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VIA,子会社S3 GraphicsをHTCに売却
VIAのリリースによれば,S3は2001年のVIAによる買収後,2005年には,研究開発部門の維持を目的として,Wang氏を中心とする民間投資会社であるWTI Investment International(以下,WTI)の追加投資も受けていたという。そして今回,合計3億ドル(約243億円)に上るS3の株式すべてが,HTCへ売却されることになり,VIAとWTIはそれぞれ売却益の49%,51%を受け取ることとなる。
なお,同じくリリースによると,VIAは今回の売却後もS3製のグラフィックス機能をプロセッサやチップセットで利用できるそうなので,HTCからライセンスを受けることになるのだろう。
COMPUTEX TAIPEI 2011のレポートでもお伝えしているとおり,S3は現在,VIAのチップセットなどに向けたグラフィックス機能の開発と,デジタルサイネージ向けグラフィックス製品に特化した企業となっており,ぱっと見る限り,スマートフォンベンダーたるHTCがS3を買収するメリットはないように思える。もっというと,「現金に困ったVIAが,飛ぶ鳥を落とす勢いのHTCに助けてもらった」感が否めない。
ただ,S3はテクスチャ圧縮技術「S3TC」(≒DXTC)を持っているため,DirectX系のグラフィックス製品を持っている企業――NVIDIAやAMD,Intelなど――が今後,HTCへライセンス料を払うことになりそうな気配で,業界的にはちょっとした動きがある,とも言えそうだ。
S3のグラフィックスコアをベースに,HTCがオリジナルのARM系プロセッサを作る……なんてシナリオは,さすがに妄想が過ぎるだろうが。
→VIAのニュースリリース(英語)
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