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[GDC2008#16]「シミュレーションゲームの父」ことシド・マイヤー氏が,久々のGDC講演で「時間」を語る
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印刷2008/02/21 21:57

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[GDC2008#16]「シミュレーションゲームの父」ことシド・マイヤー氏が,久々のGDC講演で「時間」を語る

画像集#001のサムネイル/[GDC2008#16]「シミュレーションゲームの父」ことシド・マイヤー氏が,久々のGDC講演で「時間」を語る
「シミュレーションゲームの父」ことSid Meier氏。「時間を巻き戻して新しい歴史を作ってみたい」という人間の欲望が,Civilizationの人気につながったのだと説明する
 Civilizationシリーズなどで知られるSid Meier(シド・マイヤー)氏が久々にGDCに出席し,「Standing the Test of Time: A Q&A with Sid Meier」(時間との挑戦に立ち向かう:シド・マイヤーとのQ&A)という対談形式の講演を行った。質問者は,古くからGDCに貢献しているNoah Falstein(ノア・ファルシュタイン)氏。現在Anacondaレーベルで「Mata Hari」というアドベンチャーゲームを製作中の人物だ。
 Meier氏は,Civilizationシリーズの開発者として,ストラテジーゲーマーを中心に高い評価を得ている。しかし,その履歴を見れば80年代初頭より,フライトコンバットシムから潜水艦シミュレーションまでさまざまなゲームを量産しており,そのイノベイティブなゲーム作りから,ゲーム業界では「シミュレーションゲームの父」として尊敬を集めている。
 ちなみにGDC08の開催期間中に行われた,Game Developers Choice Awardsにおいて,ゲーム業界に多大な貢献と業績を残した人物に贈られる「Lifetime Achievement Award」を,Meier氏は受賞している(関連記事は「こちら」)。

 この講演の趣旨どおり,インタビューの大部分は,Meier氏の過去の業績や,現在のトレンドに関する意見を伺うという内容だ。人の多い場所を嫌うというMeier氏だが,実際にはGDCがCGDC(Computer Game Developers Conference)と呼ばれていた頃には,何度もセッションを担当していたらしい。Falstein氏の「あの頃の講義は非常に有意義で,できればパワーポイントを探して公開してほしい」という要請に,「うーん。探してみるけど,パワーポイントなんて使ったことはなかったね。まだオーバーヘッド・プロジェクターの時代だよ」と,当時のエピソードをユーモラスに語っていた。

画像集#002のサムネイル/[GDC2008#16]「シミュレーションゲームの父」ことシド・マイヤー氏が,久々のGDC講演で「時間」を語る
Civilization Revolutionは,Xbox 360やPlayStaiton 3,そしてNintendo DS向けに6月6日にリリースされることが正式発表された。マイアー氏自身がコンシューマーゲーム機用のゲームソフト開発に携わるのは,3DO用の音楽ソフト「CPU Bach」以来だろうか……
 Meier氏が公の場に姿を見せるのは,2002年のD.I.C.E. Summit以来のことであり,「余りにも人前に出なかった期間が長すぎて,(D.I.C.E.の折に話した)恐竜ゲームの規格失敗談に関して,今でも質問を受けることがあるね」と彼は続ける。確かに,欧米のゲーム業界で大御所とされるWill Wright(ウィル・ライト)氏やPeter Molyneux(ピーター・モリニュー)氏と比較すると,4Gamerの過去記事を見た限りでも,カバーされている記事は圧倒的に少ない。しかし,その一方でゲームはコンスタントにリリースしており,我々の頭の隅にその名を刻む,偉大なゲーム開発者の一人であることは疑いようのない事実なのである。

 さて,「シミュレーションゲームの父」と言われるMeier氏だが,自身はゲームをプログラムしたりデザインしたりするときに,シミュレーション性には深くこだわっていないのだという。「ゲーマーとして自分がテストしたときに,楽しいかどうかが問題で,リアリスティックなシミュレーションは二の次だ」とMeier氏。続けて,「Civilizationというゲームをデザインするときには,さまざまなアプローチがありました。その決定次第では,今あるCivilizationとはまったく異なるものになっていたかもしれないけれど,CivilizationがCivilizationであることは,何が楽しいかを最優先させた結果だと納得しています」と話していたのが,実に印象的だ。
 その一方で,「Civilizationもそうだけれど,ゲームが成功した後で,自分の選択の何が正しかったのかを正当化するものでしょう」と,決してCivilizationの進化には満足していない様子でもある。やがて,現在開発中のコンシューマーゲーム機専用「Sid Meier's Civilization Revolution」の話題の中で,「デザイナーには,時間を遡り,自分の失敗を修復しようと夢想する習性があると思う。より多くの経験と知識を積み上げた今,もう一度初めからCivilizationというゲームについて考察し,時間を戻して作り直す機会を与えられたようなものでしょうね」と,Civilization Revolutionの開発意義を自己分析した。
 Civilizationを作るMeier氏ばかりではない。例えば,我々はコーエーの「信長の野望」のようなゲームも,シリーズを通して同じゲームシステムを反復し,ゲームをプレイするたびに時間を巻き戻しているだけなのに,なぜかハマッてしまうのである。Meier氏は,「人間の意思決定というのは,一つ一つが非常に興味深いものです。昔に戻って,新しい物語を作り上げてみたい,もし違う決定をしていたら異なる方向に時間が進んでいたはずだと誰もが思いますよね。それこそが,Civilizationのエッセンスであるのです」と締めくくっていた。

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