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フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
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印刷2008/06/30 23:05

インタビュー

フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー

画像集#016のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
 ゲームポットが運営中のオンラインRPG「ファンタジーアース ゼロ」(以下,FEZ)について,開発作業をフェニックスソフトに一元化するとの発表がなされた(関連記事は「こちら」)。フェニックスソフトは,2008年2月末から同作の開発支援を行っていた会社だが(関連記事は「こちら」),今回の一元化がゲームへ与える影響は,FEZプレイヤーにとって気になるところだろう。
 このたび4Gamerでは,今後FEZの開発を一手に引き受けるフェニックスソフトと,ゲームポットの運営チームにインタビューを行った。開発体制の変更の経緯や,それによるプレイヤーへの影響の有無,そして今後のFEZのアップデートプランなどについても伺うことができたので,同作に注目するプレイヤーは,ぜひとも最後まで読んでもらいたい。

(左から)ゲームポット エンタテインメント事業本部 企画運営チーム 石川 岳氏,同チームリーダー 和賀 潤氏,・フェニックスソフト 開発部 部長/ディレクター 藤本 哲哉氏,同社デザイナー デザイナー 山口 明士氏
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FEZおよびオンラインゲームに熟知した

開発会社,フェニックスソフト


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。今年(2008年)2月から,開発支援という形でフェニックスソフトさんが加わりましたが,聞き慣れない会社が急に開発支援に加わったため,最初は不思議に思いました。フェニックスソフトとは,一体どういう会社なんでしょう?

画像集#002のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
フェニックスソフト 藤本氏:
 当社はファンタジーアースをはじめ,さまざまなオンラインゲームの開発に携わってきたメンバーを中心に,今年2月に設立した会社です。現在の開発スタッフは10名程度で,会社設立直後から全員が,FEZの開発に専念しています。

4Gamer:
 なるほど,FEZの開発に関してはもちろん,オンラインゲームジャンルそのものに古くから関わっているメンバーも所属しているんですね。

藤本氏:
 はい。ゲームの企画開発だけでなく,ネットワークシステムの構築なども行える,国内では数少ない会社だと自負しています。

4Gamer:
 ところで藤本さんは,以前にも4Gamerのインタビューにご登場いただいたことがあると思うのですが……。

藤本氏:
 ええ,以前はスクウェア・エニックスでドミニオンのプロデューサー業務を行っていました。

4Gamer:
 つまりフェニックスソフトには,FEZと共に歩んできたスタッフ達が集結しているということですね。ではなぜ,開発“支援”から“開発”へ立場が変わることになったんですか?

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ゲームポット 和賀氏:
 FEZのアップデート品質の向上や,さらなる開発力の強化のために何が必要か? ということを,FEZの権利元であるスクウェア・エニックスと協議してきた結果,FEZのことを深く理解していて,しかも優秀なスタッフが揃っているフェニックスソフトさんにすべてお任せするほうが,より良い結果を出せるだろう,という結論に至ったわけです。

4Gamer:
 では,開発が移管されても,プレイヤーはこれまでと同様の方向性で進化し続けるFEZが遊べる……と考えていいんですね?

ゲームポット 石川氏:
 はい,ご安心ください。今までどおり,戦争を中心とし,さらに遊びの幅を広げていくようなアップデートを行っていきます。また,過去に発表したアップデートスケジュールの中に,実装できなかったものがいくつかあります。今後は,こういったことを繰り返さないようにしていきたいと考えています。


アップデートの周期と密度に変化が

その具体的な内容とは?


画像集#004のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
4Gamer:
 開発がフェニックスソフトに一元化されることで,アップデートスケジュールに何か変更はありますか?

藤本氏:
 今までは,細かなアップデートを月単位で導入していました。今後は,長期のスケジュールを見据えて,ゲーム内容の調整を行うとともに,大きなアップデートを行えるようにしていきます。

4Gamer:
 今後,大規模なアップデートはどれぐらいのスパンで行われる予定ですか?

藤本氏:
 現在調整中です。より密度の濃いアップデートを導入し,プレイヤーさん達に満足してもらえるような開発ができるよう,頑張っていきます。

4Gamer:
 密度の濃いアップデート……というと,具体的な内容が気になりますね。

藤本氏:
 FEZはゲームの仕組みが複雑で,初心者にとっては少々とっつきにくい部分があるんですよね。過去にもチュートリアル部分を強化するなどして,ハードルを下げようとしてきたものの,効果的なものを導入できていないというのが現状です。まずはこの部分について,大きくテコ入れしたいですね。

4Gamer:
 現在も「戦争チュートリアル」がありますが,それの機能拡大版のようなものと考えていいのでしょうか。

藤本氏:
 コンシューマゲームに用意されているようなチュートリアルをイメージしてもらうと,分かりやすいかもしれません。例えば簡単な筋書きに沿って,実際に戦場でジャイアントを召喚して建築物を破壊してみたりなど,プレイをしながら各種ゲームシステムを理解できるようなものを考えています。

4Gamer:
 なるほど。例に出された召喚に限ってみても,キャラクターレベルに大きく依存しないシステムなので,初心者にとっては重要なものですが,初心者が気軽に利用できるかというと,現状そうではないですね。ちなみにそのチュートリアルは,いつ頃実装する予定ですか?

藤本氏:
 具体的な日程についてはまだ申し上げられないんですが,初心者への間口を広げることは,FEZの開発における急務だと考えているので,できるだけ早い段階で実装します。

4Gamer:
 期待しています。そのほかにも,主に新規プレイヤーや初心者を意識したシステムは検討されていますか?

藤本氏:
 はい,「ミッションクエスト」というシステムの開発を進めています。

4Gamer:
 ミッションクエスト……?

画像集#021のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー

藤本氏:
 キャラクターレベルが低い時期は,何をすればいいのか,初心者にとって分かりにくい構造になってしまっているので,小さな目標を用意するというイメージです。

4Gamer:
 作成したばかりのキャラクターのレベルを上げるのは,現在の仕様だと作業の繰り返しになってしまいがちですよね。

藤本氏:
 はい。ミッションクエストをこなすことで,アイテムや経験値も獲得できるので,その部分の単調さは確実に薄められると考えています。FEZ世界設定をアピールした,ある意味MMORPGっぽいものや,戦争と直結したタイプのものなど,さまざまなアイデアを検討中です。

4Gamer:
 戦争と直結したものというと,例えば「敵対勢力のスカウトを*人倒せ!」といった感じでしょうか?

藤本氏:
 いえ,どちらかというと,特定の領土を支配下に治めている間に限り発生するクエスト,といった感じですね。ミッションクエストを行うこと自体が,戦争に参加するためのモチベーションに繋がるようにしたいです。

4Gamer:
 なるほど,領土を支配していることのメリットがさらに増し,確かに戦争へのモチベーションが高まりそうですね。やはり,どの領土を支配しているかによって,発生するクエストも異なるんでしょうか?

藤本氏:
 もちろんそういう可能性はありますね。FEZでは,あまり世界観を前面に押し出すことはしていませんでした。でも,ミッションクエストを通じて,このあたりも少しずつ変えていきたいと考えております。

4Gamer:
 MMORPG的なアプローチは,FEZのメイン要素といえる50人対50人の対人戦とは,方向性がだいぶ異なりますよね。プレイヤーから,そういったものを求める声が寄せられているんですか?

藤本氏:
 いえ,それほど多くはないです。多くのプレイヤーにとっても,対人戦メインのFEZでそういった拡張は少ないだろう,という認識が一般的なのかもしれません。ただ,別にFEZをMMORPGにしたいわけではありません。MMORPGのような要素と今ある戦争を軸としたゲーム性を組み合わせることで,プレイヤーの新たなモチベーションや,新しい楽しみ方が生まれるのではないかと考えています。

4Gamer:
 ちなみに,キャラクターの成長関連のシステムについてはどうでしょうか。運営開始から約2年が経過し,レベルキャップに達するキャラも次第に増えてきました。対人戦に主眼が置かれているためMMOよりは若干緩いものの,いずれはキャラクターのモチベーションをどこに向けるかが大切になってきそうですが。

画像集#005のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー

和賀氏:
 それについては,今後の大きな課題の一つになると考えています。遊び方の幅を広げることは研究していますが,やはりFEZは戦争がメインにあるので,戦争に新しい要素を持たせてプレイヤーのモチベーションを高めていきたいです。例えば,戦争の遊び方の幅を広げられる要素として,現在GMイベントなどでテストを行っているのですが,「100対100」などの人数上限が変更された戦争なども検討してます。

4Gamer:
 100対100というと,相当なインパクトがありそうですね。技術的には問題ないのですか?

藤本氏:
 単純にサーバーやクライアントへの負荷が大きくなるので,そのあたりを考慮する必要があります。また,FEZではひとつの戦場に存在するキャラクターの装備バリエーションの数が,ゲームのパフォーマンスに関係しています。アクション性の高いFEZでは,パフォーマンスの変化がゲーム性に大きく影響するため,その問題をクリアしないと本格導入に踏み切るのは難しいと考えています。

4Gamer:
 アイテムなどの性能についてはいかがでしょうか。例えば既存のアイテムの性能をいきなり上げるのは難しそうですが,例えば装備できる部位を増やして,アイテム収集のモチベーションを上げたりとか。

和賀氏:
 はい。以前に発表させていただいたアクセサリ類の導入も,継続して検討してます。また,プレイヤーのモチベーションを上げるという意味では,まだ構想レベルではあるものの,昇段ランクシステムの導入も検討しています。戦争の勝敗によって,ランクは上昇方向のみならず下方方向へも動くので,上級者でも緊張感を維持できると思います。ランクが極めて高い状態でないと装備できない,武具や称号などがあったら面白いかもしれませんね。

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方向性の再検討を経て

あらためて本格化した“新クラス”開発


4Gamer:
 先ほども少しお話に出てきましたが,新クラスに関する開発作業の進捗は,どんな状況なのでしょうか。

画像集#006のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
藤本氏:
 開発作業はもちろん進めています。

4Gamer:
 確か2007年9月に行われたFESTA(関連記事は「こちら」)で,「新規クラス3種類が来春実装予定!」と発表されていましたが……。

藤本氏:
 新クラスについては,まだ実装時期に関して具体的にお伝えできる段階ではありません。そして少なくとも,三つのクラスを同時に実装する形ではなく,1クラスずつ公開テストを経て,ゲームバランスを確認しながら慎重に実装を進めていきます。

4Gamer:
 おお,そうなんですか。現在お話できる範囲内で構わないので,新クラスの方向性について聞かせてもらえないでしょうか。

藤本氏:
 実装を考えているクラスとして,補助魔法に特化したバフ系のクラスを予定しています。以前「リリクト」として発表しましたが,名称や武器に関して,再度検討しています。もう一つは検討段階ですが,ストラテジー部分に関係するクラスを考えております。

4Gamer:
 順番に聞いていきます。まずはバフ系クラスについてですが,補助魔法といってもさまざなタイプがありますよね。具体的にはどういった雰囲気になるのでしょうか。例えば効果や,使用した際の有効範囲などについては。

藤本氏:
 補助魔法の効果範囲については,まだ未定です。このクラスを導入する背景は,初心者にとってハードルが高くなりつつある,戦争への参加です。

4Gamer:
 既存のプレイヤー達は,基本的にレベルも装備も充実しているため,確かに初心者では,戦争らしい戦争をいきなり楽しむのは難しいですね。

藤本氏:
 ええ。このクラスは,そういった初心者でも,従来とは違った形で戦争に参加できるタイプになります。

4Gamer:
 つまり召喚とは別のアプローチで,キャラクターレベルに極端に依存せず,戦争に貢献できるという意味ですか?

藤本氏:
 もちろん,レベルが高いほうがバフの効果も高くなりますが,比較的低レベルでも戦争に貢献しやすいのは間違いありません。

4Gamer:
 続いての,ストラテジーに関係したクラスというのはどういったものでしょうか。

藤本氏:
 まだ企画の初期段階で詳しくはお話できませんが,今までにないような,ユニークなクラスにしたいと考えています。

4Gamer:
 仮に新クラスなどの要素が実装された場合,ゲームバランスにかなり大きな影響が出るでしょうね。そこで気になるのが,先日発表された「バンクェット」についてです。大会期間中に大きなバランス調整が入ると,参加選手が戸惑うので,新クラスの導入はそれが終わってからになる,ということはありませんか?

画像集#007のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
和賀氏:
 確かに,前回のバンクェットではその点を考慮していましたが,現在は極端に大きな仕様変更があった場合でも,特定のフィールド内のみ特定のスキル仕様で戦うことが技術的に可能となりました。つまり,バンクェットのみスキル旧仕様で戦うといったことも可能で,大会期間中でも,新クラスの導入や戦争に影響するバランス調整は行える体制を整えています。
 新クラスが最初に導入される時期については未定ですが,仮に大会期間中に導入される場合,大会では新クラスを使用不可能にすることで解決する予定です。

石川氏:
 もしバンクェットに影響が及ぶようなら,バンクェット側のレギュレーションを変えることで対応していきます。逆に,バンクェットのせいでゲームアップデートが先延ばしになるようなこともないので,その点は安心してください。


専用SNSでの活発なやりとりが

FEZをよりよい方向へ導く


画像集#008のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
4Gamer:
 そのほかには,どのようなアップデートを予定されていますか?

和賀氏:
 現段階でお伝えできるところとしては,「ボイスカスタマイズ」という機能があります。その名の通りですが,キャラクターがスキルを使ったときの声を,何種類かの中から選べるようになります。ボイスカスタマイズにより,自分のキャラクターにもっともっと愛着を持って欲しいですね。
 また,このシステムの導入と同時期に,今までメッセージ表示のみだった国王も喋るようにしたいと考えています。今までは世界観をあまり表に出していませんでしたが,まずは国王の存在感を増すあたりから,テコ入れしていきたいですね。

4Gamer:
 おお,それはプレイヤーからも喜ばれそうですね。国王といえば,先日導入された「国王介入システム」が波紋を呼んでいるようですが……このあたりについて,今後修正などを行う予定などはありますか?

藤本氏:
 国王介入システムを導入した背景から申し上げますと。ゲームにある程度慣れてくると,各マップに応じた行動がパターン化してしまいがちです。それに対する対応策として,王様がランダムにキープを建てることで環境を変化させることにより,戦術的にも変化が生まれるのではないかと考え導入しました。

4Gamer:
 確かに,マップごとに戦術がパターン化してしまうと,正しいとされる行動がプレイヤー間で共有され,意外性のあるプレイは生まれにくくなってしまうかもしれませんね。

藤本氏:
 ええ。それを打破する目的で国王介入システムを実装しました。一応以前から,キープを中央に置くのは良くないという意見はあったのですが,「城とキープを対角線上に置く」という固定概念を打破できればと思い,あえて導入に踏み切っています。
 ただ,実際にシステムを導入してみたところ,攻守のバランスの変化を含め,「これはちょっと刺激が強すぎたかな……」という反省点があります。このあたりに関しては,プレイヤーからの意見を受け止めつつ,調整していきたいと考えています。

4Gamer:
 今後は,どういった対応をとられるのでしょうか。キープが配置される場所の候補を変えるのでしょうか?

藤本氏:
 どちらかというと,既存マップの地形を変えていくことで対応していきたいです。国王介入システムそのものに問題はないと思っているので,キープの位置に関係なく一方的な有利,不利が生まれにくいようなマップに調整していきたいと考えたいます。

画像集#009のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
フェニックスソフト 山口氏:
 このインタビューが掲載される頃には,既にアップデートが行われているかもしれませんが,具体的には例えば,「うずまき型」のフィールドで,攻撃側がフィールドの外周に比較的容易に領域を確保できるような形に調整を行います。

4Gamer:
 なるほど,例が具体的なので,それはイメージしやすいですね。それにしても,実装から1か月も経たない内にそういった修正を検討しているとは,かなりレスポンスが早いですね。これが仮に一般的なMMORPGだと,対応に1〜2か月はかかってしまうことも珍しくなさそうですが。

和賀氏:
 プレイヤーから寄せられた多くの要望を開発に伝え,ゲームに反映していく。それこそがネットゲームの良いところだと考えてます。フェニックスソフトさんとは,毎週ミーティングを行っており,その際にSNSや問い合わせを通じて得られたご要望/ご意見をフィードバックし,随時確認し合っています。

4Gamer:
 FEZのSNSによって形成されたコミュニティは,単一タイトルとしては国内最大級の規模だと思います。このコミュニティによるメリットには,ほかにどういったものがありますか?

山口氏:
 SNSはスクウェア・エニックスさんからの要望があって,実装されたものです。SNSの良さは,各プレイヤーがキャラクター名を明かして,ダイレクトに書き込むところにあるのですが,完全匿名ではないので,極端に偏った意見が出にくく,その結果荒れにくいですね。

石川氏:
 SNSに書き込みをしてくれているプレイヤー達も,それぞれ責任を持って発言している,という印象を強く受けます。発言内容がしっかりしているので,フィードバックを得る立場からすると,とても参考にしやすいです。それが,良い形でゲームバランスに反映されてきていると思います。

4Gamer:
 今回の国王介入システムへの対応についても,それとまったく同じことが言えそうですね。
 ただ,あそこまで良質なコミュニティは本当に凄いと思うのですが,あの盛り上がりが,実際にFEZをプレイしない人にとっては,十分に伝わっているとは言えませんよね。新規プレイヤーを獲得を意識したとき,ここはもったいないなぁと個人的に思っているのですが,SNSの魅力を外部に伝える方法について,なにか検討はされていますか?

和賀氏:
 その点については我々も重々承知しており,頭をひねっているところです。実装はもう少し先になりますが,例えば現在盛り上がっているコミュニティなどを,FEZSNSのサイト外からも手軽に見られるようなページを,スクウェア・エニックスさんと検討しています。

4Gamer:
 SNS関連について,今後大きなアップデートプランなどはありますか?

藤本氏:
 とりあえずは,導入当初に考えていた要素は一通り入ったのではないかという印象です。今後は,プレイヤーからいただいた意見,要望を受け止めて細かなアップデート・調整を行って参ります。また,ここまで育ったSNSを使って,いかにしてゲームを盛り上げ,そして良質のフィードバックを得るかという点に意識を向けていきたいですね。

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「遊ぶ人」の満足度をあらゆる面から追求

開発/運営/プレイヤー一体で新たなFEZを作り出す


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4Gamer:
 ゲームポットによるFEZの運営がスタートしてから,約1年半が経過しました。あの運営移管の際は,ビジネスモデルやアップデートの頻度などさまざまな面で劇的といっていい変化があり,その結果,現在の盛況に結びついていると思います。当時,ゲームポットがFEZの運営権を獲得される際,どういった部分に勝算を見ていたのでしょうか。

和賀氏:
 最初にFEZを見たとき,これはアイテム課金のシステムに向いたタイトルだな,という印象を受けました。メイン要素が対人戦なので,相手がいないことにはゲームが始まりません。そこで,基本プレイを無料化することにより,対人戦をより活発にできるのではないかと。

4Gamer:
 リアルタイムストラテジーを一ユニットとしてプレイするというFEZのコンセプトは,見事な形で成功に結びついていますが,この面白さを未経験者にいかにして伝えるか,かなり苦労してきたのではないかと想像できます。その辺りについてはいかがでしょうか?

画像集#012のサムネイル/フェニックスソフトへの開発移管により,今後も“変わらず”FEZは“変わっていく”。「ファンタジーアース ゼロ」開発/運営チームインタビュー
藤本氏:
 確かに,ストラテジーの面白さを知ってもらう前に離れてしまうなど,取りこぼしている部分は結構多いと思います。これについてはずっと苦労しており,例えば先ほど申し上げたチュートリアル機能の強化やミッションクエストで補っていければ,と考えています。

4Gamer:
 そういえば,チーム戦イベント「バンクェット」の,第二回の受付が始まりました(関連記事は「こちら」)。前回の反省点や,今回の開催に向けての意気込みなどをお聞かせください

和賀氏:
 前回は我々の想像以上の盛り上がりで,その反応には感激すると共に,いくつかの問題点が浮き彫りになりました。今回,それらの問題点については極力改善させる方向で進めています。具体的な部分で言いますと,スケジュールの短さや,参加希望者の全員が枠に入りきらない,といった不満が起こらないようにしています。

石川氏:
 今回は一度に最大64のチームがエントリーできるのですが,これを2回行うことで,各サーバー毎の勝者が選出されます。それぞれはステージ1,ステージ2と分けられており,仮にステージ1の参加に溢れてしまったチームは,ステージ2へ優先的にエントリーできる仕組みを整えています。また,そのほかには参加選手以外でも試合を楽しめるように,トトカルチョも行う予定です。

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和賀氏:
 各サーバーの決勝大会を,ストリーミングで配信するというプランもあります。今回はプレイヤー達の期待に十分沿えるよう,万全の体制で臨むべくスタッフ一堂頑張ります。

4Gamer:
 昨年末のGamepot Festaでは,あのパンヤと互角といっていい集客力を見せていました(関連記事は「こちら」)。今回はどれくらいの規模を想定していますか?

和賀氏:
 今回はステージ1,ステージ2に分けていることもあり,参加チーム数に関しては少なくとも昨年以上を想定してます。

4Gamer:
 前回の決勝大会の盛り上がりは凄いものがありましたが,運営チームとしては想定内の出来事だったのでしょうか?

和賀氏:
 いいえ,まったく予想外の盛り上がりで心底驚きました。今だから言えますが,当時は1サーバーのエントリー枠である,64チームという数が一杯になるかどうかも不安でした。あとは,優勝チームにもっとフォーカスを当てていきたいですね。前回の優勝チームのキャラクターには,特別な称号を授与していますが,もっと彼らをスタープレイヤーとしてアピールしていきたいですね。

石川氏:
 個人的には,各サーバーで優勝したチームに関して,プロモーションムービーを作っちゃいたいくらいの勢いです(笑)

4Gamer:
 そういえば先日,個人戦イベントの「メルファリアシャッフルトーナメント」が行われましたよね(関連記事は「こちら」)。バンクェットとは別に,個人戦のイベントを定期開催する予定などはありますか?

石川氏:
 あのイベントについては,興味はあったものの,なかなか手を出しにくいと感じていた人が多かったようです。でも実際にやってみると,これはこれで悪くないな,と思っていただけたようですね。なので今後は,例えば賞品などを充実させて,参加時の踏ん切りをつけやすくさせることが課題だと感じました。しかし現状,個人戦を定期開催したり,ゲーム内でコンテンツ化したりといった構想は,今のところ予定にありません。

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4Gamer:
 それでは最後に,FEZプレイヤーに向けて,それぞれコメントをお願いします。

和賀氏:
 FEZの楽しさのコアとなるのは,やはり、爽快感・戦略性が魅力の対人戦と,キャラクターの可愛らしさだと思っています。より戦争の枠を広げられる要素の追加,アバターアイテムの追加,世界観に深みを持たせるクエストの追加,バンクェットなどの大会イベントの運営など,これまでFEZに望まれていた,多くのプレイヤーに楽しまれていた要素に力を入れプレイヤーのご期待・ご要望に応えられる運営体制を整えていきます。

石川氏:
 戦争のみならず,闘技場をもっと盛り上げていきたいと常日頃から思っています。過去にも「モンスタースマッシュ」を導入しましたが,闘技場のハードルを下げて,より多くの人に楽しんでもらいたいと考えています。もし興味を持った方は,一度気軽に参加してみてくれると嬉しいです。

藤本氏:
 対人戦ゲームだから当たり前ではありますが,戦争に関して,人と人と戦う部分に目がいきがちです。しかし戦争の根幹となる部分には,やっぱり協力要素が欠かせないと思うんです。PvPのみならず,協力やストラテジーの部分でも,もっともっとゲームを盛り上げていきたいですね。

山口氏:
 今後も,プレイヤー達の期待に応えられるシステムを探していきたいです。もし何か要望などがありましたら,SNSなどを通じてフィードバックをどしどしお寄せください。 

4Gamer:
 今回はありがとうございました。

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 今回,開発会社がフェニックスソフトに一元化されることで,FEZの方向性に影響があるのではないかと,不安に思っていた人もいたかもしれない。だが,今回のインタビューを通じて「ポジティブな意味において基本的には何も変らない」という点がはっきりしたことは,FEZプレイヤーにとって朗報といえるだろう。今後は開発側にとって無理のないスケジュールで,ボリュームのあるアップデートを行っていくという。ゲームの本質的な魅力はそのままに,より深みを増していくFEZの姿を確認できる日も,そう遠くはなさそうだ(戦争に深みを増すための新要素「破壊可能オブジェクト」も,つい先日実装された)。
 新クラスの新たな方向性や,今後のアップデートプラン,FEZをめぐるさまざまなイベント展開など,多様な話題が飛び出した今回のインタビューだが,FEZに関する興味はそれだけでは満たせないだろう。新体制での開発が軌道に乗り,公開可能な情報が増えてきたころに,またあらためて話を伺わせてもらいたいとと思ったインタビューだった。
  • 関連タイトル:

    ファンタジーアース ゼロ

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