによって必殺技や魔法のような"技能"を得ることができた。飛竜の章の拡張によって,こんどはその技能自体をさらに鍛錬することが可能になる。 元の技能が同じでも,鍛錬のさせ方によって高まる効果には差が出るという。つまりこれによって,ほかの人にはまねができない,真なる"自分の得意技"が作り出せるようだ。さらにその技能を磨いていけば,いつか自分の名を冠した"流派"が誕生するという。 また自分自身の名を高める要素としては,"官位"という称号も追加される。官位は200ほど用意され,各官位を持てる者は各サーバーに一人のみ。これらの要素によって,自分のキャラクターを"特別な存在"へと育てていけるようになるのだ。
8・合戦周りの拡充 "兵種"と"前哨戦"
信Onには,所属勢力同士の大規模なPvPシステムが用意されている。これまではすべてのプレイヤーが"足軽"となって接近戦を体験するのみだったが,飛竜の章では,"兵種"の概念が導入される。兵種には"歩兵" "騎兵" "射手"があり,それぞれが特有のコマンドを使用可能になる。これにより,合戦における戦略性が高まることになりそうだ。 またこれまでは,合戦開始の告知のあとに1週間の準備期間が設定されていたが,この期間に"前哨戦"を行えるようになる。この前哨戦にはトライアルダンジョンのところにあるようなマッチングの仕組みが施されるため,レベルの近い味方同士で徒党が自動編成され,実力の伯仲している敵徒党同士に対戦が自動で組まれたりする。従来の仕組みでは,レベルが低めのPCは合戦においてあまり活躍ができなかったが,この前哨戦では,力の近い者同士の面白みのあるPvPが楽しめることだろう。
さて,ここまでで分かるように,飛竜の章における拡張は,他タイトルの標準的な拡張パックの内容よりもシステム的な追加要素の数が多い。というか,海外のタイトルも含めてこれほどシステム的な拡充が一度にたくさん盛り込まれた拡張は,ちょっと見たことがない。 ただ飛竜の章には,拡張パックにおきまりの「巨大な冒険エリアの追加」という要素がない。いたずらにゾーンを増やすことで結果的に人の集まらない"不人気エリア"を生み出してしまった他作品の前例を研究したのだろうか,システムの拡充に焦点を合わせた内容といえる。そしてそのシステム拡充におけるテーマは,「生き甲斐のある戦国コミュニティ」。単純にボリュームを増すのではなく,プレイの品質を向上させることに力を注ぐこの方向性は,既存プレイヤーにとっては頼もしく,また,まだ本作をプレイするには至っていないMMORPGファンにとっては非常に興味深いものだろう。 国産のMMORPGは,海外の先進的なタイトルにファン(とくにコア層)の目を奪われやすい傾向があるらしい。しかしこの拡張によって信Onは,辛辣なコアRPGファンに,そんなことをおいそれと言わせないほど充実した作品へとより進化するのかもしれない。それほどの内容の厚さを感じる拡張パックである。(星原昭典)
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