CrossFireは,既存のRADEONシリーズ搭載ビデオカード(の一部)と,これから登場予定となっているCrossFire対応ビデオカードを,RADEON XPRESS 200 CrossFireチップセット搭載マザーボード上で
2枚同時に利用することで,3Dレンダリング性能を向上させるという技術。CrossFire対応ビデオチップとしては,既存のRADEON X850シリーズ搭載ビデオーカードと組み合わせられる「RADEON X850 XT CrossFire Edition」と,同様に既存のRADEON X800シリーズ搭載製品と組み合わせて利用できる「RADEON X800 XL CrossFire Edition」という,2種類が登場予定だ。RADEON X850/800シリーズ搭載のPCI Express x16版ビデオカードのユーザーであれば,これらCrossFire対応のビデオチップ搭載ビデオカードとマザーボードを購入すれば,CrossFireによるパフォーマンスの向上を図れる。
「P5RD2-MV2 Deluxe」。サウスブリッジはULiの「M1573」だ。FSB 1066MHz,DDR2 667をサポートし,内蔵グラフィックス機能も持つ
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今回
ASUSTeK Computer(以下,ASUSTeK)が展示していたのは,RADEON XPRESS 200 CrossFireを搭載した,同社のマザーボード新製品
「P5RD2-MV2 Deluxe」に,RADEON X850 XT CrossFire Edition対応版
「Extreme AX850XT/2DHTV」と,既存のExtreme AX850XT/2DHTVを組み合わせた構成だ。注目したいのは,それぞれ2ポートずつ用意されたRADEON X850 XT搭載カードのうち,2枚め(既存のRADEON X850 XT搭載カード)の片方と,CrossFire対応カードの片方,それぞれのDVIコネクタ同士を専用のDVIケーブルで接続している点だ。ケーブルはそのままCrossFire対応版からディスプレイへと伸びる仕様になっているので100%同じではないが,往年の
Voodoo SLIを彷彿とさせる。
動作中のCrossFire。微妙に形状の異なるCrossFire対応カードと,既存のASUSTeK製RADEON X850 XT搭載カードが,専用DVIケーブルでつながっている
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ASUSTeKのプロダクトマネージャー,Richard Liu氏によると,ドライバはすでにベースが完成しており,CrossFireのウリである
「接続して,ドライバのコントロールパネルからCrossFireのチェックボックスを有効にするだけで利用できる」簡便さはすでに実現しているとのこと。現在はより上位のレベルを煮詰めている最中で,マザーボード,ビデオカードともに7月中には出荷できるのではないかと話していた。なお同氏は「P5LD2 Deluxe」という,PCI Express x16スロットを2本搭載する
Intel 945P Expressマザーボードでも,CrossFireは「動くようになるかもしれない」と教えてくれたので,今後の展開に期待したい。
ASUSTeKブースで公開されていた対応ゲームタイトル一覧
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CrossFire対応版Extreme AX850XT/2DHTV(正式名称未定)の価格は
500ドル前後になる見込みで,電源ユニットは
450Wクラス以上が推奨されるとのこと。越えるべきハードルはとくに価格面で高いが,すでに
「Tom Clancy's Splinter Cell:Pandora Tomorrow」や
「The Matrix Online」,
「Counter Strike:Source」,
「FINAL FANTASY XI」など,30本を超えるタイトルがCrossFireへの対応を表明しているのは魅力といえる。次世代ビデオチップの声がまだあまり聞こえてこない
ATI Technologiesではあるが,とりあえずRADEON X850/800シリーズのユーザーは要注目だ。(佐々山薫郁)