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[GC 2006#76]社会主義の暗い時代を描いたFPS「You are Empty」がそろそろ完成
時は1950年代,東西冷戦真っただ中。ところはソビエト連邦のとある街。主人公が病院で目を覚ますと,街の様子がすっかり変わっている。住人のほとんどが死に絶え,生き残った人々は暴徒と化しているのだ。中にはすっかりミュータントに変身してしまった者もいる。主人公の記憶も曖昧だ。
実は,この街の一角では,科学者達が人間を改造し,スーパーヒューマンを作り出す大規模な秘密実験を行っていた。実験を行ったソビエト政府の目標は,スーパーヒューマンによるソビエト社会主義のバラ色の未来。まあ,こういう設定の場合,失敗しないほうがおかしいので案の定失敗し,この惨事を引き起こしてしまったというわけである。
主人公は,街をうろつく凶暴な連中や,怪しい力を持った不気味なミュータントと戦いつつ,この事件の真の原因を突き止めなければならないのだ。
ゲームの説明をしてくれた1CのAnatoly Subbotin氏は,生粋のロシア人。ゲームに出てくるのは架空の街だが,モデルとしては,Anatoly氏の生まれたモスクワと,キエフを足したようなイメージで作られているという。どちらも多くの観光客が訪れる有名な都市なので,キャッチーだろう,というのが理由とのこと。
開発スタッフがまず傾注したのが「1950年代のソ連の忠実な再現」だそうだ。ゲーム中,主人公はある自動販売機風のオブジェクトの前に立つ。「こんなの知らないでしょ。普通はジュースでしょうが,これは水の販売機なんです。私の子供の頃は街のあちこちにあったんですよ。懐かしいなあ」と笑いながら機関銃を乱射しそれを破壊。非常に多くのオブジェクトが破壊可能なところを見せてくれた。割と屈託のない人のようである。
後になって架空のものも出てくるが,ゲーム序盤に登場するのは正確に再現されたソ連製の火器類。ハンドガンから機関銃まで実物そっくりに再現されているとのこと。街並みもできるだけ本物に似せて作り,地下鉄の車内に貼られている路線図は正確にモスクワのものと同一。「どこの街だか分かってしまうかもしれませんね」とAnatoly氏は言う。
人物やモンスターのデザインはややデフォルメされており,ある種の狂気を感じさせる。この狂気は「全体主義の狂気」と微妙にオーバーラップしており,ゲーム全体を包み込む重苦しい雰囲気を強調しているのだ。ちょっと暗めのFPSが好き,という人は試してみる価値はあるだろう。You are Emptyの発売は冒頭でも述べたとおり,2006年冬が予定されている。(松本隆一)
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You Are EMPTY
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