インタビュー
新しい“時代”の到来で表現の幅が広がる「大航海時代 Online 〜Tierra Americana〜」。開発/運営プロデューサーインタビュー
欧米諸国にも新しい時代が到来
4Gamer:
続いては,ヨーロッパにもいろいろと変化があり,新たに内陸の街である“パリ”が追加され,“博物館”が登場します。個人的にもフランスと言えば,パリというイメージですが,そう言えば「大航海時代 Online」にはなかったんですよね。
竹田氏:
そうなんです。そんな街がヨーロッパにはごろごろあります。「大航海時代」は,どうしても海のゲームなだけに,そうした内陸の街などは,従来作でもあまり表現できていません。
内陸の街を追加するという議論は以前からありました。ただ,単純に街を足しても,そこで出来ることが今までと同じでは面白くありません。ですので,内陸の街を追加するときには,必ず何か新しいシステムを入れようと。その意味で新都市となるパリには“博物館”を,フィレンツェには“メディチ家の工房”を用意しているのです。
4Gamer:
なるほど。では,博物館とメディチ家の工房について教えてください。まず博物館ですが,具体的にはどのような施設になるのでしょうか。
渥美氏:
博物館には,初心者や中級者が気軽に展示できる無料の展示室と,上級者が特別な発見物を見せられる,有料の展示室の二つを用意しようと思っています。
竹田氏:
無料の展示室は小展示室と言えばいいか,大きな博物館にはテーマ別だとか年代別とか,展示物がいっぱい置かれた小部屋がたくさんありますよね? あのイメージです。有料の展示室は大展示室になってまして,誰々が発見した○○といった感じで,発見物が目立つように展示されます。
4Gamer:
ほかにも発表では,博物館に発見物オーナメントを渡していくと,街にトレンドが生まれるとのことですが,これはパリの街でということでしょうか?
竹田氏:
いえ,トレンドが発生する街は,所属国の本拠地になります。
4Gamer:
つまり,発見物オーナメントをパリの博物館に展示することで,プレイヤーの国ごとのパラメータが変化するという感じになるわけですか? それとも,トレンドが発生した段階で,すべての本拠地に変化が出るのでしょうか。
竹田氏:
プレイヤーの所属国ごとです。例えば,博物館に置かれた発見物によって何らかの判定が行われて,「○○国の○○さんの発見物は凄い!」と話題になり,その国でブームが起こるというイメージです。
4Gamer:
ちなみに,ブームが起きるキッカケは,そうした判定の積み重ねに?
竹田氏:
いえ,積み重ねが必要というわけではなく,判定についてはギャンブル的な要素になっています。例えば,小展示室への出展でもブームが起こせるかもしれないといった,気軽に参加できるものになっています。トレンドは遊び要素の意味が強く,とりあえず博物館に置いてみようという感じで,初心者から楽しんでもらえるものにしています。
4Gamer:
分かりました。一方の,フィレンツェのメディチ家の工房ですが,こちらは交易品の情報を渡すということですね。
竹田氏:
世界各地の交易品や,材料となるものの情報を渡すというものですが,具体的には,フィレンツェの街で週替わりに工芸職人だったり,鋳造職人だったりが,試験生産をしようとしています。そこに材料となりそうな交易品を持ち込んであげると,試験生産に成功するというものになります。
4Gamer:
つまり,簡単なクイズのように何かヒントが出て,それを職人に届けるというものになると。
竹田氏:
それに近いですね。「この文化圏のものは良いね」といった感じで教えてくれます。それぞれの試験生産が成功すると貢献値が貯まっていくという仕掛けになっており,プレイヤーごとの判定で,貢献したプレイヤーに開発には,成功したレシピを使わせてあげようという流れになります。
渥美氏:
イメージとしてはメディチ家の一角を使わせてもらって,そこで生産ができるというものになります。
4Gamer:
なるほど,メディチ家の工房でのみ専門に作れるレシピになるわけですね。
竹田氏:
また,既存のレシピもそこで開発が成功すれば,生産できるようになります。
4Gamer:
既存のレシピですか?
竹田氏:
試験生産してレシピが開発できたものは,プレイヤーがスキルを持っていなくても,材料を持ち込めば試験生産として作ってもらえるというわけです。ただし,メディチ家の特製レシピについては,自分で生産しなければなりません。
4Gamer:
なるほど,スキルがなくても作ってもらえるというのは,この街を訪れる一つのポイントになりそうです。ところで,この二つは内陸の街ということで,当然そこに行くための方法がありますよね。
竹田氏:
大航海時代は,海を移動するという過程が大事ですが,同じように内陸を歩いていくことにリアリティを求めると,どれだけ歩けば良いんだということになります。そこは趣旨から外れるので,あまり面倒な過程にはなりません。具体的な方法についてはいずれお話しします。
4Gamer:
上陸地点と奥地みたいなものが,いくつにもわたって続いていたら,気軽に訪れられません(笑)。
ここまで,パリの“冒険要素”,フィレンツェの“交易要素”といった感じで教えてもらいましたが,いかにも戦闘要素である,王立艦隊について教えてください。発表では,プレイヤーの手で大海戦が開催できるということでしたが,具体的にはどういったものになりますか?
渥美氏:
まず,大前提となる王立艦隊に入る方法についてです。王立艦隊については発表会で,王立艦隊には階級があると発表しましたが,実は,これは爵位と密接に関係していて,王立艦隊に入るためには,騎士爵位以上でなければなりません。
4Gamer:
それは,なかなか大変ですね。
渥美氏:
ちなみに,騎士爵位を得たあとは,現状であればそこから先の爵位を上げるというプレイスタイルになると思いますが,王立艦隊導入後は,王立艦隊に入隊して階級を上げることも,爵位を上げる代替手段になります。導入前から除隊の話をするのもなんですが,王立艦隊の除隊時には爵位が前よりも上がっているという仕組みになっています。
4Gamer:
では,王立艦隊の階級はどのような活動で上げられますか?
竹田氏:
先ほどの発表会で,三つの司令部があると発表しましたが,それぞれ職業に対応していて,軍人であれば艦隊総司令部,商人は海上輸送司令部,冒険者は特殊作戦司令部に入れます。そして,その司令部に対応した職業で名声を得ることで国威が上がり,同時に功績も得られます。
4Gamer:
功績が貯まると,階級が上がっていくわけですね。
そうです。そして,国威が一定に達すると大海戦に発展するという仕組みになります。お気づきかもしれませんが,名声が上げやすい職業といえば,やはり商人系です。歴史上でも,当時の海戦が起きるシチュエーションというのは,海戦を起こしたいからというよりも,通商関係がベースとしてありました。
ですので,今回のシステムと商人の名声が密接な関係にあるのは,歴史上の背景にも合っていて,商人が大儲けのために,この港が欲しいという願いに対して寄与できると思います。なお,候補の街を決めたり,連名先を決めたりという部分は,今の大海戦に準じたものになっています。
4Gamer:
このシステムのことを聞いていて思ったのは,「El Oriente」のChapter3で大海戦の新システムとして,海域の覇権を争うことと,大海戦後にも投資禁止期間があるというものが導入されましたが,実は今回の王立艦隊のシステムに繋がる変更だったのですか。
竹田氏:
まさに,そうです。王立艦隊を入れるという前提でした。大海戦の勝敗は,海域全体の街を巻き込んで影響しますが,要塞戦も同様に海域全体の街が関わってきます。
渥美氏:
当初は,要塞戦が発生する街は,メインとなる対象港のみであることを想定していましたが,そうではなくて海域全体で要塞戦が発生することになったわけです。
4Gamer:
そうなると,守る側も攻める側も,どの街にどう人員を配置するかがポイントになりそうですね。
渥美氏:
ええ,戦略レベルでの視点では,要塞攻撃にどこまで人を割くか,通常の大海戦に人を割くかが,ものすごく難しい判断になると思います。
4Gamer:
ここで気になるのが,要塞を攻撃するとそれが大海戦の勝利にどう影響するかなのですが。
竹田氏:
要塞を陥落させると,大海戦の勝利ポイントが稼げますが,それだけではなく陥落した側は領地も含め,一定期間その街に投資可能になり,陥落された側は投資不可になります。
これは,街単位での勝敗に関わってきます。大海戦には勝ったものの,ある街が陥落して,相手に投資され放題になってしまったという状況になりかねない。大海戦自体は負けるかもしれないけど,この街だけは手に入れようといった,単純な勝ち負けだけで終わらない大海戦になります。
4Gamer:
最初から1点奪取を目的とした戦い方も考えられますね。それにしても,さらに商人が要塞を構築して,冒険者が潜入工作を行うという要素もあるわけで,大海戦にかなり戦略性が出てきそうです。街に潜入してどのような工作を行うのかなど,いろいろ気になります。
竹田氏:
その辺りの,より詳細な内容については,また導入が近づいたらお話しします。
4Gamer:
分かりました。では,そのほかの新要素についても教えてください。まずは,再強化についてですが,フリースタイル造船をさらに強化したものとのことですね。
今回,フォーカスを当てたのは,低いレベルで乗らなくなってしまう船です。デザインが好みでお気に入りだったけど,成長に従って上位の船に乗り換えるという道筋があります。そうした思い入れのある船を強化して,より長く使っていけたらというものになります。
4Gamer:
たしかに,個人的にジーベックのデザインが好きでしたが,成長に従って新しい船種に移行しますね。仮に今使っている船と同等,もしくはそれに近いものになるのであれば,そっちを使うかも知れません。ほかには,初心者向けとして郵便システムなども入るようですね。
竹田氏:
はい。郵便システムは上級者が初心者を助ける,世界各地にいるフレンドに送るなど,遠距離にいるユーザー間で便利に使ってもらえると思います。こうした新要素の中でも“委任航行”は大きなポイントですね。プレイスタイルに大分影響すると思います。
4Gamer:
今までは,回航というものがありましたが,委任航行は具体的にはどのようなものですか?
竹田氏:
従来の大航海時代シリーズにもあったのですが,自動で海を移動してくれるというものです。もちろん,無制限というわけではありませんが,片手間に何かしながら移動できます。
4Gamer:
回航や定期船と違って,実際に海を自動移動してくれるのは便利ですね。交易品もそのまま運搬できそうですし。でも,航行中にアクシデントが起これば,その対応も必要ですよね。
竹田氏:
委任航行中はNPC戦闘や突風など一部のアクシデントが起こりません。委任航行の行える回数は限定されていますが,このようなアクシデントが起こらず目的地にたどり着けるのも良いところです。
4Gamer:
まさか,嵐の中も突っ切ったり?
竹田氏:
いや,嵐はさすがに(笑)。
4Gamer:
嵐に遭遇すると自動で停船して,晴れると動き始めてくれるとありがたいです(笑)。では,最後に読者へのコメントをお願いします。
今回の拡張パックを無事発表できてひと安心しています。大航海時代の歴史が今まで,新しい時代に進化できていなかったことで,入れたいと思っていた仕様が世界観にうまくマッチせず,入れられなかったことがありました。しかし,今回の北米開拓システムを始めとして,「大航海時代 Online」の新しい可能性ができてきたので,その意味でも嬉しく思っています。初心者向けにも強化している部分があるので,この機会に始めていただけたらと思っています。
竹田氏:
みなさんがずっと思っていたであろう,海域がどんどん広がって,広がりきったらどうなるんだろう? という疑問に対して,二つの方向性,つまり時代の幅を広げていくことと,内陸都市など今まで表現できていなかった舞台を広げていくという方向が示せる拡張パックになると思います。
今回,ヨーロッパや,ヨーロッパに近い北米を強化することによって,大航海の新しいサイクルを提示できると思うので,新たな気持ちで「大航海時代 Online」を始めてもらえればと思います。
今回の拡張パックの発表会とインタビューで感じたのは,大航海時代が新しいフェーズに踏み込んだということもそうだが,プレイヤーが“世界”に関わることで,その世界を大きく変えていこうという方向性の提示だ。もちろん,これまでもそうした試みはあったのだが,これをより顕著に押し出してきたと思えたのだ。今回は,発表会のインタビューとして2人にいろいろと聞いてみたのだが,また別の機会――Chapter1“Atlantic”のさらなる詳細の公開時になるだろうか――に,そうした話も聞いてみたいと思う。
新たな舞台は北米大陸! 時代の進化も表現する「大航海時代 Online」拡張パック第4弾「Tierra Americana」発表会レポート
「大航海時代 Online」公式サイト
11月27日収録――
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