インタビュー
サービス5周年を越えた「真・女神転生IMAGINE」が劇的な変化を目指す“IMAGINE 改革宣言”,そして“新しいIMAGINE”とは?
そんな中,本作のゲームシステムを抜本的に見直す“IMAGINE 改革宣言”が,ケイブ内で進行していることが分かった。この改革では,ゲームバランスだけでなく,課金アイテムや運営方針にまでメスを入れる予定だという。一体なぜ今,このタイミングで大規模なゲーム内のテコ入れを行うのか。その意図と今後のアップデート方針などを,ケイブ オンラインゲーム部 部長 新川はるか氏に聞いた。
新川氏は,下記のような2つのコンセプトを提示したうえで,IMAGINE 改革宣言の具体的な内容を説明してくれた。本稿でも,この2項目に沿ってIMAGINEの改革方針を見ていこう。
・プレイヤーのゲームスタイルに即した調整
・安心で安全なオンラインコンテンツの提供
プレイヤーのゲームスタイルに即した調整とは
しかし,手軽なソーシャルゲームの台頭する昨今,オンラインゲームでも1日に1時間も遊べば満足できるというプレイヤーが増えており,IMAGINEにも同様の流れが広がっているという。このため,運営方針を一度リセットして,ゲームバランスも(ややライトな方向へ)抜本的に調整したいという意図が運営チーム内に生まれ,今回の改革宣言につながったというわけである。
実は,先日行われたアップデートで,ワープ機能が調整されてイケブクロをのぞくすべての街に行けるようになったのも,この改革の一端だった。サービス開始当初から指摘されているキャラクターの移動速度(の遅さ)は,システムの問題でそう簡単には調整できないが,それでもプレイヤーのストレスを軽減したいという配慮のもと,この対策が取られたのだ。
今後も,こういったプレイアビリティを向上させるアップデートは随時行っていくと新川氏は話す。直近では,スギナミフィールドやナカノフィールド,そしてほとんどのプレイヤーが最初に行くことになるであろうスギナミ魔階坑道のアイテムドロップ率を,上方修正する予定もあるという。
また,10月にはレベルアップを助ける仕組みも導入予定だ。誰でも1日に1度受けられる「デイリークエスト」は,最低限これだけをやっていればレベルが上がっていくようなコンテンツになる。仲魔の育成にも役立つこのコンテンツは,愛着のある仲魔を育てることに余念がない高レベルのプレイヤーにとっても嬉しいものになると,新川氏は予想していた。
続く11月には,メインエピソードの難度が調整される予定だ。現状,後半のクエストをクリアできるのは,高レベルの限られたプレイヤーだけになっているため,敵を弱体化したりクエストの制限時間を延ばしたりといった対策を入れて,多くの人がエピソードを楽しめるようにするという。
新川氏は,ゲームバランスの調整について,上記以外にもいくつかの考えを話してくれた。
初心者のパートナーとなるような悪魔を,キャンペーンではなくゲーム内システムとして,例えばクエストをクリアした報酬という形で配布する。また,現在は5万で1枠を使用してしまうマグネタイトのスタックを,マッカ紙幣のようにまとめて所持できるような調整を,近いうちに入れていく予定とのこと。
通常のアップデートとしても,10月には「ナカノ地下遺構(金)」,11月には冬をテーマにしたダンジョンが実装予定となっている。さらに,10月,11月の2か月で,完全新規の悪魔を複数体導入する予定で,ランダとバロン(もちろん,この2体を合体させることで“おなじみの悪魔”が生まれる),さらに“夜の女神”といわれるファン待望の悪魔が近く実装されるそうだ。
このほか,モイライ3姉妹(クロト,ラケシス,アトロポス)の3心合体によって生まれる悪魔などの実装,プレイヤーから要望の多かった亜種悪魔の御魂合体対応を行う予定とのことで,新川氏は「改革後は,ゲームバランスを調整しながら,真・女神転生のオンラインゲームとしてあり続ける」と話していた。
安心で安全なオンラインコンテンツの提供のために
IMAGINE 改革宣言のもう1つのコンセプトは「安心で安全なオンラインコンテンツの提供」だ。これは,日本オンラインゲーム協会(JOGA)が発表した「ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン」ならびに「オンラインゲーム安心安全宣言」を受けて,IMAGINEでも,いわゆる“ガチャ”を今一度見直そうという気運が高まったことによる施策となる。
IMAGINEのサービスが始まった2007年当時は,ちょうどアイテム課金制のオンラインゲームが盛り上がりをみせ,“無料で遊べる”をうたったフリーミアムモデルのソーシャルゲームが頭角を現してきたころ。Facebookのアプリを開発するためのFacebook Platformが一般公開されたのも,この年だった。
アイテム課金に対する規定や参考にできるタイトルが少ない中,各社が手探りでビジネスモデルを確立しようと奮闘していたのがまさにこの時期で,ケイブもその中の1社だったというわけだ。
結論から言えば,IMAGINEが提供した課金システムは,プレイヤーからの評判が芳しくなかった。ガチャの“大当たり”が出る確率の低さ,そして課金によって手に入るアイテムの多くが,ゲーム内のアイテムよりも総じて強力だったことなどが,プレイヤーに不満を募らせる原因となったようだ。
当時はまだ同職についていなかった新川氏だが,これらの問題によって「IMAGINEの課金サイクルがプレイヤーに悪い印象を与えていた」ことは認識しており,今回,JOGAの発表に合わせて,あらためてコンテンツ開発/運営会社として,課金サイクルの方針変更を考えているという。
ちなみにケイブは,JOGAの安心安全宣言に賛同する企業の1つであり,IMAGINEにおける施策や,そこから導き出されたデータなどをサンプルとして共有するなどして,ガイドラインの策定に協力しているという。
ゲーム内での具体的な施策について新川氏に話を聞いたところ,ガチャは,例えば1/100の確率で,“必ず”大当たりが出るように設定するとのこと。言うなればこれは,リアルのガチャと同様の仕組みで,極端な話,100個のアイテムのうち1個が当たりというガチャの場合,1回から100回までの間に,必ず当たりを引けるというわけだ。
この新しいガチャシステムは近々実装予定だが,課金システムということで,入念にデバッグ作業を繰り返しているそうだ。ともあれ,今後はいくら使えば大当たりが出るのか分からないという状況には,まずならないというわけである。
気になるゲームバランスへの影響についても,「オンラインゲームである以上,今後は,がんばって得たモノのほうが(課金アイテムよりも)価値があるという方向に持っていきたい」と新川氏は話す。これまでも仲魔に関しては,ゲーム内で手に入る悪魔のほうが優秀であることもあったが,今後は装備においても,ゲーム内で得られる(あるいは作れる)レアアイテムの価値が高まっていきそうな雰囲気だ。
誰もが安心安全に楽しめる新たな真・女神転生IMAGINE
以上,2つのコンセプトを踏まえて抜本的な改革を目指すIMAGINEは,今後大きく変化していくことが予想される。積極的なアップデート/ゲームバランスの調整を行いながら,真・女神転生のオンラインゲームを作るという理念を掲げて,IMAGINEは来年5月のサービス6周年に向けて走り出しているようだ。
プレイヤーへの配慮も,“より丁寧に,より適切に”をモットーに,運営/開発の両面にメスが入れられ,誰もが安心して楽しめる作品へと進化していくとのこと。
なお,取材後の新川氏との雑談中,今後の大きな展開を臭わす意味深な言葉をチラッと耳にしたので,最後に紹介しておこう。
「IMAGINEのサービスが始まってから5年半,今後もアップデートはしっかりとやっていきますが,今の形のままでは,新たなプレイヤーを開拓することは難しいでしょう。であれば,“IMAGINEの新しい世界”を作る必要も生じてきますし,当然その重要性も認識しています」(新川氏)
残念ながら,それ以上の具体的な話はしてもらえなかったが,“IMAGINEの新しい世界”という言葉に秘められたインパクトは大きい。4Gamerでは今後も,IMAGINEの最新情報および“IMAGINEの新しい世界”の情報を追っていくので,プレイヤーは楽しみにしていてほしい。
「真・女神転生IMAGINE」公式サイト
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