BioWareが開発し,Electronic Arts(以下,EA)から発売される予定のアクションRPG
「Dragon Age: Origins」が,ついにその輪郭を現し始めた。
開発元のBioWareといえば,Baldur's GateシリーズやNeverWinter Nightsシリーズ,最近では
「Mass Effect」と,とにかく失敗しないRPGの開発元としてファンには知られるところ。そんな同社の最新作がDragon Age: Originsになるが,実のところ,4Gamerが初めて「Dragon Age」というタイトルについてお知らせしたのは2004年5月のこと。その後4年もの間,ほとんど情報が出てこなかったが,E3 2008で姿を見せたバージョンは,かなり激しいアクションがウリのシングルプレイRPGへと進化している。
Baldur's Gateの精神的な後継作品となる新作は
プレイヤーの選択が物語の展開を大きく変えていく
Dragon Age: Originsは,発表当初から「Baldur's Gateの精神的な後継作品」と言われてきた。Baldur's Gateシリーズは,BioWareと当時の販売元だったInterplayとの関係悪化によって
「Baldur's Gate II: Throne of Bhaal」を以って最後となり,「Baldur's Gate III」は開発中止となっていることもあり,Dragon Age: Originsの「Origin」(原点)というのは,BioWareのルーツへの回帰ということなのだろうと想像できる。
……が,実はこの読みは必ずしも正しくない。つい最近までサブタイトルがなく,
E3 2008直前になって現在のタイトルに変更されたことで,ついそう捉えてしまいそうになるが,
「Origins」が複数形になっている点に注目してほしい。ここに,大きな意味が隠されているのだ。
Dan Tudge氏
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この謎について,今回プレイアルデモの説明をしてくれたBioWareのDan Tudge(ダン・タッジ)エグゼクティブプロデューサー兼ディレクターは,「今は詳しく説明できないが,この作品のために我々が開発した,
今まで誰も見たことのない,非常にユニークなキャラクター成長システムが,『Origins』という単語と関連している」と話す。さすがにこれだけではなんだかさっぱり分からないが,デモプレイを進めながら,何度も何度も「会話やアクションによるプレイヤーの選択が,その後の物語を大きく変えていく」とTudge氏が念を押していたのは印象的だった。
デモプレイ中には,「籠(かご)型の檻に入っている囚人と会話し,マジックアイテムを入手できるカギをもらう代わりに,囚人の無実を証明するためのサブクエストを受ける」という流れのなかで,「サブクエストを拒否していきなり無抵抗の囚人を刺し殺す」という例が示された。このときは,護衛が駆けつけてきて,「なぜ囚人を勝手に殺したのか」を詰問され,王の審判を仰ぐように命令されるという展開になったが,こうした選択の積み重ねが,ゲームプレイに大きく影響していくものと思われる。
Dragon Age: OriginsではBioWareが独自に開発したルールセットを採用しているそうで,Buldur's Gateが採用していた「Dungeons & Dragons」のルールからは離れることになる。ということはつまり,Dungeons & Dragonsで採用されていたアライメント(Alignment)のコンセプトから離れ,さらに曖昧模糊たる「モラル」といった,ゲームでは難しい表現に挑戦しようということなのかもしれない。発売まで,あれこれ想像してみると楽しそうだ。
なお今回のデモでは,Dragon Age: Originsのストーリーについて,詳しくは説明されなかったが,「Grey Warden」(グレイワーデン)と呼ばれる精鋭の護衛団と,人間世界を制圧し始めた「The Bright」(ザ・ブライト)という魔軍との戦いを描いているようだ。主人公の名は「Alastair」(アラスタイル)で,デモムービーなどの会話の展開からすると,熟練のワーデンである「Duncan」(ダンカン)が「Ostagar」(オスタガール)という街へ救援へ向かう途中で,たまたまリクルートされた新米が主人公=Alastairという設定になっている模様。
「正式なワーデンとして認められるためには,巨大な古代遺跡に隣接して作られたOstagarで何らかの儀式を行う必要があるのだが,AlastairがOstagarにやってきたその夜,The Brightの一団が襲撃をかけてきた」というのが,EAのプレスカンファレンスで公開されていた公式ティザームービーの内容である。
ゲーム中の会話だと「Dark Spawn」(ダークスポーン)とも呼ばれているThe Brightは,オーガとゾンビを掛け合わせたような醜い容姿。デモプレイでは,雑魚キャラと思われる「Genlock」や「Herlock」,二股に分かれた頭を持つ巨大なマントヒヒのような「Ogre」いう中ボスも登場していた。Ogreは,プレイヤーキャラクターを片腕で持ち上げて,目の前で唾を吐きかけながら雄たけびを上げるようなアニメーションの多彩さが印象的だったことを付記しておきたい。
シングルプレイを前提とした
パーティ操作が面白い
今回紹介されたデモの中でも際立って面白かったのが,パーティシステムである。プレイヤーは,それこそ先述のDuncanなど,名前を持つキャラクターから,クエストの途中で仲間に引き入れられる“名もなき”兵士まで,(少なくとも現時点では)最大3人のNPCを仲間にできるようになっている。
ゲーム中は,敵と戦っているときであっても,プレイを一旦停止して操作するキャラクターを切り替えることが可能。静止した状況で,傷ついた仲間にポーションを与えて体力を回復させたり,特定のキャラクターを特定のモンスターに対峙させるようコマンドを与えたりする仕様だ。
さらには,あるキャラクターがグリス(油)を敵に向かって散布した後,別のキャラクターが炎系のスペルを発動し,グリスの散布された一帯を火の海にしてしまうような
「Spell Combo」(スペルコンボ)という連続技も行える。このあたりは戦闘に奥深さをもたらしてくれるだろう。
Dragon Age: Originsは,2009年第1四半期にPCとXbox 360で発売予定とされている。セリフや会話文の多さが尋常でないことから,日本語版が登場するかどうかはなんともいえないが,今後BioWareの重要なフランチャイズとして成長していきそうな作品だけに,ぜひとも日本語版の登場に期待したいところだ。