製品版でも無料デモ版でも楽しめる。ゴールデンウィークは，大人のシングルRPG「The Witcher」で大人の冒険を

大人のためのシングルRPG「The Witcher」

　4月11日にイーフロンティアから発売された，ポーランド生まれの本格派シングルRPG「The Witcher 日本語マニュアル付英語版」。白髪の主人公Geralt of Riviaを操り，ダークで中世的なファンタジー世界を冒険できる，濃密なファンタジー作品だ。
　ゲームスタイルは三人称視点（または鳥瞰視点）アクションで，一度に複数の敵とやり合ったり，宙返りや側転といった派手な体術で敵との間合いを調整したり，あるいは連続攻撃でチェーンコンボを決めたりと，かなりアクション性の高いものとなっている。

　The Witcherの原作はポーランドの作家Andrzej Sapkowskiのシリーズ小説で，TVシリーズや映画にもなっている（英語圏での題名は「The Hexer」）。小説をストーリーの基盤としていることもあり，ファンタジーでありながら現実味のある世界観や，飢餓や魔物の出没，圧政に疲弊する人々といった，陰鬱な中世の雰囲気も見事に表現されていることに注目してほしい。またそれを彩るNPCなどの演出も非常に効果的であり，それらとどういったやりとりをするのかも見ものである。


　ちなみにこの作品はESRBのレーティングではMature（17歳以上対象）の作品で，戦闘中に敵の首を切り落としたりといった残虐表現と，ちょっぴりセクシーな性的描写が含まれている。もっとも性的な描写とはいえ，目を覆うほど直接的な表現がされているわけではないが。

　さて，そんな本作だが，全篇を通して膨大な量のカットシーンと，それに伴う英語の会話（テキスト表示は可能），さらに選択肢のオンパレードである。英語字幕が表示できるとはいえ，英語はぜんぜんダメ〜という人には厳しい冒険になるだろう。
　メインのストーリーはほぼ直線的な進行なので，サブクエストによって起こるイベントの増減や種類に違いはあるものの，さほど詰まるということはない。とはいえ，選択肢を適当に選んでしまうことで，後々のストーリーに影響が出ることは想像に難くない。

　今回はゴールデンウィーク特別企画として，The Witcherの冒険を少しでもサポートするため，序盤（城砦）のウォークスルー記事を用意してみた。ゲームシステム，登場人物，序盤のクエストについて一通り解説していくので，「どんなゲームなのか興味はあるが，恐くて手が出せない」という人は，本記事を頼りに冒険を開始してほしい。
　なお，序盤が楽しめる体験版（製品版と仕様が異なる部分もあるのであしからず）と，製品版スクリーンショット集も掲載しておくので，まだ購入していない人は併せてどうぞ。

「The Witcher」体験版

「The Witcher」スクリーンショット集

そもそも「ウイッチャー」とは何か

　題名にもなっているウイッチャー（Witcher）とは，秘薬により身体能力を驚異的に増強した魔物退治屋，あるいはその集団のことを指す。ゲームの序盤で語られることになるが，秘薬を飲めば誰でもウイッチャーになれるというものではない。段階を踏まえた試練を乗り越えられる，選ばれた者だけが到達できる特殊な身体的境地なのである。試練を行うための秘薬はウイッチャー達の秘密の中でもとくに重要なものであり，外部にその秘密が漏れぬよう厳重に隠されている。しかしウイッチャー達の超人的な活躍ゆえに，その秘密を狙う者は多いようだ。

○ウイッチャーの試練

　ウイッチャーになるには，3段階の「試練」を乗り越える必要がある。
　第1段階は「選択」（Choice）の試練で，厳しい訓練と食事制限を課せられる。食事制限では研究室で育てた特別なキノコ，苔，薬草などが使われる。筋肉の増強と消化吸収の加速という効果があるものの，失敗すると肝臓や心臓に悪影響を及ぼし，場合によっては精神までも破壊される。
　第2段階は「草原」（Grasses）の試練。Geraltの髪が白くなったのも，このときのようだ。草原は神経系に影響する試練であるため，成功すれば反射神経が鋭敏になる。ただし10人のうち4人程度しか生き残れない。
　第3段階は体質の変化である。目，骨髄，ホルモンの変異を引き起こし，その結果として，闇を見渡すことが可能になり，回復力も上がり，毒への耐性も付くのだ。ただし，その代償として永久に子孫を残せなくなってしまう。

The Witcherの冒険/戦闘

　The Witcherのキャラクター操作は，マウスだけでも可能だが，キーボードとの併用も選択できる。いずれの方法でもアクション性の高い戦闘が楽しめるが，かなりクセのある操作性と戦闘システムのため，思いどおりの戦闘をするには少々の慣れ（と少しばかりの割り切り）を要する。
　物理攻撃は，敵に応じて「StrongStyle」（強攻スタイル：攻撃力が増すが防御力が低下），「FastStyle」（速攻スタイル：攻撃速度が増すが攻撃力が低下），「GroupStyle」（グループスタイル：攻撃有効範囲が広がるが攻撃力が低下）を切り替えて攻撃することになる。
　攻撃は，敵の下に表示されるサークルを左クリックすることで発動する。このとき，カーソルが炎のマークになった瞬間に再度クリックすることにより，コンボが発動する。初期段階では3連コンボまでだが，後述のスキルを伸ばすことにより，さらにコンボを重ねることが可能になる。ちなみに，敵の下に表示されるサークルは，HP残量を円グラフ状に表す役目も担っている。なお，回避行動は自動で行われる。
　敵がスタン状態になることがあるが，このときに再度クリックすると，とどめを刺すことができる。それはまぁ，何というか，ゴアである。
　またウイッチャーは，純粋な魔術師ほどではないにせよ，魔法も使える。初期状態ではなんら魔法を覚えていないが，この記事で扱うPrologueの時点で簡単な魔法が使えるようになるはずだ。魔法はマウスの右クリックにより発動する。
　全体的に，戦闘そのものはシンプルだ。この手の剣戟アクションに多い複雑なコンボコマンドなどは存在せず，タイミングよくマウスクリックするだけでなんとかなる。

城砦での主な登場人物

　Kaedwenの北部に位置するThe Blue Mountains，人里離れたKaer Morhenという城砦がウイッチャー達の根城だ。過去何世紀もの間，ウイッチャーギルドの拠点だったKaer Morhenも，かつての繁栄はなく，いまや数名のウイッチャー達が細々と暮らしているだけである。

○ウイッチャー

Geralt of Rivia ホワイトウルフの別名でも呼ばれる本作の主人公。試練の際の変性で白髪と獣の目になっているのが特徴。記憶喪失の状態で発見され，Kaer Morhenに運び込まれた	Triss Merigold 赤毛の女魔術師。ウイッチャーではないがKaer Morhenに自由に出入りすることを許されている。Trissの言動を見る限り，記憶を失う前のGeraltとは深い仲にあったようだ
Vesemir 最古老のウイッチャーであり，Geraltの師匠である。剣の達人でKaer Morhenのリーダー的存在	Eskel 顔に大きな傷がある。冷静で聡明な人物だが，近接戦闘のエキスパートでFist Fightを教えてくれる
Lambert 口は悪いが，実は良い奴。ポーション作成に詳しい？　剣術に長ける。Trissとはちょっと仲が悪いようだ	Leo Nilfgaardの戦争孤児の一人。6年前にVesamirの弟子になった見習い。ウイッチャーになる日も近いと目されている

Berengar
謎の人物。Prologueでは登場しない。Geraltが面識のない唯一のウイッチャー

○敵（Salamandra）

Professor Kaer Morhenを襲った盗賊の首領。丸い眼鏡をかけている。あちこちで賞金首になっている悪党のようである

正体不明の魔術師 ウイッチャーの秘密を盗み出すために現れた強力な魔術師。Trissではまるで歯が立たなかった

Frightener
Savollaに操られる，巨大なカマキリのような魔物。Vesemirの話では，大音響に弱いらしい

Savolla
いかれたハゲの魔道士。かなりいかつい風貌だが，自分の弱点を高らかに宣言するお茶目さんでもある

Prologue（城砦）でのクエスト

　いよいよPrologueでのクエストを見ていこう。ここからはネタバレ攻略になるが，そもそもこのPrologueはチュートリアル的な扱いであり，まず詰まることもないはずだ。というか，ここで詰まるようではこの先苦労するだろう。

　物語は記憶を失ったGeraltが森を彷徨うシーンから始まる。何かに追われているのか……倒れたGeraltは仲間のウイッチャー達によって発見され，荷馬車に乗せられKaer Morhenに運ばれる。
　ウイッチャーの拠点である城砦で回復したGeraltは，女魔術師Trissと共に，仲間が剣術の練習をするのを見ている。記憶はまったくないものの，剣術は体が覚えているようだ。そこに魔術師を伴った盗賊の一団が現れ，Kaer Morhenに乱入してくる。

城砦内の地図（※地図には編集部による注釈が入っています）

○Defending Kaer Morhen

・　A Sword
剣術練習用のハリボテ（Training form）に突き刺さっている剣を抜き取る。

・　The First Sword
襲ってきた盗賊達を攻撃する。

・　Assault on Kaer Morhen
盗賊を始末したら，ほかのウイッチャー達について行く。

・　The Gate is Shut!
ゲートが閉められたことで，城砦から閉め出された形となった。ゲートを開けなくてはならない。階段を駆け上り，城壁に沿って塔へ向かう。中庭に着いたらゲートを開けられる。

・　Opening the Gate
門の近くにあるウインチ（Gate winch）を使って，ゲートを開く。

・　Preparing to Fight
全員が中庭に入ることができた。城砦の内部に入る前に，VesemirにもらったThunderboltポーションを飲む必要がある。

・　A Potion
ポーションを飲んだら，城砦の内部へと入る。

・　The Aard Sign
盗賊の一人は魔術師であり，魔法により出口が塞がれてしまった。Geraltにとって最初の魔法であるAard Signを使えるようにするため，Circle of Elementsに連れていかれる。Leoについて行き，Aard Signを習得する。

・　The Circle of Elements
Aard Signを使って，出口を塞いでいる岩を吹っ飛ばす。


・　Moving Inside Kaer Morhen
研究室を守らなければならない。Kaer Morhenに戻り，何が起きているか見極める必要がある。

・　To the Laboratory!
Savollaを倒したら，急いで研究室の内部を調べる。

・　Triss Wounded
研究室に向かうと，入口でTrissが倒れているのを発見する。明らかに重傷を負っており，Trissは侵入者を阻止できなかったわけだ。研究室に急ぐ。

・　Leo's Death
LeoはGeraltを支援しようとしてProfessorに殺されてしまう。Trissやほかのウイッチャーの無事を確かめ，城砦内部に敵が残っていないか確かめる必要がある。

・　Talking to Triss
もう間もなく，殺されたLeoの葬儀である。TrissやVesemirと話したりできる。

・　Revenge
Kaer Morhenを襲った盗賊どもは「Salamandra」という言葉を残した。おそらく奴ら一味の名前なのだろう。この世の最後のウイッチャー達は，Leoの仇をとり，ウイッチャーの秘密を取り戻すことを誓うのだった。

○A Potion for Triss

　盗賊の研究室への侵入を阻止しようとして重傷を負ったTriss。彼女を救うためにポーションを調合しなくてはならない。いずれさまざまなポーションを自作していくことになるので，これはそのチュートリアル的なものである。

・　A Potion for Triss
まずはKaer MorhenのメインホールにいるLambertに会い，ポーションの調合に必要なものを聞き出す。

・　Gatecrashers
上階のイブニングホールにある鉱物と武器庫からアルコールを取ってこなければならない。敵の残党がいれば，残さず倒すべし。

・　The Mineral
イブニングホールにある鉱物（Mineral）を見つけ出す。

・　Alcohol
武器庫にあるアルコール（Alcohol）を見つけ出す。


・　Bandits
Kaer Morhen内部のすべての敵を倒す。

・　Ingredients
すべての敵を倒し，材料が揃ったらLambertに話しかける。

・　The Formula
Lambertは調合の仕方を教えてくれた。さらにVesamirと話すよう告げられる。

・　Skinning
城砦の中庭に行き，Frightenerの死体から爪をはぎ取る必要がある。

・　Alchemy
すべての準備が整った。Vesamirと話し，瞑想（meditate）を行ってポーションを調合。

・　To Triss
ポーションが完成したらTrissに届ける。Trissの部屋に行くには，上階のある部屋から行くことになる。

・　Memories
ポーションをTrissに与えると，幸運なことに素早い回復を見せた。彼女との会話で，かつてTrissとは深い仲にあったことを確信する。

この，ときどき登場するカードがどういう意味かは内緒。ヒントっぽくいうと，ナ・イ・シ・ョ

○Berengar's Secret

　Vesemirの話によると，GeraltやKaer Morhenにいる仲間達だけが，現存するウイッチャーではないようだ。Kaer Morhenでウイッチャーになったが，仲間との接触を嫌い，どこかへ消えていった謎の人物がいるらしい。
　Prologueだけでは完結しないクエスト。

○Fistfight

　EskelからFistfightについて教えてもらう。Fistfightとは素手で殴りあうボクシングのようなもの。この世界では金を賭けて殴り合う。ミニゲームのようなものだ。

　以上がPrologueで発生する，（恐らく）すべてのクエストである。これらのクエストを終えると，Kaer Morhenを襲い，Leoを殺害したSalamandra一味を追うことになる。Kaer Morhenを捨て，四方に散っていくウイッチャー達。これから長い旅が始まるのだ。

「城砦」を出た外の世界には
あんなことやこんなことが待っている

　日本語化されていないにも関わらず，日本でも熱心なRPGファンからおおむね良好な評価を得ているThe Witcher。男臭く渋いRPGであり，ローティーンとおぼしきアニメ顔の美少女達が大活躍するタイプのRPGとはまったく異なる，大人のRPGである。さほど難度が高くはないため，ゴールデンウィークに暇を持て余している御仁には，ピッタリな作品だ。是非とも試していただきたい。