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イスラエル製の“ちょっとすごい”PC向けサウンド技術「MaxxAudio 3」を台湾で聞いてきた
正直,どれだけの読者に訴求するのかは分からないが,個人的には「これはすごい」というレベルのものだったので,もらってきたサンプルデータともども,レポートしてみたいと思う。
そもそもWaves&MaxxAudio 3とは何なのか
実際のゲームサウンドでその効果を確認する
とはいえ,ほとんどのPCゲーマーにとって,Wavesという名前は初耳だと思われるので,本題の前に,同社をざっと紹介しておきたい。
ただ,4Gamer読者になじみ深い最近の例だと,Xbox 360用の「Halo 3」が,Wavesのソフトウェアプラグインを採用しているので,知らぬ間に,Wavesのサウンド技術に触れていたという人は少なくないだろう。
MaxxAudioを構成する具体的な技術については後ほど述べるが,冒頭でも述べたとおり,MaxxAudio 3はかなり強烈だった。ミーティングルームで筆者は,Windows VistaがインストールされたMacBookの内蔵スピーカーシステムで,「Call of Duty 4: Modern Warfare」のデモプレイを聞いたのだが,どこか別に“ちゃんとした”スピーカーシステムが用意されているのではないかと疑いたくなるほどだったのである。
なお,出力時のボリューム設定は完全に同じことを確認済み。入力側の設定も同じだ。聞き比べるに当たっては,「スピーカー用の設定をしているので,ヘッドフォンだと違和感があるかもしれない」というコメントを受けているので,できれば小型のスピーカーシステムで聞いてほしい。
※環境によっては,再生できないことがあるかもしれません。その場合は,下のリンクからWave形式のファイルをダウンロードし,ローカルで再生してみてください。
MaxxAudio 3無効(7.9MB) / MaxxAudio 3有効(7.9MB)
ライン出力したものを録音している以上,あくまでサンプルだと捉えてほしいが,それでも,MaxxAudio 3を有効化することで,「同じボリューム設定」というのが信じられないほど音が大きく聞こえる,つまり,大きな音で出力されているのが分かると思う。ノートPC内蔵スピーカーの場合,サウンドデバイス側のボリューム設定が最終のボリューム設定となり,通常,どうがんばってもそれ以上大きな音は出力できないが,MaxxAudio 3はその限界を突破し,より大きな音を出力できているのだ。しかも,足音や銃声,爆発といった効果音のリアリティも,格段に向上している。
ちなみに,ノートPCの小さなスピーカーというのは,その構造上,大きな音を出すのが得意ではなく,しかも出そうとすると,高域や低域の小さな音がマスクされて聞こえづらくなってしまう。にもかかわらずこの結果というのは,相当なインパクトがある。
また,ノートPCだと,スピーカー同士の距離が短いため,ステレオ感(≒音の広がり)が乏しくなりがちなのだが,その点でも,MaxxAudio 3の効果は感じられるはずだ。
新機能を含めた6技術からなるMaxxAudio 3
すでに日本でも搭載PCが存在
以上の効果をもたらすMaxxAudio 3の技術は,Tomer氏によると下記の6点。これらが複合的に機能することで,先ほど示したような効果を,ゲームプレイや音楽のリスニング,ビデオ鑑賞,チャットなどにおいてもたらすとされている。
1.MaxxBass
域を再生できないような超小型スピーカーユニットと組み合わせると,満足な結果を得られないこともあったが,最新世代ではこの問題がクリアになったという。
2.MaxxTreble
「設定した周波数帯域に,設定した音圧レベル以上のオーディオ信号が入ったら強調しない」機能を持った高域強調技術。高域の小さな信号を持ち上げる一方,例えば銃声などのようなキンキンした音は引き上げられないため,“耳に痛くない”高域強調が可能とされる。
3.MaxxEQ
ちなみに最近,Dolbyが「Audio Optimization」という,全自動の周波数特性調整技術を公表したが,これはSpeakerEQに相当する機能である。
4.MaxxStereo
5.MaxxDialogue
MaxxAudio 3で初登場となった,「MaxxStereoで未処理のまま置かれたセンターイメージ」を調整する技術。ゲームや映画のボイス,音楽のボーカルだけを強調したり,逆に弱くしたりできるようになった。その特性上,MaxxStereoとの併用が前提となる。
6.MaxxVolume
従来,これに自動ゲインコントロール機能「Leveler」を組み合わせて平均音圧を整えようとすると,最終的に出力される音圧レベルは下がってしまっていたが,MaxxAudio 3ではLevelerが「MaxxVolume Advanced Leveler」へと進化し,自動ゲインコントロールを行ったときに,さらに高い音圧レベルを実現できるようになっているとのことだ。
……以上,専門用語が多いこともあって難度は高めだが,理屈はさておき,MaxxBass/Treble,そしてMaxxStereo,MaxxVolumeが機能していることは,デモサウンドからなんとなくイメージできるのではなかろうか。
Tomer氏はこの点について,「MaxxAudio 3に用いられている技術は,音楽CDの制作スタジオで用いられているのと同じものだ。ノートPCという機器に向けて最適化する『リマスタリング』を行っている」と述べ,一般PCユーザーが使いこなすことはまず不可能だというのが,この販売形態を採用する理由だとした。
ただし,Windows Vista/7用のユーザーモードドライバとして実装される仕様上,MaxxAudio採用PCの一部では,MaxxEQの一部などが,ユーザーに開放されているとのこと。ある程度分かりやすい部分で,自分好みのカスタマイズを行う余地は残されているのだ。
ところでMaxxAudioは,すでに日本でも,東芝のゲーマー向けノートPC,「dynabook Qosmio WXW」をはじめ,同社のQosmioシリーズや,NECのValuestar/Lavieシリーズ,富士通のFMV-DESKPOWER/BIBLOシリーズといった採用例が実際に出荷されている。
ラインナップからして,現状ではどちらかというと,DVD-Videoをはじめとするビデオ系に軸足が置かれている印象だが,今後,いわゆるホワイトボックス系各社のゲーマー向けノートPCなどに搭載されてくると,けっこう面白いことになりそうだ。
「外付けスピーカーも,ヘッドフォンも取り付けることなく,ノートPCだけで,ゲームサウンドを思う存分楽しめるようになる」とはTomer氏の弁だが,多くのノートPCにその日が来ることを期待して待ちたい。
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