COMPUTEX TAIPEI 2008のFoxconnブース中央に,
「Unreal Tournament 3」の試遊台が置かれている。面白いのは,×の形に配された試遊台の中央に,ハデなアクリルボックスがあり,ディスプレイやキーボード,マウスのケーブルが,このボックスにすべて接続されている点だ。
DENUBE。アクリルパネルベースの外観になっているが,組みやすさと展示したときの見栄えでこうなったとのこと。あくまでコンセプトモデルなのである
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これは,Hon Hai Precision Industry――Foxconnブランドを掲げるFoxconn Electronicsの親会社――が手がける,まったく新しい形の省電力コンセプトモデルだという。
「DENUBE」(デニューブ,ドイツに流れるドナウ川の意)と名付けられたこのモデルの正体を説明するのは簡単で,Foxconnブランドの「Intel G31 Express」マザーボード「G31MG-S」と「Core 2 Duo E8400/3GHz」,PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB×2,そしてクロックアップ版の「GeForce 8800 GT」搭載グラフィックスカード。これが,アクリルボックス内に4セット搭載されているのだ。
「このどこが省電力?」と思うかもしれないが,注目したいのは,
この4セットが,1基の1200W電源ユニットで動作していることだ。
DENUBEの背面。お世辞にもスマートな出来にはなっていないが,GeForce 8800 GTカード4枚を含むPCシステムをこのサイズで運用できているのはなかなか感慨深い。よく見ると,本体下部には液冷ユニットのラジエターらしきものも
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本体前面から中を覗き込んでみたところ。詳細は窺い知れない |
4か所の試遊台はすべてDENUBEにつながっている |
コンセプトモデルということで,電源ユニットが特殊仕様なのか,分岐ケーブルの類で対処されているのかは明らかにされなかったが,「十分な3D性能を持つPC 4台分を,1200W電源ユニット1台で動作する点に意味がある」とHon Hai Precision Industry。主なターゲットは欧米でのLANパーティ(に,自前のPCを持ち込まずに参加する人達)や,アジア地域のインターネットカフェ,そして自宅でPCゲームの4人対戦をしてみたい人達とのこと。言うまでもないことだが,4人対戦専用というわけではないため,インターネットカフェなどの端末としても価値があるというわけだ。
個人ユースで4人対戦というのは,日本の住宅事情を考えると現実味に欠けるが,DENUBEが洗練されてくると,大容量電源ユニットの出力を効率よく利用した新しい複数台PCの利用法として,注目される存在になるかもしれない。OEM/ODMビジネスの巨人として,製品開発力に定評のあるFoxconnブランドだけに,今後が気になるコンセプトモデルといえるだろう。