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「ネオスチーム」,プレイヤーの声を直接スタッフにぶつける「ユーザーミーティング」レポート
当日は,韓国からネオスチーム開発チーム長のホン・チャンファ氏,同じく企画パート長のソン・ホゼ氏が来日し,開発スタッフの代表としてプレイヤーの疑問や要望に回答する形となった。また,GM陣は同日夜に開催された本サーバー初のRvRの準備に追われて出席できないとのことで,代わりにHUEのプロダクトマネージャーであるキム・ギュマン氏と,本イベントの司会進行を務めた岡澤知行氏が運営スタッフ代表として応答した。
プレイヤー代表として出席したのは,2月2日〜4日に行われた公開RvRトライアルテストについての報告書を提出し,かつ本ミーティングへの参加を希望した人の中から,抽選で選ばれた11名。本ミーティングは都内で開催されることがあらかじめ発表されていたこともあって,参加者の多くは関東圏在住だったが,中には静岡や岡山からわざわざ上京してきたという人もおり,会場ではその熱心さを賞賛する声も挙がっていた。
■議論が白熱「あなたのつまんないを生で教えて!」
緊張のせいか,最初は会場内に遠慮がちな雰囲気が漂っていたが,参加者の一人が「今日は文句を言いに来ました」と挑戦的な発言をしたのを皮切りに,一気に議論は白熱。予定していた時間を大幅に超え,1時間半にも及ぶ展開となった。議題の中心となったのは,主にトライアルテストが行われたばかりのRvRについて。以下,議論の内容を挙がっていた項目別にお伝えしよう。
●RvR時のクライアントの重さ
最初に盛り上がったのは,「RvRシステムは,いったいどの程度の動作スペックを想定して開発されているのか」という疑問だ。発言した参加者によれば,CPUにAthlon 64 X2 5000+,メインメモリ 4GB,グラフィックスカードにGeForce 7950 GX2搭載製品というハイスペックPC上でも,50人のプレイヤーがRvRフィールドに集まっただけで,動作が極端に重くなり,移動もままならず,またスキルもキーを押してから実際に発動するまでに5秒以上かかっているとのこと。この状況では,もはやゲームとして成立しないのではないか,と同参加者は厳しい意見をぶつけた。
また別の参加者は,クライアントの動作速度について,プレイヤーと開発側の認識に乖離があるのではないかと指摘した。極論を言えば,プレイヤーにとってのゲームとは軽快な動作で快適にプレイできて当たり前。たとえ開発側が従来の倍以上の速度で動作するクライアントを開発したとしても,実際にプレイした場合に「動作が重い」と感じるのであれば,満足しないというわけだ。
これに対して開発側は,サーバーとクライアント間のパケットのやり取りに問題が生じていると回答。サーバーのCPUは5〜10%程度しか使用されておらず,リソース的にも相当の余裕があり,レスポンスは正常に行われているが,クライアント側での情報のスタックが起きてしまうそうだ。
さらにその原因は,主にスキルエフェクトにあると突き止めているとのこと。そこで現在のクライアントは,エフェクトをオフにできる仕様となっているので,当面はその機能を活用してほしいとコメントした。またクライアントの改良は常に継続しており,最終的にはエフェクトをオンにしても軽快に動作するバージョンを目指していると付け加えた。
RvRのルールについて,高レベルキャラクターの多い国家が一方的に勝ってしまう状況を,もう少し調整できないかといった要望も出ていた。
これについては,韓国でも日本でもRvRは実装されたばかりなので,寄せられているさまざまな意見をもとに,開発側で調整中とのこと。とくにRvRの参加人数制限については,全体数を制限するのではなく,上位レベル帯と下位レベル帯の二つに分けて,それぞれに制限数を設ける予定となっており,必要ならばさらにもっと細かくレベル帯を分けることも検討中だそうだ。
ワープ地点,あるいは死亡からの復活地点などで敵が待ち受けていて,出現と同時に殺されてしまうという状況があり,やる気をそがれてしまうといった意見も挙がった。
これについては,韓国ではすでに安全地帯が実装されており,日本でも動作確認が取れ次第,アップデートされるとのこと。
●RvRにおけるプレイヤーの貢献
低レベルキャラクターは,RvRでの活躍の余地がなく,現状では参加する意義が見いだせないという意見も挙がった。
これについては,先行してRvRが実装された韓国でも戦略的にマップを使えていない状況なので,今後,低レベルキャラが後方で支援できるような余地はまだ十分にあるとのこと。加えて,低レベルキャラが拠点の防御を行わないと,高レベルキャラが前線で戦えないといったようなコンテンツもすでに作成しているのだが,RvR導入の初期段階で投入してしまうと,システムが複雑になりすぎて,楽しめるものも楽しめなくなってしまう可能性があるので,現在は実装時期を見計らっているところだそうだ。
またネオスチームでは,RvRでの活躍に応じて「国家貢献度」が支給される。現状ではRvRの終了時にログインしていないと支給されないが,これを活躍度に応じて支給されるシステムに変更する予定という。また国家貢献度が高いキャラクターは,RvRやPvPでの攻撃力が高くなるなどの恩恵を得られるように現在調整中とのことだ。
PvPやRvRに関して,現状,一部の職業が非常に有利なバランスになっているので調整が必要なのではないかという指摘が挙がった。
これに関しては,今回RvRが実装されたことにより,直近にスキルバランスの大きな調整が行われる予定とのこと。なお,過去にも2回ほどバランス調整を行っているが,いずれも有利とされる職業やスキルの単純な下方修正ではなく,その他の方法で行っており,今後も同じ方針で調整していくそうだ。
●課金アイテムについて
話題は,課金アイテムの内容にも及んだ。問題として挙がったのは「スキルレベルアップスクロール」で,文字通りスキルレベルを上昇させるアイテムだ。これは,コツコツとスキルレベルを上げてきたプレイヤーの時間と努力を否定するようなものであり,そうしたアイテムを販売してしまう運営の姿勢を疑うという,熱心なプレイヤーならではの意見だ。
これに対して運営側は,確かにそうした不満の声が多いことを認めたうえで,販売に至った経緯を説明した。ネオスチームには,スキルレベルを上げるために「修練」という独自のシステムが用意されているが,仕様上,この機能を活用するためにはゲームにログインしたまま長時間放置しなければならない。スキルレベルが高くなるほど,長い時間放置する必要があるため,電気代が多くかかる,またPCに負担がかかり故障したといった内容のクレームが,実に多くのプレイヤーから寄せられたため,対応策としてスキルレベルアップスクロールの販売を決定したそうだ。
しかし指摘のとおり,これまでのプレイヤーの努力を否定するものになりかねないため,期間限定販売という制約を付けたとのこと。さらにキム・ギュマン氏は,「デリケートな問題なので運営的にも個人的にもかなり悩みました。こういった,プレイヤーからの厳しい意見はありがたい」とも付け加えた。
●長時間の放置を強いられる「修練」システムの是非
上記の課金アイテムに関する回答を受けて,プレイヤー側からは,そもそもなぜ「修練」システムが必要なのか,という疑問も挙がった。ネオスチームは,使用頻度に応じてそのスキルの経験値がたまり,レベルが上がっていくというシステムを採用している。そこで,普段あまり使わないスキルのレベルを上げるための補助的な手段として,修練システムが実装されたという。
しかし現実には,高レベルになると,頻繁に使うスキルであってもレベルが上がらなくなってしまい,修練に頼らざるを得なくなる。結果として,1レベル上げるために数百時間もログインしたまま放置する必要が出てくるのは,非常に問題なのではないかという,これまたもっともな指摘だ。
この問題についての改善案として,スキルレベル上昇に伴う経験値テーブルの調整が必要なのではないかという意見が,プレイヤー側から挙げられた。結局,この問題が改善されれば長時間のログインも不要となり,上記のようなクレームや課金アイテムの問題も解消されるというわけだ。
また同じく長時間放置しなければならないという点において,個人商店も議論に挙がった。これは開発側でも,代理販売NPCなどといった形ですでに構想しているそうだが,いくつか解消しなければならない問題も発生しているので,もう少し待っていてほしいとのことだ。
現在,ネオスチームでは周囲の人と会話を交わす通常のオープンチャットのほか,「全体チャット」「ギルドチャット」「パーティチャット」などがあるが,もっと種類を増やしてもいいのではないかという要望もあった。
具体的には,クエスト攻略の人員を募集するためのチャットルームや,RvRにおける前線組/防衛組別のチャット,あるいは同盟ギルド間のチャットなどがあれば,さまざまな戦略も立てやすくなるだろうとのことで,こちらも開発側で企画が出ており,検討中だそうだ。
なお,バグレポートをせっかく書いたにもかかわらず,投稿フォームの不具合からすべて消えてしまい書き直さなければならなかった,ゲーム内での数字が読み取りにくい,人数制限や資金負担をはじめとするギルドシステムの不備など,日常的なプレイに関わる指摘もいくつか挙がっていた。これらの多くについては,開発側もすでに検討しており,可能な限り早急に対応すると明言していた。
さらにプレイヤーに期待感を持たせるために,アップデート予定などをもっとこまめに公開するべきなのではないかという指摘に対しては,この場で即答はできないが,運営側でも検討していくとのこと。岡澤氏が頻繁に公式ブログを更新すれば,すべて解決するのではないかという声も挙がったが,何やら書きたくても書けない「大人の事情」があるようだ。
■2007年のアップデートスケジュールの発表
●バトルフィールド(4月実装予定)
RvRや従来のPvPとは異なる新たなPvPシステムで,最大8人のチームを組み,2チームで争う。専用フィールドの中央に配置された五つのスチームコアを互いに奪い合い,制限時間20分内により多く取ったチームの勝ちというシンプルなルールとなっている。
●自然国家(6月実装予定)
ネオスチーム発表当時から構想されていた第3の国家が,ようやく登場する。ただし当初言われていたようなログウェル,エリアッドと同等の第3勢力で三つ巴のRvRが繰り広げられるというわけではないようだ。また,既存の国家に所属しているプレイヤーであっても,自然国家のキャラクターを使えるようになる模様。
自然国家はすでに滅んでおり,今は末裔が他国家に潜伏して復興をもくろんでいる状態からスタートする。その背景は序盤のクエストで語られる予定となっており,さらなる詳細は今後の発表を待つことになる。また自然国家のキャラクターは,日本人向けにデザインされているとのこと。
●2次職業(実装時期未定)
詳細は未定。まったく新しい職業というよりは,新規スキルや上位スキルを使えるようになるというイメージで,転職時期はレベル70〜80前後を予定している。
●アバターおよび頭装備の追加(実装時期未定)
鋭意企画制作中。イメージ案として魔女っ子が持つような「魔法のステッキ」や,長ネギを模した「ネギ鉄砲」,ウサ耳,リーゼントヘアなど多数が公開された。ただし,これらのほとんどは練り込む前の段階で,本当に実装されるかどうかは未定。
●新規マップ(実装時期未定)
ロフアイルとはまったく異なるフィールド,「アンダーワールド」が登場。それぞれの国家から一定数ずつプレイヤーが集まらないと出現しないモンスターがいるなど,これまでとは一風変わった演出が予定されている。どうやら攻略するためには,今までのように国家間で敵対するだけでなく,一時的な協力も必要となりそうだ。
●新種族(実装時期未定)
ヒューマンの女性が登場。日本で要望の高いタルンの女性版(通称 わんたん)に先駆けての登場となるが,これは種族間の数的なバランスをとるため。女性キャラの登場により,ヒューマンを選択するプレイヤーも増えそうだ。
■李 KPAさん登場! アイテム企画会議
プレイヤーからの要望としては,ポムを一時的に大きくするもの,他種族の特性を一時的に持てるようにするもの,召喚獣の回復薬,スキルのキャップ開放に使ったポイントを還元するものなどが挙がった。
しかし岡澤氏はそうしたアイテム群よりも,前出のアバター装備などのアイデアが欲しかったようで,実際にデザインを起こしてみようと提案する。岡澤氏の「どなたか絵が描ける方はいらっしゃいませんか?」という呼びかけに対し,参加者の一人が名乗りを上げ,おもむろにホワイトボードにメッセージを書き始めた。
その内容は「こんにちは 李 KPAです」。
そう,実はネオスチームの公式イメージイラストを手がける李 KPA(すももけいぴーえい)さんが,(一般参加者のふりをして)本ミーティングに参加していたのだ! ……といっても,総髪に和装というゲーマーらしからぬスタイルと,物腰柔らかながらも鋭い意見を放つなど,どこか一般プレイヤーとは異なるオーラを漂わせていたことから,薄々感づいていた参加者も多かったようだ。
その後,李さんは参加者からのリクエストに応じて,黒い羽に眼帯,革のパンツにタンクトップといった少々強面のポムや,安全ヘルメットをかぶりツルハシを持った「ガテンセット」,ふんどしに半被(はっぴ),ハチマキ姿の通称「ハッピーセット」タルン,コック帽にフライパン,フライ返しの「コックセット」,いざとなったら手に持って武器として使える「天使の輪」など,岡澤氏と冗談めかした会話を交えながら次々に描き出していった。
今回のようなオンラインゲームに関するオフラインイベントは昨今珍しくなくなっているが,実際にプレイヤーと対峙するのは,パブリッシャの代表や広報,あるいはGMリーダーなど,主に運営側の人間であることが多い。本ミーティングは,実際に現場でゲームを開発しているスタッフが直接プレイヤーの不満や要望に耳を傾け,またプレイヤー側も開発スタッフの口から直接企画意図を聞きだせるといった貴重な機会となったのではないだろうか。
筆者の個人的な感想としては,企画パート長のソン・ホゼ氏が最後に述べていた「今までは前ばかりを向いてネオスチームの企画/開発をしてきたが,今回のミーティングを機に,これまで作り上げてきたものを見直して改善していきたい」という発言が印象的だった。
なお,このユーザーミーティング後,ホン・チャンファ氏およびソン・ホゼ氏,そして李さんによる対談が行われた。一人のプレイヤーでありながら,また広報展開やアイテム企画に携わる外部スタッフでもあるという特殊な立場で開発スタッフ両氏と忌憚なく意見を交わす李さんの様子をレポートとして別途掲載する予定なので,そちらもご一読を。(ライター:大陸新秩序)
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